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5-12

桜が咲きましたね。

花見に行きたいなぁ。

でもこの時期は何処に行っても混むんですよねぇ。


戦士(獣人)&遊撃兼魔法使い(牛)&僧侶(少女)

来た!キタ!北!

これはあれですよ!

王道のパーティーって奴ですよ。

勇者の血筋や王家のなんたらなんて事はありませんけどね。

ん?ないよね?

一般人が俺だけって事はないよね?







何回もリノンの話を聞きなおすので

罰とばかりに食事を作る事になった。

リノンのお腹が可愛くキュルルルルと何かを訴えてきたのは

全く持って関係がない。


リノンは迷宮の罠により46階層まで飛ばされてしまった。

何とか転送陣の部屋らしき場所に来てみたが転送陣は無し。

仕方なしに上の階に行ってみたらロッドロドリスと大猿に見つかり

襲われたもののギリギリで46階層に戻って来た。

その際に荷物を紛失してしまったので様子を伺っていた所に

俺達が現れて交戦に入りピンチになってこれは不味いと思い飛び出した。


これが概要だ。

リノンが自分のせいだと言っているのは

襲われて逃げたから階段付近に魔物が居た事を指しているらしい。

教団の名前や目的なんかは教えてもらってない。

あえて言わない事から話したくないんだろうと察した。


「そっかー

 まぁ経緯はどうあれ助けて貰った事には感謝しなきゃな

 それに直接被害に遭ってる訳でも押し付けられてる訳でも無いし」


モグモグと豪快に肉に齧り付くゼノ。

肉だけじゃなく野菜もモリモリ食べている。

先程ので体力を相当に使ったようだ。


俺を担いでいる時に被弾して怪我をしたそうだ。

やはり壁は持たなかったのか。

魔法が終わり掛けだった事とレジスト出来た事が重なり

命は何とかなったが動けなくなるレベルの怪我を負った。

それも俺を庇って前面に受けたって言うから

ゼノには感謝してもしきれない。

肉を大盛りにしてあげよう。


「ふーん、となるとあの大猿とかって

 ロッドロドリスの取巻きだったのかも?

 ボスクラスって感じじゃないけど雑魚ってレベルでもないしね」


体を温める為に鍋にしたので

会話を続けながら俺は肉と野菜を入れ続ける。

調味料は謎香草だけだが妙に味が出て美味い。

体も温まるし疲れた体には良い感じだ。


「猿さん達はちゃんと有効範囲から逃げてましたからね

 それも間違ってないのでは?

 でもそうだとすると毎回セットって事ですよね」


アリスが肉を貪りながら俺達が

考えない様にしていた事をサラッと言う。

まぁ避けては進まない内容なんだけどさ。


「う~ん、これは美味しいですね

 何の肉なんでしょうか?

 野菜も見た事無い物がありますし・・・・」


リノンはほのぼのと食事の感想を良い

上品に優雅な仕草で食べていた。

こんな場所に不釣り合いなのは仕方が無い。


「でもそれなら無視して先に進めば良いんじゃないのか?」


「あぁ、それは良い考えかも!

 少し時間が経てば階段付近から居なくなるかもしれないしね」


「モグモグモグ」


アリスは食事モードに入ったのか

会話には参加しなくなってきた。

まぁ基本的には複数人での話し合いの場では

余計な口は出さないんだけどね。


俺とゼノが色々な意見を出し合っていたが

ふと気が付いた。

"リノンはこれからどうするんだろう?"と。

流れで一緒にいるが俺達に付き合う理由もない。


上品に且つ優雅に迷宮内で謎鍋を食べているリノンに俺は問い掛ける。

俺達の状況も含めて説明したうえで

これからどうするのかと。


「それでしたら私の目標と一緒ですわ

 50階層への到達ですもの」


「そうなの?

 だって46階層から45階層に戻って襲われたんでしょ?」


「予定外の転移でしたので

 一端、地上に帰ろうとしたんですが

 46階層には転移陣が無くて・・・・」


「ん?待て?

 今、地上に戻ろうとして?と言ったな」


「えぇ」


「ならギルドカードを持っているのか?」


「持って・・・いました・・・・」


「持っていました?」


ゼノの質問に答えたリノンを俺が追撃してしまう形となってしまった。

アリスが肉を食い続けながらも俺をジト目で非難してくる。


「あぁ、ごめん

 責めてる訳じゃないんだ

 俺もゼノもギルドカードを持ってないって話をしたよね

 それで転送陣が使えなくて此処まで来ちゃったから

 つい反応しちゃって」


「良いんです大丈夫です・・・・そんな風に思ってませんから

 ・・・・でも・・・あの・・・・」


リノンは何かを言い淀んでいた。

話したいけど話せないような雰囲気を醸し出している。


「なんだ?

 言いたい事はハッキリと言っちまった方が良いぜ

 一緒に行動するって言うなら隠し事は少ない方が良い

 もちろん話せない事は言わなくて構わないけどな

 俺もミノルもそうだし」


ゼノはモグモグしながらハッキリと口にする。

それでも言いたい事を嫌な雰囲気にもならずに

素直に言えるようにする辺りはイケメン臭を感じる。

これで外見がもっと良ければモテるだろうに。


「えぇ・・・・それが襲われた際に

 武器と荷物を落としてしまいまして

 その中にカードも入っていたんです・・・・」


「なるほどね

 今は手元に無いって話しなんだね」


「そうなると転送陣での帰還は諦めるしかないか・・・・

 此処まで来たら50階層まで行ってみたいし」


「・・・・あの」


リノンがまたも言い難そうに手をあげる。


「どうしたの?」


「とても言い難いのですが・・・・」


「どうした?

 言いたい事はもう言っちゃった方が良いぜ」


リノンが言い淀むが意を決して想いを吐き出す。


「ロッドロドリスを倒して貰えませんか?」


「「はぁ?」」


突然の提案に俺とゼノは声を揃える事になった。


リノンが提案した内容は

先程遭遇したロッドロドリスを倒す事。

そして奪われた荷物を取り返す事だ。

収納鞄毎落としたようでカードも大事な武器も入っているんだとか。

武器が特殊な物らしく反応がどう考えてもロッドロドリスから

キャッチしたとの事だ。


「こんな事を聞くのも悪いんだが

 それは危険を冒してでも取り戻さないといけない武器なのか?」


「えぇ、私がこの迷宮にいる理由のようなモノなのです

 教団の大切な物でして・・・」


ここまで言われて何となくだが予想がつく。

攻撃方法を持たない神官が1人で迷宮に来れる訳が無い。

神から承け賜わったとかそんな感じの聖剣とかだろ。

いや神官は剣なんかを持てないから鈍器か?

そんな感じじゃないのか。


「それはあれ?

 教団に伝わる武器的な?

 攻撃魔法を使えない神官に必須な?」


「えぇ、そのような認識で問題ないです

 厚かましいお願いだとは重々承知しています

 どうでしょうか?助けて頂けないでしょうか?」


「う~ん」


ゼノが渋るのを俺が仲裁し3人で協議し

それぞれの目標と役割を話しあった上で

リノンには幾つか条件を飲んでもらう事となった。


・俺に防御系、支援系、回復系の魔法を教える事

・ゼノに魔力コントロールを教える事

・荷物を取り戻した後は一緒に50階層まで潜る事


代わりに提供するのは戦闘力と食事。

こう書くと事務的だがなんの事は無い。

リノンが責任を背負わない様にゼノが渋る振りをしただけだ。

ゼノは助けて貰った恩もあるからリノンの要望を聞いただけで

実際にはヤル気になってた。

細かい気配りが出来るイケメン風味の獣、それがゼノだ。


何だかんだ言って迷宮で出会えた事は嬉しいし

俺らに無い防御力と回復力を手に入れたのは

正直にとても有り難い。




リノンは攻撃魔法は使えないが

防御、支援、回復が得意だ。

それを踏まえて前衛がゼノ、後衛がリノンとなる。

俺が遊撃としてリノンを守りゼノのサポートをする。

試しに46階層の雑魚で戦う事にした。


その際にやはり確認しなければいけないのが目の事だ。

視界が妨げられるならそれなりの動きを考える必要がある。

意を決して聞いてみると・・・。


「見えないのではなくて封印しているんです

 教団での修行の一環だと理解して頂ければと思います

 外の事は詳細に分りますからご迷惑はお掛けしません」


そんな理由だった。

なんだよ封印って!

悪魔でも潜んでんのかよ!

色々と聞きたいが外の事が分かるのは本当だろう。

食事も行動も不自由なく出来ていたしね。

何にせよ不安要素が解消したのは良い事だ。


 


支援魔法により更にゼノの各種身体能力が強化し

怪我をしても即座に回復され多少の被弾は問題としない。

攻撃と防御の繋ぎがスムーズじゃなくても積極的に考えて動けるので

個人訓練としても相当に効率が良い。


リノンは支援と回復に徹して貰い接近する脅威は俺が排除した。

実際に受けてみると支援魔法はスキルとは違った感じを受ける。


スキルの場合は自分の能力値が向上し自らが強くなった感覚だ。

支援魔法だと何か外部から補助されるような

他者の意志と言うか力で増幅されるような感じを受ける。


効果はゲーム的に言うとスキルでは能力にに+500とか加算で

支援魔法は1.2倍とか120%とかの倍率計算っぽい。

これは是が非でも支援魔法を覚えたいな。

絶対に教えて貰おう。


防御面が安定すると攻撃も安定して行えるようになり

数日間の訓練で俺もゼノも飛躍的に技術向上を果した。


「2人の成長度合いは何かおかしくありませんか?

 明らかに通常を逸脱していると思います」


リノンにそう突っ込まれてしまう程にだ。

ゼノはまだまだ大雑把ではあるが力の制御が上手くなり

以前よりも更に力を引き出せるようになった。

魔力制御のコツも教わり魔法制御も上達した。

攻撃や防御の中に初歩の簡単な魔法を織り交ぜる事が出来るようになり

戦いの戦法が大きく増えた。


俺は≪創造魔法≫の更なる可能性を掴む事が出来た。

"既存魔法"の概念や仕組みを教わり発動さえ出来れば登録出来るらしい。

リノンに教わった魔法をそのまま発動する事が出来たからだ。


「こ・・・この魔法は我が・・・教団独自の方式が組み込まれているのですが

 何故そんなに簡単に・・・・いえ・・・問題はないのですが・・・」


としきりに怪しんでいた。


リノンの教団式は効率化を求めた独自の方式を

構築しているようでシンプルで燃費が良いのがメリットだ。

逆に言えば適用範囲はやや狭く応用の幅も余り無いので

運用者の技量が試される魔法とも言える。


発動出来ると言ってもやはり効果はリノンに比べて低いのは

仕方がない事だろう。

これで同等のレベルで使えたら怪しさ抜群だ。

今後の研鑽や熟練、そしてカスタマイズで伸ばして行こう。


教団で秘匿されている魔法以外は教えて貰う事が出来た。

攻撃魔法系は覚えれないので教えてもらう事は出来なかったが

一通りの支援魔法や防御魔法を覚えれたのはラッキーだ。

≪創造魔法≫は確実にチートな能力だが

全て本人次第だというのが欠点かもしれない。

無条件に強くなれる訳じゃ無いってのがね。




45階層戦の大まか方針としては猿を何とかしてから

全員でロッドロドリスと戦う事となった。

幾度かの偵察でロッドロドリスは相手との距離があると

魔法攻撃を多用する傾向がある事が判明した。

と言うよりも取巻きの猿が足止めしてる時に魔法攻撃が定番のようだ。

だから猿は射程距離がわかっていたんだな。


前回は挟まれた感じになったが次は一緒に居る所を強襲する形になる。

戦法としては俺が相手の知覚距離ギリギリから魔弾を連射する。

猿が接近してくるのでロッドロドリスと距離が空いたらリノンが結界で封じ込める。

猿は近接オンリーなのでゼノと俺の力押しで倒す。

リノンと俺が支援魔法を重複して掛けるので十分に勝算はあるはずだ。

それほどゼノの基本能力値の高さと支援魔法の効果は相性が良い。

封じ込めは短時間しか持たないので猿を素早く倒せるかが勝負だ。



食事と睡眠をたっぷりと取り。

出来うる限りの準備をして45階層に登る。


ロッドロドリス。

俺の三回目の戦いが始まる。


実留君が迷宮内で異様にレベル上がってますね。

パワーレベリングしまくりです。

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