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5-37

次の更新は少し遅れるかもしれません

ついに神の遺物に遭遇する事になった森山実留です。

凄いですよっ!神の息吹が掛った聖なる躯です。

嘘は言ってないですよね。

世界神の加護を受けた体ですよっ!


・・・・・・自分の遺体を見るのは不思議なもんですね。






「嘘だろ・・・・・?」


目の前にある俺の元体を見て

思わず口に出してしまう。

見た感じの怪我は無く綺麗なもんだ。

透明なケースの中に裸体で入れられており少し恥ずかしい。


改めて客観的に見ると薄暗い中でも外見は凄い綺麗だな。

中性的と言うよりも女性寄りで美人と言えるだろう。

髪もサラサラで肌も白く透き通るようだ。


「実留さん・・・コレって・・・・」


「あぁ、間違いなく前の体だろうな

 ヴァースに襲撃された後に持ち込まれたんだろう」


「世界神の加護を受けてますから

 神の遺物と言えばそうかもしれませんけど・・・・」


「空けられた穴が無い所を見ると修復したんだろうけど

 魂が抜けちゃってるからなぁ」


「そうですよね・・・・

 実留さんは此処に居るんですし

 そっか私はこの体に惹かれてたんですね」


「そうなるなぁ

 俺にとっちゃ前の体に過ぎないけど

 アリスにすると前の母体的なモンだしなぁ」


「何か神システム関係の繋がりがあるんですかね

 今の体は今の実留さんが構築した体ですから

 直接的な繋がりは無いと思いますし・・・」


「俺は特段何も感じないんだけどなぁ

 寧ろこの部屋の方が違和感を感じるけどな

 他の扉と違って馴染みがあると言うかなぁ


 まぁ微妙な感覚だから違ってるかもしれなけどな

 それに此処があの扉の中かも不明だし」


「ですよねぇ

 ちょっと他も見てみますか」




部屋は結構広く様々な物が並んでいた。

俺が知らない物も多いが見知った物も多い。


ダンザムさんが作った俺用の武具や

釘バットもとい≪百足剛棒≫が懐かしい。

今思えば装備類はこの頃が一番充実してたよな。


『実留さん!大変です!

 大変な物を見つけましたっ!!』


そんなアリスの呼び掛けで向かうと・・・・。


「「うおぉぉぉおぉおぉぉぉぉおおおお」」


2人して心の奥底から声が出た。


そこに有ったのは鍋だ。

シンプルな形の中華鍋っぽい作りの鍋。

黒くて地味で取っ手に少しだけ鱗っぽい模様があるのが特徴だ。


≪迷宮神の黒鍋≫

神の作り賜われた至高の調理器具。

それが目の前にあった。


コイツと過ごした日々を思い出すだけで

涎が溢れ出てくる。

こんな部屋の隅に置いとかれるなんて酷い扱いだっ!

黒鍋の価値がわからんとは!


余りの興奮にフラフラと近寄って思わず触ってしまう。


ピリッ。


何かの力が作用したのが分かる。


「やばい・・・・何か反応したぞ」


「なんで触っちゃうんですかっ!」


「ごめん

 アリス注意しろ!

 ゲームだと大抵は守護者と言うかガーディアンが居たりするぞ」


カチリと何かのスイッチが入ったような音がし

暗がりの向こうから何かの足音が響きてくる。


カタカタ。


カタカタ。


カタカタ。


暗がりの向こうから現れたのは30cm位の人形だった。

外見は木で出来ているようで愛嬌のある作りだ。

体は操り人形のように関節がスカスカした作りなのに

普通に歩いて来る。


俺は武器を取り出し警戒しアリスも同様だ。

ルーブは俺の気配を感じ取るが言いつけを守りつつ無言で威嚇を始めた。


「そこで止まれ・・・・・こちらに害意はない」


「コノ場所に許可無く立ち入って

 害意は無いと言うのデスか?」


子供の様な声で話しかけてくる操り人形。


「勝手に入った事は謝罪する

 だけど何で入ったかは俺も分らないんだ」


「ナニも分からずにここに来たと言うのデスか?」


人形はカタカタと歩みを止めない。

これは戦闘になるか?

防具を付けてないのが≪竜血脈≫でも使えば何とかなる。

人形が間合いに入り空気が一気に張りつめる。


戦うしかない・・・・・ジリっと足を踏みしめる。



「チョっと!止めるデス!

 貴方と戦って僕が勝てる訳ないデスか」


「はぁ?」


「コチラは戦うつもりはないデス

 僕は戦闘用じゃないデスよ」


「はぁ?」


「ソモソモが僕は只の案内人形デスよ」


「はぁ~?

 じゃぁ何で喧嘩腰だったんだ?」


サッパリ意味がわからん。


「貴方の言う事を確認しただけデスが?」


「え?」


「害意が無いと言うから確認したのデスが?

 ナニか問題ありますデスか?」


「・・・・・・はい・・・・すんません」


「貴方は一体誰なんですか?

 ここで何を?」


「コレハコレハ可愛い妖精さんデスね

 僕の名前はワーキュイと言うデス

 宜しくお願いしますデス


 僕はここの案内人を任されているデスよ」


「案内人ですか?」


「ハイ、この部屋の案内を任されているのデス」


「襲ってきたりとは?」


「ココのガーディアンは他に居ますデス

 僕は戦闘用ではありませんデスので」


「それなら安心ですね!」


「ハイ、安心デス」


何故かほのぼのとした会話になった

操り人形っぽいワーキュイと妖精のアリス。

つうかガーディアンは居るんだろ?

大丈夫なのか?



「・・・さん・・・・のるさん・・・・実留さん?

 どうしたんですか?

 ぼーっとして」


「あぁ・・・・ごめん

 何か現実感が無くてさ

 

 ンッ、ゴホン

 で、そのワーキュイさんが案内してくれると?」


「ワーキュイと呼び捨てで結構デス

 ソレで貴方は実留様デスね」


「先程からアリスから呼ばれてるから分ってるとは思うが

 改めて宜しくお願いするよ」


「実留様・・・・森山実留様デスよね?

 僕が起きてるので間違いは無いと思うのデスが

 念の為に確認デス」


「ちょっと待て!

 何故・・・・その名前を知っている?

 アリスは"実留"としか言ってないぞ」


やはりコイツは何かある。

思わず身構える。


「チョ!チョット!待つデス!

 違うデスよ!落ち着いて欲しいデス

 聖女様!聖女様から任されているデス」


「聖女?」


「ソウデス!

 聖女様・・・・実里様からお願いされたのデス」


「実里から?頼まれた?

 おい・・・・ちゃんと説明して貰おうか・・・・・」


「ハイ!するデス!するデスから

 武器を仕舞って欲しいデス」


身振り手振りで体全体で焦りながら弁解するワーキュイが

面白くてちょっと楽しくなっちゃったのは内緒だ。




「なるほどね

 ここは聖神教の宝物庫に間違いなくて実里っと聖女か・・・

 聖女専用の区画であると」


「ハイそうです

 光皇様と枢機卿様等も別に持っていますデスが

 詳細は僕には分からないデス」


「ここの扉から感じた違和感と言うか親近感は実里のだったのか」


「ソウですね

 ここは聖女様の許可が無ければ立ち入りは出来ない

 隔離された空間となっているデス

 実留様は事前登録されていたので僕が起きたのデス」


「事前登録?俺を?」


「詳細は不明デスが実留様がこの部屋に来ると

 僕が起きて案内をするように設定されていますデス」


「う~ん・・・・手法は良く分らんが俺の体を使ったのかな?

 入れたんだから無事に機能したんだろうけどさ・・・


 まぁ良いか

 んでワーキュイは何を案内してくれるんだ?」


「実留様の持ち物を持ち出せるように手続きするデス

 全ては無理デスが」


「持ち出せないのは?」


「デワ、案内をしながら説明するデス」


ワーキュイに説明を受けながら持出可能か不可能かを教えて貰いながら一周した。

どうやら俺の持ち物だった以外の物、前の体、主武具は駄目なようだ。


「体はまぁ・・・・用途が喰うしか・・・ゲフンゲフン

 とりあえず前の武器や防具が持ち出せないのはなぁ」


「ソノ線引きは僕には分りませんデスが

 持ち出す際には聖女様からの伝言を聞くようにとのことデス」


「伝言があるの?」


「アリます

 聞くデスか?」


「頼む」


「デワ、再生しますデス」


ワーキュイの目が点滅しだす。


「"あぁ・・・・んっ・・・・あーあー・・・聞こえてますか?

  お兄ちゃん・・・って此処に来るかどうかもわからないのに

  伝言を残すのも気恥ずかしいね


  私は元気にしてるよ

  お兄ちゃんはどうかな?

  前は犬で次に美人さんだったからビックリしたんだよ

  今はどんな姿なのかな?

  二度と会えないとは思ってないからね

 

  ここに有るのは私に関連する物なんだけど

  お兄ちゃんの物も可能な限りは残しておいたから持って行ってください

  その為に案内人としてドパール卿の作品でパペットシリーズを置いておきます

  手続きについてはその子に聞いてください


  でもお兄ちゃんの体と武具は承認システムに組込んじゃったから

  私じゃないと外せないんだ

  他にお兄ちゃんの魔力が残ってるのが無かったんだ・・・・ごめんね


  あっ、もう時間なの?


  ・・・・・・お兄ちゃん

  今、聖神教と魔族で戦争に成りかけてます

  一部の魔族が好き勝手してるのが原因なんだけど

  全体に影響が出始めてるの

  それを何とかしたくて私は各地を周る予定です


  勇者アミス様にも御助力頂きたいのだけど

  そうすると確実に魔王が出て来ちゃうから

  戦争になる可能性が上がっちゃうと思うの


  だから私が何とかしなきゃと思うんだけど・・・・・

  出来れば・・・・・出来れば・・・・

  お兄ちゃんにも助けて貰いたいな

 

  でも危険な事にお兄ちゃんを巻き込むのは嫌だな


 


  なんてね


  私は元気で何とかするし何とかなるよっ!

  だからまた会おうね!


  それじゃ・・・ま"」


言葉途中でブツッと音声が途切れる。


元気に話していたが・・・・最後の方は本音なんだろうな。

前世での俺達にとって戦争と言うのは酷く現実味が無い話だ。

それは遠い他国で当事者になる事はない。


だがこの世界では戦いは日常的で国同士の戦争も起こり得る。

それでも自分が巻込まれた上に自分の行動次第では

戦争にならないかもしれないし激化するかもしれない。

そんな重圧に実里は耐えられるのだろうか。


「実留さん・・・・・」


「ごめんな・・・アリス」


「良いんですよ

 実留さんの妹さんの為ですしね!」


「悪いな」


「それに実留さんは死んでも次があるじゃないですか」


「ふふ、そうだな

 じゃぁやるだけやってみるか」


「そうですよ

 その為にこっちに来たんじゃないですか」


何も言わなくても通じてるアリスと雰囲気を察して

頭の上でピーピー鳴いているルーブ。


さて、俺がどう動けるかを考えなきゃな。

自分の前の体を喰ったらどうなるのか・・・・興味が湧くところですが

当分の間は実現しそうにありませんね。


残念だ。

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