6-15
大雪ですねー。
皆さん大丈夫でしょうか。
奴隷から解放された森山実留です。
どうにも話がへんな方向に進んでいるようですが気にしません。
YOU!駄目なら転生すれば良いんだYO!
と脳内で誰かが叫ぶからです。
「転生者・・・・・?」
「そうね・・・・
あえて定義するとなれば一度生を終えた魂が新たな生命体として生を受ける
その際に前世の記憶を持つ者と言った所ね」
転生者と言う単語にピンと来なかったミガにララが説明する。
「生前の記憶を持って生まれるか
だがララよ、それは"落ち人"とは違うのか?」
「記憶を保ったままこの世界に来るという点では同じね
落ち人の場合は肉体を維持したまま世界を渡って来るけど
転生者は新たな命として生まれてくるのが違いかしらね
勿論、そう簡単に言えるような条件ではないでしょうけど」
「だとすると"転生者"の何が秘密なんだ?
確かに"落ち人"は何かしらの技能を持っている事が多いし
身体能力も様々だしそれによって国が動く事もある
それよりも劣るって事だろう?」
「そうねミガ
違う点があるとすれば"落ち人"が神に気に入られた者だとすると
"転生者"は"神に魅入られた"者ね
落ち人は世界を超えさせるだけだけど転生者は
輪廻と言うシステムから外れた事象を起こすって事よ
それは"神にとっても容易い事"ではないハズよ」
でもそれだけじゃないでしょ?
と言外に視線で訴えてくるララ。
「あぁ、そうだな俺は普通の"転生者"じゃない
と言っても転生者がどれだけ居るかはわからないから
何が普通かって話にはなると思うけどさ」
とりあえず実里も転生者ではあるが勇者と魔王は落ち人だしな。
「他にも秘密があるのか?
隠された能力があるとか?」
「まぁそれもあるっちゃあるが転生についてだ
俺は"死ぬと再びこの世界に生まれ変わる"
勿論、記憶を持ったままな
ある程度の身体能力も引き継いで生まれ変われるんだ
今回はどうした事か少年の体に入ったようだけど・・・」
「は?再び?
ミノル・・・・何を言っているんだ?」
ミガが全く理解出来ないという顔をしてるが
ララは初めて見る真顔だった。
「ありえないっ!
そんな事象は在りえないわっ!
別世界から魂の情報を抜き取って定着させるだけなら理解出来るわ
だけど存在が不確定な魂を完全に保全し次生に引き継がせるなんて・・・
高位の神と言えどもそんな真似が出来るハズないわ」
「確かに神もシステム化するのに苦労したって言ってたな
それでも生まれ変わる先は不規則で制御しきれないから
流れを誘導するのが限界だってね
アイツは何回話しても胡散臭いから本当かどうかはわからないけど」
「ミノル・・・・私には・・何を言っているかがサッパリさんだが・・・?」
「システム化?神と話しを?何回も?」
「あぁ、今回で5回目の転生なんだよね
んで転生の度に神との会話の機会があってさ色々と話すんだけど・・・」
なんか話す毎にララの顔が怖くなっていく。
ミガも微妙に顔が引き攣ってるし・・・。
「その・・・なんだ・・・・
確かミノルが加護を受けている神は進化神と言っただろう
それは本当なのか?」
「それは本当だ
進化神スイリーヤの加護を受けている」
「そんな・・・・中級神がそんな高度な事を・・」
「あぁでもメインと言うか最初に加護を受けたのは
世界神グラバスだな
転生の度に話をするってのもソイツだ」
「「は?」」
ミガとララが同時に声をあげた。
その顔が物語るのは"何言ってんだコイツ?"だ
「あ、いや、本当だよ
実際には他にもえーと・・・世界神と進化神を除いて
5神から加護も受けてるけど・・・」
「「はぁ??」」
ミガが明らかにドン引きしララはブツブツ言いだした。
「ミノルの事を信じると言った手前、聞き難いんだが
何か証拠・・・と言うか証明出来そうな手段はないか?
上級神に介入やララの魔道具を無効化出来るのだから
少なくとも上級神か高位神だとは思うのだが
流石に世界神と言われてしまうとな・・・・」
「証明と言われてもなぁ・・・・
むぅ・・・・これじゃ駄目かな?
ソイツから手に入れた物なんだけどさ」
と言つつアイテムボックスから≪単発式魔力銃≫を取り出す。
これも神器には違いないから証にはなるかな?駄目かな?
「は?今のは何だ?
何処から物を取り出した?
まさか空間収納か?」
「え?何?それは?
ちょっと見せて!」
ミガとララの反応は激的だが対象は別だった。
ララは奪うように銃をとるとブツブツ言いながら弄りだしたので
ミガを相手にする事にする。
「えーっとこれはアイテムボックスって呼んでるんだけど
自由に物を出し入れする事が出来るんだ
収納鞄の上位って感じかな?」
「上位って・・・そんな訳ないだろう・・・・
空間収納持ちなんて広く認知されているのは
勇者と魔王・・・・それに聖女様位だぞ
全員が世界神の加護持ちだからミノルもそうだと言う証にはなる・・・のか?
だが高位神でも・・・・存在は・・・」
「そんなに珍しいの?」
俺の問いかけにミガは驚いたような残念な者を見るような顔をする。
「・・・・・何も知らないのか?
空間収納持ちなんて広く知られている先程の三人の他には
高位神の加護持ち・・・・それも一握りの者しか付与が確認されていない技能だぞ
他にも居るかもしれないが余り他言しても良い事はないからな」
むぅ・・・・そらそうなるか。
素っ裸で魔法を禁止されても何時でも何処でもアイテムの取り出しが可能って事だもんな。
そりゃ悪用しようと思えば幾らでも思いつくか。
「だけど収納鞄でも同じような事が出来るだろ?
便利ではあるけどそこまで優位性がある程じゃないと思うんだけどなぁ
それに迷宮産だとリングとか腕輪とかで鞄タイプ以外にも同じような機能のがあるでしょ?」
「何も分かってないな
確かに収納鞄は同様の効果を持っているがその差は様々だ
容量が大きさや時間経過有無もあるし品質低下有無等もそうだ
それに耐久性も個別差が大きい
定期的なメンテナンスも必要だし物理的な欠損で使用出来なくなることもある
実用に耐える品の値段が幾らになるのか知っているのか?」
ララの猛攻にちょっと怯む。
「そ・・・そうか・・・・
なんかすまん」
「いや、良いんだ
私も興奮してしまったな
なんにせよミノルが高位神以上の加護を受けている証にはなるさ
それで・・・・ララそっちはどうだ?」
私は納得したぞと銃を弄りながらブツブツと言い続けるララに問う。
「なんなの?この銃は?
材質は不明だし内部構造に分析出来ない部分が幾つかあるで
その上、明らかにこの世の物とは思えない程の力を感じるし
でも不思議なのは全体的な作りは私の魔銃に似てる・・・」
神器と呼ばれる類の物と認めざる追えないわね。
そう呟くと銃を返してくる。
多分、銃が似てるのは神が真似したんだろうけどね・・・・こっちが後発なんだし。
「ミガ
とりあえず私からもミノルさんは高位神以上の加護を受けていると思って良いわね
後は話を聞いてみての判断になるかしら」
「そうか・・・・それで幾つか質問があるのだが
私が見た時にミノル以外の存在を感じたと言うか
何かの意志のようなモノを捉えたんだが心当たりはあるか?
神と言うよりはミノルに似てる気配なんだが」
「あぁ、それは多分ね・・・・アリス」
「はーい
って実留さんが私を人前で呼ぶのも珍しいですね」
「あぁ、ちょっと協力する事になってな
俺の一応の主人であるミガとドパール卿に連なるララだ」
それはどうも宜しくお願いしますと挨拶するアリス。
「召喚・・・・・・・って訳でもなさそうだな」
ミガがララを伺いながらそう呟く。
ララはと言うと。
「何?今のは?ありえない・・・ありえない・・・ありえない・・・
魔力回路が生成された?違うわね・・・
元々存在した回路が再接続されたのが発露した?
違うわね・・・・存在が生成・・・・いや・・・確定?」
「えーと・・・・まぁあれだ後でちゃんと説明するよ
俺の相棒のアリスだ
一応は召喚扱いになるのかな?これも神から貰った加護の1つって感じかな」
「そ、そうか・・・・普通の召喚とは違うって事か」
「あぁ、普通の召喚も出来るよ
契約しているのは2種類しかいないんだけどね
後で召喚するからちゃんと挨拶させるよ」
「わ、わかった
因みにどんな種族なんだ?」
「子竜と天使かな
あ、天使は半分神になってるから半神半天使って感じかな
ちょっと見た目は暑苦しいけど」
「竜?天使?・・・・半神?」
「半神と言えども神を召喚?
構築式はどう組んだの?必要魔力の供給方法は?
それ以前に魔力のみで?媒体も無しに?
と言うか高次の存在をどうやって捕捉したの?」
ララの口調がおかしくなってきている気がするけど気のせいだろうか。
「えーと、召喚出来るとは思うんだけど転生してから試して無いからなぁ
子竜は迷宮の魔力を流用して契約を結んで
天使の方は不思議と自前で何とかなったんだよね
んで構築式はオートって言うか自動って言うか
こんな魔法を発動したいって思えば勝手に組み立ててくれるって言うか・・・
まぁ色々とスキルとの兼ね合いなんかもあるんだけど・・・」
「は?何を言っているの?
迷宮の魔力?自動?」
怒涛のように詰め寄ってくるララ。
それを見てドン引きのミガ。
あれ?なんか立場が逆転してる。
「落ち着け!落ち着け!ララ!
そうだ!ミノル
実際に見せて貰えないかな?
ここじゃ何だし少し郊外に行ってだが
そこで色々と見ながら!なっ!」
ミガに押し切られる様に郊外に出て色々と見せる事になった。
> ミノルはルーブを召喚した
「ミ、ミノル・・・なんだその生物は・・・・
触っても・・・・良い・・・か・・・?」
「え?なんなの?その構築式は?
魔力回路はどうなってるの?」
> ミノルはロズを召喚した
「え?は?これは本当に・・・神・・・様・・・・?
凄く・・・・ムキムキ・・・です」
「え?なんなの?その構築式は?
その馬鹿げた魔力はなに?」
> ミノルは≪竜血脈≫を発動し外見を変えてみた
「翼?爪?と言うか鱗?・・・硬いな・・・うん・・・」
「え?なに?魔力発動体の増加?
構成物質は?生成方法は?」
> ミノルは≪溶解唾液≫をゴパァした
「えーと・・・その・・・・凄いな・・・」
「はぁ?なんでそんなモノを生成出来るの?
原理は?生成器官は?というか自分への影響は?」
> ミノルは≪王者の眼光≫を発動した
「クッ・・・この威圧は・・・」
「なに?・・・・これは・・・この現象は・・なんなの・・・」
> ミノルは魔力を様々なスキルを多重発動させ魔力を練り上げた
「こ・・・これが世界神の加護・・・を持つ者・・・」
「異常・・・・おかしいわ・・・・法則を無視・・アハ・・・・アハハハ」
> ミノルは何か色々と試してみた
> ミガは常識の殻にヒビが入ったようだ
> ララは興奮しすぎておかしくなっている
その後、2人を何とか静めて宿に戻り話し合いの上で協力条件を決めた。
俺は闘士として戦うのを中心に行動しミガが王となる事に力を貸しララの研究にも協力する。
表向きには奴隷のままとするがプライベートや行動の束縛は行わない。
勿論、魔道具を付けて周囲へのアピールもするが効果は無効化済の物を使用する。
ミガは王となった際には各種協力を確約した。
俺と協定を結び敵対しない事とするがメインとし
国内での身分保障や各種ギルドへの手続き等だ。
転生をした際のギルドでの身分証は悩みの1つだったから正直助かる。
多少の力技になってしまうそうだが任せろと言っていた。
ララは基本的には今まで通り裏方で行動しミガを助ける事となる。
それと並行して俺の分析と研究も並行して行うんだそうだ。
俺自身を色々と研究されるのは抵抗があったが技術と知識の提供と
研究結果のフィードバックはしてくれるとの事なので了承した。
こうして実里以外に俺の全てを知る者がこの世に出来た。
協力者をGETだぜ。




