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6-16

お待たせしました。


こんにちわ!森山実留です。

最近は色々と変化がありますが他人の目的の為に

本格的に動くってのは初めてのような気がします。

はてさてどうなる事やら。






ミガとララと協力体制の条件を話し合い納得した所で正式に契約を交わした。

それも商人ギルドを通して書面ではなく契約の魔道具によってだ。


契約の魔道具は商人や立場ある者達がお互いに損をしないようにする為等に用いられる。

道具自体の単価が非常に高い事もあり通常の契約等は書面で取り交わし

ギルドに保証人となって貰う方法が一般的だそうだが

ミガは商人ギルドから魔道具を正式に購入して契約に使用した。

なんでもギルドから購入した際の記録があれば魔道具の正当性等の保証にもなるんだそうだ。

まぁ要は脇を突かれない為にちゃんとしたって事だな。


因みに契約を破った際には魔道具が効果を発動し罰則が科せられる事となる。

ミガは「王としての正当性や資格に問題ありと公的に発表」され

俺は「王を利用し国に損失を与える者として公的に発表」される。

どう見たって俺の方が重い気もするが立場からしたらそんなもんだろう。

罰則は身体能力に制限や呪いを掛ける事も可能だがお互いに社会的地位とした。

国の頂点に立ちたいミガと安全な国が欲しい俺ならではだろう。


契約後は色々と準備し郊外に向かった。

郊外、と言うか限りなく辺境に近い場所にあるミガのセーフハウスの1つだ。

ギリギリで国の管理が届いている範囲に入っているような場所で

近くの農村までも少し距離があるが周囲は未開の為に色々と都合が良いらしい。


森が広がり取れる果実や野草も多く狩りの獲物にも事欠かないし

強力な魔道具で結界が張られているのでセーフハウスの安全も保障されている。

つまり色々とやるのに都合が良い場所だ。

そこで俺がやった事は身体能力やスキルを分析して研究する事。

そしてその結果をフィードバックし俺の効率化や最適化をしつつ

装備品や魔道具の性能向上を狙ったり新しく試作したりするって感じだ。


ミガは俺の魔法組への参加申請の手続きや各ギルドの依頼について報告したり

協力者に話を付けたりと忙しく動き回っていたようで

基本的にはララと俺がメインとなって進める事となった。



とりあえず俺の能力や装備品やアレやコレやの話はあるだろうけど

ララと話していると面白い事が発覚した。


「そう言えばミノルさんの元の世界の事を聞いても?」


「良いけどあんまり面白くないかもよ?」


「フフ、別の世界の話が聞けるなんて面白く無い訳ないじゃない」


「そうかな?

 この世界に比べて俺が属していた社会は平和で平穏で薄汚い感じだよ」


ポツリポツリと俺は元の世界の事を話す。

話ししてもなんだか遠い事のように思える。

まぁ実際に遠い思い出になりつつあるんだけどな。

それをララは黙って聞いていた。


「まぁそんな訳で妹の後を追ってこの世界に来たんだよ」


「聖女も異世界からの転生者で更にミノルさんの妹だなんてね

 何回聞いても理解に苦しむ内容ね・・・・」


「神様なんてそんなモノでしょ

 俺も何回か会ったりしてるけど個性的と言うか

 変わった神ばっかだったよ」


「普通はそんなに神に会えるものではないと思うのだけど・・・

 まぁそれは別として仮説に過ぎないのだけれど1つ分った事があるわ」


「ん?なに?」


「ミノルさんの元世界と私の元世界は同じかもしれないわ

 正確に言えば私の世界は時系列でもっと未来か・・・

 又は次元系列で同世界と言った所かしら」


「どういう事?」


「私も本体から全ての知識を引き継いでいる訳じゃ無いから

 正確には判断できないし色々と思い当たる内容もあるけど差異もあるわ

 可能性が高いのは俗に言うパラレルワールドって所かしらね」


「ドパール卿も地球・・・・日本の出身って事なのか?」


「明確には答えられない質問ね

 私の中には地球や日本と言った単語はあるのだけど

 そこで過ごした、成長したと言う記憶は無いのよ

 なので過去の記録、又は観測された別世界の可能性もあるって事ね」


「別世界を観測?」


「えぇ、技術的な部分の知識は無いのだけど

 幾つかの別世界を観測されたと記録はあるわね

 それに地球や日本が含まれているのかは記録されてないのよ」


「随分と曖昧なんだな」


「ふふ、ごめんなさいね

 でも何時か私の本体に会う事が出来たら尋ねてみると良いわ」


「それは楽しみが一つ増えたかな

 俺の知らない地球や日本か・・・・」


「他にもミノルさんと同じ世界から此方に来た方と

 何かしらの接触があって知識を得たって事も可能性はあるわね

 寧ろそっちの方が可能性は高いかもしれないかもね」


「全ては本人に会えば分るって事か」


「そうね・・・・私が案内する訳にはいかないのだけど

 ミノルさんならいつか会えるかもしれないわね」


これが重要な事ではないし直に影響があるわけじゃないが

本体のドパール卿に興味が湧いて来たのは確かだ。

ララは案内出来ない、と言うか本体の居場所等はプロテクトか何かで

通常時は思い出せないようになってるらしい。

遠い未来の世界だとしたら地球や日本がどうなったのかを聞きに訪ねてみたいもんだ。



2ヶ月程で新しい武具のプロトタイプは完成した。

素材として使ったのは迷宮産の素材で強度、耐魔性が高く

魔力親和性に富むレアな高級素材の数々だ。

これらはミガとララが以前から手に入れていた品だが扱い方が難しく

今迄は十分に実力を発揮できない為に死蔵されていた。


それを生かす為に利用されたのが≪竜血脈≫によって作り出され爪、鱗、翼、血液等だ。

切取や採取の際には痛覚はカット出来たので良かったが

部分喪失による違和感や気持ち悪さは減らせたが無くす事は出来なかった。

ララ曰く仕方がないし戦闘時に翼等の消失に気が付かない事の防止策じゃないかって事だ。

まぁ仮とは言え体の一部が消失したらそりゃ違和感位はあるわな。

因みに切り取った部分はある程度魔力を流すか時間経過で再生した。


それらを繋ぎとして様々な用途に用いられた。

面白いのはスキルを発動させてから採取するとスキル効果が程度の差はあるが影響が出るって事だ。

≪骨硬化≫では強度が増したり≪溶解唾液≫では耐酸性が上がったり

≪魔力純化≫や≪魔力圧縮≫等は魔力親和性や耐魔力性が向上したりな。

気休め程度から明確に違いがあるスキルまで色々だ。

中には殆ど効果が無いスキルやマイナス部分が出てしまうスキルもあった。


重ねるスキル、使用する部位(鱗や翼や爪等)、部位の形態(個体、液体、粉末等)の組合せを

試行錯誤しなんとかプロトタイプが完成したって訳だ。

デザインはシンプルで余計なモノを一切省いた完全実用性重視だ。

もっとも余計な装飾に使える程に素材に余裕が無かったってのもあるけどな。


勿論、≪武器作成≫≪防具作成≫≪紋術≫≪魔道具作成≫≪魔法陣の理≫等も

惜しげもなく使わされたが作った本人はまだまだ納得出来てないようだ。

と言うかララよ自重しなさい。


俺の尊い犠牲(?)の甲斐あって武具の性能は飛躍的に向上する事となった。

逆に武具の性能が上がり過ぎてしまった事と幾つかの機構と言うかギミックも追加したので

使いこなすのに1ヶ月ほどミガ、ララと戦闘訓練を行った程だ。

武具の運用方法や問題点、改良点の洗い出しも行ったので時間が掛ったのは仕方がないか。



戦闘訓練では俺のスキルについても詳細に確認した。

ここまで来たら出し惜しみ無しだと言う事でスキルをガンガン使ったしな。

ミガとララに実戦での効果的な使い方等を話し合った。

お陰でスキルの熟練度も増え使い方についても幅が広がった。


魔法関係の能力についてもある程度は把握できた。

やはり神謹製のスキルの効果は凄まじい。

魔力量も制御力も構築式の効率化も今迄とは雲泥の差だ。


だがそれも全て自分次第って条件が付く。

あくまでも魔力量が増え、制御力が上がり、効率の良い式が組めるだけだし

圧縮や純化も魔力操作や使い方の幅が広がっただけだ。


それらをどう使うか?どのように組むか?どのように発動するのか?

こればっかりは自分で行うしかないからな。

魔法で大事なのは基礎能力もそうだがイメージ力、発想力、意志力等で

高性能の車やバイクがあった所で操作するのは自分って事になるかな。

それでもある程度はオートで何とかなるってんだから神謹製スキルの恐ろしさよ。


代わりに弱点も判明してきた。

まずスキルの影響が大きすぎる為に威力や範囲の強弱が難しいと言う事。

それはオートで構築し発動してしまうとより顕著になる。

幾つかの条件指定だけで構築してしまうのだから細部が甘くなるんだ。


全てを指定してしまうと構築に時間が掛り発動のタイムラグが出てしまう。

ほんの僅かな時間や綻びだとしても勇者や魔王辺りは容赦なく突いて来るだろう。

≪創造魔法≫は便利で強力ではあるが地力を伸ばす事も必要だな。


まぁそれでも魔力を潤沢にブチ込めば大概の問題は解決するから

反則級に強力なチート能力ではあるんだけどさ・・・。

魔力量については激増しているが無尽蔵と言う程ではない。

今迄に比べると雲泥の差ではあるけどな。



後はアリスについて判明した事がある。


アリスと俺は魔力回路で繋がれていてアリスの維持や

能力行使する際には俺から魔力が供給される。

ララ曰く2人のパイプラインである魔力回路がオカシイとの事。


通常であればラインが接続されているのは魔法や召喚に秀でた者や

魔力に敏感な者や分析持ちであれば朧げながらも繋がってるな程度はわかるらしい。


だが俺とアリスのラインは何かの干渉を受けているらしく

通常の魔力回路とは全くの別物で感知が殆ど出来ないんだとララは言った。

詳細は不明だが強度や感応速度等は一般的な召喚魔法とは桁違いなんだそうだ。


明らかに神システムの影響だろうけどな。

ルーブやロズとの魔力回路も変だがそれよりももっと異質らしい。


他にはアリスの魔法は威力は低いのに副次的な効果と言うか

属性的な部分の効果が強く出るのは存在自体の違いから来ているんじゃないかとの事だ。

アリスは実体化しているものの実際には魔法生物に近い存在で

物理面に引っ張られる事が少ないアリスは有利に働いているってのがララの意見だ。

アリスの攻撃が魔法を含め物理的な威力が低いのはその事も要因の1つだろうと。

簡単に言えばアリスは存在自体が魔法で生み出されているので

物理よりも魔法側に寄った存在であると。


・・・ふむ、アリスの本体は神システムって事なんだろうか?

それとも体が何処かに実在しているんだろうか?

確かに神システム経由での呼出しだから召喚とは違うしなぁ。


とりあえず本人にも聞いてみたが


「呼ばれる前からずっと意識はありますよ!

 でも何て言うんですかね

 体はあるのに無いんです

 居る場所もフワフワしてて明るくて暗いんです

 暖かくて安心出来るんですけど寂しくて切なくなります

 そこでずっと実留さんの事を見てる・・・・ハズなんです」


「なんだそれ?

 よくわからんぞ

 それにハズって」


「えぇ・・・そうなんです・・・

 私は確かに実留さんを見てるんです

 もっと言えば繋がってると感じるんです

 でもそれを明確に覚えてないと言うか何と言うか・・・」


これは俺の転生の影響が出てるのか?

機会があれば神に聞いてみようと思うが教えてくれるだろうか。

それにしてもアリスの本体・・・・かぁ。

考えてもみなかったな。



アリスのついでになってしまうんだけど

俺の魔法が物理的な威力は高いが属性的な効果がそうでもないのは

現代の知識を持っている故に足を引っ張っているんだろうと。


知識や認識が邪魔をする又は不足しているせいで副次的な効果まで強くでない。

ゲームや小説で魔法と言う概念があっても

何がそうさせるか?何故そうなるか?と言った詳細な知識は無いし

"そういうモノなんだ"という"この世界の常識"も無い。

どっちつかずの状態って事だ。


消費魔力の事を考えないなら≪創造魔法≫でどうとでもなるが

先程の弱点と言うか改善点も併せて考慮して行こうとは思う。


そうそう、ルーブは現在手元には居ない。

召喚時に説明したら理解したのかどうかは大人しく戻った。

後で活躍して貰う予定だが今はまだ時期じゃないしな。


ロズは事前に召喚にはなるべく応じるようにと通達が来ていたらしい。

召喚契約をしているとはいえ向こうは半分は神になったんだしな。

有難くはあるが何処の誰からの通達かは聞かない方が良いだろう。

こちらも今の立場でムキムキ天使なんて連れて歩けないので戻って貰った。

ララが色々と調べて見たそうだったのは無視した。


色々とわかったようなそうでもないような日々が過ぎていき。

武具の目途が立ち扱いにも馴れた頃、ミガからついに報告が来た。


「ミノル

 やっと初戦が決まったぞ」


「随分と時間が掛ったけど何かあった?」


「魔法組への変更手続きや各所との調整にちょっとな

 後はまぁ初戦の相手探しに手間取った」


「闘士って申し込めば勝手に組まれるか

 大会や定期的に行われる試合に申請するかじゃないの?」


「それが基本だが相手との合意の上でのマッチメイクも可能だ

 今回は初戦で勢いを付けたかったしな」


「どんな相手?」


俺の問いにミガは笑って答える。


「それは当日までのお楽しみだ」


実留君のぱわーあっぷ回とせつめい回になってしまった・・・・。

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