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5-53

まだまだ続きそうです。

迷宮から迷宮に直に移動した森山実留です。

明らかに人の世の仕組みを無視してる気がしますが

気にしないでおこうと思います。

きっと上の方ではゲラゲラ笑っているんでしょうから。

所詮はこの世なんて神の遊び場なんですよ・・・きっと。





扉の先は薄暗く小さな部屋のようだった。


「いいか1日だからな

 この通路が使えるのもアイツを抑え込めるのもそれが限界だ

 それまでに聖女とやらを連れて来い」


「わかった」


「この部屋の入り口は隠しておく

 お前が来れば自動で開くから安心しろ」


「わかった」


俺が返事をするとファーバンは扉に戻って行った。


「うし!行くか!」


俺はアリスとルーブを連れて迷宮へと踏み出した。




出発前に簡単に説明はされたが

この迷宮は深層型の迷宮で最下層は100階にもなる。

現れる魔物も極悪なのが多く

古くから存在する迷宮の1つなんだそうだ。

今はサイラスの地下深くに眠り殆ど利用者が居ないとの事。


今はその迷宮の地下1階層の端に居る。

1階層の地図は見せて貰ったので迷わずに進める。

もっとも2階層以降の情報は教えて貰えなかったんだけど。


「なんかこの迷宮は凄いですね・・・・

 他の迷宮とは格が違うのを感じます」


「これほどの規模の迷宮が首都の地下にあるのに

 存在を知られていないのが不思議だよな」


「ですよね・・・・・

 こんな場所が地下にあって地上に影響が出ないハズないですし」


「だよなぁ」


アリスと話しながらも警戒しながら地図を頼りに進む。

だが周囲には魔物の類の反応は無い。

ネズミか何かの小物は居るようだが特に危険な存在は感知出来てない。

頭の上のルーブも特に反応は無く大人しくしてるし。

俺の感知エリアに居ないだけじゃないのか?


迷宮の出入り口部分に差し掛かると更に謎が深まる。

高度な結界と封印が幾重にも張り巡らされていたからだ。

だが出入りを制限するよな作りではなく

周囲に影響を及ぼさないのと隠匿の効果がメインのように見受けられる。

設置してある魔道具や結界具も通常手段では破壊や加工は難しい位に

強固な保護が施してある。

ある程度は自動修復するような作りにもなっていて

出入り口の向こうには登り階段が見える。


「≪構造解析≫してないから良く分らんけど

 妙に凝った作りの結界だな・・・・

 幾つか不明な構成と言うか無駄な構成式が多い気がする」


「そうなんですか?」


「あぁ・・・迷宮の影響抑えるだけなら

 こんなに複雑化しなくてもよさそうなものなんだけどな・・・・

 他に意図があるかもしれないけど

 出入りを禁じてる訳でもないんだよな

 現状じゃ読みきれないや」


「街に影響が出ない様にしてるんでしょうか?

 それでも誰かが入って来たらどうするんでしょうね」


「それはこの先に進めばわかりそうなきもするけどな」


「迷宮は結構な地下と言っていたので

 あの階段が何処まで上がるかですよね」


「だな

 首都の地図が手に入れば良かったんだけどな」


「モリスさんなら持ってたかもしれないですけど」


「上に戻る時間が無かったしな

 まぁ迷宮から出るんだから危険は無いだろ

 何処に出るかは行ってみるしかないさ」


出入り口を過ぎると・・・・。


「え?迷宮の気配が消えた?

 と言うより物凄く小さくなった?」


「私には全然感じられないですよ・・・・

 ここまで高度な結界が必要なんですかね?」


「出入り口に設置されていた魔道具や結界具

 それに刻まれていた魔法陣等からだと

 そこまでじゃないと思ったんだけどな

 もしかしたらあれは一部でしかなく

 もっと大規模に展開しているのかもな

 無駄に見えた構築式はその為のものなのかも」


「何者かに存在を隠された迷宮ですか・・・・

 妙に胡散臭いですね」


「まあ・・・な

 その誰かは間違いなく上に居るだろうけどな」


「ですよね・・・・

 知らない訳ないですよね」


「だよなぁ」


やっぱりこの先にはアイツが居るかと思うと

気分が滅入りながらも薄暗い階段を上がって行った。




明かりの魔道具が設置されていたが

全体に薄暗い階段を上って行った。

罠を警戒して進んだので時間は掛ったが特段何も無かった。

段数も感覚で言えば高層ビルに相当する気がする。


階段を最後まで上がりきると扉があり

それを開けると小さな祭壇が奉ってある部屋だった。


「何か妙に魔力が濃い部屋だな」


「ですね・・・・と言うか

 アレの所為じゃないですか?」


「だな・・・祭壇じゃなくて

 その脇にあるヤツだよな」


そこには武具が佇んでいた。

鈍い銀色の軽鎧が一式に漆黒のような深い闇を思わせる外套。

その脇には小ぶりの直剣と巨大な大剣だ。

鎧も2振りの剣も形はシンプルだが装飾は丁寧で質の良さを伺える。

外套はフードが付いているタイプで装飾は淵に銀色のラインがあるだけだ。

それらからは圧倒的な力強さを感じる。


=========================

≪魔王の直剣≫


魔王が自ら作り出した小ぶりの直剣。

絶大なる威力を誇り魔法の発動媒体にも使用出来る。

自らの意志を持ち更なる力を求め成長する。

未熟者では扱う事すら不可能。


種類:武器

等級:遺物級

品質:高品質

作成者:アグレイア・グロイアス

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≪魔王の大剣≫


魔王が自ら作り出した巨大な剣。

様々な属性を扱える魔法剣で絶大なる威力を誇る。

自らの意志を持ち更なる力を求め成長する。

未熟者では扱う事すら不可能。


種類:武器

等級:遺物級

品質:高品質

作成者:アグレイア・グロイアス

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=========================

≪魔王の軽鎧≫


魔王が自ら作り出した軽鎧の一式。

見た目からは想像も出来ない程の防御力を誇り

装着者を保護する結界を常時展開している。

自らの意志を持ち更なる力を求め成長する。

未熟者では扱う事すら不可能。


種類:防具

等級:遺物級

品質:高品質

作成者:アグレイア・グロイアス

=========================

=========================

≪魔王の外套≫


魔王が自ら作り出した外套。

物理防御は高くないが魔法防御は高い。

魔力を糧とし光りを遮り闇と同化する効果がある。

自己治癒能力がある。


種類:防具

等級:遺物級

品質:高品質

作成者:アグレイア・グロイアス

=========================


「多分、魔王の武具ですよね?」


「≪鑑定≫でもそうなってるな」


「どうしますか?」


「どうするって何をさ?」


「相当に凄そうですし

 ちょろっとしては?」


「うーーーーーーーん

 止めといた・・・・方が良いだろうな

 下手に敵に回したくないしな

 それに未熟者じゃ扱えないみたいだし」


「実留さんが未熟者って感じはしないですけどね」


「まぁ・・・でも基準が魔王だしな

 外套は使えそうだけど触らんでおこう」


アリスを促して先に進む。

外套はちょっと・・・いや相当に欲しいけど

今使ってるラバリオ製のがあるしなぁ。


そういや魔王の本名っアアグレイア・グロイアスって言うのかな?

ロージスが名前じゃなかったっけか?




祭壇の部屋の隣はまた部屋だった。


「寝室・・・ですかね?」


「そんな感じを受けるけど

 なんか変な感じがするな・・・・」


壁、天井、床の何処にも装飾は無く石の素材がそのままで窓すら無く

装飾と言った物が何一つ存在しない部屋。

魔道具による明かりが唯一の装飾のようだ。

壁一面を埋める本棚。

大きな机に散らばった書類。

それだけを見るなら書斎が近いだろう。

部屋の中央に大きなシンプルなベットさえ無ければ。


隣の武具の事を考えればここは魔王の寝室。

魔王領の頂点の人物としては余りにも質素で味気ない部屋だ。

人の居た形跡もあり何処からか少し甘い匂いもするのに

暖かみがが感じられない寂しい空気を持つ部屋だった。


「魔王の寝室ね・・・・・つうか

 あの迷宮って魔王しか行けないって事なのか?」


「他に出入り口があるとは思えませんし

 あったとしたら迷宮側から魔王の寝室に乗込めちゃいますしね」


「ファーバンも利用者が殆ど居ないって言ってたし

 やっぱり魔王が秘匿している迷宮なのかもな」


「なのでしょうか

 それにしてもこの部屋を見ると

 どうも前に会った時の魔王とイメージが合いませんね」


「それは思ったな

 もっと自由気ままな感じかと思ったんだけどな

 どうもこういうのを見ちゃうとな・・・」


魔王の素顔を見てしまった様な気もするが

そこは気にしても仕方がない。

なるべく物には触れないようにし部屋を後にする。


ここで初めて窓がある場所に出た。

そっと見下ろすと街が広がっている。

ふむ・・・ここはやはり首都サイラスで

それもシンボルである魔王城の一角だろう。


短い通路の先には豪華な布を惜しげもなく使ったカーテンが垂れ下がっていた。

音を立てずに重いカーテンをそっと押しのけて表に出ると


いよいよ目的地が近づいてきたのが分かり足が止まる。

この先に魔王が居る・・・・多分、実里ともう1人。


階段からでも感じる濃密な力の気配。

大きく力強いのが3人程。

以前感じた事があるからこそ分かる者達が居る。

世界神の加護を受けし三人が間違いなくそこに。




魔法を使うと感知されるかもしれないので

出来る限り気配を殺し息を潜める。

俺が居るのは玉座の後ろの少し高台となっている場所だ。

少女のような姿の魔王が玉座に座り

実里と見た事の無い青年が会話をしている。


魔王は後ろ姿だけだが以前に比べて髪が伸びている気がする。

黒地に金と赤で刺繍が施されたマントを羽織、尊大な態度で

玉座から二人を見下ろしている。


実里は上から下までを白地に青い刺繍のローブ姿だ。

質素なデザインなのは旅路用の服装なのだろう。

それでも凛とした姿は神聖な空気を纏い絵になる。


青年は見た事が無いが漂う気配は以前に感じたモノと似ている。

だが魔王や実里に比べて発している圧力は弱い。

冒険者っぽく見える。

多分、勇者の操りし者なんだろう。


各自の態度は違っていても一歩も引かない気概だけは感じれる。

この場には他の気配が感知出来ない事から

人払いはしているのだろう。


何かあっても聖女である実里と憑代の勇者じゃ魔王を倒せないだろうしな。

逆に言えば魔王が戦いを選択しても実里は逃げ切れる位は防御に長けているし

勇者は倒された所で憑代だ。

純粋に話し合いの場と考えれば安心なのかもしれない。

空気がピリピリして気持ち悪い程だけど。


俺は這いつくばり視線と聴覚を強化し場を伺う事にした。

魔王の武具パクりたい衝動をよく抑えれましたw


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