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ありがとうございます。
皆様、こんにちはアリスです。
骸骨を目の前で見たことがありますか?
意外と気持ち悪いですよね!
深く黒い眼窩は怖いですし。
あっ、でも中は暖かくて居心地は良いんですよ。
キャタピランドを何とか倒したものの
右手も武器も防具も壊れたので
一旦、部屋に戻る事にする。
念の為、キャタピランドとショートソード
スモールシールドは収納しておいた。
「いやぁ、それにしても弱くなったなぁ」
「そうですね、犬族に比べて能力値はかなり落ちてるみたいですね」
「まぁ、ポイント違うしな
他のスケルトンと比べてみたいけど
仲良くしてくれるかなぁ」
「それ以前にスケルトンと仲良く出来るものなんですか?」
「種族的には同じだから大丈夫じゃない?」
「う~ん、スケルトン同志で仲良くするイメージって
全然わかないんですが・・・」
「そう言われればスケルトン同志以外でも
スケルトンが誰かと仲良くしてるって無いな」
「所詮はアンデットですしね」
「アリサさんそれは酷い言い様だよ!」
そうは言ってもこのままの弱さでは
迷宮で生きていくのは大変だろう。
自分は何が出来るのか?
自分は何が出来ないのか?
今の立ち位置を理解し
自分自身を把握する。
そうする事により何をすれば良いのか?
何をしなくてはいけないのか?
それが分るから行動が出来るようになり
周囲と上手くやっていけるようになる。
これはどんな社会でも生き残るには必要な事だ。
寧ろコレが出来てない奴が社会では脱落していく。
自然界でも迷宮でもきっと通じるはずだ。
把握し理解する。
手持ちのカードは何だ?
迷宮と言う場に通じるカードを探す事からはじめる。
まずは体の仕組みを調べてみる。
体を動かすには何かのエネルギーが必要だ。
それはこの体でも同じ。
≪スケルトン≫の説明を読むと
魔力が集まりって言葉がある。
多分、材料的には誰かの骨なんだろうけど
それが動くようになってるのは魔力が働いてるんだろう。
筋肉も筋も無いのに関節が動くのも謎だしな。
視力や聴力についても同じことが言える。
これらは肉体が無いのに視たり聞いたりが出来る。
これも魔力が働いている証拠だろう。
転生した直後に何も視えなかったのは
意識をしていなかったからだ。
一旦、意識をしてしまえば魔力回路らしきものが
出来るので無意識でも機能するらしい。
これは≪魔力感知≫で調べた結果だ。
体の動きも一緒で意識をすればスムーズに動くが
無意識だとカクカク感が出る。
慣れれば慣れる程、無意識でも動きがスムーズになっていく。
そこらへんは普通の肉体と同じ感覚で良いと思う。
そこから時間を掛けて体を使う事を学んだ。
ゆっくりだが確実に細部まで意識して動かしていく。
段々と動きがスムーズになってくる。
普通の体と違って一度でも上手く動かせれば
それが通常の動作になるという点は有り難い。
今よりも少し上手く、次は更に上手く。
そうやって少しづつ精度を上げた。
疲れない体には感謝した。
飽きるまでずっと体を動かし続ける。
次に考えたのは視力や聴力の仕組みだ。
視よう、聞こうを意識すると魔力回路が生成され
それによって視力や聴力が発生する。
言いかえればこれは魔法だ。
俺は以前にブタ子が言っていた言葉を思い出す。
「魔法とは世間に変化をもたらす事象を
人為的に起こす事となります
確信をもって意思の力で
世界の理を変化させるんです」
つまりは俺の中では視る事は当たり前だ。
それが魔力回路として生成され視力を生み出した。
考えを更に進めてみる。
魔法で視えているなら魔法を強化すれば良い。
体がスムーズに動けるように
視力や聴力を強化するには
魔力回路を強化すれば良い。
そう意識すると視界が明るくなる。
もっと遠くが視えるように。
もっと鮮明に視えるように。
もっと!もっと!
機能強化は全身に及んだ。
視力が強化出来るなら魔力で動く体も強化出来るはず。
力を強くし、動きを速くし、強度を上げる。
少しづつ少しづつ慣れていく。
体を動かし機能強化を続けていると
肉体的な疲れとは別の倦怠感が出てくる。
≪魔力感知≫で調べると
体内の魔力が減ってきた事の影響のようだ。
限界を探るべく作業を続行する。
段々と意識が怪しくなってくると同時に
体が動かなくなってくる。
それでも続けていると。
ポト。
右手首が落ちた。
「ぎゃーーーーーーす」
魔力が無くなると体の維持が出来ないようだ。
慌てて身体維持以外の全魔力回路をカット。
視力も聴力もカットし回復に回す。
流石に枯渇するぐらい追い込む勇気はない。
ガクブルしながら左手で
手首をくっつけてたら治った。
危ないぜ。
すげぇ心臓がドキドキする。
心臓ないけどね。
不安なんでそのままじっとしてたら
キャタピランドとの戦いで壊れていた部分も治った。
この体も治るんだ!
魔力で代謝でもしてんのか?
ここも検証する必要があるな。
幸いな事に今の体は睡眠も食事も必要ないようだ。
それでも空腹感も眠気も感じる。
そこまで強い感覚ではないので無視は出来る。
これは転生が原因なんだろうとは思う。
以前の感覚を思い出しているんじゃないかとは思うが
何時かはどうにかしたい。
無視できるとは言っても思い出すと結構辛いんだ。
部屋から出ずに訓練を続けた。
動きの最適化を求め。
魔力を限界まで使い機能を強化していく。
時間感覚がわからない迷宮で
訓練と休憩を交互に繰り返し
ストイックに追い詰めていった。
皮膚と言うか骨は固くなった。
筋力と言うか力強くはなった。
動きも素早くなり5感も鋭くなった。
ピローン
> スキル≪身体操作≫を手に入れました。
> スキル≪骨硬化≫を手に入れました。
> スキル≪視力≫を手に入れました。
> スキル≪聴力≫を手に入れました。
> スキル≪感覚強化≫を手に入れました。
成程、以前よりもスキルは習得しやすいようだ。
試しに全て発動すると明らかに各種能力値が
上昇するのがわかる。
力が漲り、湧き上がる活力。
「うおぉ、力が溢れてくる」
ストイックに訓練をしていたので
スキルの効果に心が躍る。
「ヒャッハー、これで無双だぁぁぁぁ
キャタピランドが何ぼのもんじゃーーーーい」
「実留さ~ん、戻ってきて~」
あまりの高揚感に部屋を出て実戦をしたくなる。
アリスが止めた様な気もするが
俺はキャタピランドを探しに行った。
骨 覚醒




