5-29
そろそろ梅雨明けて夏本番ですね!
こんちゃーす。
以前から気に入らなかった聖騎士を大義名分を持って
堂々と正面からフルボッコにした森山実留です。
ぱわぁあっぷした今の俺に未熟な聖騎士なんて敵じゃないぜ。
調子に乗って隊長格まで煽ったら参戦してきました。
面倒だなぁ・・・・・・えぇ、本当に面倒ですよねぇ・・・。
隊長がキレて例の"聖戦闘衣"とやらを纏いだした。
光り輝くオーラのような物が噴き出ると体に纏わりついていき
防具のような形に固定され光りが収まった。
以前に見た物とは形状が違うようだ。
現状の防具の上に追加装甲が全身に追加されるような感じだったはずだが
隊長のは肩や胸に装甲が付いたノースリーブに膝丈のローブのような形だ。
腕と脚には籠手とブーツも追加されている。
白金色で全体に透き通ったような質感でとても綺麗だ。
まぁ隊長の外見はゴツイので物凄く似合ってはいないけどな。
形や色もバラバラなんだが違うものなのだろうか?
以前に見たときは多少の個人差はあったが大きく形が違う事も無かったけどな。
似たり寄ったりのデザインだったはずなんだが・・・。
これも入団したら教えてくれるのかな?
つうか俺も"聖戦闘衣"を使えるようになるのか?
そんな疑問はさておき激昂しすぎて話が通じないが
このまま進めてしまっても良いのだろうか?
確か許可がないと発動しちゃいけなかったんじゃないのか?
この状態の聖騎士と戦闘した事はないが
効果としては身体能力と防御の大幅な向上だろう。
その情報もブリンジ戦での情報しかないので予想だけどね。
バックステップで距離を取り様子を伺う。
周囲から不味くないか?
大丈夫なのか?
等の声が聞こえてくるが隊長には届いてないようだ。
どうも"聖戦闘衣"は高揚する効果もあるのかもしれないな。
チラっと見るとクソ騎士Aは何か声を張り上げているが顔は薄ら笑いだ。
何かあれば責任を隊長に押し付ける気なんだろうさ。
隊長は細身の剣を使い巧みに攻撃を仕掛けてくる。
あれだけ激昂しても攻撃が大雑把になる事もなく
身体能力向上の為か更に斬撃速度は増してきている。
右、左、上、下と嵐のような斬撃を捌く。
速度は凄いがリズムが単調になってきている。
そろそろ反撃するかとタイミングを見計らっていると
隊長が唐突に突きを放ってくる。
これを狙っていたとしたら激昂していたのは
芝居だったのか途中で冷静になったからか。
急な変化に驚くも簡単に対処できるレベルだ。
上半身を捻り剣先を躱すと片手で剣を繰り出してきている隊長の
体が伸び切り腹を俺に見せる形となった。
拳でもお見舞いしてやろうかとしたが視界の端で何かが動く。
あれは左手だ。
伸びきった右腕と上半身に添えられて・・・・いない。
よく観察すれば体に隠すようにされていた左手には
魔力が集まっているのが分かる。
隊長の狙いはコレだ。
離れようと足に力をいれるが向こうの方が早い。
「食らいなっ!"聖炎爆っ!"」
急に光が広がったと思えば激しい衝撃が体を襲い宙に投げ出される。
余りの衝撃に音が吹き飛ばされた俺の後を追ってくる。
「はははっ!どうだ聖炎による爆裂魔法は
威力は調整してやったから死ぬ事はないだろうが
一生、満足に動く事は出来ないだろうな
聖騎士を・・・俺を・・・馬鹿にするからだ・・・」
隊長は連撃と魔法の行使により息は多少切れているが
まだまだ余力はありそうだ。
周囲はザワザワとしだす。
大丈夫なのか?
遣り過ぎでは?
いや・・・でも・・・?
と言った疑問の声が上がる。
「おい!これは試験じゃないのか?
明らかにやり過ぎだろうっ!」
そんな気まずい場を打ち崩すかのようにレラが輪に割って入る。
今迄は傍観していたが流石に不味いと思ったのだろう。
今更ながら隊長もやり過ぎたと思ったのか顔が青くなる。
「多少の怪我はしてしまいましたが
命に別状はないでしょう
そちらも了承していた事でしょう
これが過剰だと言うなら聖騎士と言う立場を甘く見ていられるのでは?」
説明のようであって説明にすらなってないが
真面目な顔をしているが明らかにニヤニヤが漏れ出してるクソ騎士Aが
レラの前にスッと入って隊長を隠す。
「そもそも聖騎士とは苛烈な訓練や実戦を積み
実力が認められて拝命できる名誉ある立場なのだ
それを試験で突破しようというのに過剰だと言われるのか?」
「いや・・・だがしかし・・・・"聖戦闘衣"まで使われたとなると
こちらとしてもこのままで済ます訳にはいかん」
クソ騎士Aが舌打ちし隊長がアワアワしてる。
レラとクソ騎士Aの緊張が高まっていく。
「いやぁ、危なかったわ
もうちょいで怪我するとこだったぜ」
そんな呑気な台詞を吐きながら俺は立ち上がる。
砂埃で多少汚れたし衝撃はあったがその程度で
防具類はちょっぴり焦げたが怪我らしき物は1つもない。
「な・・・・なぜ?
なんで怪我の1つもしていないんだ?」
隊長が唖然として呟くも誰も答えてくれる人は居ない。
仕方が無い説明してやるか。
「いや・・・単に防御しただけだろ
咄嗟の事で衝撃までは吸収しきれなかったから吹き飛んじゃったけど
まぁ少しは痛かったよ、うんうん」
実際にはシールドと結界を展開して軽減と受け流しをしたが
間に合わなくて吹き飛ばされたって事だ。
「馬鹿な・・・・それだけで・・・・済む訳が・・・
聖炎だぞ!」
「ふ~ん、聖炎って言うんだ?
普通の炎系とは何か違うの?」
隊長がアホみたいな顔をしていた。
あれ?そんなに変な質問だった?
確かにちょっと毛色の違う感じはしたけどさ・・・。
何はともあれ俺は無事で試験は続行中って事だ。
「で?まだ試験は続行中ですよね?
行きますよっ!」
俺は隊長に向かって駆け出す。
慌てた隊長が構えるも動揺しているが"聖戦闘衣"は展開させたままだ。
ちょっと・・・いやかなり・・・イラっとしてたので
スキルを多重起動&稼働率を上げ"瞬動"を使い一気に距離を詰める。
一瞬にして懐に入り込み拳を下からアッパー気味に腹にお見舞いする。
もちろんコッソリと拳には竜鱗を纏わせて威力を底上げしている。
ベゴォと鈍く嫌な音が響くと同時に"聖戦闘衣"諸共、鎧を大胆に
凹まして空中に浮かびあがらせる。
ビチャビチャと何かが降って来るがシールドで回避。
隊長の苦悶の表情を見れて少しは溜飲が下がったが追撃を行う。
もちろんお得意のアレだ。
「爆音!爆音!爆音!爆音!爆音ッンンンンン!」
更に進化した十八番の魔法"爆音"。
結界ににより封じ込められた密閉空間で衝撃波と大音量が荒れ狂う。
結界内では威力が反射され威力が跳ね上がるが
手加減をしないと不味そうなので反射率を下げておいた。
音と衝撃波の嵐に揉みくちゃにされた隊長はそのまま地面に落ちた。
ドチャっと着地した隊長はピクピクと痙攣し意識は無かった。
ちょっと目や鼻や耳から血が出ちゃっているが気にしちゃ駄目だ。
大丈夫!多分、治療で治る!・・・・よね?
よし!皆が気が付く前に証拠隠滅だ。
テテテっと走り寄り回復魔法を使ってあげて怪我を治した後に
水魔法をぶっかけて強制的に意識を覚醒させる。
ぶっかけたのが冷水と言うか氷水なのはご愛嬌だ。
氷水の冷たさと痛さに薄っすらと目を覚ました隊長は
意識がハッキリとしないのか目が泳いでいる。
俺は隊長の脇に片膝を着き優しく話しかける。
「意識はハッキリしましたか?」
「え・・・・?あ・・・・」
「見た目上の傷は治しましたが
深い所はどうでしょう?
動けますか?」
「あ・・・あぁ・・・・問題・・・ない・・・」
「そうですか!
それじゃぁ続きをやりますか!」
「あぁ・・・え?・・はい?」
「いやいや、隊長さんが途中で意識を無くしたから
試験が継続出来ないでしょう?
ちゃんと実力を測ってくださいね」
そう言ってオロオロする隊長を立たせてあげる。
「じゃぁ行きますよ」
先程とは違い構えも何もとっていない隊長の腹に
再度の拳をお見舞いする。
今度は真上に飛ぶように調整した。
既に"聖戦闘衣"は解除されていたので
発動スキルは減らして手加減する優しさを評価して貰いたいね。
またもや上空に吹き飛びながら何かを撒き散らしている。
ふむ?先程よりは量が少ないな。
何かを叫びながら落下してくるので小シールドを隊長当てて
落下地点をコントロールする。
「"エアーバッシュ"」
大げさな名前だが空気を圧縮して高密度に射出する魔法だ。
風撃ともウィンドバレットとか言われている初歩的な魔法だね。
名前なんて何でも良いんだけどやはりイメージに直結する名前が良い。
魔法効果にも影響があるからな。
実際には俺の魔法と一般的な魔法は仕組みが違うようだけど
効果は一緒だから気にしなくても良いだろう。
それを隊長に向けて放つ。
高密度の圧縮空気の塊が直撃するとトランポリンのように反動で空中に投げ出される。
位置調整をしてエアーバッシュ。
位置調整をしてエアーバッシュ。
位置調整をしてエアーバッシュ。
位置調整をしてエアーバッシュ。
位置調整をしてエアーバッシュ。
俺は隊長をお手玉にしたって訳だ。
人ほどの重量がある物を空中で跳ね返す程の密度にする為には
どれ程の高度な制御技術と莫大な魔力が必要なのは
魔法を多少でも使える者なら理解できるハズだ。
俺は頑張ってアピールを続けた。
「もう良い!そこまでっ!」
クソ騎士Aの掛け声と共に俺はお手玉を終了する。
「"エアークッション"」
サービスで空気のクッションを作って受け止めてあげる。
落ちたきた隊長は目立つ外傷は無いが腕や足の関節は変な方向を向き
全身が汚物で汚れており可哀想な事になっていた。
どうも下の方も開放してしまっているようだ。
それを見て周囲がドン引いて行くのが分かる。
「どうします?まだ続けますか?
こちらとしては全員相手にしても良いのですが?」
そういって周囲を見渡すと半人前聖騎士共は揃って目を逸らす。
中には鼻息荒く睨みつけてくるのも居たが無視しクソ騎士Aに視線を戻す。
「もういい・・・実力は問題ない」
少し顔が引きつってる様な気もするクソ騎士Aは
吐き捨てるように言う。
「では合格で?」
「フンっ!実力はな!
まぁ認めてやろう
だが試験は他にもあるっ!」
あれで実力試験は良いのだろうか?
聖騎士5人をボコボコにしただけなんだけどなぁ。
ビクンビクンしている隊長や同僚に治療を受けている
半人前4人を横目に見ながらクソ騎士Aの後をついて行った。
それからは知識や技術の試験を色々とやらされた。
クソ騎士A曰く「聖騎士とは中身も伴ってないと務まらない」だそうだ。
その糞ったれの性格は良いんですか?と聞きたかったが
グッと我慢して試験に臨んだ。
クソ騎士Aは何処かに行ってしまい
教員のような雰囲気を持つ女性が代わりに来た。
この人が試験官のようだ。
部屋の前と後ろには簡易装備を身に着けたクソ騎士Aの部下も待機してる。
全員が不正をさせないぞ!と言わんばかりに目をギラギラさせていた。
まずは読み書きだがスキル効果でバッチリ。
しかも標準語のアース語以外にもエルフ、オーク、ネズミも使える。
これは随分と驚かれた。
次に計算試験だがこれも問題なくクリア。
と言うよりは単純な四則演算しか出題されなかった。
更に言えば加減算しか出なかった。
イチイチ単純に計算する程のモノでも無かったので
サクッと乗除算でクリアしたのだが相当に驚かれた。
どうにも計算がスラスラと出来るのは専門職以外では
殆ど居ないんだそうだ。
これはレラも驚いていた。
気にした事は無かったがそんなモノなのか?
他にも地図を読めるかや薬草や毒についての知識。
行軍や冒険に必要な物や気にしなければいけない病気や怪我。
それらの対処方法や治療方法について。
メジャーな魔獣や魔物等の知識。
そんな事も聞かれたが殆どが知っている事だったので問題無かった。
一般常識や普通に考えれば簡単な問題ばかりだ。
それ以前に読み書きや計算なんかの習得率は結構低いんだな。
そういや獣の時は気にしたことも無かったし
それ以外だと商人やギルド関係等の知識がある人達ばっかだったしなぁ。
一通りの検査が終わり結果は問題無し。
しかも相当に高度な教育を受けていると判断出来る。
結果を試験官の女性が報告するが
明確な結果として出てる以上は受け止めない訳にはいかないのだろう。
嫌そうな顔をするクソ騎士Aの顔が印象的だった。
これで終了かぁ・・・・俺も聖騎士・・・グフフとか考えていたら
クソ騎士Aが俺が喜んでいたのが分かったのだろうニヤリと笑った。
「喜ぶのはまだ早いんじゃないのかな?
試験がこれで終了とは言った覚えが無いが・・・・」
「あぁそうですね
それでは次はなんでしょう?」
俺は余裕をもって答えるとクソ騎士Aは笑顔を絶やさずに告げる。
「次が最後だがな
聖騎士として一番大切で重要な試験だ」
クソ騎士Aは明らかに俺の不合格を確信している。
しかし俺には受けるしか選択肢が無い訳だ。
だから俺は意気込みを語ってやった。
「聖属性の有無でしょ?
面倒だからササっと終わらせてくださいね」
クソ騎士Aはアングリとした顔をしていた。
隊長さんの威厳はボロボロっすなぁ。
ただ実留無双をした為に半人前聖騎士達に目立って非難される事は無さそうです。




