表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
163/254

5-25

更新が不規則で申し訳ないです。

こんにちは迷宮攻略者の森山実留です。

またもや迷宮に潜ります。

嫌だけど妹に繋がる道だから!

そういや妹に会うのも久しぶりだなぁ。

忘れてた訳じゃ無いけど魔王とか!勇者とかね!

うぅ・・・彼奴らまた出て来ないだろうな・・・。






迷宮攻略を早急に行う事にした。

もちろんエライトの為を考えてだ。

母方の御家が潰れては元も子もないからな。

うんうん、顧客は大事にしないとね。


出発は3日後を予定した。

エライトの訓練は完全管理されるプランだったので生活は併設されている宿舎だったが

出発までは英気を養う為に自由行動となった。

エライトの体調が完全回復するのにはそれ位は必要だろうしな。

装備品の手入れも終わらせておく必要があるので全員の装備を預かった。

必要ないと思うが代用品も貸し出しておく。


この3日間でやるべき事は多かった。

まず武具の手入れだがこれは親しくなった職人に任せた。


必要な薬や道具もなるべく高品質な物を用意する為に街中を走り回った。

俺の考えではそこまで必要かどうかは不明だが

備えあれば憂い無しってね。


準備は色々とあり大変だったが実里に近づく為だ。

お兄ちゃんは頑張るぜっ!


3日後に体調を整え現れた5人に作戦内容を説明する。

まず大人数で移動は時間が掛るので護衛は俺と母牛ともう1人。

ここに居ない1人については迷宮内部で落ち合う予定。

迅速且つ最短で攻略していく為に倒した魔物のドロップ品以外は無視する。

その他の細かい事を説明し最終確認を行う。


「迷宮を攻略できれば手段は問わない

 それで間違いないですか?」


「あぁ間違いない

 それでお願いする」


エライトが真面目な顔で返答する。

具体案が提示された事で少しは気合が入ったかな?


「それと迷宮内での行動や攻略情報等は

 当団体の不利益になりうるので口外無用の契約を結んで貰いますが

 問題はないですね?」


「それも問題ない」


これらの情報はヴィリアの運用ネタとなる肝心な部位だ。

しかも深層階の攻略情報なんて普段は滅多に出ない。

そこに辿り着いた者だけが得られる飯のタネだしな。

ギルドから公開されている情報以外の口外を禁止を何回も

念を押して約束させる。


「では家名での契約としましょう

 我が"エバーザイト家"の名で署名致します

 何かの不都合があれば家をあげて対処させて頂きます

 無論、全員の無事が前提条件となりますが・・・

 それで如何でしょうか?」


俺の必死さにカリュイが提案してくる。

もう家名を隠す必要も無いと判断したんだろう。

こちらも全員を無事に帰すつもりなので有り難い内容だった。

3枚の契約書を作って署名する。

ヴィリア、エライトで1枚づつ保有し最後は迷宮ギルドに保障人となって貰う為だ。

これには幾らかの金が必要だが後で揉めない為にも必要な事だ。


話し合いも終わり準備に入る。

俺は預かっていた武具を渡す。

・・・・と全員が驚いていた。


俺が取り出した武具は全て完璧に整備され強化された上に

紋術も追加でビッチリと入っているからだ。

それも100%全開での強化だ。

殆どが防御系と身体能力向上系で身の安全を第一にしている。

死んで貰っては困るしな。


エライトが鎧を身に着けて剣の具合を確かめている。


「何だ?体が軽い?

 それに剣に魔力が通り易い?」


他の4人も驚いているな。

エライトは魔法剣士として機動力の補助と魔法発動率をUP。

カリュイは隠密性と1撃の威力をUP。

前衛のは重量軽減と防御力と耐久性をUP。

それそれの特性に合せた改良をした。


これは俺が迷宮から持ち帰ったレア度の高い物を惜しげもなく放出し

流用して改良して貰ったから出来た事だ。


職人は要求に悲鳴をあげていたが余った素材の他に

欲しいのがあれば報酬として渡すと言ったら今度は嬉しい悲鳴を上げていた。

まぁ使って無い物だから良いけどさ。


更には俺が紋術を施しているので

魔力を流せば更なる能力UPも可能だ。

まぁ魔力消費を軽くしたので凄まじい効果と言う訳ではないが

通常で手に入れれれる武具のレベルは軽く超えているので良いだろう。

紋術については俺の魔力とスタミナと腹減り位しかデメリットは無い訳だしな。


正直に言ってちょっと武具については気合を入れ過ぎた感はある。

ハッキリ言えばこんな武具を一般人が持っていたら命を狙われるのも

仕方が無いと言えるレベルになった。

それ程、俺は今回の事に思い入れているんだろう。

一応は持ち主登録もギルドに届け出てるし大丈夫だろう。

渡した以降の管理は自分の責任だしな。


余談だがこれらの武具を巡りエライトの父方と母方で

所有を巡り争い事に発展するが最終的にはエライトの考えで

身の振りを決める手段の1つにもなった。

結果として渡して良かったのか悪かったのかの判断は

幾らかの時間が必要になるが実留には関係がない事だ。


その後は用意した道具の使い方をレクチャーし

迷宮内でのフォーメイションを提案したり

何か意見があればと全員で最終確認をした後に解散。


翌朝、迷宮攻略は始まった。





今回の作戦内容は"突貫"の一言に尽きる。


俺が先頭に立ちオートマッピングで迷宮内の大半が網羅されている地図を見ながら

最短ルートを走り抜ける・・・・・本当に走り抜けた。


隊列は俺が先頭で次に前衛の3人が続く、そしてエライト、カリュイ、母牛。

時間を無駄にする事は出来ないので移動はほぼ駆け足。

感知エリア内で戦闘範囲に入った敵は容赦なく魔弾で撃ち殺していく。

事前に大量に弾を作っておいたので大盤振舞いだ。


そもそもが20階層までの敵なら問答無用で薙ぎ倒しながら進み

追ってくる魔物は無視しても大丈夫なレベルだ。

それ位には俺も母牛も余裕がある。

あっという間に19階をクリアする。


問題は20階層以降だ。

魔法を使ってくるタイプや数で推してくるタイプ。

更には大型やタフな奴も出てくる。

中にはあのリビングアーマーもそれに含まれる。


ロッドロドリスも居なくなり綺麗に修復された20階層は

何だか思わずグッと来るものがあったが

良く考えれば長居したのは21階層の転送陣だ。

この階は奴が居座ってたので来れなかったのを思い出す。

1人で独りボケツッコミを心の中でした上で20階層もサクッと走り抜けた。


21階層の転送陣で本格的に一休みする事にする。

ここまで僅か1日と少しの驚異的な攻略スピードだ。

途中で短い休憩をとりつつ来たので俺だけなら半日で来れるだろう。


リノンに教わった結界を張って守りを強化し食事の用意をする。

仮眠を取る事になるので母牛に後を任せて席を外す。

もう1人の助っ人と合流する為だ。


20階層に戻り階段の近くの小部屋に入る。

そう懐かしの部屋だ。

出入り口を塞いで安全を確保し助っ人を召喚する。


「きゃもーんっ!ロズッ!」


俺の手持ちで最強の札を呼び出す。


そういや今って半神半天使なんだよな。

そんな立場の者を簡単に呼んでしまって良いのだろうか。

更に言えば天使の時よりも召喚コストが低い気がする・・・・。

ふむ?気のせいだろうか?

まぁ数値化した訳じゃないしなぁ。

総量が増えてるからそう感じるだけか。

なんにせよ魔力はゴッソリと持って行かれたが以前に比べて

大幅に増えているから問題ない。


ロズは普通に召喚されたが案の定、思いっきり怒られた。

今はとある下級神の従属神として見習いをしているらしい。

丁度、そんな時の召喚だったようだ。

一応は最高神の息が掛った下級神だから問題は無いようだが

それで担当分の作業量が減る訳でもないらしい。

とりあえず事情を説明する。


「なるほど・・・・では私は向かってくる魔物を排除しつつ

 ミノル様を最下層まで送り届ければ良いと?」


「そうだね

 迷宮ボスの前まで行ければ良い

 頼めるかな?」


「まぁミノル様の為なら良いですわ

 但し他の者まで面倒は見れませんわよ」


「あぁ、それで構わない」


念の為、背中の羽は隠して貰えたが漂う雰囲気が明らかに一般人とは違う。

迷宮の仄暗い空気とは違い清々しさが駄々漏れだ。

まぁそこら辺は仕方が無いよね・・・天使だし・・・神だし・・・。

実里に早急に会う為だ仕方が無い。

だってエライトが強くなったと言えども30階層の突破は無理そうだし。

40階層クラスなんて死にに行くようなモノだしさ。

そして強くなるのを待つ時間は無いしな。

何回も言うけどエライトの母方の為だからね。


連れて戻り皆に紹介した。

現在、この迷宮を探索中の凄腕で護衛中階層~深階層の護衛を依頼したと。

≪誤魔化し≫は使ってないので確実に嘘だと思われているだろう。


こんな迷宮の深くにガチムキの女性が1人で居るかって話だよな。

しかもノースリーブで防具らしき者も身に着けずにさ。

まぁ着てる服はそこらの防具なんかより防御力はずっと上だけども。


明らかに纏う空気が違うロズにカリュイは少しだけ殺気に近い

疑惑を含んだ威圧感を放っていたが元々はロズの方が生物的に格段に上位だ。

一睨みでそれが理解出来たのか大人しくなった。

相手がどんな存在であれエライトの味方となるなら清濁も飲み込むつもりなんだろう。


そんな隣でエライトは「な・・・・なんて美しいんだ・・・・・ふわぁ」等と

謎の声を出していたが彼にはガチムキの体は目に入っていないんだろうか?

こんな迷宮の奥深くでノースリーブだぞ?



ロズを先頭に今迄よりも更に破竹の勢いで進んだ。

理由としてはロズが威圧感を全力で展開したので

殆どの魔物が襲って来る事は無くなったからだ。

偶に触発されて向かってくるガッツのある奴も居たが

ロズの鉄拳により1激で粉砕されている。


当初はロズの行動&威圧感に俺以外の全員がビビッていたが

段々と馴れて行った。

というよりも気にする余裕が無かったと言うのが正しいだろう。

ロズは本当に容赦なく走り抜けたからだ。

21階層から49階層まで殆ど休憩も無しにだ。


うん、もう少し手加減しても良いと思うの。

俺以外の全員がヘトヘトだ。

母牛すらもそうなんだからエライトはもっと・・・と思ったら意外と平気だ。


「美しく・・・強い・・・・あぁ・・・・」


何か虚ろな目でブツブツと呟いていた。

よし、気にしないでおこう。


50階層の迷宮ボス扉の前で休憩をする。

母牛もここまで来た事がないらしく緊張しているように見える。

そもそも実力でここまで辿り着けるのは

今のメンバーだと俺だけだろうしな。


俺はロズに警戒を任せて1人で扉の中に入る。

ここで俺がヴァルモーブを倒しても良いのだが

それだとエライトのカードに討伐記録が残らない。

付け加えて言うのであれば戦闘自体に参加する予定もない。

これも討伐記録に残ってしまうのでパワーレべリングだと思われるのも嫌だしな。

実際の所は完全にそうだとしてもだ。







グガアアアアアアアアアアァァァ。


そんな断末魔を上げてポーラス迷宮の最終ボスである。

ヴァルモーブはその体を地面に沈めた。

体の各所は剣や魔法で傷つき首は半ばが千切れ体液が留めなく垂れ流れる。


俺以外の全員が肩で息をし武器を持つ手の力を緩めずに

油断なく様子を伺っている。


どれ位の時間をそうしていただろうか。

光りを失った目は何も写さず濁りだし少しづつ冷たくなる大きな体躯に

エライト達は迷宮を攻略した事を実感したのだろう。

少しづつ緊張が解け・・・・興奮したような熱気が湧き出てくる。


「やっ・・・・た・・・のか・・・・?」


「あぁ、討伐成功だ

 これでエライト達も迷宮攻略者だ」


「やった・・・・やった・・・・・やったぞぉぉぉぉぉぉっ!」


エライトはカリュイに抱きつき涙を流しながら大声をあげている。

そんなエライトの頭を撫でながらカリュイは優しい笑顔だ。

前衛達も達成感に満ちた顔をしている。

体力も魔力もギリギリで全員が傷だらけだが

1人も欠ける事無く討伐を終えたんだからな。



ロズは契約が49階層の攻略までだったので既に帰還し

母牛は・・・・俺を見ている。

何かを言いたげだが言ってこないのだから気にしないでおこう。


興奮冷めやまぬエライトが話しかけてくる。


「あの大きな竜を倒せるなんて君のお陰だよっ!」


俺は倒れている赤黒い迷宮ボスに目を向ける。


「皆さんの努力の成果でしょう

 現に自分は手を出さなかった訳ですし」


体長が3m程の蜥蜴のような外見を持つ相手が

そこに倒れている。


「なんにせよこれで迷宮攻略は果せた訳だね」


「えぇ、これで目標達成です

 全員無事の条件も間違いないでしょう?」


俺は全て計算通りだと言わんばかりにニッコリとほほ笑む。


「あぁ確かにね・・・・助かった・・・・

 君には感謝するよ

 次は此方が約束を果たす番だね」


「それは出てからの話にして

 素材の剥ぎ取りや討伐ボーナスの確認を先にやっちゃいましょう」


これも勉強だと思い素材の剥ぎ取りをエライトに指導する。

前衛は他の部分から解体をしつつ不明点は確認してくる。

カリュイと母牛は討伐ボーナスの確認だ。

幾つかのアイテムと武器が手に入ったようだ。


疲れた体に最後の活を入れ黙々と作業を続ける。

終わった時には全員がヘトヘトだ。


俺は最終チェックをしてから戻ると伝え

母牛を先頭に帰還の転送陣に入って行く。

全員が戻ったのを確認し取りこぼしが無いかをチェック。


「よし・・・・戻るかねと・・・・

 んじゃ、設定戻しを宜しくね」


俺は何も居ない空間に一声掛けて転送陣に入った。


こうして2度目の迷宮攻略は僅か数日で終了したのだった。


実留君が同行する最上級プランですが

基本的に極一部の優待様のみのご利用となります。

御了承ください。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ