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7-7

間に合って・・・・・ないですね。

本当申し訳ない。

迷宮内で大規模の魔法をぶっ放す事になった森山実留です。

大丈夫なんですかね・・・・いや、本当に大丈夫なんですかね?!



 ☆



「・・・・・・ねぇ、本当にコレ大丈夫なの?」


「・・・・・・うむ、我も予想外だ・・・調整したとは言え閉鎖空間での威力が此処までとはな」


目の前には崖崩れの方がまだマシってレベルの崩壊した迷宮があった。

一応最下層のハズだが地面は大きく深く抉れていて底が見えず

上層も幾つかぶち抜いたようなのだが天井も見えない。


遠くの方に幾つかほんのりと僅かな光が見えるのは安全地帯なのだろうか。

何も無い空中にプカリと浮かんでたりする。

念の為、足元や天井に向けて魔法で光を飛ばしてみるも何も見えない。

俺のボキャブラリーでは闇としか表現できない空間が広がっていた。


他から見たら俺達の居た安全圏も同じだろうう。

守られては居たが結構ギリギリだったんじゃないだろうか。

あぶねぇ・・・。


「これどうなるの?」


「迷宮の機能で復旧が行われる・・・ハズだ」


「ハズって・・・」


「ここまで迷宮が破壊される事なんて想定していないからな」


「それにしてもこの崩壊具合っておかしくない?

 迷宮の壁や構造って物凄く耐久性あるでしょ」


「これも憶測ではあるが神の力によるモノだろうな

 我らが持つ属性に充満していた神の力が過剰に反応したと言った所だろう

 元が高威力の魔法を更に限界まで圧縮して放ったのだ、起爆剤としては十分過ぎたのだろうな

 我にも予想が出来ぬとは面白き事よ」


ルエラはケラケラと笑うが目の前の光景を見ると楽しいとは思えない。

少なくとも広間の魔物が数百匹に迷宮ボスが消滅した上に

崩落した階層分も含めるとどれ位の被害か想像も出来ない。


更に言うなれば此処は最下層だと思うので抉れた地面は最下層よりも下って事だし。

地盤とかどうなってるのかね?そこも迷宮の範疇なのだろうか?

絶対にこの闇には落ちたくないな。


「なに、人の出入りが無かったと言う事は外部からの供給も無く通常エネルギーはさほど貯まってないだろう

 迷宮機能が動き出せば神の力も相当消費され少しは正常化されるだろうさ」


「それでどれ位で復旧するの?」


「う、うむ

 それは迷宮によるとしか言えんな」


「まさか・・・・修復が始まらないなんて事はないよね?」


「我が創造主が作った迷宮だ

 そんな事はあるまい」


「ねぇ、目が泳いでるけど大丈夫?」


「だ、大丈夫に決まっているであろうっ!」


なんだかモヤモヤするが現状で打てる手立てはない。

数階層単位で破壊された迷宮がどうなってるかもわからないしな。

魔法で浮かんで上層を目指しても目視出来ない階層の壁があったりしたら目も当てれない。


ルエラが大丈夫だと言っているんだから少し待ってみよう。


「んじゃ通路に戻ろうか

 あそこなら寝るスペースもあるし」


「一度、修復が始まれば時間は掛るまいよ」


「じゃぁ少しの間、休憩と道具の手入れだね」


「うむ」


慌てようが何しようが待つしかないなら待つだけだ。

簡易的な寝床とトイレを用意して持久戦の支度をする。

食材も飲料も大量にあるし最悪でも転送の魔法陣は無事なので戻れば良い。


まずは豪勢な食事と行こうか。


 ~


「うーん・・・・コレは一体何が起きてるんだ?」


迷宮内では考えれないような豪勢な食事を食べて寝て起きたら扉の外の世界が変わっていた。

俺達の目の前では迷宮素材と思われる

様々な物が入り混じった何かがウニウニと蠢いている。


「崩落範囲が大きかった故に

 修復機能ではなく生成機能が稼働したのだろうな」


「迷宮ってこうやって作られるの?

 もっとブロック的なモノでガシッ!バシッ!って作られるイメージだったよ」


生物の臓腑か虫の大群を想像するような光景だ。

見ているとクラクラしてくる。


「大丈夫か?大量に神の力が消費されているのだ

 中てられてもおかしくないぞ」


「この症状はそうなのかな?

 気持ち悪いからちょっと奥に引っ込んでるよ」


「そうするが良い

 我が見ておくから何かあれば伝えに行こう」


「ごめん、頼んだ」


ルエラに後を頼み俺は部屋と言うか通路に引っ込む。

数日で落ち着くだろうとの事なので何かやって時間を潰そう。

適当に保存食でも作っておくかなー。


 ~


それからは俺は室内で食事や道具を作ったり荷物の整理したり

時折、ルエラの様子を見に行ってクラクラしてみたりした。


ルエラは様子を見ている間、ずっと動かずにいた。

どうも神の力を吸収と言うか適応しているそうだ。

ルエラの源となっている女神の力を浴びる事により親和性を僅かでも上げるのが目的だ。


それを聞いて俺も休みつつ時間を置いては覗きに行く事にした。

これで体の調子やら出力やらが上がれば良いんだろうけど


俺の場合はそう簡単な話じゃないらしい。


身体の作り自体はルエラと同系統なので同じ方法で

女神の力に馴染めば少しは肉体性能も向上するんじゃなかろうかと思ったが

俺の中身である魂は別の世界から来たのでルエラと全てが同じって訳じゃない。

女神の力の残滓とやらが影響しているようだが完全に橋渡しをしてくれるものでもないようだ。


身体と魂が馴染みきってない状態って事でもあるそうだ。

前にも似たような事があったけど≪肉体同調≫があれば解決したのだろうか。

スキル自体が別の神の力だから無理なのかね?


何にしても時間はあるんだから馴染ませてみるのもいいだろう。

どうせやる事も大して無いんだ、身体側のレベルアップを図るのも良いさ。

ルエラも悪影響は無いだろうって事だったし。


 ~


それから10日間程で迷宮は修復、もとい再作成された。

最後の方には俺も少しは耐性が出来たと言うか馴染んだようで

フラつく事は減ったが完全に無くなりはしなかった。

心持ち身体のキレと扱える魔力が増えたような気がするが気のせいな気もする。

何もしないでボーっとしただけなんで良しとするか。


「それで・・・・・あの・・・・どうする?」


「どうするも・・・・何とかするしかあるまい」


「何とかって・・・どうする・・・の?」


迷宮の修復が終わり俺達を出迎えたのは迷宮ボスである管理天使だ。

大広間の中央部分に浮かんでずっと俺達を見てるんだ。


「迷宮ボスって範囲内に入らなければ反応しないハズだよね」


「うむ」


「でもめっちゃ見てるよね?」


「うむ」


「絶対に俺達を認識してるよね」


「うむ、そのようだな」


「どういう事?」


「我にもわからん

 だが攻撃をしてくるような意志は感じられんが」


「だよねぇ

 言葉が通じると思う?」


「通常の状態であればアレは高位の者だ

 知性もあり言葉は通じるとは思うが

 会話が出来る状態かは不明だな」


迷宮が復活したと言えども構造は変わらないので

俺達が地上を目指すには迷宮ボスが居る大広間を通るしかない。

転送陣が起動すれば良かったんだがそこまで都合よくなかった。

ボスを認識外から倒したのがイケなかったのか迷宮を崩壊させたのが不味かったのか。


検討した結果、俺が迷宮ボスの天使族に話しかけルエラがバックアップする事となった。

ルエラがバックアップなのは単純に戦闘力の違いってだけだ。

何かあれルエラなら対応して貰えるしな。


意を決して反応エリアに踏み込む。


「歓迎しよう我が女神と大元を同じにする者達よ」


その瞬間に迷宮ボスが反応する。

やはり設定された範囲に入らないと向こうは行動がとれないようだ。


「話が通じる?

 戦わなくて良いの?」


「状態が初期化され現在は通常思考をしているとシステムは判断している

 戦闘については復旧作業の隙間をぬって守護システムの一部を停止し

 情報登録を行い回避してある」


「つまり俺達は敵対行動を取られない?」


「その認識で正しい」


「なら良いんだけどどうして?

 迷宮側としては排除するのが目的じゃないの?」


「正確には排除ではなく試練を課すのが目的だ」


「その試練とやらを突破した者が行く所から出てきたから

 改めて戦う必要はないと?」


「肯定する

 登録情報が無かったのでシステム復旧の際に潜り込ませた」


「何か目的がありそうだね?」


「残された記録を走査し私の前身が異常を来していたのは理解した

 何故そうなったかの情報が欲しい」


「えーと、女神の力が濃密になり過ぎていたんじゃないかって思うんだけど

 それについては?」


「記録された情報から状況は間違いないとみて良いだろうが

 そうなった原因は不明」


状況は記録されているけど何故そうなったかは分らないって事か。


「それは俺も分らないんだ

 ルエラはどう?」


「我も表に出るのは初めて故、何とも言えぬな

 この迷宮の情報と存在位置は分るか?」


「管理迷宮の1つであるイ・フーリ、位置はヘリス大陸の北西部

 現在の呼称は不明、長期に渡って名称等の記録の改変、追加は記録されていない」


「この迷宮に訪れた者はどの程度いる?

 最後に来たのは何時だ?」


「来訪は百年単位で記録されていない」


「やはりそうか・・・・

 我の迷宮以前に此方にも訪れる者が居ないのか」


「迷宮の状況は記録されてるんだよね?

 情報共有する事は可能?」


「が閲覧は可能だが

 一部の情報が欠落している為、信憑性は保証できない」


「迷宮に蓄えられた情報が精査するしかあるまい」


「だね」


長期戦になるのは間違いないので大広間に臨時の拠点を移した。

と言っても荷物を広げて寝床を作るだけなんだけどね。

迷宮ボスは睡眠も食事も必要としないようだけど俺達には必要だからな。


今回の事は俺にとっては別世界の事なのでどうでも良いと言えば良いのだが

ルエラにとっては大問題だ。

迷宮ボスと一緒にアレコレと原因を探っていく。


相変わらず俺は食事の用意や戦闘訓練だ。

相手は迷宮ボスが用意してくれたし、たまには迷宮ボスが相手をしてくれる事もあった。


対戦相手は迷宮の最下層の奴らが相手で単独だと勝てなかった。

全体的に裏の迷宮よりも弱いが流石は最下層エリアに生息するだけあって強烈な強さだ。

しかも裏迷宮の管理者特典が外れたので相手は全力だしな。

ボコボコにされただけあって守りはメキメキと上達したけどね。


迷宮ボスでさえ守りに徹すれば少しは持ちこたえる程度には成長できた。

結果としてはボロ負けだけどさ。


そんなこんなで半月も過ぎた頃にルエラが仮説を導き出した。

数百年に及ぶ記録されている全ての情報を整理し

迷宮の状況と照らし合わせたって事になる。

全く凄い奴だ。


「仮説は立てた、ほぼ間違いないだろうがな」


「何かわかった?」


「結論から言えば迷宮の異変はエネルギーの循環が原因だ」


「なんだっけ、上手く回ってないと駄目なんだっけ」


「いや、記録上では上手く回っている

 それも恐ろしいまでの正確さでだ」


「それが不味いの?」


「現場を見ないと断言出来ぬが

 記録が改竄されている可能性が高い」


「実際には正しく循環されてないって事?」


「そうだな

 疑わしい場所は迷宮の入り口だ」


「それって迷宮のシステムにも介入してるって事だよね?」


「うむ、そう見て良いだろう」


「神が作った迷宮に介入出来るなんて神だけなんじゃ?」


「改竄が行われているとなると神が関わっているのは間違いないだろう」


「ここって世界を作った創造神の手による迷宮でしょ?

 そんな所に手をせる神って居るもんなの?」


「我も神々については詳しくはないがラカリスティン様と言えど

 得手不得手はある、そしてそれは他の神にも言える事だ

 位が下と言えども得意な神を束ねれば上位の神にも手が届くだろうしな

 もっとも作り換えれる程ではなく誤魔化す程度しか出来なかったようではあるがな」


「それってどういう事?」


「この迷宮はが外部より封印されていると見て良いだろう」


「え?それって封じ込められてるって事?」


「そうなるのだろうな」


また出れないのかよー!

感想ありがとうございます。

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