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5-35

更新遅れました。


こんにちわ森山実留です。

最近は料理をしていません。

食堂があると便利ですよね・・・・無料ですし。

代りにファンタジー的な冒険をしたりしてます。

ゾンビを倒したり悪霊レイスを倒したり

同僚を倒し・・・ゲフンゲフン。






本庁における仕事の基礎を一通り覚えた頃には

聖騎士になってから3ヶ月が過ぎていた。


机仕事も見回りも神殿でのお勤めも完璧とは言わないが

1人でソツなく行えるだろう。

そもそもが中級騎士スタートなので雑用が下級騎士よりも少なく

覚える事が少なかったと言うのも一役買っているがね。

もっとも下積み期間が無いってハンデもあったけどさ。


聖騎士の仕事にも馴れて少し落ち着いてきたので

クソ騎士Aからは少しの自由を貰った。

まぁ外出許可と言うか自由に行動出来る時間が増えた。

向こうは向こうでいよいよ俺を何処かに派遣させる算段でも始めたんだろう。


この3ヶ月はクソ騎士Aを観察し色々と情報を集めた。

コイツを利用するにしろされるにしろ足掛かりにするには

何を考えて俺を手元に入れたかは押えておく必要がある。


まだまだ底が見えないがコイツは相当に狡猾な人物と判断出来た。

クソ騎士Aは会社で例えるなら人事考課を行う立場で

内部監査も兼任している。

それは良いも悪いもクソ騎士Aの扱いで左右される人生があるという事だ。

ともすれば評価を握るという事は弱みを握る事になりかねない。

腐敗した際にはもっとも性質が悪い立場とも言えるだろう。


だがクソ騎士Aの評価は悪くない。

寧ろ良い意見が多く受け取れた。

勿論、悪い評価をされた者は良い様には言わないが

その他からの評判は割と良いようだ。


表面上は公正で隔たりなく評価をしていく人格者で

悪い事は悪く、良い事は良いと

そんな当たり前の事を当たり前に判断し

正当に評価を行う姿が信用されている。


この世界は前世界の現代社会のように

情報の入手が容易な世界ではない。

ネットも無ければ物流も発達しているとは言えない。

聖神教会の活動範囲は広いが人伝での情報も限界がある。

だから情報が偏るのは仕方がない事だろう。


だがジックリと観察し評価対象者の資料を

詳細に見比べると気付いた事がある。


正しい評価を付ける者は能力はあるのに

燻ってる奴や光るモノがある若手等に多い。


性格に問題がありそうな者も多いが

分け隔てなく能力を評価するって事に繋がってるようだ。


逆に悪い評価は上役や重要なポストにいる者に多い。

これも立場に恐れずに悪い事は悪いと指摘出来る勇気と評価されている。

その1割か2割程がクソ騎士Aの目上のタンコブと言うか

このまま進めば立場がかち合うか昇進の邪魔になりそうな奴が含まれている。

それも直近じゃなく少し離れたポジションの奴が多い。


全体の割合では決して多く無い・・・寧ろ少なく

上手くカモフラージュされている、


遠くの壁を先に弱めておいて少しづつ力を付けて進んで行くやり方だな。

堅実と言うか気長な考え方だが傍から見れば疑われる事はない。

自分の仕事に真摯に取り組んでるだけに見えるしな。


もっともせいぜい3ヶ月で俺が掴めた情報だ。

裏では様々な行動を起こしているのは間違いないだろう。

そして俺がそれに利用される事もな。


実際には変に勘ぐってるだけかもしれないが・・・・

俺は間違いなく意図的に行っていると確信している。


引き続き調べて行こうと思うが最終的には実里に害が

無ければ俺にとっちゃどうでも良いんだけどな。







まとまった自由な時間が出来たのでゼノとリノンを探した。

あれから結構な日が経ってしまっているがまだ首都に居ると良いのだが。


聖騎士の仕事で少ないが伝手も出来たので色々と聞いて回った。

それらしき人物の情報は入ったが最近は見かけないそうだ。


ゼノは冒険者ギルドで依頼を受けていたのは確認出来た。

リノンは本庁と大神殿に何かの手続きに来てたようだ。

受付の部署が違ったので気が付かなかった。


聞いていた情報と同様で2人とも最近は来ていない。

本庁での内容も詳細は聞けないが何かの手続きに来ていたが

それは完了しているそうだ。

リノンの用件が終了したのでゼノも一緒に旅たったって所か。


こちらが忙しかったってのもあるが

会えそうで会えなかったってのは寂しくもあるな。


2人の捜索が一段落した後は挨拶と情報収集を兼ねて

エバーザイト家に行った。


久々に会うカリュイは元気で

レラは相変わらず外で作戦行動中で不在だった。


「そうそう、ミノル様

 手紙を預かっています」


「手紙?」


「ゼノーヴァ様とレーリス様からです」


「おぉ?まじか

 でもなんでエバーザイト家に?」


「聖騎士になれたかどうかが不明だから

 こっちの方が確実

 と、仰っていました」


「はは、ゼノらしい」


手紙には首都を発つが会えなくて残念と綴ってあった。

これからの行動内容が大まかに書いてあり

幾つかの国を周ると書いてある。

立ち寄る事があれば冒険者ギルドに

伝言を残すので寄ってくれと。

最後は絶対に再会しようぜっと絞めてある。


2人に会えなかったのは残念だが

元気そうだし首都での目的も無事に終わらせたようだ。

俺も記載されてる国に行くような事があれば

冒険者ギルドに寄ってみよう。


カリュイにはそろそろ何処かに派遣されるかもと伝え

立ち寄れなくなった場合の事を考えて色々と話しあった。

その際に俺の作った武器についてカリュイとレラが興味を持っていたので

エバーザイト家が責任を持つのでパテント契約させて欲しいと。


迷宮素材が一部含まれるものの仕組みは割と単純だから

材料を吟味して技術さえあれば再現は可能だろう。

ポーラスでもある程度は認知を始めてるようだし

遅かれ早かれ類似品も出るだろうから

鍛治の親方にも話を通し俺達に不利が無いようにするのが条件で同意した。


そうそうエライトも同行先で頑張ってるとの事だ。

まだ新人で立場も低く仕事は辛いが

聖女は素晴らしい方で側に居れる事が嬉しいと手紙が来たそうだ。


その聖女ってのは俺の妹だけどな・・・・。


心情以外の情報は規制されているらしく

何処にいるかも不明だが元気にしているようだ。

俺が調べても行き先は掴めなかった。


何処かの国のどこそこで見た、演説を聞いた、祝福を受けた等の

情報は各所から入ってくるものの次に何処に行くかが不明。

多分、何かしらの目的を持って動いているんだろうけど

襲撃対策も兼ねての行動なんだろうな。

知名度と行動範囲とは裏腹に見た人が少ないってのも理解出来る。

なんつうかランダムアカウントのイベントキャラみたいな動きだな。


夕食まで御馳走になりエバーザイト家を後にした。



それから2週間はのんびりとした日々を送った。

業務を確実に遂行し訓練も参加した。

スキルの熟練度も少しは上がっかな。

他にも空いてる時間を利用して大神殿で"祈祷"について教えて貰ったりもした。

外での見回りは吹き溜まりが多いので魔法攻撃よりも"祈祷"の方が

効果が高いので覚える事にした。

理論や仕組みさえ理解出来れば魔法構築は出来るので

これからも知識は貪欲に吸収して行こう。


そうそう、気になる点としてはロイラが俺の前に

現れる事が多くなってきたが無害なので気にしない事にした。

大抵は何故かボロボロになって退場していくが・・・・。

まぁそれ以外は特にイベントも無く過ぎて行った。


あ・・・・・一つだけあったかな。

職業が手に入った。


=========================

≪武装神官≫


説明:我が右手は過ちを正し

   我が左手はま迷い子を導く

   我は神の代行者


効果:この世ならざるモノに対した場合

   各種ステータスにプラス補正

   祈祷系魔法、回復系魔法の効果微増

=========================


聖騎士って"武装神官"って立場なの?

そりゃ大抵の者が回復系の魔法なんかは使えるけど

中には本当に戦闘馬鹿もいるんだぞ?

そいつなんか神官じゃないだろ?


そもそも"武装神官"って名前がどうにもね。

俺的には銃剣と聖書をメイン武器に戦う方がイメージされちゃうんだけどもね。

再生能力なんかは付加されないのかな?


職業は有効だから有り難くはあるんだが

微妙にズレてると言うか正しいのか?と言いたくなるようなチョイスだなぁ。

神官として金を稼いだ覚えはないんだけどなぁ。

悪しきモノを祓うってのは神官に仕事になるって事か?




クソ騎士Aから例の個室に呼び出しを受けた。

のんびりした日々も終わりに近づいたかもな。


時間は前回と同じ夕食の時間。

但し、使い魔は置いてくるように言われたので

ルーブをおばちゃんに預け、アリスは情報を探るよう頼んだ。


何時もの事務官と太鼓持ちのダミアンは不在で

部屋にはクソ騎士Aとトレブル、そしてロイラしか居なかった。


「やぁ、呼び出して済まなかったね」


「いえ、大丈夫です

 お誘いありがとうございます」


「そんなに畏まらなくて良いんだ

 さて、食事を始めようか」


運ばれてきた食事は前回のように豪華ではないが

暖かみのある素朴な料理で素材も手法も拘って作られていた。

口に含むと素材の味が生かされて旨味と滋養が

強烈に広がる素晴らしい内容だ。

豪華な料理も良いがこういった料理も素晴らしいよな。


「今回の料理はどうかな?

 前回とは趣向を変えてみたんだが」


「素材の味が存分に味わえて

 凄く美味しいです」


俺の感想を聞いてクソ騎士Aは満足そうに頷いた。

トレブルは料理を時折摘まみながらチビチビと飲み続け

ロイラはモリモリと食べ続けていた。


「豪華な食事も楽しくて良いが

 素材を生かして食べるような料理の方が好きでね」


「えぇ、本当に美味しいです」


「気に入って貰えたようで良かったよ

 最近はどうだね?

 仕事には馴れたかね?」


「仕事も覚えてきましたし

 何とかやっていけてる思いますが

 皆様に迷惑を掛けてばかりです」


「ははは、事務もすぐに覚えた上に"聖戦闘衣"もあっさりと習得し

 見回りも問題なくこなし現場の受けも良い

 これが何とかってレベルなら他の者はどうするんだい?」


苦笑と言った表情を浮かべながらも俺を持ち上げてくる。

その顔を見て何かが動くなと確信した。


「そう言って頂けるのはありがたいですけどね」


「まぁ、基本的な仕事は覚えたようだし

 現状で何か不都合でもあるかな?」


「大丈夫です

 ・・・・あ・・・でも・・・」


「何かあるかな?」


俺はチラっとロイラを見る。

お代わりも食べつくし勝手にトレブルとクソ騎士Aの食事にも

手を出しているが何故か俺のは無事だ。

つうか2人とも何も言わないんだな。


「非常に・・・言い難いのですが・・・・

 ロイラさんが私の前によく現れまして・・・・

 その迷惑とかでは無いのですが・・・・

 ちょっと言動に戸惑うと言いますか・・・」


「あぁそうだね

 君にはちゃんと説明していなかったな

 特級騎士と言うのは説明したが

 彼女はちょっと特殊な立場でね

 

 ふむ・・・丁度いいな

 君も中級5位になった訳だしそろそろ動いて貰おうと思っていたからね」


「と言いますと?」


「そうだな

 まずはロイラ君の立場なんだが彼女は

 以前も説明した通り特級騎士で一部の独自権限が認められている

 それが実害が出ない範囲での自由行動だ」


なるほど。

言われてみればそうかもしれない。

確かに頻繁に現れるが大した実害は無いな。

物が壊れるでもなく多少の時間が取られるぐらいだ。

しいて言えば本人が毎回ボロボロになる位だろうか。


「彼女は何と言うか不思議な力を持っていてね

 あぁ、何かの能力があるわけじゃないんだが

 現れた場合に何と言うかな・・・・・難しいんだが

 何かが・・・・何かがあるんだよ」


「何かとは?」


「そうだなぁ・・・・

 これは以前にあった話しなんだが・・・・」



ある洞窟がゾンビの巣窟になったので浄化し焼却作業をする時に

ロイラが現れたので詳細に調べてみると洞窟の奥に珍しい薬草が

生えていてそれは流行病に効く物だった。



スラム街を見回ってる時にガラの悪い奴らに絡まれたので

適当に追い払おうした際にロイラが現れたので

身柄を拘束して尋問すると他国の諜報機関の一員だった。


等々の事があったらしい。


他にも色々とあるが良い事も悪い事もあるし

大分後になってから分かった事もある。

何も無い時も多いのだが表面化してないだけか

本当に何も無いのかの判断が難しいんだそうだ。


そもそも偶然と言ってしまえばそうかもで済む内容ではあるが

本部ではロイラが現れた現場には何かがあると認識する事にした。

それが特級騎士たる所以らしい。


異常なまでの耐久力や回復力なんかも一因だが

最大の理由はその"現れる現場には何かがある"との事。


「なるほど・・・・では私の担当箇所に何かがあると?」


「いや・・・・・そうでは無さそうでな・・・・

 実際に報告は何も来ていないんだが・・・」


「?」


「何と言うか・・・君に興味があるようでね」


「え?」


「そうだな・・・このまま君に頼む仕事の説明をしてしまおう

 君への依頼は簡単な事だ


 "ロイラ君について旅に同行する"


 という内容だ」


「へ?はい?」


俺が焦ってロイラを見ると彼女は口の周りに食べカスを付けて

ケラケラと虚空を見ながら笑っていた。

ロイラこえーよ。


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