7-17
こんにちわ森山実留です。
最近、十数年ぶりに恩師や旧知の友人に再開しました。
まるで昔の事がつい先日の事にように感じられます・・・・・。
実際の所、自分の体感時間だとそんなもんなんですけどね。
☆
ゼノーヴァとの戦闘は初手から押されていた。
以前と変わらぬ、いや更に熱くなった凄まじく荒れ狂う暴風雨のような攻撃が俺を襲う。
上下左右と言わずどんな角度からも大剣が襲い掛かってくる。
そしてその剣筋や体捌きは別人と言って良い程に洗練され無駄がない。
そこに格段に上がった身体能力と来れば恐るべき戦闘能力となる。
ルエラ(本体)に作られたこの体は汎用品に近く
耐久力と魔力に秀でて他はそれほど高性能とは言えないらしい。
だがそれは裏迷宮基準であってこっちの表世界じゃ反則に近いレベルの身体能力だ。
スキルは無くとも今迄の経験もある。
それなのに防戦一方になるゼノの恐ろしさだ。
ルエラやロージーからすれば能力を使いきれていないだけの未熟者と言われるが
元一般人にそんなレベルを求められても仕方がないとは思う。
「ハハ、俺の攻撃を捌くかよ」
「何とかね」
「そういや、ミノルだとすると近接はそこまでじゃなかったな
得意なのはちょいと距離があった方だったか」
「まぁそっちの方が得意ではあるけどね」
「このまま戦い続けるのも面白いがぁ
それじゃぁちっと面白味には掛けるってもんだよな」
そう言うとゼノは切り結ぶのを止めて距離を取った。
こっちの得意分野で戦おうって事か。
「んじゃ改めてこっちから行かせて貰うよ」
「おう、どんと来い」
ゼノは大剣を正眼に構え俺の出方を待つ構えのようだ。
「んじゃぁ思いっきり行くけど問題ないか?」
「あぁ、お前の、ミノルの力を見せて見ろ!」
ゼノの口元はニヒルに笑い楽しんでいるようだ。
・・・・つうかゼノも俺が本人だって疑ってる感じはしないな。
なんにせよとりあえあずぶっ放す!
使うのは勿論、ルエラから貰った魔法でそれをカスタマイズする。
目標はゼノーヴァで威力と範囲は多少落とすが後はそのままだ。
瞬時に構築された術式に練り上げた魔力を通し稼働可能状態にし魔法名を宣言する。
「"天剣ノ舞"」
発動と共にゼノの足元に幾何学模様の魔法陣が広がり空間毎ゼノを固定し更に半球の結界に閉じ込める。
内部に充満した物理的現象すら起こせそうな濃密な魔力に極度まで圧縮した極小の魔力が反応し
強烈な反応と共に極大爆発を起こし結界内部の者を「ゴラァッ!!」
「はぁ?」
ルエア謹製の魔法で作られた結界は真っ二つに切断されていた。
"中"から大剣を構えた無傷のゼノが現れる。
「いやいや、身体も固定したし結界もあったんだけど?」
「この装備が無かったら危なかったけどな
・・・・つうか"魔弾"じゃねえのかよ?中距離の射撃戦から変わったのか?」
「アレは・・・今は使えない・・・・」
「ハハ、それで通じるとは本当にミノルなんだな
感覚で分かっていたけどマジだとはビックリだぜ」
「聞いているんだろ?転生の事とかも」
「ある程度は聞かせて貰ってると思ってはいるがな
まさか牛からそんなヒョロ長い奴になっちまうとはな」
「色々とあったんだよ・・・色々とな
それでどうする?確認も取れたんだしこれで終わりでも良いんじゃないか?」
「それでも良いんだけどよ
やっぱりそれじゃちっと面白味に欠けるってもんだぜ」
そう言うとゼノは大剣の切っ先を俺に向ける。
「"3型試作魔導剣銃"魔力炉限定解放!」
ゼノの言葉と共に大剣から濃密な力の気配が漂いだす。
「ミノルならもう分ってると思うが後ろに居る女はリノンだ
この剣は例の武器の発展系と言うか別系統の試作品でよ
ちっと本気で行くが死ぬなよ」
爆発音のような踏込みの音と共にゼノが一気に距離を詰め大上段に大剣を振り下ろしてくるのを下から迎撃する。
ゼノの筋力と武器の重量を考慮すると下策だとは思うが体内に魔力を循環させ全力を出した俺の筋力は尋常じゃない。
武器重量の差を圧倒的な速度でカバーする。
ガキンと鈍い音と共に武器が触れ合った瞬間に強烈な衝撃が俺を襲い吹き飛ばされた。
「ッツ!なんだよ今の」
「ハハ、コイツを喰らって無事ってスゲェな」
「その剣の能力か?」
「簡単に言えば魔力波を射出して爆発させるって奴だ」
「それで剣銃って訳か」
「他にも相手の魔力を流用して反撃するとか色々とあるんだが簡単に言えばな
それに安心しろ・・・・・・・前のもちゃんと進化してるってな」
ゼノは腰の後ろから銃らしき物を取り出し俺に向ける。
「さぁ、楽しもうぜ」
単純に戦えるのが嬉しいと言った笑みを浮かべながら引き金を引きやがった。
~
闘いは1時間ほど続き・・・・・・引き分けた。
元々が耐久性能に長け高魔力で持久型の身体だ。
ルエラから入手した魔法も守備よりが多く、ゼノの苛烈な攻撃でも容易に突破は出来ない。
ゼノも攻撃に特化してるが守りが苦手な訳でも無く戦闘技術は俺の遥か上だ。
お互いに本気で相手を殺す気だったら話は別だが俺もゼノもそこまで本気を出した訳でもない。
ここは俺の決定打不足が目立った感じになる。
~
「あの武器も面白いがゼノってのは本人も強いね
本気を出したら今の私じゃ防ぎきれないかもしれないな
彼は魔王に届きうる存在だ」
終始、楽しそうに見学していたロージーはゼノをそう評価した。
最初は危険かと思い気を張っていたがゼノに敵意は無かったので安心したそうだ。
「そういや本人も勇者と魔王を倒すのが目的って言ってたな」
「ほう、それは面白い
戦う時には元に戻りたいモノだ」
「え?そんな感じでいいの?」
「確かに以前であれば問題にはなったかもしれないけど
前にも言ったけど魔王としての役割は終わったようなものだしね
それになに・・・・終わりある命と言うのも良いモノだと最近は思うんだ」
「唐突に重い話をぶっこんで来るなよ」
「ふふ、まぁ自ら死にたい訳でもないけどね
さて、今日はこのまま部屋で寝るだけだ
明日は朝から動くと言うし今日はもう休もうか」
何処か楽しそうにそして寂しそうに笑うとロージーはさっさと戻っていった。
ここまで辿り着いたと思ったら急に戦う事になって相手はゼノ。
リオンは居たけど話せなかったけど出迎えてくれたのはディズだしなぁ。
明日は朝から色々と動いて貰うって言われたけど正直どうなることやら。
危険はないとの事だけどな。
考えていても仕方がない。
ロージーが残した酒を少しだけ飲んで俺も寝るとしよう。
「美味いけどすげぇ強い酒だな」
~
翌日は随分とスッキリした寝覚めだ。
どうも此処には休息時の効果を高め心を落ち着かせる効果が付加されているらしい。
基本的にここの闘技場が使われるのが式典等の催し物か何かしらの意図があっての戦いだ。
そういった効果があるのも頷ける。
運ばれてきた朝食を食べた後は身嗜みを整えた。
武具の携帯は認められず服も向こうの用意した物だ。
シンプルで動きやすいが相当に上質な服で丁寧な扱いをされているのが分かる。
「この国の王に会うのだろ?
今更だけど私も同席しても良いのかね?」
「部屋もご飯も服も用意してくれてるんだから良いんじゃない?
来ちゃダメとも言われて無いしさ」
「元魔王の身が他国の王に謁見とは自分で言うのも何だか不味いだろ」
「元魔王なら良いんじゃない?今は別なんだし」
「だが元に戻れば知識や経験は統合されるんだぞ
僅かな城の構造だけでもどれだけ不利になると思う?」
「そうは言っても相手はロージーが元魔王だとは知らないんだし」
「それはそうなんだが・・・・」
「ロージーってアレだよね、魔王なんてやってた割には
そこら辺が生真面目と言うか不義理な事が嫌いだよね」
赤くなって怒鳴るロージーが面白い。
冷酷で圧倒的な強さを誇示し他者を威圧する魔王。
明るく笑い人懐っこいロージー。
どっちが本当の姿なんだろうな。
とりあえず肩を叩かないで欲しい、凄く痛いから。
~
「ミノルで・・・・いいのかな?」
人気が払われた謁見の間には王座に座るミガ・バリリア、いやミガ・パーセラム国王が居る。
少し歳を取ったように見えるが神の加護のお陰か未だに若々しい。
それどころか以前よりも肉体は鍛えられ更に強さを増しているようにも見える。
研ぎ澄まされた刀のようなキリキリとした圧力を感じるような存在感も以前には無かった。
後ろにはゼノ、リノン、ディズが控えているのは護衛と言う立場だろう。
ララの姿が見えないが今は一緒じゃないんだろうか。
「ひさしぶりでございます陛下
身体が変わりましたが実留です」
「ブゥ、アハハ、アハハハハハハ
お、お前、なんだ?その喋り方は?」
「いや・・・・流石に王様には・・・」
「そんな事を気にする玉か、お前が
確かに普段なら無礼を働けば問題ではあるが
今日は非公式な上に人払いもしているんだ、気にするな」
「ふぅー、それならそれで良いけど・・・・・ミガ、久しぶり
俺の外見が変わってても気にならないんだな」
「なに、お前が居なくなってから外見と中身が釣り合わない者と知り合ってな
少しばかり馴れただけで驚いてないわけじゃない
なによりも完全に死んだ者が戻ってくるなんて普通じゃないからな
聞いてはいたが見るまではやはり信じれなかったぞ
実際に見ると・・・・・まぁミノルだなとは感じるな」
「そう言われるのも無理はないさ
今回は前にした約束を守って貰いに来た」
「あぁ、忘れてないさ
その為にこっちもミノルを探していたんだからな」
「探してたって例の変な機械ね!」
「それも含めて話したい事は色々とあるがそれは後回しにしようか
今日の夜にでも時間を取ろう
あの後、この国がどうなったかなんかも聞きたいだろう?」
「それは勿論」
「話したい事も聞きたい事もお互いに沢山あるんだ
後でじっくりと話すとしよう
その前にミノルに紹介したい方が居るんだ」
「俺に紹介?知ってる人か?」
「それは返答に困る質問だな
私が知っている範囲では知っていると言えるがな
ミノルの目的に沿うかはわからんが知合って損はない人物だ
先方も是非ともと言っているしな」
ミガが合図をすると俺の右手の扉が開き人が出てきた。
「よぉ、久しぶり・・・・って俺の事覚えてんのかぁ?」
前王のセンドゥールだ。
相変わらず飄々とした態度で神の加護により老化も遅いようだが少し老けた気もする。
だが鍛え抜かれた身体と覇気は聊かも衰えてないように思える。
「あぁ、俺が圧倒的にボロボロにして殺しかけたセンドゥールか
処刑されてなかったんだな」
「お前っ!それは言わないのが男の心意気って奴だろうが!
・・・・・って本物かよ」
「会わせたいってのはセンドゥールなのか?」
「いや、俺はただの護衛だ
会いたいって言ってんのは後ろの奴だ
おい、良いぜ!出て来な」
自分の事を護衛と言ったセンドゥールが出てきて安全を確認したって感じなのか。
合図と共に出てきたのは車椅子に乗った白髪の少年だ。
第一印象は髪の白さも相まって真っ白って感じだが肌も生気を感じ無い位に白く細身だ。
人族の少年・・・・10歳程度に見えるがどうなんだろうか。
そしてそれを押すのは妖艶な美貌でニッコリと微笑みつつ妙に熱い視線を投げてくるララだ。
となると会いたいと言うのはこの少年の事なんだろうか。
少年はミガに軽く頭を下げるとミガもそれに応じる。
一国の王にそれで済むのだから他国の迎賓か何かなのかな。
「初めまして・・・・ミノル君で良いのかな?
君の事は以前から知っていてね
随分前から会いたいと思っていたんだよ」
白髪の少年は俺をジッとみると少し微笑みのまま話しかけてきた。
友好的な態度ではあるが誰なんだ?
「初めまして・・・・・その、何方様でしょうか?」
「あぁ、すまない
どうも興味をそそられる対象が近くにいるとね
年甲斐も無く浮ついてしまうね
僕の名前はドパール、ドパール・レイアッシュ
この世界ではドパール卿と言った方が分り易いかな」




