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複数更新が出来そうもないので

少し長めの投稿です。

ポーラスで結構な資金を稼いだブタ子です。

ミノルさんが持ち込んだアイテムは

殆どが低ランクなものの迷宮産という事もあり

そこそこの値段で売れました。

あまりにも想定していたよりも稼げてしまったので

最終日の夜にお二人に食事を御馳走する事にしたのですが・・・。


「アリスさん、メニューを見もしないで全部持ってこいとか

 頼むのはやめてっ!」







ポーラスの最終日はジミーに収納鞄を返し

お礼をすることから始めた。


「ジミー、収納鞄ありがとう」


「ドリアスの旦那の紹介じゃしょうがねーよ

 それにそこまで喋れるドーバードックってのも

 珍しかったしな

 それにアリスちゃんが可愛いしよ」


そう言ってガハハと笑う。


「そういや何人か冒険者にも会ったけど

 誰も収納鞄なんて持ってなかったぞ?」


「そりゃそうだろ、10階層ぐらいまでで

 持ってるような冒険者なんて

 どこぞの貴族か豪商ぐらいだろうよ」


「え?そんなに高いの?

 ・・・・・普段はどれくらいで貸すの?」


「普段は貸してないぞ

 あんな高価な魔法具を気軽に貸せるかよ

 

 いや、そうだな・・・・あえて貸すとなると

 補償金を込めて金貨3枚ってとこか」


「ブハッ・・・・・な・・・そ・・・そんなに高いの?」


「あぁ、そんぐらいはするだろう

 貸したのはそこそこ容量もあるしな」


「それにしたって銀貨5枚って安すぎるだろ」


「あぁ、あれは念の為って奴だ

 本当なら旦那の紹介なら金なんていらねーんだけどな

 一応は貸し出したって事にしとかないと

 ギルドもうるせーからよ」


豪快に笑いながら裏話を教えてくれるが

俺が死んだら誰かに拾われてたかもしねれーんだぞ。

ドリアスさんってどんだけ影響力あんだよ。


確かに収納鞄を借りたってブタ子に言ったら

苦い顔してたしな・・・。


「それでお前さんたちはノイードを目指すって?」


「えぇ、明日出発なんですよ」


「そうかそうか、まぁ頑張れよ

 機会があればまた潜りに来いよ

 こっそり鞄かしてやるからよ」


「えぇ、必ず」


「アリスちゃんも元気でな」


「はい、ジミーさんもお元気で」


「おうおう、俺は元気が取り柄だからな」


ガハハと笑うガチムキの獣耳を見ながら

良い人だったなと思う。

機会があればまた来よう。

いや、絶対に来る。






翌日の朝にポーラスからノイードに向かう。

台車は相変わらずブタ子が牽いている。

周りからの視線も慣れっこさ。



移動時はずっと魔法練習をしていた。

≪生活魔法≫と≪初級魔法≫の違いは

制御できる魔法の複雑さが違う。


火を例にしてみよう。

≪生活≫では小さな火を制御するしか出来ない。

それを極わずかな範囲で展開する事が出来る。

つまりはライターからガスコンロの弱火ぐらいしか駄目だ。

経験を積めば多少は強くなるが所詮は生活するための魔法だ。


では≪初級≫はどうか?

一気に出来る事が増える。

それは火の状態すらも操作出来るようになるからだ。

≪生活≫では火は火のままとして使うしかないが

≪初級≫では火の状態や密度や温度を操作出来る。

つまりはお馴染みの火の球や火の矢が作れるようになる。

これも馴れ次第で色々な事が出来るようになるのだ。

さらに上になれば更に複雑な事がとなる。


魔法はイメージ力。

イメージさえ出来れば何でも出来る。

夢が広がりまくりだね。


そんな訳で俺は火と風について

練習を続けている。

水と土も≪初級魔法≫を取得したいが

迷宮ではあまり使わなかったので

当分先になりそうだ。




ノイードまでは1週間程で辿り着けた。

流石に兵士が定期的に巡察し安全を確保しているだけあって

魔物や盗賊の類も一切出てこなかった。

平和な旅だ。


最初の盗賊紛いの奴ら以外に

襲われたりしてない。

ファンタジーと言えどそんなもんなんだろうか。

ブタ子に尋ねると


「そんなに頻繁に襲われるような事があれば

 国が軍を出して対処してますよね?」


そんな当たり前の答えが返ってきた。

そりゃそうか首都から2~3週間程度の所に

魔物やら盗賊やらが活発に行動してたら大変だもんな。



街の入り口では結構な厳しいチェックがされていた。

そりゃ王族のお披露目だしな。


列に並ぶこと1時間。

順番が訪れる。



「まて!まてまてまてーい!

 怪しい奴だな身分証を出せ」


「怪しくなんてございません

 私は行商人のブタ子です」


「いやどう見ても怪しいだろ

 何で犬族じゃなくて亜人が牽いてんだよ」


何かノリが良い門番だなぁ。


どこかでやったようなやり取りをしつつ

ブタ子が商人ギルドの身分証を提示し

俺は迷宮ギルドの迷宮カードを出した。


ブタ子の身分証は有効だが

俺の迷宮カードは身分証としてはそこまで保障はない。

それでもログを見る限りでは問題ないとされ

時間はかかったが通してもらう事が出来た。

アリスは俺の契約精霊という形で通してもらった。


「おう、時間を取らせて悪かったな

 今は時期が悪くてな厳重に確認してるんだ」


「いえ大丈夫です

 私も成人の儀にあやかって商いの為にきておりますので」


「そうか、そう言ってもらえるとありがたい

 こちらも手を抜くわけにはいかなくてな」


「いえいえ、1つお聞きしたいのですが

 首都ノイードは初めてなもので

 良い宿知りませんでしょうか?」


「ん~、宿かぁ

 商業地域に近くて式典見学にも便利となると

 西区の緑鹿亭って所がお勧めだな

 台車も止めれるし宿の質の割にはそこそこ安い

 なによりも食事が美味いぞ

 俺も良く使う店だから紹介されたと言えば

 少しはサービスしてくれるさ」


「ありがとうございます

 行ってみようと思います」


「おう、主人によろしくな

 俺の名前はリンドってんだ」



首都ノイードは中央にバイラン城を構え

大きく東西南北の4区画に分割されている。

それぞれ東は工房、西は商業、南を住居、北は軍が

集中して集まっている。

もちろんそれだけしかないわけではないが。

街の外側がら内側に向かえば向かうほど

高級店や上等な店が多くなるのも特徴だ。

南側で言えば外壁に近ければ質素になり

バイラン城に近ければ貴族の住む豪邸が多い。


緑鹿亭は西区でも中央辺りに位置し大通りより

1本裏に入った通りに面していた。

裏と言っても色々と店も露店もあり

人も多いので治安が悪いという事もなさそうだ。


途中に商人ギルドがあったので

売物の検品と保管に寄る。

個人商人だと荷物を守るのも大変なので

扱う商品が多い場合はギルドに

保管を頼むのが安全だそうな。

もちろん手数料は取られる。

宿は商人ギルドとも近く便利だ。



台車を表に停めてブタ子が手続きに入ったので

俺とアリスは外で待つ事にした。


「活気のある街ですね」


「あぁ、そうだな

 人族以外も多い

 それに子供も結構いるな」


「それだけ良い統治されているんでしょうね」


「そうだな清潔感もあるし

 統治も上手くいってるようだ

 住んでる者の顔が明るいってのは

 良い街の証なんだよ」


ここで実里の情報は手に入るのでだろうか?

神は最初のポイントは近くしてくれると

言っていたきがするんだけどなぁ・・・。

お互いが判るようにもしてくれるとも言ってたから

ブタ子がそうってわけでもないだろうしな。


街の活気に充てられたのか

妙に心がソワソワする。



「ミノルさーん、アリスさーん

 宿取れましたよ」


「おう、ありがと」


「台車は裏に停める場所があるそうです」


「わかった、俺が牽いとくよ」


「お願いします」


ガラガラと台車を牽きながら裏手に回る。

停めて裏口から宿屋に入ろうとした時に



「よして!離しなさいよ!キャッ」


何処からか悲鳴が聞こえる。

咄嗟に体が反応し裏通りに出る。


「実留さん、もう一本裏です」


アリスの言葉を信じて走り出す。

大きな通りから数本裏に入れば流石に人は少なくなる。

そこは壁と壁の間のエアスポットのような

人気のない少し開けた所だ。


黒づくめでフードを深めに被った男2人に

羽交い絞めされている女が居た。

それと向き合っている男が3人。

女もフードを被っている為、顔は良くわからないが

若い女のようだ。

どうも気絶させられてらしい。


向かい合ってる男達は3人とも兵士のようだが。

ノイードの門番や街中で見る兵士とは

装備品が上等で品がある。

普通の兵士とは違うのか?

何処かのお抱え私兵かな。


「やめろ!離せ!

 お前たちが何をしているのかわかっているのか?」


「ハハハ、どうだろうな

 とりあえずお前らが何かすればコイツの命はないぜ」


そういってヒラヒラとナイフをチラつかせる。


「その方に傷一つ付けてみろ

 お前たちの命はないと思え!」


「さーて、どうだろうね

 とりあえず俺たちを逃がしてくれないかねぇ」


のらりくらりと会話をする黒づくめを

イライラする兵士。


う~ん、こりゃ駄目じゃね?

何か黒づくめの方は本気で逃げる事を考えてないのか

この場をどうにか出来る手段があるのか

どうにも緊張感がない。

会話の流れを見ていると兵士の分が悪そうだ。



物陰から様子を伺いながら考える。


「で、アリス君

 またもお約束なのだがどうするかね?」


「イベントが面倒なら無視しましょう」


「それも後味悪くねえか」


「じゃぁ、黒づくめに味方するのはどうです?」


「それ、バッドエンドしか想像つかねえよ」


「結局助けるんじゃないですか」


「まあな、王道は乗るからこそ王道よ」



それにさっきから心がザワザワしてイケないぜ。

女性を助けるのは男の役目ってね。



黒づくめの背後を取るために

少し高めの壁や建物を選択し登り

気付かれないように移動を開始する。


そして会話は相変わらず続いているが

まったく噛み合わない。


兵士の1人がが焦りを感じ剣を構えながら

ジリジリと距離を詰める。


「おっと下手に動くと傷つけちまうぜぇ」


フードの端をナイフで突きながら牽制する。


「くっくそ、待て!何が望みだ?」


「望みかぁ、のぞみねぇククク」



そこまで聞いたところでさっさと行動を開始する。

理由を聞きたい思いはあるが

そこまで首を突っ込みたくないのだ。


黒づくめの後方から躍りかかる。



≪大声≫発動。


「ヒギュッ」


唐突に間近から衝撃波のような大声を受けて

動きが止まったので

女の子を羽交い絞めにしていた方の首を噛みきる。

ん?なんだこの味?


チャンスとばかりに助けに来ればいいのに

兵士をみると耳を押えて悶えていた。

あっ、向こうも駄目だったのね。


ちなみに女の子の頭部には魔法で風壁を

同時発動し保護している。

男たるもの女性には紳士であれだね。

残り1人もそもまま首を噛み砕いた。


女の子には触らないでおく。

下手に近寄って兵士に絡まれたら嫌だからな。

兵士がヨロヨロと行動を再開したの確認する。


「実留さん!」


「ん?」


そこにはドロドロと溶けて地面に消えてゆく

黒づくめの姿があった。

あっけにとられてると直ぐに消えてしまい

そこには赤黒い染みがある地面だけだった。


「大丈夫ですかっ!」


フラフラになりながらも走り寄ってくる兵士達。

まぁ俺の大声の影響なんだけど

そんなんでフラフラになって兵士をやっていけるのかね?


2人が安否の確認をし

1人が俺と女の子の間に立つ。

剣は抜いていないものの警戒心はバリバリだ。


「貴方が助けてくれたのですかな」


「あぁ・・・そうだな」


「それは助かったが・・・貴方は誰だ?」


「そんな事はどうでもいい

 通りすがりに助けただけで

 これ以上深入りする気も興味もない

 近寄らないからとっとと行ってくれ」


「助けられたのに申し訳ない」


「あぁ、俺は何も見なかった

 言っても犬の事なんて誰も信用しないさ」


「感謝する


 よし!行くぞ丁寧に扱えよ」


機敏な動きで抱きかかえ通りに戻っていく。

いつ呼んだのか馬車が通りに停まり

ドアが開き丁寧に乗せられていく。



その時にフードがハラリと外れる。



キラキラと日の光に反射して流れる綺麗な金髪。

透き通るような肌の白さ。

顔の作りは美人と言って良いだろう。

幼さも残る顔つきだが逆にそれが神秘的な

美しさを高めている。

威厳とも神聖さとも言えるような女性だ。





それよりも・・・。




それよりも・・・。




「み・・・・・の・・・・り・・・・?」




日本人とはかけ離れた外見。

記憶にある実里とは似ても似つかない。



それでも。



それでも。



俺の心はあれが実里だと叫んでいる。





「みのりぃぃぃぃぃぃぃ!!!!」






ドアが閉まる一瞬、目を薄らと開く。


「お・・・に・・・い・・・ちゃ・・・ん・・・?」







そのまま馬車のドアは閉まり走り去った。










俺は唐突な出来事に身動きできずに居た。







やっと動きましたね。

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