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6-2

暑いですビチョビチョです。

でも辛くて熱い食べ物が美味しいです。

どうやら碌でもない場所に転生した森山実留です。

臭いです寝床が石です食事がマズイです。

アイテムボックスには調味料しかありません。

塩でも舐めますかね・・・。






「じゃぁ・・・まずは俺の事を説明するか・・・

 ってなんか変な気分だな

 一応はルームメイトって感じなのにな」


まぁこんな場所でルームメイトも何もないけどなと

寂しそうに空笑いをした。


「ごめん」


「謝んなって

 本当に俺は説明しか出来ないし

 それに何時かは俺とお前で命を賭ける事になるかもしれないしな」


「そ、そうなのか?」


「そこら辺は説明してやるさ

 まず俺の名前は2だ」


「2?数字か?」


「あぁ、お前は17だな

 此処にはA、B、C、Dのグループがあって

 それぞれが20人程度だ

 俺達のグループはAだから正確にはA17がお前だ」


「20人?

 ここには半分ちょっとしか居ないのか?」


「そうなっちまったと言うのが正しいな

 元々は此処にも20人居たのさ

 だから少し広く感じるだろ?」


「減った?」


「何人かは買われていった者も居るし

 合格して別の場所に移動した奴も居る

 それも全員じゃないがな

 大半はこの世にお別れしちまったな

 他のグループも同じようなもんさ」


「買われた?お別れ?

 そもそもここはどういった場所なんだ?」


「そんな事まで忘れたのか?

 本当に大丈夫か?」


「傷は痛むけどその他は大丈夫だと・・・思う」


「そうか・・・記憶喪失って奴か・・・

 本当に何も覚えていないのか?」


「うん・・・

 此処の事や自分の事なんかがスッポリと思い出せないんだ

 話せるし言ってる事も理解出来るんだけど・・・」


「そうか・・・そりゃまたアレだな・・・

 此処はなお前も俺も奴隷で闘士を作る養成所さ

 所謂、戦奴って奴だな」


「奴隷・・・戦奴・・・」


「お前も色々とあって此処にいるとは思うが

 それも分らないか?」


「あ・・・うん・・・」


「そうか・・・

 此処に居るのは全員が訳ありで

 好き好んで来るような場所じゃない

 それは分かるか?」


「なんとなくは」


「皆、自分の事は余り話したがらない

 だからお前の事も実は良く知らないんだ」


「そうか・・・」


「此処は死ぬか生きるかがギリギリの場所で

 過去がどうであろうと関係ないしな」


お前の所為で目が覚めちまったよ。

そう言って2番は色々と説明してくれた。

周囲では何時の間にか寝息が聞こえてくる。

皆、この環境に馴れてんだなぁ。





俺が今居る場所は獣人と亜人がメインのパーセラム王国。

あの王国南方領(グリフェリア)がある国だ。

そこの闘士養成所の1つである"勝利者の栄光"と言う組織に属しているらしい。

首都から割と近い場所にあるとの事だが地理がさっぱりなのでよくわからん。


闘士とはコロシアムと呼ばれる闘技場や

他にも様々な場所で戦い客を魅了し賭けの対象にされる者達の事だ。

簡単に言えば命を賭けて戦う事を仕事にした奴隷、つまり戦奴だ。


ちなみに国が戦争になった場合や魔獣対策等で戦力が必要な場合に

収集させられ国の戦力に組み込まれる事もあったりする。


一部の人気者や実力者は相当に稼げる。

奴隷と言えでも実力があれば登って行けるし人気も出る。

そうすれば給金も上がるし自分自身を買い戻し解放奴隷となる事も可能との事。


俺も驚いたんだが闘士が通常の奴隷と違う所は給金が発生するって点だ。

この国では闘士は正式な職業で給金が発生する。

所謂、ファイトマネーってやつだ。

その為、闘士として正式に国の管理部署に登録しなくては試合に出なくてはいけない。

それを効率良く管理し運営し商売にしているのが闘士養成所だ。


養成所に搾取され雀の涙程の少額と言えども単純な奴隷との差はデカい。

少しでも希望を持たせる為の飴と鞭だろうけどな。

だから皆が明日と自由を得る為に命を賭けて戦うって訳か・・・。


極僅かな可能性に掛けるしかない世界か。

もっとも可能性があるだけマシなのかもしれないけどな。

普通は奴隷は死ぬまで使われるだけだろうし。




さて現在の環境をある程度教えて貰った所で今の状況だ。

闘士として登録する前の段階で新人とさえ言えない訓練生が今の俺らしい。


まず闘士とはコロシアム等で戦う者の総称で登録制なのは理解した。

国の管理組織に届け出て実力を認められた者が闘士となれる。

"隷属の輪"にも"王国闘士管理局"って名前もあったし。


ちなみに闘士の全員が奴隷と言う訳でもない。

自分の腕のみで勝ち上がり名声と金を手に入れようとする者も大勢いるし

武者修行の為に戦いに来る者も居る。

では何故俺達のような存在がいるかと言うと

組織的に育成し戦わせた方が効率が良いからに他ならない。

だからそれを商売とする者も居るって事だ。


そして俺の体の元持ち主が失敗した試験内容だが

闘士と戦い力を見せる事だ。

大半は新人や下位の闘士が試験相手らしいが向こうは現役だ。

しかも通常使用している武具一式を装備している。


対してこちらは支給品の粗末な武具で戦わなければいけない。

勿論、大怪我を負う事もあるし死人も出る。

だが国からすれば大事なのは商品としての闘士で登録前の俺達じゃない。

そんな差はあって当たり前と言う事なんだそうだ。

一応、こちらが有利な点としては複数人って事だけだ。

登録もされてない新人同士に連携も何もないので効果は不明だけどね。

ぶっちゃけ闘士の訓練を兼ねてると言うよりは

訓練の一部に試験を兼ねている感じなんだろうな。


勝つ事が目的じゃ無くて動きを見せて一定ラインに達していたら合格らしいが

そこで俺は大怪我をおって死にかけたって訳だ。

逆に考えれば試験に出せる程度には訓練されてたって事だろう。


「それにしても詳しいな

 この国ではそんなにメジャーな情報なのか?」


「いや・・・・・まぁ・・・・広く知られていると言えばそうだが

 俺の場合は元がな・・・・」


「あ、此処に来る前のか」


「そうだ・・・・まぁそれは良いさ

 今は俺もお前も闘士になる前の唯の奴隷さ」


「それは・・・・その・・・ごめん・・・」


「はは、謝る事はないさ

 俺もいきなりこんな所に放り出されたら色々と聞きたくもなる

 それが今はここに馴れちまってる・・・」


2番は笑うが何かを思いつめた様な光りが目に宿っている気がする。


「2番・・・いや・・・名前を教えてくれないか?」


「名前・・・・ね

 ここじゃ名前で呼ぶ事は禁止されてるからな

 いつしか皆、番号で呼ばれる事に馴れちまうんだ

 それに何時死ぬかもわからないし闘士になったら殺しあうかもしれない

 だから此処の奴らの名前も知らないし知ろうとも思わない」


「そうなのか?」


「闘士として登録されれば名乗る事を許されるんだ

 元々、名前が無い奴には名前が貰える

 それを励みに頑張る奴も多いのさ

 やっぱ番号で呼ばれるのは嫌だしな

 だが此処にいる内はそれが良い・・・・お互いにな」


「そっか・・・・」


「はは、今日はもう寝ろ

 それで暫くは具合の悪いフリをしてろよ

 明日は多分休みが貰えるが大丈夫だと知られたら訓練が始まるぞ

 その傷、もう治ってきてるんだろ?」


「わかるのか?」


「ここじゃ簡単な消毒と手当位しかして貰えないんだが

 手当時に質は高くなさそうだったが薬を使われてたしな

 滅多な事じゃ使わせて貰えないから

 一応は死なせたら勿体ないと判断されたんだろ」


ふむ、そんな扱いなのっかよ。

死なせるには惜しいと判断されなきゃ使って貰えないか。

逆に言えばそれ位で死ぬなら不必要って判断って事か。


「良いんだか悪いんだか・・・」


「それにまぁあんな怪我で死んでないんだ

 自分自身の何かもあるんだろ?

 俺も似た様なもんだしな」


「そうなの?」


「この国じゃ死の間際まで行った奴は何かを得れるって話があってな

 時折、著しい成長をしたり何かの能力に目覚めたりな

 全員がそうじゃないし殆どの奴が死んじまうけどな」


「じゃぁ2番も死にかけたのか?」


「いや、俺は生まれつきだ

 と言うよりも血の問題だな

 ちょっとばかし人族以外の血が流れててな

 それで体が少しばかり丈夫なだけだ


 ・・・・ったく何の話をしてるんだかな

 もう寝ろ」


「あぁ・・・・ごめん」


「だから謝る事じゃねーよ

 ふふ・・・・なんだかな此処に来てこんなに話すのは

 初めてのような気がするな

 まぁ悪い気分じゃねーけどな」


そう言って笑うと2番は部屋を見て回り全員の様子を見に行った。

俺もやる事も無いから冷たく硬い床にゴロンと寝っころがる。


奴隷で闘士を目指すねぇ。

なんともまた厄介な状況だぜ。

この体の元持ち主の素性すらわからないしな。

俺は実里と暮らせたら良いだけなんだけどな。


そもそも俺はこの世界で何がしたいんだろうな。

実里に会ってどうすれば良いんだろう。

俺と同じで記憶を持ってはいるが

アイツにはこっちでの生活があるし人生がある。


それに比べて俺は根無し草だ。

こっちの世界にも親は居るが子供である俺は死んでる。

母犬は牛になった俺を子供として認識してくれるんだろうか?

あれは同じ系統だから何とかなったんじゃないかと思わんでもない。

じゃぁ今の俺は?

母牛や母犬は子供と認識してくれるのか?


本当・・・・俺って何がしたいんだろうな。

答えの出ない思考の海に漂っていると隣にドサリと音がする。


「全員無事でもう寝ちまってる

 最近は余り無かったが最初は良くあったからな

 皆馴れたもんさ」


「ありがとう」


「まぁ記憶が飛んでるってなら仕方ないだろ

 明日、俺から皆に説明してやるから今日の所は寝ろ」


「わかった

 おやすみ」


「あぁ、おやすみ」


寝れるかよと思ったが体は回復しきってないのか

直ぐに眠気が襲ってくる。

これからどうなるのかね・・・・・


と、眠りに落ちる直前に小声が聞こえた。


「俺の名前はサエリア・・・だ

 覚えておかなくてもいいぞ」


振返ると隣の声の主は背を向けて寝息を立て始めた。

ふむ・・・・何とも厄介な状況だ。

絶対にアイツは何処かで笑ってやがるだろなぁ。





翌日は部屋で過ごした。

俺以外の全員は朝から訓練に出て夜まで帰って来なかった。

ここは寝るだけの場所のようだ。


夕方にサエリアが帰ってきたので聞いてみると

昼の間に同室の者と教官達には事情を説明しておいてくれたそうだ。

さて俺の扱いはどうなるかだよな。


それに今はこの部屋しか知らないけど

1人だけの時間が得られるのは無さそうだ。

外に監視も居るしな。

またもやアリスを呼ぶのは当分先になりそうだ。


食事も質素ではあるが量は満足する分が出た。

体は資本だからと言う事だろう。

そりゃ食べんと戦えないよな。

昨日のは簡易的な保存食的な感じだったんだろう。


夜は訓練で疲れた体に配られた食事を淡々と入れて寝る。

そこには最低限の会話しか無い。

皆も途中で起こされたんだし眠いよな。


部屋は薄暗く周囲が泥の様に寝る中で

俺はどうするべきか考えながら睡魔に身を任せた。

アイテムボックスは神シス経由なので使えるみたいです。

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