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7-3

遅れました

おはようございます。

森山実留です。

目が覚めたら全裸にマント姿の美人女性が居ました。

寝起きドッキリですかね?



 ☆



「外に出れるかも・・・・?

 って言うかどなたでしょうか?」


美人女性はキョトンとした顔をする。


「あ、あぁ、すまんな

 また興奮してしまったようだ

 我だ、ルエラだ」


「は?」


「うむ、我もあれから色々と考えてな

 ミノルの体は我が作り出した物ではあるが

 魂は外部から来た、つまりは迷宮外で作られたモノと言って良い

 ならば空間を遮る結界も出れるのではないかとな

 体は迷宮内の物を持ち帰る事が出来るのと一緒だ」


「ちょ、ちょっと落ち着いて!

 その姿は?」


「うむ、外に出る為に知識の中の人間と

 ミノルの記憶に中にある人間の姿を元に作ったのだ

 特に印象深く残っている人物を選んで複合してある

 ミノルの好みだと思うのだがどうだろうか?」


確かにじっくりと見ると見たことある様な顔で

俺のストライクゾーンにドンピシャだ。

・・・・・はて?何か懐かしいような胸に来るような印象だが

特に思い当たる人物は出てこないな。


いや!そういう事じゃ無くて!


「落ち着いて!落ち着いてちゃんと説明して!

 つうか人の記憶を読むなよ」


「う・・・うむ、すまぬ

 だが記憶の読み込みはミノルの体が我の本体と

 繋がっているので勝手に流れてきてしまうのだ

 最適化が終わった今はもう読もうと思っても読めないが」


「そう言う事は俺の確認をとってからやってくれ」


「どうも初めての事続きで興奮してしまって

 自制と言うのが欠けているのは自覚している

 この体も新鮮な感覚ばかりで・・ついな」


「もういいよ、わかったから落ち着いて話をしよう

 まずは落ち着いて食事でもしよう・・・その体は食事は出来るの?」


「基本的には人間と同じ作りだ

 食事も必要だし排泄も定期的に行わねばならん」


「その外見で排泄とか言うなよ

 つうか服を着てくれ」


「このままでは駄目なのか?

 身体を隠すような物がコレぐらいしか無かったのだ

 武具だと違うだろうし他は大きさが合わなくてな」


「俺の服を作れるんだから着る物ぐらい作れるでしょうが

 そんな変なマントはやめてそっちにしな」


「う・・・うむ、ミノルが言うのであればそうしよう

 変だとは言うがコレも創造主に頂いた神器なのではあるが・・・駄目なのか・・・」


「神器をガウン代わりにするんじゃない!」


ショボくれるルエラにとりあえず服を作らせに行かせてる内にご飯の用意をする。

前回で謎食材の方向性が何となくわかったのでまた少しマシになったハズだ。

因みにガウン、じゃなくてマントは最高品質の神器で

あらゆる外的要因から装着者を守り快適な環境にすると言うトンデモ性能だった。


 ~


「コレが食事と言うモノか・・・・

 何というか不思議な感覚だな

 人間はコレを美味しいと感じるのか?」


「いや、ギリギリで食えるがクソ不味いって所かな

 食材も謎だし調味料も無いしね

 まぁ我慢すれば食えなくもないってレベルだと思う

 最初に出されたのはコレ以下だったよ」


「そうなのか?

 コレ等は我の迷宮でも下層の竜種の肉等なのだが役不足か・・・・」


「ブフゥッ!」


何て物があるんだよ!

ってよく考えたらここま迷宮の最深部なんだしワザワザ表層の食材を入手する訳もないか。

となるとこの謎植物も高レベル品で間違いないよな。

調味料が無いってのと後は俺の腕か・・・スキルも称号も無い状態だし。

料理の腕が素材に追い付いてないからマトモな料理にならないってのかね。


「調味料を入手すれば美味いと感じれる物が食べられる訳だな

 用意はさせているが頼まれていた物と同じ物は無くてな・・・・

 これでますます此処を出たくなったな」


そうは言いつつ美味しいとは御世辞にも言えない物を

モグモグガツガツと食べ続けるルエラ。

塩だけでもあれば良いんだけどな。

塩味の調味料はあったんだけど人間には毒物にしかならないって言われたし。


「そう!それそれ!

 何か方法を思いついたんでしょ?

 あとその体もどうしたのさ?」


「ング・・・それは・・・モグ・・・だな・・・」


「食べながら話さない」


「んぐ?あぁ、すまんな

 それは人間の決まり事なのか?」


「どちらかと言うとモラルの問題かな

 人と付き合うため相手の気分を害さない為の暗黙のルールと言うかね

 食事中の会話は良いけど口に入れたまま話さないとか色々とさ」


「我が持つ知識にはない内容だな

 ふふ・・・新しく知識が増えると言うのは歓喜を感じるな

 今後も色々と教えて欲しい

 聞きたい事はこの体と外に出れるかもしれない方法についてだな?」


「あぁ」


「まず先に出れる可能性があると言ったのはミノルの存在だ

 先程も言った通りこの迷宮で生まれた者は我を含めて結界で外には出れない

 だが外から訪れた者が迷宮内の物を持ち帰る事は可能だ」


「俺は迷宮で生まれた訳ではないから結界を通れる可能性があると」


「そうだ

 転送陣を通ってない為に位置情報の記録が無いのが問題ではあるが

 幾つかの転送場所の何処かには辿り着けることが出来かもしれぬ」


「そうなるとルエラは?

 その体も迷宮産だろうけど中身はどうなの?」


「身体は人間をベースに我に合せて調整しているが

 構造はミノルと大きな差はない、問題は中身だ

 意識の一部を定着させる際にミノルを媒介として利用し情報を改編した」


「よくわかんないけど簡単に言うと?」


「我の創造主をミノルとした

 つまり我はミノルの持ち物か従者や使い魔と言った扱いのハズだ」


「え?そんな事が出来るの?」


「ラカリスティン様の残滓を辿って何とかではあるがな

 最適化中で魂の定着が不安定で何とか接続できる状態でしか出来なかったのだ

 これが事後報告になってしまった理由でもある」


「聞くだけで無茶をしてる気がするんだけど・・・」


「うむ、時間も無かったのでな色々と問題はある」


・能力は本体よりも相当に落ちる程度しか出せない

・情報のフィードバックは出来るが本体から新たに知識を得ることは難しい

・外に出た場合、単独では二度と戻って来れない可能性が高い

・ミノルやルエラ(分身体)の生命活動が停止した場合にお互いと本体に

 どの程度の影響が出るかが不明


細々とした制限やデメリットはあるが大きそうなのはコレぐらいだ。


「滞在中に何とか調整し本体との親和性をあげて

 少しでも能力や情報の制限を解除したいのだがな」


「本体との関係性はどうなるの?

 死んだ場合とか」


「改編を行った以上、この意識が本体の元に戻れるかは不明だ

 今は近くにいるので本体との意思のやり取りは出来るが

 迷宮を出てしまえばそれも難しくなるだろうな

 出来なくはないだろうが条件は限られるだろう」


「つまりは単独の人間って事?」


「そうなるな

 肉体に引きづられて早くも精神に影響が出ているのも確認済だ

 独立した人間の認識で良いだろう

 本体からすれば情報を送ってくる端末としての駒に過ぎんがな」


「直ぐに迷宮を出ていく?」


「この体の能力を確かめねばならぬし

 ミノルもその体に馴れる必要があるだろう

 最適化が終わったと言っても魂が肉体に定着しただけに過ぎん

 それにこの迷宮は我の管理なので襲われはしないが

 転移先の迷宮は最深部エリアからとなるのだぞ

 準備はしておかねば簡単に死ぬと思うが?」


「迷宮を逆戻りするんだもんな・・・そりゃそうか

 俺の体ってどれくらいの強さなの?」


「戦いに特化したモノであればこの迷宮でも問題ないレベルだが

 その体は守護者とは言っても迷宮補修用として作ったのでな

 強さ自体はそうでもなかろう 

 だが過酷な環境での作業や有事の際の守備戦力を想定しているので

 耐久性、回復力、器用さ等は高く設定されている」


「力強さとか魔力は?」


「魔力は高いが筋力等はそこまでではないぞ

 動きもそれほど速くはない」


「それだと魔物相手に対処できないんじゃない?」


「そもそもこの迷宮を管理する側の者なのだ

 襲われる事は想定していないし

 管理から外れた者と遭遇しても最低限の対処は可能だろう

 所謂、使い捨てと言った程度の能力と言えるがな」


「なるほどね

 更に言えばこっちは良いとしても表の迷宮に戻ったら魔物は敵になる

 しかも最下層エリアクラスの魔物って事か」


「その通りだ

 更に言えばこの迷宮に繋がるのは格が高く深層タイプが多い

 その分、魔物共も手強いのは間違いない」


「なんか外に出れる気がしなくなってきたぞ」


「この身とミノルの体は我が作った物よ

 準備さえ怠らなければそう遅れを取る事もあるまいさ」


「そうだと良いんだけどね・・・・」


 ~


準備する事は色々とあった。

何が出来るか出来ないかを確かめ何処まで出来るかどうかを見極める。

それらが想定される迷宮最深部に通じるのかどうか?

足りなければ何をすればいいのか?

装備はどうするのか?食料はどうするのか?

他にも戦力を用意出来ないか?

考えて試してと遣る事は多く忙しい。

知識にしてもルエラ本体と接点がある内に仕入れるだけ仕入れたいしな。


様々な準備と並行して戦闘能力の把握と可能な限りの訓練も行った。

ルエラや戦闘用の僕達や一部の友好的な魔物と戦闘訓練を行う。

この体は随分と動きが良いがやはり肉体的な力強さは周囲に劣るようだ。

比べる対象がルエラやこの迷宮の魔物になってしまうので何とも言えないのではあるけどね。


魔法に関しても教えて貰った所、扱えるようになった。

ただスキルの恩恵も無く構築式を作るのは骨が折れると言うか相当に難儀した。

簡単な式を覚えシンプルな術式ならば俺でも構築に成功したが複雑なのはまだ無理だ。

魔法を使うのってこんなに難しい事なんだなと改めて実感する。


なのでルエラが俺の記憶領域に幾つもの術式を書き込んでくれた。

因みにこの記憶領域と言うのは迷宮管理者が魔法を使う為に用意された

外部記憶媒体のようなものらしい。

そこにある術式をそのまま使っても良いし構築式をアレンジしてもOKだ。

使い勝手が良いモノから応用範囲が広いモノ、切り札的なモノまで幅広く用意してくれた。


食材になりそうな物も調べて吟味し可能な限り用意する。

≪捕食者≫の効果が適用されない今では安心して食べられる物は貴重だ。

体はある程度の毒物等にも耐性はあるそうだけど試してみたいとも思わないし。


後は宝物庫には例のマント以外にも色々な物があった。

中には最高品質の収納鞄もあったので譲って貰った。

容量は莫大で時間経過もほぼ無い小さいウエストポーチ型の1品だ。

指輪や腕輪タイプも容量が大きくはないが予備で幾つか選んだ。

外で買おうとしたらどれだけの金額になるかは考えない方が良いだろう。


「どうせ使う事も使える者もおらんのだ

 我が作った物もあるし大抵の物は迷宮の機能で再作成も可能でもある

 気にせずに持って行くが良い」


そう言ってルエラが大盤振る舞いしてくれたので装備品も同じく宝物庫から拝借した。

重装備にしたいがこれからの事を考えると機動性は確保したい。

となると必然的に軽鎧系の高品質な奴にならざるおえない。

当然と言うべきか宝物庫には最高品質の物しかないんだけど派手な物が多い。

なるべく地味そうで使い勝手が良さそうな物を選んでいく。


俺はメインに短槍をサブに短剣とナイフをチョイス。

防具はこの迷宮の地竜種の皮と迷宮産の魔法金属で作った革鎧一式だ。

見た目は地味だがどれもこれも凶悪なまでの性能を誇る品々だ。

迷宮を最下層から突破するには物が良いに越した事は無い。

管理してる人が良いって言うんだから遠慮なく頂いて行こう。

ありあたやありがたや。


 ~


忙しくバタバタした日々はあっという間に過ぎて準備は整った。

道具も食料も装備も過剰じゃないかと思われる位に用意した。


「ルエラも準備出来た?」


「うむ、問題ない

 我は仮の身に過ぎんが本体と離れるのは聊か不安ではあるな」 


「情報は本体に送られるけど本体への一方通行なんだっけ?」


「そうだ

 我が見て感じ考えた事は全て本体に送られる

 送るとは言うが一方的な共有と言うのが正しいだろうな

 そう考えると我は常に本体に保存されているとも見れる

 もっとも今の意識を含めどのような扱いになるかは分らないがな」


「なるほど

 上手く行けば俺とはまた違う意味での不死と言う訳だ

 俺は次に転生が出来るかわからないけど」


「我の場合は本体が滅べば意味は無い

 ミノルの場合も世界神だと言う神との繋がりが不明なのだ

 この迷宮を出れば何か変わるかもしれんぞ

 何度も言うがこの迷宮は隔離された場所だからな

 我にしてもこの手はもう使えんだろう

 ミノルのような存在が他に居るとも思えん」


「お互いに死んでみないとどうなるかは分らないと」


「そうなるな

 死が身近でもあり遠くもあると言えるか

 我は外の事は分らんが通常の身とは違う者同士だ

 宜しく頼むぞ」


「こっちもこの世界は初めてだし分らない事だらけだよ

 俺は常識や行動をルエラは知識とお互い様だよ」


「まずは表に出れるかが賭けの様なモノではあるがな」


宝物庫からはとびっきりの酒や珍味を出してきて

最後に晩餐をルエラ本体と行った。

本体自体は飲食は出来ないがルエラ分身体からの

フィードバックは受けれるので味覚や酔い等を感じれるんだそうだ。

ルエラ分身体は無言でずっと食事を続けて

俺は本体と話しを続けた。


翌日、俺達は迷宮から脱出を目指して出発した。

申し訳ない

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