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天気が良く無くて外出したくないなぁ。



楽しそうに鼻歌なんぞを歌いながら色々と考えている神を見ると

猛烈に嫌な予感しかしない。


【そうだねぇ・・・僕としては認めてあげたいんだけど

 上司達にすれば罰しなければ駄目だろうね

 他へのケジメもあるだろうし】


「あまり変な事はするなよ」


【うーん、悩ましいね

 もういっその事さ君の従属神扱いにしちゃう?

 あの天使君みたいにいつでも召喚できるようにさ】


「えー、そりゃ色々と便利だけど召喚コストがなぁ

 そういや神を召喚ってのに妙にコスト低くなかったか?

 以前のロズの時よりも低かったぞ

 更に言えばロズも妙に低い気がしたな

 今って半神だから更にコスト上がってるハズだろ?

 どちらにせよ1体が限界だったけど・・・・」


【うんうん

 君の体には神の血がちょびっと受け継がれてたからね

 それが媒体になってたんだよ

 次の種族にもよるけどもうそんな特典は付かないと思うよ

 迷宮神君も天使君も通常コストだと召喚厳しいかもね】


「だよなぁ・・・・・

 ロズも天使の時でギリギリだったもんな

 それが神と半神じゃ普通は召喚出来ないよな」


【まぁ、必要コストの削減と魔力量の増大を頑張れば

 そのうち大丈夫になるんじゃないかな

 もっとも神と召喚契約するなんて滅多に居ないから

 そんな事を悩む必要も無いんだけどね】


「そうなの?

 まぁ俺も向こうのミスで契約しちゃったようなもんだけど」


【普通は神に遭遇できる機会なんて人生に1度あったら相当な奇跡レベルだよ】


「そんなもんかねぇ

 俺にはよくわかんないけど

 現に何回も遭遇しちゃってるし

 向こうから会いにきちゃう神もいたぞ」


【全体的に見れば全然知られて無いけど

 自分が司る内容によっては注目する神も居るだろうね】


「あぁそんな事言ってたな」


【前にも話したと思うけど僕達は能力が前提で成り立ってる存在だからね

 その所為もあって自分が司る事柄はとても重要なんだよ】


「なるほどね・・・・・

 それで俺に目を付けてわざわざ見に来たんだな

 ちなみにそれは悪い事だったりする?」


【悪い事でも禁止されてる事でもないよ

 現世に直接的に大きな影響を及ぼした訳じゃ無いしね

 ちゃんと空間隔離してたし】

 

「思いっきり現世で色々しちゃったファーバンは色々とマズイ訳か・・・」


【そうなんだよねぇ

 現世の者と色々と関わった上に勝手にシステムを使って

 更には上司の権限まで無断拝借だしなぁ】


「そう言われると・・・・俺にも責任あるしな・・・・

 呼び出して対処させたのはコッチだし

 正直な所、それで助かったてのもあるし」


【あはは、君は優しいなぁ

 僕的にもね彼には何とかしてあげたいんだよね

 君を助けてくれたのは間違いないんだし】


そう言って懐から紙コップを2個取出して口と耳に当てた。

勿論、紙コップの底からは糸が出ているが

謎の力によりピンと張りつめて1m程度の所でプツリと途絶えている。

こちらを見ながらニヤニヤしてる神には絶対に突っ込みたくない。

無視してると少しだけ残念そうな顔をしたのが面白かった。


【もう・・・ちゃんと突っ込んでよね

 まぁ良いか


 ピッピッポッパッ】


「糸電話なのにダイヤルがいるのかよっ!

 しかも口じゃねーか!」


つっこんじまったー!と落ち込んでると

満足そうな顔をされた。


【もしもーし、※※※※君

 例のさ・・・・うん・・迷宮神君を呼んでくれる?

 うんうん・・・・

 場所はこっちで用意するからさ

 ・・・・そうそう・・・そんな感じでね!

 わかってるなぁ・・・・うんうん

 じゃ・・・・うん・・・頼むね】


相変わらず※※※※君とやらの名前は俺には聞こえないが

気にしても仕方がないだろう。

今の会話を聞くにファーバンをここに呼ぶって事なのかな?


【ここには呼ばないよ

 というか呼べないね

 何回も言ってるけどここは世界の狭間

 どこの世界でもない場所なんだよね

 だから少し移動するよ】


通話(?)を終えた神がスッと指を動かすと

何時の間にか扉・・・じゃない襖が現れていた。

どうみても襖が自立してるだけです。

裏も何もありません。


だから勝手に読むなって・・・・。


【あはは

 じゃ、行こうか】


そう言って襖を開けると何もないコンクリートの打ちっぱなしの部屋の中央に

スチール製っぽい質素な机と椅子だけがありファーバンが座っていた。

反対側にも取っ手の着いた扉があったが何処に繋がってるんだろうか?


【戻って来れなくなるから向こうの扉は行っちゃ駄目だよ

 あと君の姿は彼に分かるようになってるからね】


そう釘をさしてくる神に続いて部屋に入る。

ファーバンは神の顔は知らなかったようで俺の顔をみるなり怒鳴り出した。


「おい!お前!またお前か!

 こんな場所に急に呼出しおって!

 そもそも何故お前が此処に居る!

 ここは神界だぞ!現世の者が居て良い場所じゃない」


「ま・・・まぁ、落ち着いてよ

 無事に老人神も送り帰したんだからさ

 一応は成功じゃない!ね!」


「お前から見てら成功かもしれんがな!

 こっちはそうじゃないんだ!

 一方的に迷惑を掛けておいてなんだその言い方は!」


やたらと俺には高圧的に雫を飛ばしながら食ってかかってくる。


【まぁまぁ落ち着きなよ】


「なんだ貴様は!」


おいおい神の最高峰に貴様呼ばわりかよ。


「俺に加護を与えてくれている神様で

 ファーバンを呼んだ人(神)かな」


それを聞いて更に調子に乗るリーマン神。


「フン、この場所に来れるのだからある程度の位はあるだろうが

 碌な神力も感じられんな

 どうせ碌なモノを司ってはおらん地位だけの者だろ」


コイツは何処からそんな自信が湧き出てくるんだろうか・・・・。

お前だって下級神だろうに。

迷宮を司ると言っても管理している数居る神の1人だろ?

・・・まぁ目の前の神の実力がわからんのも仕方がないのか。

だがそう言われてみれば・・・・確かに

神気っぽいのは殆ど感じた事ないよなぁ。


ちなみに神力って何だい?と小声で聞いたら能力的なモノだそうだ。

簡単に言えば

神力:司る事柄や力そのものや何が出来るかと言った能力を指す

神気:力強さを指す

と言う事らしい。

俺で言うスキルと魔力みたいなもんでいいらしい。


ふむ・・・・・流石に神力や司る事柄までは俺じゃ感じれないな。

神同士だとそう言った事もわかるんだろうか。


俺的にはファーバンがどうなろうと構わないが

なんつうかこう・・・・馬鹿だなぁと・・・・。


【うんうん、話には聞いてたけど君は面白いね

 それに僕の事なんてどうでも良いよね

 大事なのは僕が君に何をしてあげれるかだしね】


心底、面白がってんなと思いつつ口を出さないようにする。


「何かするだと?

 幾ら私より上位の神とは言え直属の眷属でもないのに

 そんな事が出来る訳ないだろうに・・・

 ヤレヤレ・・・全く付き合ってられんね

 この件は上を通して厳重に抗議させて貰うからな」


ファーバン節は何処まで行っても健在だ。

そもそもここに来たのって直の上司に言われたからじゃないの?

となるとその上司は更に上から言われたと考えられないの?

神の事だから呼出し理由も秘密にしてあるだろうけど

呼ばれた時点で自分より格上が来てるとは考えないのだろうか?

神を見るとニヤっとしたので秘密にしてあるのは間違いないと思う。


【うーん、そうだなぁ

 今回、君がやった事を洗い出してみようか】


そう言って指先を振ると空間に半透明の大画面が出現し

情報がガーっと表示された。

読めはしないが意味はわかるのが不思議だ。

そこはまぁ神だしな・・・。

細かい部分までは理解出来ないけど

時系列でファーバンの行動が書いてるようだ。


「なっ!こ・・・・これは・・・・」


【とりあえず僕の加護者が関わる部分だけ抽出してっと】


「え?なんだ?なんなんだ?」


状況が宜しく無い事に少しづつ気が付いて来たのか

ファーバンがオロオロしだす。


【うーん、こりゃまた色々とやらかしてるね

 迷宮の設定をミスったり迷宮リソース管理も宜しくないね

 神とあろう者が現世の民に契約させらりたりねぇ・・・

 今回の対処も良くないなぁ

 うん・・・実に良くないなぁ】


しらじらしい神の台詞にファーバンがビビりるも

強気な姿勢は崩さない。

それが神は面白いようだ。


「だから何だと言うんだ!

 私にも落ち度があったのは認めよう

 だがそれは私達の問題だ

 別の眷属がどうこう出来る問題じゃない

 それにだ!自分の加護者がどうこう言うが

 その者がここに居る事自体が現世に直接関与することにならないのか?

 そちらの方が問題だろう」


くぅ~、ファーバン節炸裂で逆に気持ちが良いぜ。

神は完全にニヤニヤしてるし可哀想でならない。


【うん、だから君の意見は関係ないんだよね

 僕がどうしたいかって事だからね


 ・・・・・・じゃぁ、神力の一部取り上げちゃおうか

 罰って事だしそれ位は良いよね】


「はぁ?」


ファーバンが口をあんぐりと開けて馬鹿っぽい顔をする。


【そんなに取り上げないから安心してよ

 君の役割には影響出ない程度にするからさ

 元からそんなに大きい神力がある訳じゃないんだから

 頑張れば取り戻すのもそんなに苦労しないでしょ】


「は?な?何を言っている?

 神力を取り上げる?

 馬鹿にするのもいい加減にしろ!

 そんな事は眷属を率いる高位神様でも無い限り無理だ!」


クスクスと笑う神と怒鳴り散らすファーバンを見て

正直可哀想になってきたので口を挟む事にする。


「あのさ・・・・今の状況を考えると上司から呼ばれたんだろ?

 その上司ももっと上から指示されてると思わないの?

 しかも眷属ってのが良く分らないけど

 もしこの神が自分の属する系列じゃないとしても

 それを越えてでも指示できるような立場だと想像出来ない?

 又は単純に自分が知らないだけでもっと上の方の神だとかさ」


そこまで言われてやっと気が付いたようだ。

こいつは本当にアホだな。

隣でニヤニヤが止まらない神もアレだが。


「お・・・・おま・・・・お前の加護を授けてる神と言うのは?」


隣に居るんだから直に聞けよと言いたい所だが

顔色が青くなって冷や汗で顔がビチョビチョなのを見ちゃうとね。


「本人からちゃんと名乗られた事はないから

 正式な名前なのかはわからないけど

 現世ではグラバスって呼ばれてるかな」


「グラ・・・・バス・・・・?」


みるみると顔が青を通り越して白くなっていき

汗が顎をつたいポタポタと垂れだした・・・きったねぇな。


「そ・・・・それは・・・・

 せせせせせ・・・・せかせか・・・・

 せ・・か・・・い・・・し・・・ん・・・さま・・・と・・・言う事・・か?」


「あー、そう呼ばれてるね

 魔王と勇者と聖女に加護を与えていて俺が4人目みたい」


そこまで言う必要も無いかなと思ったけど説明してあげた。

ファーバンは現世に興味が無いから加護者が誰かなんてどうでも良かったんだろう。

聖女も魔王の事も知らない位だしな。


バターンと音と共にファーバンは机につっぷした。

と思ったら泡を吹いて気絶してた。


「神でも・・・気絶とか・・・すんだな」


【うんうん

 そりゃするよ

 まぁ厳密に言えば君達のとは違うかもしれないけどね】


「そんなもんなのかね」


【あはは、でもまぁ丁度良いから今の内にやっちゃおう】


神はそう言うなり何処からか大きいハリセンを取り出し。

おもいっきり頭をぶっ叩いた。

その衝撃は反動でファーバンの頭が机から浮く位だ。

唐突の行動に驚いていると神は手の平に光る粒を乗せていた。


【これが徴収した神力だよ】


「絶対に今のハリセン必要ないだろ?」


【何事も演出は必要じゃない?】


「不必要な演出はどうかと思うぞ

 それでその力はどうするの?

 ってか神力ってどんなもんなんだ?」


【そうだねぇ・・・もし君に渡して

 全てを自分の能力値に変換する事が出来たら

 それこそ一気に勇者君や魔王君に追い付けるかもね】


「すげーな!

 流石は神の力って事か」


【この彼も下っ端だけど神には違いないからね

 こんな僅かな神力でも現世では大きな力だよ】


「で?くれるの?」


【どうしようかなぁ・・・・】


俺の問いかけにニヤニヤする神。

相変わらず厭らしい性格だぜ。


【まぁ・・・あげても良いけどお勧めはしないかな】


「どういう事?」


【神の力だからね

 体を持った者が持つには内包する力が大きすぎるんだ

 自我が崩壊するか肉体が弾け飛ぶか人外の存在になってしまうか

 まぁ悪い事を考えたら色々とあるね

 君の魂なら耐えられるかもしれないけど分の悪い賭けだと思うよ】


「う・・・うん・・・やめとこうかな」


【それが良いね

 ここは狭間に僕が作り出した世界だから

 現世よりも神界に近いんだよね

 そして今の君は仮初の身を持つけど精神体に近い

 魂の情報量に限界は無いとは言え

 それでも今の感じじゃまだ受け入れるのは厳しいかな】


「その言い分だと抜け道があったり

 今後の成長によっては大丈夫になるって事か?」


【うんうん、君は相変わらずで嬉しいよ

 寧ろ現世でならスキル経由で神の力を取込む事は可能かな

 義体の素材を取込んだようにね

 現世で神の力を入手するにはどうすれば良いのかって問題はあるけどね

 あるいは君の魂が更に成長しすればこの場所での譲渡も出来るようになるかもね】


「なるほどな・・・・

 確かに神の力って言って良いかわからないけど

 義体だか何だかの素材は取込めたもんな」


【あれもまぁ間接的には神力の一部が含まれてるからね

 それが純度も濃度も遥かに高いんだ

 受け入れ側にも素質は必要さ】


「じゃぁどうすんの?」


【そうだねぇ・・・・まぁここじゃなんだから

 元の部屋に戻ろうか】


「ファーバンはどうするのさ?」


【あぁ、そうだね】


そう言って指をスッと動かすと反対側の

明らかに引くか押すタイプの扉がスライドして開くと

某赤絨毯の最後の様にファーバンを乗せたまま移動して消えて行った。

扉の奥は真っ暗で何も見えなかったが今の演出を合わせて気にしちゃいけないと思う。


「ところでさ神力を取り上げただけだと罰だけなんじゃね?

 何かしてあげたいとか言ってたじゃん」


【ん?あぁそれね

 寧ろアレで丁度良い位だと思うよ】


「そうなのか?

 罰しか与えてなくね?」


【あのまま上司からの処罰を待ってたら

 迷宮神としての眷属を外されて属神扱いになるか

 次元牢獄に幽閉されるとかだっただろうね】


「次元牢獄って名前がこえーよ

 となると恩情って形で落としたって事か?」


【うんうん、そうなるね

 僕が直接関与したからこそ僅かな神力の徴収で済むのさ

 流石に天使君みたいに何かを授けるって訳にはいかないよ

 あ、ちなみに次元牢獄って高次元の存在を幽閉する場所ね

 見学してみる?

 確か・・・・今なら10万年位入ってるのとか居るけど?】


「いいよ!やだよ!こえーよ!」


俺の反応が楽しかったのかニヤついたまま扉をくぐる神に

あきれつつ続いて元の部屋に戻った。

ファーバン節炸裂!

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