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5-15

桜も散って新芽がどんどんと生えてきていますね。

暖かい日差しと共にものっそい眠いです・・・・・Zzz

こんにちは森山実留です。


牛に転生して牛生の大半を迷宮で過ごしております。

どれ位が経ったのでしょうか?

日の当たらない暗い場所での生活。

自由はあれど外出は出来ない。

これって軟禁ですよね?

牛って人権は保障されるのでしょうか?







50階層。

ポーラス迷宮の最下層で最終地点。

ゼノとリノンが目指した場所だ。

そして俺が・・・・・うんまぁ目的は無いけどさ。

あれだ!強さを追い求めてだよ!

うんうん。


勢いと乗りと流れで来てしまったが得た物は沢山ある。


迷宮内で手に入れられる中では相当な高品質な武具。

驚異的に伸びた身体能力。

飛躍的に向上した魔法技術。


外見も牛人特融のムキムキモリモリした体になった。

身長も伸びて大人と言っても良いだろう風貌だ。

それでもまだ進化しないと言うのは

ミノタウロスの成長限界が高いのか

俺の魂の成長が進み過ぎているのか・・・。


なんにせよこの成長した体をもってしても

ヒョロっとした体格のゼノには力で劣り

魔法技術はリノンに劣ると言う悲しい感じではある。


まぁそんな凄い2人と気心しれた仲になれたのが

一番の宝物かもしれないけどね。




階段を下るとそこは長い通路だった。

今迄とは違い綺麗に装飾され松明が掛けられている。

厳かな雰囲気がただよう中を無言で進むと扉が見える。

何となく雰囲気はロズに会った迷宮に似てるかな。

最終ステージとしての演出なのだろうか。

となるとこの奥には迷宮ボス・・・ラスボスが居るのだろう。


扉の前で最終準備をし体を休める事にした。

魔物の反応は一切ないので安心だ。

食事&仮眠を取った。


扉の向こうは広いホールのような場所だった。

天井は高く通路の様な装飾品は無くシンプルな内装だが

通路よりも感じる威圧感は高い。


濃密な魔力が漂うホールの中央には

薄く光る大きな魔法陣が見える。

魔法陣の外側には更に大きな光るサークルがあり

広い部屋の壁ギリギリまでを範囲としている。

今いる入口の扉付近から進みラインを超えればボスが召喚されるのだろう。

まるでゲームのような演出だね。


「さて・・・ついにここまで来たか・・・

 ここでボスを倒せば終了だな

 ミノル、リノン・・・・準備はいいか?」


「はい、大丈夫です

 もう一度、作戦を確認しておきたいのですが・・・・」


リノンは元気に返事をし事前に再確認する項目を上げ

ゼノと組み立てていく。

俺は遊撃のポジションなので基本的には臨機応変だ。

単純な能力と言う点では2人に負けているが

手札、柔軟性、対応力では俺が随一だ。

その為に基本的にはゼノとリノンが基本行動を決めて

サポートを随時していく形となる。


2人が最終確認をしている時に

俺は現場を見てとある可能性を考えていた。


迷宮の最下層。

広く天井が高いホール。

中央にある魔法陣。


ゲームのような展開と演出。

そうゲームのようなんだ・・・・・。

幾つか確認しなければ行けない事もあるが

ちょっと試したい事もある。


「ミノル聞いてるか?

 これで良いと思うか?」


「あぁ・・・・ごめん

 ちょっと考え事してて聞いてなかった」


「おいおい!しっかりしてくれよ

 これからが勝負所だぜ」


「ミノルさん、体調でも悪いんですか?

 そうならもう少し休憩した方が良いのでは?」


「いや・・・そうじゃないんだ

 ちょっと試したい事があるんだ

 駄目元で良いからどうかな?」


そう言って俺は考えを説明した。





結論として俺達は最下層のボスを呆気なく撃破した。

ボスが弱かった訳じゃ無い。

仕様の裏を突いた。

そんな感じの倒し方になってしまったが

簡単に倒せたのだから文句は無いだろう。


「こんなに簡単に終わらせてしまって良いのでしょうか・・・・」


「良いんじゃない

 倒した事には違いないんだから」


「ミノル・・・・俺は何もしてないんだが・・・・」


「あぁ、うん

 そんな事もあるよね」


妙に申し訳なさそうにしている2人を置いて

俺は素材やアイテム等を回収していく。

流石はラスボスだけあって量も質も凄い。

これだけでも凄い額になるだろうなぁ。


回収を手伝いながらゼノとリノンが申し訳なさそうな顔をしている。

そんなに酷い事をしたかな?


やった事は簡単だ。

まずボス戦がスタートするであろう外側のサークルの範囲を見極める。

ゼノと俺の強化された視力でなんとか見極めた。

試してはいないがサークル範囲には魔法も感知すると思われるので肉眼で何とかした。


観測の結果は入口の反対側にもギリギリだが範囲外の場所がある事が分った。

その場所にアリスを出現させる。

これも想定内だったがやはり感知はされないようだ。

魔法でも何でもなくアリスの出し入れは"神システムの機能"だしな。


次のステップはアリスを感知させる事だ。

つまりは通常とは違う逆側からのアクセスだ。


此処からは上手く行けば良いな程度にしか考えていなかったが

思惑通りに事が進んでくれた時は笑いが出た。


ラスボスは竜種族だった。

≪鑑定≫で名前だけはわかった。

"ヴァルモーブ"と言うらしい。


赤黒い鱗が全身を覆い強固なのが見ただけで分かる。

仄かに紫色に発光する模様が全身から浮かび上がり魔的な強さ感じる。

体躯は大きく太い。

天井は高いので届きはしないが背も随分高いのだろう。

振り回しただけで凶悪な破壊を生み出しそうな尻尾。

手足の爪は業物の槍か剣かと思う程に鋭い。


そして威厳を纏い恐怖の対象の顔は・・・・見えなかった。

ヴァルモーヴはアリスの方を向いて出現していたからだ。


「リノン!天照を撃って!」


事前に射撃準備をしていたリノンに声を掛ける。

出現と同時にアリスを戻しているので俺達を認識出来ないようだ。

そう俺達は未だに入口の僅かなセーフティエリアを出ていない。

その隙にリノンに攻撃をお願いする。


「良いから!早く!」


俺の勢いに任せてリノンは最終封印を解除し

世紀末的なヒャッハーと共に天照を射撃。

相手の意識の外からバックアタックを仕掛けた形になり

ヴァルモーブの胴体にデカい穴を空けた。


ズゥドゥーン


重く鈍い音が周囲に響き渡り俺達のポーラス迷宮攻略は終了した。

まぁゼノとリノンには呆れられたけどね。

終わった事は良いじゃない!


ヴァルモーブを倒したと同時に

部屋の奥の壁が開き通路が出現した。

中に入ると小部屋で魔法陣が描かれている。

ギルドの物とは多少は違うが転送陣だろう。

攻略者を上まで戻してくれる特典のような機能だと思う。

これで無事に迷宮から抜け出す事が出来る。


「これで帰れるかぁ

 迷宮も長かったなぁ」


「私は転移で飛ばされてしまったので

 途中は飛ばしていますが御2人はそうでしょうね」


「そうだなぁ

 名残惜しい気もするよね・・・・・でね」


俺が何を言おうとしたのか分かっているんだろう。

ゼノとリノンが笑う。


「復活を待って何回か倒して行こうって事だろ?」


「だってこの転送陣は一方通行でしょ?

 簡単に倒せるならね・・・・勿体ないじゃん」


ゼノはもう慣れたと言わんばかりに豪快に笑い

リノンは苦笑するも了承してくれ

俺達はラスボスを休憩狩りする事にした。





通路に戻り休憩し倒す事を繰り返す。

魔法陣とサークルが光を帯びてきたら復活の合図だ。

それまでは訓練したり食事や休憩で時間を潰す。

やる事は沢山あるので時間が無駄になる事もない。


ラスボスから大量に取れるので

素材や武具なんかはドンドン溜まって行く。

もう既に一財産を軽く超える量だ。

俺の装備品もレベルアップしゼノやリノンにも有効な

魔道具も幾つか手に入った。


肉も大量に出るのでモリモリと食べる。

もちろんロッドロドリスよりも更に質は上だ。

熟成された極上の肉は噛む度に口に旨味が溢れ

滴る血は最上級の酒のよう幸福感を与えてくれる。

そんなレベルのを満足するまで幾らでも食べ放題ってのは素晴らしい。


戦闘と訓練と食事を重ねる事により

グングンと身体能力が伸びスキルもGETした。


ピローン


> スキル≪王者の眼光≫を手に入れました。

> スキル≪竜血脈≫を手に入れました。

> スキル≪紋術≫を手に入れました。


=========================

≪王者の眼光≫


説明:俺の目が黒い内はどうなるか思い知れ!


効果:威圧感を発する事が可能となり

   相手にバッドステータスを与える

   格上の存在への効果は減少する

=========================


これは便利なだな。

多分、正面から戦ってたら最初にコレを食らってたんだろう。

戦闘時にバットステータスなんて碌なもんじゃないし。

格上に通じにくいのはまぁ当然だろう。



=========================

≪竜血脈≫


説明:我は竜の血脈を受け継ぐ者なり

   


効果:血自体が竜種の特性を受け継ぎ

   身体能力、魔力等の各種能力値が大幅上昇

=========================


一言で言えば物凄いスキルを手に入れた。

それに尽きる。

発動すると各種能力が跳ね上がる。

全てのパラメーターが一気にあがる。

魔力や魔法防御力なんかも全てだ。


しかも竜語が話せるようになる訳じゃ無いが

何となく考えてる事が分る様になる。

これも血のなせる業なんだろう。


発動してからヴァルモーブを倒してみたら


『ちょ、待てって!』


みたいな事を考えてた。

うん、彼にとっても初撃がバックアタックなのは想定外なんだろう。

出現と同時に撃ってるしな。


欠点を上げるとすれば加減が出来なくなる。

細かい制御が出来ないばかりか大振りな行動しか出来なくなる。

それと体に相当のダメージが出る事だろう。

燃えるような熱い物が全身を駆け巡るので半端ない痛みがある。

肉体まで根本から強化してくれる訳じゃないようだ。

その内に体が竜の血に馴染んで行くから強化もされるだろうし。

これも順次馴らしていくしかないだろう。

何時かは常時発動にしたいものだ。

グフフ・・・竜の血を持つ牛男・・・・・燃えるぜ。



=========================

≪紋術≫


説明:公共の場では衣服の着用をお願いします


効果:己の血を糧とし描く事で各種効果を付随可能

   発動には効果に見合った魔力が必要

=========================


最後のこれも便利だ。

俗に言う付加術エンチャントの1種だろう。

血を元に書けばそこに効果を発言出来る。

スキルと共に基本術式は頭の中に刻まれたようで

簡単なモノなら直ぐにでも使用出来るようだ。

馴れれば複雑な組み合わせやオリジナルなんてのも可能みたい。


永続的であれば効果はシンプルで効力もソコソコ。

一時的であれば複雑な効果と高い効力を発揮できる傾向があるようだ。


これは先程の≪竜血脈≫との相性が頗る良い。

血脈を発動した血で描くと効果が段違いなんだ。

もちろん発動コストも高くなるのは仕方が無いが

それにしたって永続的な術式でも通常時の使い捨てよりも

効果が随分と高くなるし効果も盛り込みやすくなった。


早速全員の武具に紋術を描いた。

もちろん≪竜の血脈≫でね。

ゼノもリノンも魔力は多いから発動には問題ないし

発動しなければ通常能力ってだけだからな。


流石は迷宮ボスだな。

素材としても食材としても有益だしスキルも強力だ。

そう言えばこのクラスの敵を倒したのは初めてじゃなかろうか。


迷宮ボスクラスでこんなだと

魔王の腕なんて食ったらどんな事になるのかねぇ。

興味はあるが近寄りたくもないけど。






スキルの確認や調整。

訓練や休憩をしていると再度の挑戦時間が来た。

幾度かの討伐を繰り返し安全も確認出来た。

ヴァルモーヴ戦は楽な上に実りが大きい。

ローリスクハイリターンで美味しすぎる。

こうなると倒せるだけ倒そう稼げるだけ稼ごうと決まった。

強さも資金もあるだけ良いしな。

幸いに全員が収納に余裕があるからまだまだ行ける。


俺達は心を躍らせて扉を押し開いた。


実留君大幅にパワーアップです!

だがしかし使う時はくるのか?!

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