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5-45

もう11月も終わりですね。

忘年会の時期です。

皆さんこんにちわ、森山実留です。

今は商隊で護衛兼料理人としてお世話になっています。

護衛は気が付いた瞬間に遠距離で倒すだけの簡単なお仕事です。

もっとも料理は黒鍋様があるのでもっと簡単ですけどね。








ブタ子の商隊に同行する事が決まってから1ヶ月が経った。

俺は頑張って料理を作り魔物を撃退し役に立つ事を証明した。

危険が多いエリアと言っても迷宮の深部クラスの強さの奴は

流石に奥地に行かないと出てこない。

なので十分に対処可能な強さだ・・・・俺にとってはね。


「ミノルさん!今日のご飯なんすか?」


「ミノルさん

 この魔法理論なんですけど・・・・もうちょっと効率良くなりませんか?」


「ミノル!そっちいったぞー!

 止めを頼む!」


「この荷物も宜しく頼むよ」


「うめーこれうめー!

 おかわり!」


とまぁ溶け込んだっちゃぁ溶け込んだようだ。

妙に忙しくて色々とやらされるのは仕方が無いかな。

給金とかは貰ってないただ同行者に

こんなに寄りかかってきて大丈夫なのかとは思う。

なんか便利屋って感じがしなくもないが・・・・。


シュラベントもそれが楽しくないのだろうが

俺が便利なのも理解しているので曖昧な距離だ。

そこに俺とブタ子の仲を知ってから

嫉妬心も含まれているのは内緒にしておいた方が良いだろう。

護衛部隊の方々にはバレバレだけどな。


この護衛部隊は"鈍銀の盾"と言う傭兵部隊で

今はブタ子の専属護衛部隊として契約している。

堅苦しい雰囲気は無いが魔王領で商隊を守り切れる程度には

全員が腕も良く強い。

強さに対して向上心を持つ者が多いのも特徴だろう。

空き時間には良く訓練の相手をさせられるしな。




現在、滞在しているのは魔王領のサイラスからは離れているが

鉱山や迷宮が付近にあるので石材、鋼材、迷宮素材等が豊富に流通している都市。

名を"ヴィロウス"と呼ばれている。

そんなトコだから規模も大きく人口も多い。

魔王領の中でも栄えている場所の1つだ。


この1ヶ月は移動して補給&仕入れの連続で普通の行商と言った様子だったが

先々でブタ子が色々と入手や交渉をしていたらしい。

浄化に必要な物や準備に対する手配や交渉をしていたようだ。


浄化に必要な物は俺の手持ちに使える素材が幾つかあったので

提供した事もあり半分以上は集め終わっている。

いや、殆どが終了していると言っても良いだろう。


後、足りないのは"魔核水晶"だ。

流石に浄化範囲が大きく濃度も高いので

触媒としてある程度の質の物が大量に必要なんだそうだ。

"神核水晶"があれば1個で良いとしても

そうそう出回る物でもないので仕方が無い。

出回った所で1個人が購入できる金額になるとも思えないしな。


各方面を回りつつ必要な物の仕入れと情報収集を行い

大きな規模の商人ギルドがあるここに集めてもらうよう手配をしておいたって事だ。

流石に量が量だけに小さい支部では扱いきれないし

ここは迷宮も近いので他に比べて"魔核水晶"が流通しやすいのもポイントだ。


ブタ子が商人ギルドに確認しに行くので俺もついて行った。

そういや俺って元々商人ギルドに登録してあってスキルで強引に再登録したんだけど

その後は普通に使えてるんだよなぁ。

母牛も俺名義に振込手続きしてくれているんだけど変だって思わないのかな?

そもそも誰も疑問に思わないのだろうか?

ギルドも普通に認識してるし・・・・・。

う~ん、やっぱりポイント引き換えのスキルは効果が強力な気がする。

影響力が大きいと言うか強制力が強いと言うか・・・・。


俺にとっは悪い事じゃないから別に良いんだけど

何処かに皺寄せがきちゃわないのかね。




「え?予定数に達してない?

 一体どういう事ですか?」


「えぇ・・・・申し訳ありませんが・・・その・・・・

 こちらも方々に手配はしたのですが

 希望されていた予定数まで集める事が出来ませんでした・・・」


「相場よりも相当に余裕を持たせて依頼したハズですが」


「そうなんですが・・・・ここ最近は流通量も少なくて

 その・・・・」


言い淀む職員にブタ子が何かに気が付いたようだ。


「・・・他に競合している者がいるのですか?」


「はい・・・・そうなんです・・・

 "魔核水晶"を大量に集めるなんて事は通常は滅多に発生しないんですが

 その方も入用の様でして・・・・」


「こちらよりも高い金額を提示したと?」


「・・・・はい」


「金額は教えて貰えませんよね?」


「その通りです

 その方も会員ですし情報の開示は出来ません

 ただ提示された額は相場よりも随分と高かったとしか」


「そうですか・・・・

 それでも他からの流通分は別としてもヴィロウスの迷宮からは

 流通があるのでは?」


「それがですね

 先程もお伝えしましたが最近の流通量が減少しているんです

 これは迷宮からの供給量が落ちているのが原因です

 それで相手側もまだ予定数まで達していませんので・・・」


「しばらくはこちらまで回ってこないと」


「はい・・・申し訳ありません」


流通量が減ってる状態で競合相手も居る。

しかも相手がこちらよりも上の条件を提示してるとなると

状況は厳しそうだな・・・・。


「ブタ子、これ以上は予算的に厳しいのか?」


「えぇ、確実に入手する為に

 今でも相場よりは相当に上乗せしているんです

 必要な個数を考えるとこれ以上はちょっと予算的に厳しいですね」


「そうか・・・・」


「こちらの事情はある程度お伝えしたハズですが

 それでも都合付けては頂けませんか?」


「残念ながら・・・・

 当ギルドでは相手側の明確に不当な理由でも無い限りは

 優先させるような事は出来ませんので・・・」


申し訳なさそうに伝える職員さん。

そうはいっても最大限の努力はしてくれたようで

予定個数までは達してないがゼロって訳でもない。

それが理解出来るだけに攻めるに攻めれない。


うーん、俺も実里の為に動いてみるかね。

職員さんに質問する。


「ちょっと良いですか?」


「なんでしょうか?」


「流通量が少ないのは理解出来ましたが

 少ないなりにも入っては来ているんですよね?」


「はい

 通常であれば双方共に必要数は満たせているハズなのですが・・・」


「ふむ・・・・じゃぁ

 こちらが相手側の予算より上積みした場合は

 優先される様になると考えて間違いではないですか?」


「はい

 こちらに不当な理由や手段ではなく正当な入札であれば

 相手側が何も出来ないのは同じです」


ふむ・・・・ならばよろしい!

俺の底力を見せてやるしかあるまい。

ブタ子に魔核水晶の通常相場と此方側の提示額を聞き

更に相手側の予想額を教えてもらう。


・・・・ふはは!泣き叫ぶが良い!


「じゃぁ、こちらから追加で資金を出します」


相手の予想額の更に数割増し。

俺の預金額の約30%相当だ。

日を追う毎に入金額が増えるのに殆ど使わない金だ。

寧ろ、日々の狩りや何かで稼いだ金も入金しているので

少しも減る所か余ってるんだからここで使うしかないだろう。


俺はドヤ顔で額を提示する。

ふふん、個人でこの額を動かせるなんてそうそう居ないだろう。

ふははははははは。


「・・・・申し訳ありませんが

 この額ですと・・・・・相手側の方が上です・・・・」


「え?まじで?」


ブタ子が出した予想額を大きく上回る額を用意していたようだ。





その後に色々と手続きをし

ギルドを後にして近くの飯屋に入った。


「まさか・・・・8割近く出す事になるとはなぁ」


「本当に良いんですか?

 あんなに出してしまって・・・・

 ミノルさんが提供してくれたおかげで

 まだ期限までに猶予はあります

 今はまだ無理するタイミングじゃないですよ」


「あーうん、大丈夫

 他に使い道も無いしさ

 それに後に引けなくなっちゃったし」


「そうですか・・・

 ミノルさんが良いならこちらとしても助かります」


「良いって良いって・・・・あ、そうだ!

 さっきさついでに残りの残金も手続きして

 ブタ子に回すようにしたから使ってくれないかな?」


「え?どういう事ですか?」


「今回の手続きついでに全部使っちゃおうとね

 どうせ俺じゃ使わない上に定期的に入金があるから困らないし

 余らせておくならブタ子に役立てて貰いたいんだ」


「それはとてもありがたい事ではあるんですが・・・・

 そこまでして貰う訳にはいけません」


「使わないのを使っておいて欲しいってだけだよ

 他意があるわけじゃなくてさ」


「・・・・・わかりました

 でも借りると事にします

 ミノルさんは私に投資する形にしてください

 私はそれを元手に色々と動きます

 不定期になるかもしれませんが必ずお返しします」


「そんな・・・別に良いのに」


「いえ、良いんです

 それにギルドに返金すれば

 またミノルさんと離れ離れになっても

 私が何処に居るかの指標にもなりますしね

 勿論、その時は会いに来てくれるんですよね?」


「勿論会いに行くさ

 ってそうそう死にたくはないけどな」


「ふふ、ならお借りしますね

 ミノルさんが私に会いたくなる位に

 増やしてみせますよ」


「あぁ、楽しみにしてる」


満足げに笑うブタ子は何かを思い出したようにハッとする。


「そうだ、アリスさん

 渡す物があります」


そういってポーチから小さな包みを取出してアリスの前に置く。


「これは何ですか?」


「アリスさんの武器です

 私が預かっていたのでギルドに保管をお願いしておいたんです

 ここのギルドで受取申請しておいたんですよ」


「武器・・・・?武器・・・・?

 あっ!剣!私の剣っ!」


包をあけると中からは小ぶりの剣が出てきた。

アリス専用武器の"妖精の鋼飛龍剣・D"だ。

名工ダンザムさんの力作だ。


「ブタ子さん!ありがとうございます!」


「それは押収されなかったので私が預かってました

 喜んで貰えて何よりです」


アリスは嬉しそうに剣を掲げる。

別れた相棒にまた会えた喜びって奴だな。


「フフフ

 魔法と武器が揃った私は最強ですよ

 もう敵をバッタバッタと薙ぎ倒します

 魔王も勇者も私の前にひれ伏すのです!」


高笑いをしながらルーブに自慢する。

ピーピーと反応してるが本当に分かっているんだろうか?


「ブタ子、ありがとうな」


「いえ、私はギルドに預けていただけですから」


「それでどうなんだ?

 予定数に達しそうなのか?」


「そうですね・・・・現状ではこちらに優先的に回る様になりましたが

 今は流通量が落ちてますしね

 予算があるからと言っても独占できる訳でもないので

 少し時間が掛るかと」


「そうか・・・時間的に余裕はあるのか?」


「まだ余裕がありますが今のペースを考えると

 少し・・・遅れるかもですね

 再度確認した所、流通量が少しづつ落ちてきているようですし」


「他に手はないのか?」


「他の支部にも引き続き依頼は出してますし

 一般流通分にも目を見張らしてます

 それでも一番大きな供給元からの量が減ってるので厳しいと言えるでしょう」


「何か方法はないのか?

 俺が出来るような事は?」


「ある・・・にはあります」


「お!なんだそれは!

 何でも言ってくれ」





「迷宮に取りに行けば良いんです」


「え?また迷宮?」


またもや俺の迷宮攻略が始まる・・・・のか?!

 

ついにアリスに武器と魔法がっ!

芋虫にリベンジなるか?!

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