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勢いで書いたので

内容が薄いです。

食べ物が美味しくて仕方がないアリスです。

最近はお酒の味も覚えました。

大人の階段を駆け上がっています。

もう空気中の魔力を吸うだけじゃ我慢できません。

この世の美味しい物を食べつくす旅をするのです。

ナビの役目はどうした?

そ・・・・そんな役目も・・・ありましたね。





2週間は色々と準備に使った。

まずは会場の下調べ。

パレードは城の正面から街の大通りを

半時計回りにぐるっと一周するらしい。


その道順を覚え使えそうな場所を探す。

南側の東寄りに1ヶ所、西側に1ヶ所のポイントを見つける。

最初のポイントと西側のポイントでアクションを起こす予定だ。


場所を決めたら連絡手段だ。

二人にしかわからない連絡方法を考える。

まず魔法で声を届かせようとしたが

間違いなく魔法障壁を展開しているであろうから

届かないと思われる。

障壁を突破できるような規模で放てば

ただの攻撃魔法になるので意味がない。


物理的にはどうか?

弓矢を使って手紙を飛ばすのも動揺に

物理障壁を展開しているので無理だろう。

そもそも攻撃されてると対処されるのがオチだ。


パレードを祝う観客に交じっての手渡しも考えたが

日本のようにすぐ間近まで観客がびっしりなんて事はない。

そもそもが王族に接近出来るわけもなく

王族との間に兵士もいるから無理だ。


アリスに伝えてもらう事も考えたが

俺からあまり離れると魔法障壁と物理障壁の両方で

弾かれそうなので期待できない。



そこで逆転の発想になる。

こちらからのアクションが無理なら

向こうから受け取って貰えば良い。


俺と実里だけが分るメッセージにすればいい。



そう日本語だ。



俺は日本語で横断幕か何かを作り飾るだけ

それを実里が読めば良い。

そうすれば他の誰にもわからないし

危険を冒す必要もない。


そうと決まれば早速作り出す。

ブタ子に材料を買ってきてもらい作る。

筆は何とか口で咥えて書いた。

漢字は難しかったが頑張ったぜ。


これを当日に飾って見て貰えばバッチリだ。


飾る場所も良い所を見つけた。

城を出てから少し行くと大通りに出る前に門がある。

そこに色々な幕がかかるとの事だ。

当日はこっそりとそこを使おうと思う。

最悪、通る直前に誰かの上に被せてしまえば良いさ。


よし、準備は万端だ。






ついに当日になった。

城での式典が終わりパレードが始まる。


城門の前は物凄い人だかりだ。


「実留さん凄いですね!

 凄い人ですよ」


「あぁ、どこにこんなに人がいるんだろうと思うよ」


「妹さん気付いてもらえますかね?」


「そこは何とかするさ

 とりあえず最初の場所に向かおう」




周囲を兵士に囲まれて進む豪華で大きな馬車は

屋根が無くオープンスタイルだ。

魔術師を四隅に座らせ障壁を張っているようだ。

不可視の障壁が時折うっすらと見える上に

≪魔力感知≫では俺の全力なんかではビクともしない

強度を感じる事が出来る。

相当強力な障壁なのに声などの音が通るのは謎だ。

これもファンタジー都合なんだろう。


王族は前に王と王妃、後ろに王子と王女が

並んで座っている。


改めて王女を確認する。



間違いない!実里だ!

転生前に似ている部分なんて何もない。

それでも断言できる。

あれは実里だ。



焦る気持ちを抑えて行動に移る。


用意したのは垂れ幕だ。

こちらの世界の垂れ幕は国旗をメインで

文字をあしらった様な物は馴染みがないらしく

そこそこ目立つ。

これも計算の内だ。


王族が通る前に垂れ幕を垂らす。

周囲はパレードに夢中になってる為、気が付かない。

気が付いたとしても読めないので唯の模様か

何処かの祝いの言葉だと思うだろう。

他にも国旗を垂らしてる者も多数いるので怪しまれない。



黄色の布地に赤字で書いてあるが

場の喧騒に飲み込まれて目立たない。


「実留さん気が付いてないですよ!

 どうします?時間がないですよ」


「くそ、どうするか・・・・魔法も障壁があるんじゃ・・・

 そうだ声は届く」



≪大声≫発動。

「あおぉぉぉぉぉぉぉぉぉんっ!」


スキルを発動し遠吠えをする。

声を高く高くなるように意識してだ。




犬・・・?


「お兄様、何かしら?

 今、犬の鳴き声がしなかったかしら?」


「それぐらい何処にでもいるだろう

 良いから笑顔で居ろ!

 皆、俺達を見に来てるんだぞ」


でも何かしら。

何かを感じるの。

心に響く何かが。


周りを見渡すも溢れ返る民衆の歓声に飲まれ

何も聞こえない。


その時に前方に気になる物が見えた。

良く見てみると文字のようだ・・・・・っ!



あれは・・・あれは・・日本語っ!!



指先がカタカタと震える。

落ち着いて深呼吸してから読む。



"実里元気か実留だ

俺は今犬になった

この先の茶色の

塔の所に立っている"


それだけだ。

それだけしか書いていないのに

涙が溢れてくる。


お兄ちゃんだ!

お兄ちゃんが来てくれた!


やっぱりこの前に感じたのは

お兄ちゃんだったんだ。


神さまに転生されてから15年間。

ずっと探したかったけど

探しに行けなかった。


そのお兄ちゃんが来てくれた。



実里の心は喜びで溢れて。

自然と笑顔が浮かんでいた。


民衆はその神秘的な表情をみて

更に歓声を上げていくのだった。



最初のポイントは通りの一本外れた通りに

ある茶色の塔だ。

そこに俺は垂れ幕を咥えている。

そうやら最初のは気が付いて貰えたようだ。


そしてパレードは段々と近づいてくる。

タイミングを見て第二弾の垂れ幕を掲げる。





茶色の塔を見つけると注意深く見つめる。

隣から兄が民衆を見ろと注意してくるが

そんな事は気にしてられない。


見つけた!


銀色のサラサラした毛を持つ犬族が

何かを咥えている。

目線が合った瞬間に理解する。



お兄ちゃんだ!

間違いなくお兄ちゃんだ!



次の瞬間、お兄ちゃんが咥えていたものを離す。

それは先程と同じ垂れ幕だった。


"西区の

中央広場で

馬車から落ちろ

俺から会いに行く"


そう書いてあった。

お兄ちゃん無茶言うなぁ。

もう思うも絶対に落ちてやろうと心に決めた。





「どうやら気が付いてくれたようだな」


「でもどうするんですか?」


「あぁ、王女が馬車から落ちれば

 パニックになるからな

 そこで一気に近寄るさ」


「上手く行きますかね?」


「実里は俺と違って優秀さ

 きっとやってくれるよ」


犬と妖精は最終ポイントの広場まで

時計回りに移動していった。



パレードが南→東→北と移動している間に

俺は西区の広場にいた。

物陰で隠れながら来るのを待つ。

その後は人混みに紛れて最前列まで移動だ。



遠くから歓声があがる。

どうやら西区まで移動してきたようだな。

人がザワメキ出したので

兵士が居て進めなくなる一歩手前まで移動する。



馬車が少しづつ近づいてくる。

ソワソワと緊張していると

視界の端にろくでも無い者を見つける。

あの時の黒づくめだ。

建物の屋根に隠れるようにしている。



ヤバい、実里が危ない!

そう思った瞬間、周囲に爆音が幾つも響いた。





西区の中央広場までくると

今迄以上の人混みだった。

馬車の進みも遅くなってきたので

そろそろタイミングかなと思っていると

目の前で何かが急に爆発した。


幾つもの爆発が目の前で起こるものの

衝撃も熱も音も障壁によって完全に

防がれていたので髪の毛一本揺れる事もなかった。


「今ね!」


きっとこのタイミングなんだと思い。

おもむろに立ち上がり馬車の外に向かって

煙で何も見えない中へ飛び出す。


後ろで兄が騒いでいるが気にしない。

私はお兄ちゃんに会いたいんだ。




爆音が響いた瞬間に体は動きだしていた。

黒づくめの攻撃は爆炎魔法だと思われるが

障壁に阻まれたのは確認できた。

それでも中の実里はきっと動き出すはずだ。

おいつはそういう奴だ。

周囲が慌てふためいてるのを気にせずに

全力で駆け寄る。




馬車の足元まで駆け寄る事には成功したが

煙で周囲が良くわからない。


「実留さん上ですっ!」


アリスの言葉通り上をみると

実里が降ってきた。


「うぉぉぉぉぉ!」


ギリギリで地面と実里の間に体を滑り込ませ

衝撃から守る。


「実里!大丈夫か!」


俺は日本語で話しかける。


「お兄ちゃん会いたかった!」


日本語で返事がある。



俺はついに実里と再会する事が出来た。






首筋にしがみ付いてくる実里。

俺は鼻先を押し付ける。


「やっとやっと会えた」


「あぁ、俺も会いたかったよ」


グシャグシャに泣いている実里は

外見が変わっても実里のままだった。


「そうだ、実里!

 お前を狙ってる奴らがいるんだ

 あの黒づくめの!」





「それは俺の事か?」


煙が漂う中で襲撃者の黒づくめが立っていた。


コイツはヤバイ。

俺の中で警報が最大限に鳴り響く。


「お前・・・・何者だ?」


「お前に名乗る名前はないな

 それよりもお前こそ誰だ」


「ふはは、犬如きが俺に口を効くか」


目の前の男から一気に殺気が膨れ上がる。

咄嗟に俺は風魔法を使い周囲の煙を一気に吹き飛ばす。

気が付いた兵士が走って寄ってくる。


「実里、馬車に戻れ!早く!」


「わかったよお兄ちゃん」


「そうはさせんよ」


男は懐から短剣を取り出し

実里に投擲しようとする。


「させるかよっ」


≪大声≫発動。

最大音量で声と言う衝撃波を叩きつける。

同時に魔法で顔面の目の前にファイヤーボールを出現させる。


ドゥオン


出現と同時に着弾した火の玉は

男の上半身を燃やす。


「ぐぉぉぉぉぉぉ」


完全に油断してた所に不意打ちを食らわせ

更に≪噛付き≫で男の喉に噛付く。



横目に実里が兵士に手伝ってもらい

馬車に乗込んだのを確認する。



男が俺の胴体に手の平を添える。


もう何をしても無駄だこのまま噛みきってやるぜ

実里を襲ったお前はここで倒す!








ズンッ!





重い音が響く。






あれ?









俺の下半身は爆散した。





周囲に飛び散る銀毛に現実感を感じられない。







「実留さん!」



「お兄ちゃん!」







あ・・・れ・・・・。




な・・・ん・・・・だ・・・こ・・・れ?






俺の意識は急激に闇に沈んで行った。

実留君がぁぁぁぁぁ!

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