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5-40

秋晴れが続きますね。

肌寒くなってきた朝が気持ち良いです。

神にも認められた腕前を持つ森山実留です。

どちらかと言えば料理を使った行動に対してのような気もしますけどね!

それでも料理を気に入ってくれたのは素直に嬉しいです。


まぁ大半は黒鍋の力のような気もしますけどね!







神達も料理と酒に満足し

そろそろ終わりかなという雰囲気が流れる。


「ん~、そろそろ場を作るのも限界かな

 空間が近くなって来ちゃった」


そういえば今は別空間に居るんだっけか。

ルーブを抱いたリリラリが名残惜しそうに告げる。


「あぁ、もうそんな時間か

 ミノル君ありがとう

 料理も満足したよ」


「酒も堪能できたし

 現世の土産まで貰ったしな」


「いえいえ、こちらこそ料理と酒の神様に

 粗末な物を出してしまって恥ずかしい限りです」


「いいのよ~、ミノルちゃん

 私達も現世の料理を楽しめるなんて事は滅多に無いんだし

 少なくとも私は美味しいと思ったよ」 


何時の間にかちゃん付けで呼ぶようになっていた

リリラリは少し顔を赤くしているので

酔っぱらっているのかもしれない。


「うん、その通りだね

 料理とはそれぞれの味がある

 宮廷の料理も家庭の料理も内容の差はあれど

 作る人の心さえ籠ってさえいれば

 本来は格の違いなんて無いのさ」


「現世の料理と酒が堪能出来たんだ

 それに文句を言う訳がないだろう」


「そそ、だから気にしないで良いのよ


 さて・・・・じゃぁ空間を元にもど・・・あれ?」


リリラリが何かをしようとしていた動作を止めて

不思議そうな顔をする。


「ちょっと!駄目だって!」


そう声を荒げると・・・・食堂の中央に異変が起きる。


グニャリ。


まるで水面に波紋が起きたように

まるで絵具を適当に混ぜたように

空間が歪んだ。


グニグニとグニャリグニャリと蠢く。


「もう!駄目だって言ってるじゃないっ!」


一際大きく叫ぶとリリラリが歪んだ空間に手を伸ばすと

空間のウネリが徐々に収まって行った。


ドチャリ。


そんな音と共にロイラが現れ

空間の歪みはスっと消えた。


「もう!無茶するわね!

 人の身でありあがら空間を超えようとするなんて!」


ピクピクしてるロイラにリリラリが手をかざすと

全身が淡い光に包まれ痙攣が収まり寝息を立て始めた。


「今のは一体?」


「この子が元の場所から空間を繋いで

 渡ってこようとしたのよ

 私がこっち側から引っ張ったから何とかなったけど

 弾かれる寸前だったのよ・・・・全く・・・

 皆にも困ったモノだわ」


「皆?

 ロイラにも複数の神が加護を授けているとか?」


「複数なんてレベルじゃないわね・・・・

 十神以上の加護を受けているハズよ

 関わっているだけならそれ以上ね」


「え?そんなに?」


「偶に居るのよ・・・・・

 言い方は悪くなってしまうけど神々の暇潰しって感じね

 この子の体を通して色々な事を体験して楽しんでいるのよ」


「なるほど・・・それで奇抜な行動が多い訳か」


「多分そうね

 それに完全に加護を与えた神は少ないと思うけど

 少しづつでも様々な神から力を貰っているから

 身体能力で言えば相当なレベルにあるんじゃないかしら


 反面、この子の魂はこのままだと崩壊しかねないわね

 力の負荷に耐えられなくなって来ているんじゃないかしら」


「どうなっちゃうんです?」


「最終的には・・・・・・リビングデットね

 自我も崩壊し魂も擦り潰れても

 神の力で動く死体ね

 正確には生命活動は終わっては無いから

 生きた操り人形と言った方が正しいかしら」


「そんな・・・・酷いですね・・・」


「全てとは言わないけど現世の者に対して

 愛玩動物や実験動物のような感情を持っている神や

 ぞんざいな扱いをする神も居るのよ

 それにあくまでも加護を与えて観察や疑似体験してるだけだから

 現世に直に影響を及ぼしている訳でもないしね」


ロイラがそんな存在だったとはね。

これであの異常な行動や能力値にも納得がいった。

スヤスヤと眠る顔は年相応の可愛らしいモノだ。


「何とか・・・・ならないですか?」


「うーん

 私の力じゃ無理ね

 流石に魂に影響を与えれる程の力は無いのよ

 所詮は宴会神だしね」


そう申し訳なさそうに呟く。


「魂の補強・・・・または神の力との親和性を向上させれば・・・

 なんとかなるかもしれないけど・・・・

 現世でそんな事が出来るのって余程の事よ?」


そういや俺の魂は世界神が魔改造してキャパを無限にしたとか言ってたな

そのままだったら俺もロイラのようになってたって事なのか。


「ふむ・・・・私から1つアドバイスをしたいのだが

 リリラル殿に問題無いか先に聞いて頂いて良いだろうか?」


リリラルの耳元でゴニョゴニョと話すランバル。

そして顔がパーッと明るくなる。


「あぁ!そうね!それなら問題無いと思うわ

 う~ん、でもミノルちゃんが大変じゃないかしら?」


「ん?どういう事?

 何か俺に関係がある?」


「そうね・・・・・えーと、ターウェイちょっと来て」


三神で何やら相談する。

話しが纏まるとターウェイが説明してくれた。


簡単に言えば俺の料理と酒を与えれば少しづつではあるが

ロイラの症状は改善されるんじゃないか?との事だ。


黒鍋と神酒を使い神の加護を受けた俺が調理すれば

食事として神の力を取込む事が出来る。

そうすれば体が神の力に馴染むので魂にも影響を与えれるだろうと。


神の力を一方的に与えられるんじゃなく

現世側からも歩み寄ろうって作戦だな。


「なるほど・・・・

 でも何で俺が大変なんです?

 料理するだけですよね?」


「えっとこの子を通じて様々な神が現世を見てるって言ったよね

 つまりはそれだけミノル君が神々に知られてしまうって事だよ」


「あー

 あー

 あー


 ・・・・・・・なるほど

 確かにそれは・・・・・大変ってか迷惑ですね・・・・」


「だろう?」


「でもこのまま放置するのも後味悪いし

 どうせ一緒に旅をする事になったから

 遅かれ早かれ注目はされてましたよ」


俺が諦め顔でそう言うとりリアルは微笑んだ。


「そう・・・・ありがとうね

 私達が言っても仕方が無いけど

 お礼だけは言わせて頂戴」


ちょっとドタパタしたが本当に空間維持が限界との事で

俺達は元の空間に戻された。


起きないロイラを背負い俺の部屋まで連れて行く。

本来は部屋まで連れ込む事は出来ないが

ロイラは特級で普段の行動から有名だったので

スンナリと入る事が出来た。


ベットにロイラを寝かせて俺は携帯用の寝具を床にひき横になる。

残っていた料理を持って帰ってきたので机の上に置いておいたので

起きたら勝手に食べるだろう。


ふぁ~・・・・何か色々と疲れたな。

目を閉じると同時に夢の世界に旅立った。




翌朝、起きるとベットにはロイラの姿が無く

紙が一枚置いてあった。

そこにはたどたどしい虫が這いずったような字で



ありがとう



と。


ロイラに残る僅かな自我がそう書いたのだろう。

まだ・・・・まだ・・・助けれるよな。


机の上の綺麗になった食器を見て何とかしようと決めた。







「ではまずの目的地は此処ですね」


差し出された書類には地方都市の1つが記載されていた。

高い成長率が注目されていて俺も耳にした事がある。

領主が賢く良き統治をしているのも有名だ。

俺の役目はそこに常駐している聖神教の内部調査だ。


「うむ、現地調査をして貰いたい

 終わり次第、次の目的地に向かう事になると思うので

 当分の間は戻ってくれなくなるが

 頑張って来て欲しい」


「了解しました」


「事前に申請した者は全て用意した

 他にも私の名前を出せば備品庫から必要な物は

 持って行く事が出来るように手配している

 

 派遣中は自由裁量が認められている

 自分で判断し行動する事を命じる


 こちらは必要な情報を確実に調べてくる事だけを

 期待しているよ」


「わかりました

 御期待に応えられるよう努力致します」


クソ騎士Aの執務室を出て備品担当に向かい

旅に必要な路銀と申請した物を受け取った。

他には備品リストから幾つかピックアップして用意してもらう。


部屋に戻り最終的な確認を行うが

武器も防具も食料も旅道具も全てが万全だ。


ベットで横になって考える。


実里の為に何が出来るのか?

魔族との戦争を阻止したいなんて

デカすぎる話だよなぁ。


チラッと横を見るとアリスとルーブが食堂で貰ってきた

お菓子を食べて楽しそうにしてる。


ベットに脇にはロイラからの手紙が捨てられずに置いてある。


実里に会う為だけに来た異世界なのに

いつのまにやら色々と背負ったもんだ。


こっちの世界にも知り合いも増えたし家族も居る。

俺がちょいちょい転生するから時間もどんどん過ぎちゃうし

毎回やり直しになるし

それがいよいよ戦争に関わる事になりそうだなんてな。


今は一部の聖騎士達と魔族だけだけど

実際に大規模な争いが発生したら高確率で

種族間戦争まで発展してしまうだろう。


それほどまでに魔族と他種族の溝は深い。

それに魔王も争いが好きそうだし

そうなったら勇者も出てきそうだし。


「どうしてこうなっちまったのかねー」


俺の呟きにアリスが反応する。


「そりゃまぁ実留さんだからじゃないですか?」


「俺が何を考えてたのかわかるのかよ」


「ふふふ

 実留さんの事なら何でもお見通しですよ

 ね、ルーブちゃん」


「ピーピー」


「そういたアリスとも付き合いが長いよな

 ずっと一緒なのもアリスだけだし」


「犬とか骨とかでしたもんね」


「そうそう最初は何も分からなくて

 困ったよなー

 良くアリスに助けて貰ったもんだ」


「今だって十分に助けてますよ!」


「えーそうか?

 前はそんなに食いしん坊じゃなかったじゃん」


「それはですね!

 実留さんの料理が!」



出発の前夜はアリスと思い出に花を咲かせ

リラックスした時間を過ごした。

実留君、色々と背負ってまいりましたね。

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