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5-52

この章は長くなりそうです・・・・。


神さえも従えし漢の森山実留です。

ついにこの手札を切る時がきましたね。

フハハハ。

神をも使うなんて素晴らしいじゃないですか。

フハハハハハ。








呼び出されたファーバンは物凄い焦っていた。

神なのに焦る事もあるんだなーと冷静に思う俺が居た。

まぁコイツは神でも下級の上に迷宮神でも下っ端だしな。

妙に下っ端臭がするし。


「お、おい!お前!

 お前が呼んだのか?」


ロープでグルグル巻きにされ床に這いつくばったまま答える。


「あぁ、俺が召喚した

 ちょっと助けてくれないかな?」


「よ・・・呼び・・・呼び出しただと!

 私は神だぞ?

 それを召喚するだなんて!

 ありえないだろうっ」


「召喚出来たんだから良いじゃないか」


前から疑問だったがどうにもこの体は

神系に対して融通が利くみたいなんだ。

竜の血は実際に効果が出てるから納得してたんだが

神の血は?ってなると具体的には不明だったが気になる事はあった。


それはロズの召喚時に以前よりもずっと消費魔力が少なかった事。

何回か発動寸前まで試してみたがロズやファーバンの召喚に必要な魔力は

この体になる前に比べて劇的に少なくなっていた。

それでも結構な量をもっていかれるが

神や半神を召喚するって割にはコストが低すぎると思う。


仕組みは謎だが・・・・多分体に流れる神の血の残滓って事なんだろう。

更に言えば神気に対する抵抗力なんかも上がってるのも今回で確認出来た。


それでも自前の魔力だけではロズかファーバンのどちらかしか召喚出来ない。

ならば半神のロズよりも迷宮神であるファーバンだろう。


「お前!前回の時に契約は破棄したんじゃなかったのか?!」


「あー、あの時ね・・・・有耶無耶のままで

 そのままだったんだよね」


「そっそんな事が!」


確認しなかったのはそっちのミスだろうとは思うが

俺もあえて突っ込まなかったのでそのままにしておいただけなんだけどな。


そんなファーバンは顔を真っ赤にして怒鳴り散らしながらも

例のロープが襲い掛って来るのを障壁を展開し防いでいた。


「おぉ?なんだこれは?

 力が・・・吸い取られる?」


当たった部分がパチパチと弾け障壁が薄くなった事に驚く。

そんなタイミングで素が出ちゃうのも下っ端っぽいけどな。


「それに触れられると力が吸い取られるみたいだぞ」


「そんなまさか!

 私から吸い取る?

 神気を?」


「実際に吸われてるんだろ?

 それにそのロープは上の老人が操ってるみたいだけど

 あれも神らしいぞ」


「確かに神気は感じはするが・・・あれが神?

 いやでも・・・・だが・・・・」


障壁を張りつつ考え込むファーバン。


そういえば拘束はされているものの

力が抜けていく感じは消えていた。

何とか顔を動かし老人神を見ると

ブツブツと呟きながらファーバンしか見ていない。

聴覚を強化してみると


「ちか・・・ら・・・・・・・神・・の・・力・・・・」


そう呟いていた。

どうやら俺達のような小物よりもファーバンの方がお気に召したようだ。

そりゃああ見えて神だからな。


『アリス、拘束を何とか出来るか?』


『現状でも私の力じゃ無理です』


『わかった

 とりあえずルーブと合流して退避していてくれ』


『最悪の場合はルーブちゃんだけでも逃がしますね』


『あぁ、頼む

 俺達は死んでも何とかなるしな』


『死ぬ事が選択肢に普通にあるのは嫌ですけどね・・・』


念の為に部屋の入り口にルーブを置いてきて良かったぜ。

アリスはコソコソと移動して入口に移動して行った。


何とか残りの魔力を集めて拘束するロープを切りだすが

召喚で大幅に魔力が減っているので作業が遅い。


そんな中、ファーバンはスーツの内側から電話の様な物を取り出した。

どうやら何処かに電話を掛けるようだ。


「もしもし、はい

 ファーバンです

 緊急事態になりまして・・・ええ・・・」


「はい・・・現世に・・・ええ・・・

 神の・・・ですね・

 廃棄と・・・・はい・・・・」


「本当ですか?

 そんなに上の?」


「それでも・・・はい・・・対応が必要になると」


「え?・・・・なんでですか?」


「出来る訳ないじゃないですか!

 ・・・・それは十分に・・・ですが!」


なんか急に怒り出したぞ。


「私じゃ・・・私じゃ無理です!

 ですから誰か・・・別の・・・

 それは私の所為では!」


と思ったら泣き言を言い始めた。

うんうん、下っ端ぽいぞ。


「でわ・・・・こちらで・・・

 どうしてもですか・・・?」


「はい・・・迅速な・・・

 おねがいします・・・」


最終的には何かを諦めた様な顔つきになり

俺に振り返った顔は鬼の顔だった。

鬼だ・・・鬼がそこに居る・・・。


「お前!お前の所為で!

 こんな事にっ!」


全ては俺が悪いと言わんばかりに詰め寄ってくる。

実際にはロープからの防御で動けてはいないけども・・・。


「こっちだって状況がわかってないんだよ

 ちゃんと説明してくれっ!」


「なんでお前なんかに!

 私は神だぞ!

 そもそも貴様が「うるさい!さっさと説明しろ!命令だ!」」


「ウグッ!・・・・・くそ・・・」


面倒なので"命令"という形で説明をさせる。

召喚時点で俺へ害する事は出来ない様になってはいるが

言う事を聞かせれるかは別問題だ。

それを"命令"する事によって強制的に従わせる事は可能なんだ

発動する度に魔力等を持って行かれるけどね。


今のでかき集めた魔力も空っぽだ。

仕方がないので何とか動かせるようになった左手で

魔力補給の為に不要な物を口に放り込んでいく。


「あれは・・・神・・・と言うか・・・

 神の力の残滓だ」


「残滓?」


「あぁ、ハッキリ言えば神の力の残りカスと言うか

 淀みが集まった集合体と言った所だろう」


「つまりは?」


「明確な事は言えないが・・・・・

 太古の神々が切り捨てた神の力の一部が

 何かの拍子に集まって力を持つようになり

 更に力を求めるようになったと」


「結論から言えば?」


「神に準ずる力を持った魔物・・・で良いだろうな

 あの姿は大本になった神の姿を真似ているんだろう

 言葉を発してはいるが明確な自我と呼べるモノは無いハズだ」


ファーバンはイライラしながらも俺に説明してくれる。

命令は便利だぜ。

今後の関係と発動コストには注意が必要になるから多発は厳禁だけどな。


「今からどうするんだ?

 お前が私を呼び出したんだろう!

 何とかしろ!」


汗をダラダラと流しながらファーバンが情けない事を言う。


「流石に神の力をどうこう出来る訳ないだろ?

 そっちこそ神なんだろ?

 あの老人神が"神に準ずる"ならアンタの方が上だろ?」


「・・・チッ・・・・ここが神界ならばな

 この仮初の体じゃ無理だ

 相手は現世に降りてきているんだ

 元の力がどうあれ出せる神気の量が違う」


まじかよー。

こいつ本当に使えんな。

なんか体の事を言い訳にしているが元々の力でも負けてんじゃねーのか?


「さっきの電話で誰かに相談してたんだろ?

 神絡みなんだからそっちで何とかならないのか?」


「むぅ・・・・それが・・・・」


渋々と説明したファーバンによれば

大本の力の元となった神が太古の結構な高位神な上に

今は別世界の神らしく勝手に対処してい良いかの確認に時間が掛る。


更に老人神は現世に降りてしまっているので

神界から即時に対応しようとすると誰かを降臨させるしかないが

老人神の力の所為で空間が歪んでしまっていて

無理に降りてくれば現世への影響が大きすぎる上に

対応出来るようなクラスの神が直に降りてくるには

手続きに色々と時間が掛ってしまう。


なので現世に居る神で何とかしようにも

手が空いていて対応出来るような力を持った神が居ないんだそうだ。

一応は神界側でも迅速に対応してくれるそうだが

現世とは時間の流れが違うので下手すれば数年はこのままの可能性がある。


「まじかよ・・・・・何か手はないのか?」


「一応、他の神にも声を掛けてみてはいるが・・・・

 駆けつけてくれるかは微妙だな

 もう少しアイツの力を抑える事が出来れば

 私でも何とかなるかもしれないが」


俺が全力でいけば少しぐらいは力を削る事は出来るか?

神気の強さから攻撃が通るかは微妙だけど・・・・。


「ミノル様・・・それならば聖女様が何とか出来るかと」


「そうなのか?」


「この老人が神だと気付いたのは聖女様です

 何とかしようとしてたのですが

 魔王に呼び出される事になりまして」


「サイラスに呼ばれたのはコイツの所為なのか?」


「はい

 神に対する扱いで呼ばれたかと

 これはモリス様も知らない事です

 魔王が内密にするようにと・・・」


「そうか・・・それでか・・・・

 何となく話が見えてきたな」


実里はここの神(のような者)の存在に気が付き対応しようとしたが

報告を受けた魔王が何かに気が付き実里に問い詰めた事で知る事になった。

自国内に神(のような者)が降臨した事を利用する為に

対応しようとした聖女を阻止するような形で呼び寄せたって感じだろうな。

ちなみに魔王とのやり取りは高速飛行を得意とする魔族が居るらしい。

もしかしてあの鳥かな?


「その聖女とやらを連れてくれば何とかなるのか?」


「ミノル様・・・・先程から話していますが・・・

 この方はどなたで?」


「え~っとね

 俺が召喚した神かな」


「え?か・・・神・・・ですか?!」


流石に呆れたか・・・・そりゃそうだよな。

誰が聞いたって信じる訳ない。

この濃密な神気の中じゃファーバンの力なんで感じられないだろうし。


「さ・・・・・」


「さ?」


「流石は!ミノル様!

 神様をも従えてしまうなんてっ!

 私が信じた女神様だけはあります!」


「いや・・・女神はもう・・・いいから・・・」


「おい!お前ら!

 私の質問に答えろ!

 ホンワカと話してる場合じゃないだろ!」


そうだそうだ。

今はファーバンが何とかしてるだけだった。


「聖女と呼ばれる者が老人神の事も知っていて

 対策を取ろうとしてたみたいなんだ」


「現世の者に抑え込めると思うのか?」


「世界神の加護を受けていて

 浄化や守り、回復なんかに特化してるって聞いてるぞ

 この辺りの大規模浄化にも携わってるしな」


「そうか・・・・世界神様の加護か

 それならば抑える位は可能かもしれないな

 逆に言えば降りてきてると言う事は

 現世の影響は強く出るだろうし・・・」


何やらブツブツ言いだして携帯をカチカチ弄りだす。


「よし、それならその聖女とやらは何処に居る?

 早く連れて来ないと・・・私の評価が・・・・」


「今は首都サイラスに居るハズだ

 呼びに行っても往復で結構な時間が掛るな」


「サイラス・・・・サイラスか・・・・

 ちょっと待て・・・あそこなら・・・・」


カチカチと猛烈な勢いで両手で携帯を操作しだす。

なんか中年サラリーマンが汗だくで必死に携帯を弄る姿は

切ないモノが込上げてくるぜ。


「よし!これで良い

 偽装・・・も・・・上手く出来てるハズだ」


ファーバンがそう言うと老人神がうめき声をあげロープが霧散した。

あれって物理的なもんじゃなかったのかよ。

キリルとリースを拘束しているロープは消えて無かったので

違う素材なのかもしれない。

良く見ると老人神の全身に何か黒い網状の何かが絡みついていた。


「おぉ?どうした?

 神気が抑えられてるじゃん」


「この迷宮を弊社のシステムを利用して一時的に支配下にした

 迷宮システムの機能を一部改編して活動を劇的に低下させている

 こ・・・これがバレたら不味いが・・・1日位なら抑え込めるハズだ」


「そんな事も出来るのかよ

 つうかキリルとリースも巻き込まれてんじゃねーか!」


「うるさいっ!

 命に別状はない!

 範囲指定しか出来なかったんだから仕方ないだろう!」


「ってか1日じゃ戻って来れないって!」


「だがアイツを抑えるのもそれ位が限界だ

 活動再開時には少なくともこの部屋はどうなるかわからんぞ」


「キリルとリースはどうなるんだ?」


「アイツ次第だが神の力を抑えてるんだ

 この付近は少なくとも無事って訳にはいかないだろうな」


「そんな無茶をするなら先に言えよ!」


「そもそもが私は巻き込まれただけだ!

 お前もそこらの者達も助けてやる義理も何もない」


「・・・・・・チッ・・・・仕方ないか

 だがサイラスまではどうする?

 行くだけなら何とかなるが戻ってくる時間は流石に無いぞ」


「サイラスの地下にも迷宮がある

 連絡路を繋げたから直に行ける」


「おいおい、なんでもアリだな・・・・・

 大丈夫なのか?」


「バレ・・・・なければ・・・・・問題ない!

 偽装はしたから1日は大丈夫だ」


汗だらで顔は青白くなっているが言葉は力強い。

と言うよりも相当に追い詰められて半分キレてるって感じだな。


ファーバンは上司の管理権限を勝手に使ってシステムを操作し

この迷宮を強制的に管理下においた。

連絡路ってのも上役用の専用ラインを利用するとの事。

聞けば聞くほどに不味い気もするが

呼び出した俺が言うべき事じゃないと思うので何も言わずに

有りがたく使わせてもらう事にしよう。




何時の間にか壁に扉が出来ていた。


「この先はもうサイラスなのか?」


「正確にはサイラスの地下迷宮だ」


「首都の下に地下迷宮なんてあるのか?

 聞いたことないけど」


「そんな事は知らん

 有るんだから仕方がないだろう

 それに利用者も殆ど居ない迷宮だしな」


まぁそこらへんはどうでも良いか。

今はサイラスに行って戻って来れる事の方が重要だ。


キリルとリースも老人神と一緒に活動停止状態なので

命に別状はないらしい。

だがそれも1日だけの猶予だ。


その時間で首都サイラスから実里を連れて戻ってくる

のが今回のミッションだ。


うおーーーーーー!

あそこに行きたくねぇ!

魔王に会いたくねぇーーーーーー!

ファーバンの将来が不安で仕方がありません。

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