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5-30

外の猛暑&中の冷房に体力を大幅に奪われる時期ですね。

あえての辛い物が食べたくなります。

こんにちは森山実留です。

妹の御膝元に居るのに妹に会えないのは寂しい限りです。

今は遠征中でここには居ないそうですが・・・。

そう言えば妹は王族でもありましたね。

つまりはこの国の中心人物。

その兄が何故に聖騎士試験を受けているんだろう?

世の中は不思議な事ばかりです。







予想通りクソ騎士Aが言う最後の試験とは

"聖属性"の適性があるかどうか?だった。

以前に聖騎士になる為の条件として聞いていたの

を思い出したからだけどね。

当たったからどうと言う事はないんだけどさ。


ちなみに後で聞いた話だが聖騎士としての絶対条件として

"聖騎士適性"が必要だというのは間違いらしい。

クソ騎士Aもそう説明していたってのもある。

実際には無くても聖騎士には成れる。

なぜ必要かと言うとある程度から上には行けないって事らしい。

"聖戦闘衣"を使うにはこの適性が必要で

これが使えないと駄目ってのが理由みたいだけどな。

この適性は礼拝や修行によって手に入れる事が出来るので珍しくは無く

余程に不適正じゃ無ければ時間と努力さえあれば手に入れれるそうだ。


ところで・・・神の祈ると"聖属性"なのだろうか?

"神"って"聖属性"なの?

"聖気"じゃなくて"神気"って言ってたから"神属性"じゃないの?

まぁ"神属性"ってなんだよ?

もうそれって神じゃねーの?って言われると否定は出来ないなぁ。

ゲームとかでもそんな感じなのが多かったけど

実際にそこら辺の事を考えるとちょっと疑問を覚えるよね。

まぁ直接入手した俺が言うべき事じゃないとは思うが・・・。


そういや隊長の"聖炎"とかのダメージが無かったのは

"聖属性適性"の効果でレジストしていたからだろうか?

今迄気にした事も無かったから思いつきもしなかったぜ。

魔法が神システムで一新されたからはどうにもそこら辺を

考える必要が出てきて面倒だな。

前はオートで色々と制御してたから楽だったんだな。

そりゃ自由度は全然違うけどさ。


・・・・それ以前に俺って属性や魔法を駆使して闘うって事を

余りやってない気がする。

大抵が一方的に戦うか一方的に殺されるかじゃね?

"魔弾"だって結局は物理的な側面が強いし・・。

他にも火や酸や毒なんかも結局は物理的だろ?

むぅ属性ってなんだ?

わからなくなってきたぞ。

そもそも転生物ってそんな感じだっけ?

もっと大魔法や圧倒的な能力でドカーンとかじゃないの?

妙に俺の活動って地味な気がするぞ。

まぁ良いけどさ。

今更考えても仕方が無い。


何はともあれ俺は大神殿の奥にある適性を調べる部屋に来た。

部屋はそれ程大きくも小さくなくと言う程度で

中は飾りも無くシンボル的な像が台の上に置いてあるだけだ。

そこに壮年の働き盛りで気力も体力も充実し敬虔な神の使徒として

自信に満ち足りている顔をした神官が居た。


「ではこちらに来て神に祈りを捧げるのです

 さすれば神に仕えし記憶を読み解く事が出来ましょう」


何を言っているかサッパリわからないが

像の前で祈りを捧げれば判断してくれるらしい。

これが光の神なんだろうか?そんな感想を抱きつつ

作法等はわからないので適当に片膝を突き両手を合わせ頭を垂れる。


神官は祝詞を声高らかに紡ぎだし場に力が満ちてくる。

だが像からは何の力も感じれないぞ?

こっそりと≪構造解析≫≪魔力感知≫等を使用して

場の力の流れを読んでみる。

結果・・・・神官が≪鑑定≫系の魔法を使ってるだけだった。

詳細までは読み取れなかったが"聖属性"に対して適性の有無や

どれ位の適性があるかを検査する魔法のようだ。


「・・・・・ふむ・・・・貴方は神に愛されているようですね

 とても高い素質をお持ちだ

 神を信じ敬ってきた日々は貴方を決して裏切りません

 今後も神に仕え教えを守っていかれると良いでしょう」


そう言って書類にサラサラっと記入しクソ騎士Aに渡す。

神官さんに他意は無く役目を果しただけなんだろう。

俺の結果に対して満足そうな顔をしているしな。

それに比べてクソ騎士Aは苦虫を噛み潰したような顔だ。

俺に適性があり更に高い数値を出しているからだな。

そりゃ元々はアンタの同僚が持っていた・・・・ゲフンゲフン。





「・・・・チッ・・・以上で試験は終了だ

 明日の昼に来い

 結果を通達する」


それだけ言い残しクソ騎士Aはとっとと帰って行った。


「なんだあの態度は・・・・まぁミノル殿の

 結果が意図していなかったんだろうな」


レラの言葉は棘があるが少し愉快そうにしてるので

してやったり感なんだろうな。

その後、アリスとルーブを引き取りに行き本庁を出る。

時間はそろそろ日が落ちてくる夕方前。

夕方の礼拝に来た方々を眺めながら帰った。


夕食前にカリュイに報告しレラと共に食事をし

湯浴み後に部屋でベットに横になる。

ルーブは眠そうに枕元でうつらうつらとしてる。

ひんやりとした感じと俺を信用しきって寝てる姿が可愛い。

アリスに聞くと子竜の使い魔が珍しかったらしく

一時、見世物のように色々な者が来たようだが

手荒な事や粗暴に扱われるような事は無かったとのこと。


『それでどうだった?

 聖神教の中は?』


『そうですね・・・・私が動ける範囲で観た限りでは

 そこまで変な感じは受けませんでした

 ルーブちゃんの事も珍しさからくる好奇心みたいなモノでしたし』


『そっかぁ

 流石に中枢辺りとは言えまだまだ人の動きがある辺りだったもんなぁ

 そんなに変な動きをしてるのが居る訳ないか』


『私も部屋から遠くには行けていないですしね

 ただ・・・気になる事が・・・』


『気になる事?』


『えぇ、本庁の奥と言いますか距離があるとは思うんですが

 何かの気配と言うか

 正体はわからないんですが・・・何かとても気になると言いますか・・・』


『何かの気配ねぇ・・・

 聖神教にも何かやましい事や秘密があるって事かね』


『ん~、善悪とかではなくて存在そのものを感じると言うか・・・

 なんでしょう・・・・ちょっとわからない感覚なんです

 そんなに強烈には感じないのですがハッキリとは捉えられなくて

 生物なのか違うのかも曖昧で・・・・』


『そうか、なんにせよ本庁の奥にはそんな存在感を

 持つ何かが有るって事か・・・・

 神器や何かだったりしてな』


『なるほど・・・・教会ならありそうですもんね

 光の神に由来する何かなのかもしれません』


『だなー

 まぁ実際には聖騎士になったら調べてみるか

 神に関する事なら回避するかどうか考えないといけないしな

 ここまできてサクっと転生になりたくないし』


『立場的に妹さんに近づけたのは

 今回が初めてですしね』


『あぁ、これで聖騎士になれば近づくチャンスもあるだろう

 それにキリルやリース何かに繋げることが出来れば

 グッと可能性はあがるさ』


『でも転生の事はどうするんです?

 認識させちゃいますか?』


『それが一番手っ取り早いけどな

 数人なら問題なさそうだけど知合い全員に使用するとなると影響がなぁ

 もうちっとスキルの詳細を聞いとくんだったぜ

 次の機会の時には聞いてみよう・・・・って転生する気はないけどな!』


『楽なのは妹さんに直に会える事なんですけどね』


『そりゃあな

 遠征先も秘匿されているって言うし

 聖騎士になれたとしても教えて貰えなそうだよな』


『なんにせよまずは聖騎士になれるかどうかですね』


『大丈夫だと思うんだけどなぁ・・・

 ちょいとやり過ぎた気もするけど』





翌日はのんびりと起きてから支度をし本庁に向かった。

礼拝の時間は朝と夕の2回がメインだが巡礼者は絶えず居るようだ。

同じ方向に歩く者達を見ながら歩く。

大通りには活気がありゴミも無く清潔で明るい雰囲気だ。

その中でも時折、暗い雰囲気や重い体を引きずるように歩く者もいる。

治療や祈祷の為に来た者達なんだろう。


聖神教は怪我や病気の治療や薬の販売なんかもしている。

民間にも治療院や薬剤師はいるが聖神教は技術の割に値段が安いのが特徴だ。

それでも一般市民が気軽に使うには微妙な値段だけどね。

時間は決まっているが集団で受けれる祈祷は安いので

それを毎日受けて回復量をあげて自然回復させるってのも手らしい。

日々のお布施が分かり易い効果で体感できるってのは

神を信じる手段としては有効だよな。

ますますもってゲームっぽいけど。


本庁に赴くと直ぐに通された。

昨日と違うのはレラを同伴させて貰えなかった事だ。

別の部屋にルーブとアリスと共に待機し俺は1人で

クソ騎士Aの事務室で待たされている。

出入り口に見張りはいるので変な事も出来ずに暇だ。


『アリス、そっちはどうだ?』


『特に何もないですね

 監視も居ませんが部屋に机と椅子しかないので

 レラさんがルーブちゃんと遊んでるぐらいです』


『そうか・・・窓とかは無いのか?』


『窓もないですね

 部屋を包む何かの力を感じますから

 魔法で監視されているのかもしれません

 外からの音も一切聞こえませんし』


『取り調べ室とか監視室の類なのかもしれないな

 危害は無いと思うけど注意しててくれ

 何かあれば連絡してくれ』


アリスに注意するようお願いする。

外からの音がしないって事は何かしらの細工がしてあるんだろうな。

多分、通常であれば外部との連絡も出来ないハズだが

俺とアリスは神システムで繋がっているから問題はない。

こんな時は有り難いと思うよな。

最初の頃は全然離れれなかったけど今は結構な距離が大丈夫だし。


30分ほど待たされるとクソ騎士Aが試験官の女性を連れて入ってきた。

一応、椅子から立ち挨拶しておくかと思い振り返る。

だがそこには何時もの不機嫌で傲慢さを滲みだすよう顔は無く

とても・・・とても・・・胡散臭そうな笑顔をするクソ騎士Aが居た。

女性もニコニコしているのが不気味さを醸し出すアクセントになっている。


「やぁやぁミノル殿

 今日も御足労だね」


「は・・・・はぁ・・・・」


誰だこいつ?

こんな話し方じゃないだろ?


「さて早速だが試験の結果報告といこう

 ニャラ君頼むよ」


「ハッ、それでは試験結果を報告させて頂きます

 実技試験は部隊長クラス以上の実力があるので問題ありません

 学科試験についても一定以上の知識、教育の確認出来ました

 適性においても素質は高いと診断されていますので

 聖騎士なるに値する素質を持つと判断して良いでしょう」


ニャラとか言われる事務官が満面な笑みを浮かべながら

非の打ちどころがないですよと言わんばかりの説明をする。

ぶっちゃけ笑顔が気持ち悪い。

つうかババアだし。


「ほうほう、それは良かった

 ではミノル殿は無事に合格という事だな

 エバーザイト家が身元保証してくれるのであれば

 出身等も問題あるまい」


昨日とは180度変わった態度に恐怖を覚える。

絶対に何か企んでいるのが丸わかりだ。

その後もニャラと予定調和のような会話をしているが

合格という事を盛り上げて恩着せがましく言っているに過ぎない。

だがそれも何か意図があっての事だろう

判断材料が足りないのでとりあえず満足させるまで言わせる事にした。


ひとしきり話して場を盛り上げて満足したのだろう

クソ騎士Aは俺にニッコリとほほ笑みを浮かべる。

俺は表面的には笑顔を浮かべているが内面はドン引きだけどな。


「さて・・・・・ミノル殿は・・・

 おっと先に無礼を詫びておこうか

 昨日は申し訳なかったね

 こちらも聖騎士として立場ある故に実力の足りない者や

 粗忽者を軽々しく認める訳にはいかんのだ

 ああやって相手を煽る事も試験の内なのだ

 昨日と態度が違うのはそういった事なので気にしないで貰いたい」


「いえ、そのような事だとは知らずに・・・

 こちらも申し訳ありませんでした」


「いや、ミノル殿は落ち着いていたし性格面に関しても問題ないだろう

 実技試験の時は多少は色々とあったが

 戦闘時に前に出れないような臆病者は必要ないしな」


「そう判断して貰えるなら有り難いです」


「話は聞いていたと思うが改めて伝えよう試験は合格だ

 こらからは聖騎士として任務に就いて貰う事になる

 そうなればこの話し方も厳しいモノになるからな

 驚かないでくれよ」


あっはっはっと豪快に笑いながらもっともな説明をしてくるが

俺はこいつを以前から知っている。

この態度が作られた薄っぺらい事も何かを企んでいる事も。

レラを同席させないのもその為だろう。

今の俺にはこの流れに乗るしかないんだ。

湧き上がる嫌悪感を抑え込んで船を流れに乗せる。


「いえ、聖騎士とは尊い立場です

 それに気が付かぬ我が愚かさを恥じるばかりです

 これからの御指導を宜しくお願いします」


俺は頭を下げ礼を述べる。

クソ騎士Aがニヤリと笑うのがわかったが気が付かないフリをする。



ピローン


> スキル≪ゴマすり≫を手に入れました。


=========================

≪ゴマすり≫


説明:上司にゴマををる事しか出来ないクズ野郎がっ!


効果:自分より立場が上の者に取り入り易くなる。

   山吹色のお菓子の効果にプラス補正。

=========================


なんつー説明だよ。

確かに今の俺にはピッタリだけどさ。

絶対にアイツが何処かでニヤニヤと笑ってるハズだ。

寧ろ即興で作ったスキルかもしれない・・・・・。

だが有益なスキルには違いない。

腹ただしいが有り難いと思わせる辺りが流石だ。


俺はスキルを発動させ更にクソ騎士Aに取り入る事にした。

全ては実里に近づく為に。


≪捕食者≫でGETしたスキルや能力は元の能力値が高い程に

手に入る可能性と初期値が上がります。

入手後も繰り返し摂取すると効果が上がって行きます。


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