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ちょっぴり忙しくなり投稿が遅れました。
鍛えているのに細身という
憧れの体を手に入れた森山実留です。
体を鍛えるって最高ですよね。
徐々に力を付けていき切れが良くなる骨体。
まぁ鍛えたのは内面(魔力)で外見は何も変わってませんけどね。
細身も骨格しかないですが。
当面の目標は迷宮を出る事にした。
湿度や漂う匂いから地下、または閉鎖空間と予想する。
塔や城タイプの迷宮もあるが
通常の地下迷宮だと仮定しよう。
ここが何階層かわからないが
キャタピランドが出る位であれば
そんなに深くは無さそうだ。
違ったとしてもそこまで強い奴は居ないだろう。
体は強くなったが武器もないのが不安だ。
そこで目を付けたのは小さな机。
これを解体して武器にしようと思う。
机は木で出来ていたが
時間経過での劣化はあまりない。
これはどういう事だ?
≪鑑定≫を行うとこれにも魔力を感じる。
どうやら劣化防止が掛っているようだ。
ふむどうやら付加魔法みたいな物にも
掛けれる技術があるようだな。
またはこの骨の持ち主がそういった事に
長けていたのだろうか?
そういえばこの骨も迷宮に吸収されなかったな。
なんでだ?
部屋中をひっくり返してみると
ベットの下に魔法陣の様な物があった。
何かの塗料で丸い円陣が組まれ
中央に小粒の宝石が固定されている。
調べるとどうも小さな結界のようだ。
これが迷宮に吸収されなかった理由かな?
折角なんで宝石は収納しといた。
武器は机の足をナイフで削り細くし杭にした。
部屋に残った机やベッドの残骸なども
全部収納した。
綺麗さっぱりになったので出発する。
「さて、アリス
頑張って迷宮から出ような」
「はい、そろそろ食事が食べたいです」
「うん、お前はVerUPしてもそれだな」
扉を開けて外に出る。
出来ればこの扉も欲しかったが
壊さないと駄目そうだし
今後にこの部屋が役に立つかもと思い残しておいた。
まずは周囲の検索から始める。
迷宮からの脱出がメインなので
出来ればエンカウントは避けたい。
感覚をフル動員し注意深く周囲を探りながら
探索を続けていく。
途中に何度か出会いそうになったが
全て回避し探索を続けた。
まだ違う階層には行けていないが
数時間かけて探索した結果は
この迷宮は魔物があまり居ない。
居ても虫型のみだ。
そして魔物の強弱が明らかに方向によって違う。
部屋を出てから右手に向かうと敵は弱くなる。
左手に向かうと敵は強くなる。
僅かづつではあるが違いが分る。
なんの根拠もないが弱い方向へ向かう。
しばらく進むと階段を見つける。
登り階段でほっとする。
それにしても迷宮って誰が作っているんだろうか?
結構ウロウロしてるのに冒険者とかには会わないし。
こんなとこ作ってもメリットないのになぁ。
う~ん、世の中は分らない事ばかりだぜ。
階段を上っていくと真ん中を過ぎた辺りだろうか
急に何かの気配を濃厚に感じる。
試しに階段を下がっていくと気配が消える。
これは何だろうか階層の間に区切りでもあるんだろうか?
これもさっぱりわからない。
ひょっとしたら魔物が階層を移動しない為の
結界か何かがあるかもしれない。
そうだとすると俺が引っかからないのも変だよね。
どう見ても俺、魔物だし。
分らない事は仕方がない。
これもいつか調べよう。
なんか調べものリストがどんどん溜まっていく気がする。
気を取り直して慎重に登って行くと扉が現れる。
そーっと開けて様子を伺う。
そこは少し広めの部屋だった。
反対側には大き目の扉。
視力を強化し確認すると綺麗な細工が施されていた。
こっちの扉は小さいが同じく丁寧な細工が施されている。
部屋の中央に魔物が一体居た。
大きい百足のような魔物だ。
全体的に赤黒くツヤツヤしている。
そいつのいる床には赤い魔方陣らしきものが描かれて
淡く発光している。
ここはアレかな?
ひょっとしてボス部屋的な?
「なぁ、あれってボス的な奴だよな?」
「そうですね、しかも私達は下から来ているので
中ボス的な奴ですね」
「だよなぁ、あいつに見つからずに
先に進めると思うか?」
「他に入口があれば大丈夫かと思いますが
見当たりませんし・・・・
それにずっと大扉の方を見てますよ?」
百足は大扉の方をずっと見ていて
こちらには一切気が付いてない。
というより他に意識を向けてない?
「あれは向こうが入口って事で間違いないな」
「となるとあいつを倒さないと先にいけませんね」
「だよなぁ」
百足を確認するとクロワイアと表示される。
もちろん名前以外は表示されない。
そりゃスケルトンより格は上だよな。
「あいつ勝てると思うか?」
「どうでしょうか
気付いてないようなんで後ろからサクッと殺っちゃいましょう」
「・・・・・お、おう」
俺の手持ちにある武器になりそうな物は
木の杭が4本
大き目の石が多数
他は折れた剣と砕けた盾と・・・。
うん、通じそうな武器がねぇ!
こりゃあれだな魔法で先制とって身体強化だ。
武器が無いと手が使えてもあんまし有効活用できないね。
≪噛付き≫は接近戦なら使えるけど
骸骨じゃ大した威力出そうもないし。
やっぱあれだよ。
スケルトンは厳しいぜ。
次があればポイントは種族分にまわそう。
そんな悲しい思いはさておき。
俺は魔力を練り始める。
外魔力を使えるようになった辺りから
魔法の威力が上がった気がする。
以前よりも魔力を扱いやすい。
まだ試してはいなかったので
時間を掛けてここぞとばかりに魔力を練り上げる。
外魔力を主体に使えば時間さえかければ
幾らでも使えるからな。
吸って練って整えて形にして。
大きくなろうとするのを圧縮し小さくし。
形を崩そうとするのを整えて形にした。
もう俺じゃこれ以上扱えないって所まで作り込んだ。
選択したのは何時もの炎の矢ではなく炎球だ。
俗に言うファイヤーボールってやつ。
まぁ炎を球状にイメージしただけなんだけどね。
それをまだ此方に気が付いてないクロワイアに発動。
ヒュゴ。
いつにない手応えを感じ
いつもであればテニスボール位の大きさが
ハンドボール程度の大きさの炎球が出現した。
スピードも段違いで飛んで行く。
クロワイアは身動きしないので見事に着弾。
何かが俺の背中を走り抜ける。
ドッゴーーーーーーーーーーーーーーッ!
「ヤバイッ!」
直感に動かされ咄嗟に扉を閉める。
直後にもの凄い衝撃が体を襲う。
「うぉぉぉぉぉぉぉ」
「きゃぁぁぁぁぁぁ」
動揺が落ち着くまで少し掛った。
「実留さん、何ですかあれは?」
「いや、俺もわからん
構成は炎球なんだけど魔力を込め過ぎたのか?」
おそるおそるドアを開けると・・・・。
何も居なかった。
「うわぁ、エゲつないですね」
「うん、まさかここまでとは思わなかった
これ数分の一の魔力でも十分過ぎるな」
ここまで威力が上がってるとはな。
試しに前と同じ感覚で炎の矢を作ると
通常時の数倍は大きい炎の矢というか槍の大きさのモノが出現した。
コレはあれだ、混合魔力は品質が桁違いに良いんだな。
外魔力と内魔力の割合で変わるのかも要検証だな。
やっぱり調べものリストがどんどん溜まっていく。
中央付近には黒い焦げた床に
魔方陣があるだけで他には何も無かった。
ピローン
> アイテム≪魔核水晶≫を手に入れました。
> アイテム≪百足剛棒≫を手に入れました。
おっ、アイテムGETだぜ。
魔核水晶は魔物の核のようだが
今までこんなの出た事ないぞ?
う~ん、何に使うかもわからないから仕舞っておこう。
百足剛棒は武器だ!
ついにまともな武器を入手した。
系統としては鈍器になるだろう。
棍棒のような形に百足の足を象った
突起物が沢山生えている。
「なぁ、これってさ」
「わかります、あれですよね」
「うん、そうだよな
これ釘バットだよな」
そう!どう見ても釘バットにしか見えない。
確かに生えている突起物は釘ではなく
百足の足で先が全て尖っているし
本体の素材も木材ではなく何かの金属で出来ている。
でもシルエットで見てしまうと釘バットだ。
スケルトンが釘バットってどうなのよ!
しかしながら結構な品質なので
有難く使わせて貰う事にする。
「さて、先に進もう」
大扉を開けて先に進む。
あれから4階層登った。
魔物とのエンカウントは極力避け
どうしても駄目な場合のみ戦った。
手に入れた釘バットは予想以上に強く良い感じだ。
ただちょっと相手がグロくなるのはご愛嬌だ。
実は先ほどから少し空気の匂いが
変わったのを感じている。
この階で出口だとすると
俺が居たのが6階層で
中ボスが5階層だって事だな。
最後まで気を抜かずに進んでいくと
明らかに迷宮内とは違う匂いを感じる。
植物や土だ。
「アリス!出口だ!」
「やりましたね、実留さん!」
角をまがるとポッカリと外に通じる出入り口を見つける。
普通の岩をくり貫いて周辺を少しだけ整えたような無骨な感じだ。
周囲を探るも何の生命反応もない。
どうやら生き物は居ないようだ。
兵士も居ないっていうのは迷宮ギルドは
どうなってるんだ?
何にせよ外に出ればわかるさ。
久々のお日様の匂い。
くぅ、たまらん。
俺はなりふり構わずに外に向かって走り出す。
やっとだ、やっと外に出られる。
実里に会いに行かなきゃな。
ブタ子も探してみよう。
二人とも近ければいいんだけど・・・。
それよりも俺の骨ボディをどう説明すればいいか。
色々と思い出しながら
外に出れる開放感で足は更に速くなる。
カシャッカシャッカシャッカシャッ。
「いぃぃぃぃぃやっほーーーーーーーーいぃぃぃぃ」
そのままの勢いで俺は外に飛び出す。
うおーーーー、太陽だぁ!!
超気持ち良い!!
久々だから焼けるような暑さも心地いいぜ。
「実留さん!実留さん!
大変です!大変ですよ!!」
「何だよ、アリス
人が久々に外に出れたのを堪能してるっていうのにさ」
「違います!体!実留さんの体!」
「ん?俺の体がどうしたって?」
「溶けて!溶けてます!」
「ハハハ、何言っちゃてんのよアリス君
俺の体が溶けるな・・・・・・
ギャァァァァァァァァァァァ
うお、とけ・・と・・・溶けてるぅ」
「太陽光です!」
「ちきしょぉぉぉぉぉぉぉ」
俺は叫びながら迷宮の入り口にダイブ。
ありったけの魔力で強化し飛んだ。
「はぁっはぁっはぁっ
なんだよ!
なんなんだよコレ!」
「アンデツトって日の光は駄目なのでは・・・?」
「え~、まじかよおぉぉぉぉおおおぉおおぉおぉぉぉぉぉ」
俺は骨男。
太陽光に弱い男だ。
実留君、強くなりましたが虚弱です。




