5-20
GWは飲み食いしすぎで内蔵が凄い疲れました。
PCが無い生活って久々だったなぁ。
神を従えた男・・・・いや漢の森山実留です。
神と天使を配下にし
覇道を爆進する日も近いですな。
・・・・・不安だ・・・あの神と天使で
勇者と魔王に勝てる気がしない・・・・。
おっさんは相当に慌てている様子で
今居る場所が何処かも把握してないようだ
キョロキョロと周囲を見渡している。
俺に気がつくと寄ってくる。
「お、おいっ!ここはポーラスの迷宮だろ?
何で私は此処に居るんだ?
というか君は帰ったんじゃないのか?
他の者達はどうした?」
矢継ぎ早に質問を投げかけてくる。
唐突に呼び出されたんだしパニクるのも分かるんだけど
受け答えするのも面倒だなぁ。
相手がテンパるとこっちって冷静になったりするよね?
「急に何者かに呼び出されそうになって
拒否していたのに・・・・何故だ・・・・何が起きた・・・・ん?
おい、君っ!君がミノルとか言う名前だろう!」
俺に掴み掛って来る・・・も俺には手を掛けれない。
今の行動は害意があると判断されているようだ。
そういやコイツって俺の事を名前で呼んだ事ないよなぁ。
「否定しないとなると・・・・・
やはり・・・・・貴様か!
神である私に召喚契約などと・・・・」
「いや別にしたくてした訳じゃ無いしなぁ」
「な!なななななななんだとぉっ!」
またも切れるおっさん。
こいつこんなんばっかだな。
正直、めんどくせぇ・・・。
「本当はヴァルモーブと契約したかったんだけどな
おれだっておっさんなんか神は嫌だし」
「きさきさきさきさきさきさきさきさっ!」
何かもう切れまくってるので話にならないなぁ。
今回の事はなんとなくだが原因に心当たりはある。
「あのさ・・・・・前回さ魔法陣、まぁ召喚陣で良いかで
こっちに来たよね?」
「お、お・・・う・・・うむ」
俺からの唐突の質問に言葉が詰まる。
「この召喚陣は対象を事前登録するタイプだよね?
後はまぁ予想なんだけどさファーバンさんは自分を登録して
召喚陣を利用したでしょ?」
「・・・・・・・」
俺が言わんとしてる事がわかったんだろう。
急にテンションが下がり無言になる。
「対象の指定を元に戻し忘れたでしょ?」
「・・・・・・・はい」
そう簡単な話でファーバンは対象の指定を
ヴァルモーブに戻し忘れていただけだ。
「まぁ俺も本来はヴァルモーブと契約したかった訳だからさ
ちょっと困ってるのはこっちも一緒なんだよね」
「それは申し訳ない事をしました
確かに指定を戻し忘れたのは・・・こちらのミスです
・・・・・今なんと?」
「ん?あぁヴァルモーブと契約するつもりだったんだ」
「はぁぁぁぁ?
君は何を言っているんだねっ!
迷宮ボスとの召喚契約なんて認めれる訳ないだろうがっ!
それ以前の問題だ!
もしここで戦闘中に召喚でもされたらどうするんだ?」
「あ、ごめん
そこまで考えて無かったわ
単純に竜ってかドラゴンとかと契約したらカッコいいなぁと」
「それに私も召喚契約なんてされても困るんだ
こんな事が上司にバレたら・・・・」
「んじゃどうしろと?
折角契約したのに破棄しろと?
こっちも苦労したのにさぁ
色々と使ったりなぁ魔力もさぁ」
俺の予想では今回の召喚に関しての情報は
ファーバンに届いてないと見た。
追い込むならここだ!
掛け金を釣り上げる。
「それはどのような意味で?」
「契約破棄する代わりに何か契約対象を連れてきてよ
ヴァルモーブでも良いんだけど困るでしょ?
アイテム類は別に欲しくないしなぁ・・・」
「え?いや?その・・・・」
最初の勢いは無くなり何時もの通常モードになったようだ。
これは勝ったな。
「じゃぁこのままで良いか
俺も神を召喚出来るなんて自慢気だしな」
「ちょっ!それは本当に困ります」
「別に契約したのは事実なんだから俺は問題ないんだけどねぇ
上司とやらにバレたとしても関係ないし
そもそも神様ってのは下々の者に罰を与えるような
懐のせま~い方々なのかなぁ」
「いや・・・それは・・・しかし・・・いや・・・・でも・・・」
色々と交渉した結果は別の召喚対象を見つけてくるという事になった。
しかも竜種である事が条件。
仕方が無いので一旦帰還させのんびり待つ事にする。
「いやぁまさか神を召喚契約出来るとはな」
「私もビックリです
でも実留さんて変な事ばかり起こりますよね?
フラグ神さんの加護でも貰ってるんですか?」
「なんだよ!フラグ神ってよ!」
そんな言い合いをしていると直ぐに戻って来た。
物凄く汗ビチョで青い顔をしてだ。
「おう!早かったね!
・・・・どうした?何か凄い顔色が悪いぞ」
今迄で一番酷い顔だったので心配になってしまったが
そういや義体って本体じゃないのに細かい表現できるんだな。
汗とかはどうやって出してるんだろうか?
それ以前に神って汗をかくのか?
そんな事を思うのは多分、そんなに感情移入してないからだろう。
「あの・・・・上司に・・・・その・・・・・
早急に・・・・解決を・・・ですね・・・」
「上司に速攻でバレて滅茶苦茶怒られて
速やかに解決して来いと命令されたって感じ?」
「・・・・・はい」
話しを聞くと上司&その他との会議中に
いきなり呻き始めて一際大きな声をあげたと思ったら
急に居なくなったらしい。
しかもやたらと慌てて帰ってきたと。
「なんでそれでバレないと思った?!」
自分が原因なのを棚にあげて思わず突っ込む。
「んで?結局どうするの?
何か手はあったの?」
「は・・・はい!大丈夫です!」
そう言って何処からか出現させたのは・・・どうみても小さい。
子竜と言うのだろうか?
頭から尻尾の先までは全長で1m程度で胴体だけなら30cmよりは長いかな?
顔も体も竜種のリアルさはあるがどこか愛らしさも感じる。
色素は薄いが全体に赤くヴァルモーブをイメージさせる。
「これは?」
「ヴァルモーブの子供の1匹です
私が管理している中でも好奇心旺盛でして
以前から外に出て行きたいと・・・・」
「それを俺に押し付けると?
しかも子供を?」
「いやいや!子供とは言いますが
竜種ですよ?それに小さく見えますが
既に年齢は数十歳です」
「そうなの?
っつうか契約出来るものなの?
子供・・・で良いのかな?
小さい子相手に無理強いしたくないんだけど」
「いや・・・それは本人次第ですが・・・」
うわぁ・・・・コイツは本当に使えない・・・・なぁ。
それでも羽をパタパタさせてキョロキョロしてる子竜をみてるとホッコリしてくる。
顔の造形は確かに怖いんだがサイズが小さいので可愛く見える。
それに知性と言うかハッキリとした意識も感じるので
蜥蜴や蛇とは違う印象を受けるので尚更だ。
俺は座り込み顔を覗き込みながら話しかける。
「俺と一緒に来るかい?
多分、危ない目に合うと思うけど外には出れるぞ」
子竜はジッと俺の目を見つめると「ピィ~」と鳴いて
パタパタと飛び俺の頭の上に止まった。
見た目の割にとても軽いな。
「一緒に行きたいのか?」
「ピィ~、ピィ~」
「正直に言うと多分、俺はそんなに長生き出来ないぞ?
いやまぁ完全に死ぬ訳じゃないと言うか何と言うか
まぁぶっちゃけて俺の周囲は唐突に危険が襲ってくるんだ
本当に危ないんだぞ?」
「ピィ~、ピィ~」
嬉しそうに羽をパタつかせて尻尾を振っている。
理解しているかどうか不明だが行く気満々のようだ。
「うん・・・まぁ・・・じゃぁ行くかっ!」
「ピィ~~~~」
一際高く鳴くと嬉しそうにパタパタと空を飛び
頭の上に戻ってくる。
どうやらそこが気に入ったようだ。
「良かったです・・・・じゃぁ宜しく頼みましたよ」
慌ただしく事を収めようとしているファーバンにゴリ押しし
契約に関する消費魔力を負担して貰い
更には常時呼び出せるように魔力消費を受け持ってくれる腕輪も貰った。
この腕輪は子竜専門で他には使えないけど
俺への補填と子竜の問題を解決するなら安いもんだろう。
そう言うとファーバンも納得したしな。
決して無理強いした訳じゃないからな!
つうかこれ召喚とかじゃなくて連れ合いって感じじゃね?
常時呼び出してるなら召喚契約じゃなくても良いだろうと思うが
時折帰宅(召喚帰還)させて欲しいとの要望があったからだ。
問題が解決し満足したのかファーバンは急いで帰って行った。
これでこの迷宮での冒険も本当に終わりだろう。
「さて帰るか地上に」
「ですね」
俺はアリスと子竜を頭に乗せたまま数ヶ月振りに地上に戻った。
地上に戻ると小部屋だった。
どうやら最下層からの帰還専用部屋のようで綺麗に掃除されている。
アリスと子竜が先に帰還してたのでパタパタと俺の頭に止まる。
俺の上に子竜が乗り、子竜の上にアリスが乗っている。
子竜の尻尾が首から肩に垂れ下がっているがヒンヤリして気持ちいいな。
部屋を出ると守衛が居たが何も言われなかったので
そのまま迷宮ギルドに向う。
受付で事情を説明すると俺は死亡扱いなっていたらしい。
リノンが説明していってくれたようで過去形だけどね。
職員に話を聞くと20階層のロッドロドリスは
無事に退治され通常営業に戻っているそうだ。
最近は迷宮の魔物が弱くなり得られる素材やアイテムの
質が下がっているそうで新たな問題となっているとの事。
原因は全く心当たりがないのでノータッチだ。
無いったら無いのだ。
まぁその内に時間が解決してくれる問題だろうと
何となくだが思うだけだ。
その後両親に連絡を取るから別室で待機していて欲しいと言われたので
お茶と菓子を食いながら寛いでいるとドアが勢いよく開け放たれた。
ビックリして振り返ると入ってきたのはジミーだ。
「ミノルっ!帰ってきたのかっ!」
仕事中に帰還の連絡を受けたので走って来たのだろう。
息を切らして目は血走っている。
少し痩せた気がするな・・・・苦労を掛けたようだ。
すまんなジミー。
「おとう・・・・父さん・・・・待たせたね
何とか無事に帰ってこれたよ」
流石に数ヶ月も離れていて進化までしていると
子供のフリをするのも気恥ずかしい。
青年を意識した言葉使いで話す。
「はぁ?君は誰だ?
見知らぬ人にお父さんなんて呼ばれたくないんだが?!」
「いや・・・・だから・・・実留ですって・・・・」
「うちのミノルがそんなにヒョロっとしてるわけないだろう!
母親に似て逞しい体と愛らしい顔を持っているんだ!
もっとこう牛顔なんだよっ!」
おおーう、こいつぁちと厳しいぜ。
牛顔が愛らしいって何だよ・・・・それ以前に息子の事はわかれよ。
どうしたモノかと考えているとジミーは更にヒートアップして語りだす。
息子への愛情からヴィクトリアへの愛情になった辺りから
"あぁ、こんなに思いつめてしまう程に追い詰められていたんだな"と
改めてこの数ヶ月の事を申し訳なく思う。
それなのに息子が帰ってきたと聞いて急いで戻ってきたら
見知らぬヒョロっとした男と妖精と子竜が居る。
うん、まぁ信じろと言うのが無理だよね。
親の愛情はビンビンに感ると共に重ね重ね申し訳ないなと。
と、そこでまたもやドターンっと大きな音を立ててドアが開かれた。
そこに居たのは目が血走り鼻息が荒く体から湯気が出る程に興奮している母牛だ。
呆気にとられているジミーをスルーし俺にカツカツと蹄を馴らしながら近寄り
俺を力一杯抱きしめた。
「ヴゥモーモーモーブモモモー」
体の大きさが違うので威圧感は半端ない。
相変わらず言葉はわからないが何となく理解出来る。
俺は泣いている母牛に抱き着いてそっと呟いた。
「母さん、ただいま」
えらい話数を使ってやっと実留君が生還しました。
さて地上生活ではどうなる事やら。




