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5-10

バイクには心地の良い季節になってきました。

走りいきたいなぁ。

こんにちは森山実留です。

なんと勇者と魔王を倒そうとしている方と出会いました。

あの2人が居なければ俺は犬になる事も牛になる事も無かった!

・・・・ん?そもそもが人形になる事も無かったのでは?!

むむ!段々と腹が立ってきたぞ!

ゼノさん!ヤッテおしまいなさい!

もちろん俺が居ない所でね!









45階層で決意を新たにし先に進もうと決めた。

ポーラスの迷宮は50階層までと聞いているので残りは6階層。

この先も戦闘は厳しくなる事を考えると鍛えなおした方が良いだろう。


とりあえずこの部屋を安全圏とする為に色々と細工する。

出口側の通路に向けての壁を厚くし内部構造を変更した。

基本は硬度を上げた岩だが表側と途中に魔法耐性のある素材を張り付けた。

他にも余ってる素材を利用して複合装甲ならぬ複合壁を設置。

これで物理攻撃と魔法攻撃にも何回かは耐えられるはず。

中央部分には人が1人通れそうな位の切れ目がありそこを引っこ抜いて通る。

そこは力溢れるゼノの出番だ。


ここを出る時に壁は収納している。

防御壁としても使えるだろうし質量兵器としても良い。

アイテムボックスには余裕で入るので

2分割しゼノと俺で収納しておく。

素晴らしきは神の加護。

俺のはポイントで拡張したんだけどさ!




さて鍛えなおすと言っても漠然とした

想いしかなかったので話し合って当面の目標を決めた。

ゼノは技術面の向上。

俺は火力の向上。


最低限、これを何とかしないと先に進むのは無理だ。

俺の近接戦闘力の向上やゼノの細かいコントロールを覚えるなど

様々な改善点があるが効果的なのは上記2点だろう。


これを当面の目標としゼノには防御に徹して貰い

俺が火力で倒すフォーメーションを構築する訓練を行う。


この階で戦うよりは上階の方が逃げやすいという理由から

ゼノは上の階で訓練してくると言って出て行った。

大きな剣は収納し上等な直剣と盾を装備した。

どうやらそれも"偶然"に手に入れた物らしい。

明らかに通常品とは違うオーラを放っているような物をだ。

そんな装備品を幾つも"偶然"に手に入れられるのかは謎ではある。

なんか相当に神に支援されているような気がするなぁ。


俺とは扱いが段違いだな。

こちとら装備は自前だぜ。

しかも毎回無くすし。



ある程度の食料や迷宮内の素材で作った薬をゼノに持たせて見送る。

まぁ薬と言っても効果は低いし素材も無いので気休め程度だけどね。


アリスに警戒を頼み俺は自分の事を考える。

今までは魔弾を強化する事で

火力と手数を補ってきたが考えを改めないといけない。

魔弾を考え出した時に比べて魔力も相当増えてる事だし

改良方法も幾つか思いついているが

今一度、攻撃方法を見直した方が良いだろう。


俺の≪創造魔法≫は想像したモノを実現する魔法。

原理や理屈が分らない事象は補正される。

補正には魔力が必要となる。

余りにも漠然とした内容では消費魔力も跳ね上がる。

そうは言っても専門的な知識は余り無い。

学生の時に培った内容に興味があった事や

仕事上で携わった事位だ。


その中でも効果的に使えそうな知識は無いかと記憶を探り

漠然とイメージしていた事を拙い知識で補完する。

無駄を削除し魔力を稼ぎ威力を底上げする。


一度認識させ魔法を発動すると記憶されるようで

次回からは認識は不要で自動的に適用される。

少しづつだが確実に各種魔法の威力の底上げを行った。


そんな中で新魔法を作る事が出来た。

濃度魔法とでも言えば良いのだろうか?

簡単に言えば酸素や魔力の濃度を操作する魔法となる。


対象の範囲に結界を張り内部の濃度を変更する。

この結界は以前、モリスさんに教えて貰った概念を元にしている。


該当成分を通過させるようにしただけなので

強度もそこまでじゃないが消費魔力はそんなに高くない。

中から外に。

外から中に。

一方的に通過出来るようにしただけだ。

その結界を境に外部とのやり取りをして濃度を調整する。

まぁ結界と言うよりは範囲を制限する力場を作るって方が正しいな。


もちろん直接内部に該当成分を作り出したり除去も可能だが

そこは魔力量との相談となる。

酸素や水分なんかは直接生成した方が手っ取り早いけどね。


以前にアミス相手に酸素濃度を調整したが

それを魔法として構築してみたんだ。

呼吸を必要とする生物であれば酸素は効果的だし

そうでなければ魔力が効果的だ。

相手によって内容を変えれば対応幅が広い。


この技術は他の魔法にも流用が可能な技法だ。

魔力を集めて1撃の魔法威力を上げたり

酸素を集めて火魔法に更にドンとかね。

溜め攻撃やチャージアタックに近い使い道になるかな。


今は変換効率や収集効率が低いので無理だが

改良して行けば≪魔力吸収≫等と合わせて永久機関も

夢じゃないかもしれない。


他にも幾つか試作魔法はあるので実戦で試してみよう。


魔弾は弾の改良を大幅に行った。

そもそも俺の魔法は銃弾や弾丸と言いつつも

薬莢やら火薬やらは無く鉄の塊を飛ばしているに過ぎない。

それを更に改良したってだけだ。


本体は相変わらず魔物素材を流用して作っている。

その際に魔法で形を変形させているんだけど

硬度もある程度操作出来る事が判明している。

それを利用して弾頭を硬くした物と柔らかくした物を用意。

形状も尖っている物から丸、平、凹み有を用意。

柔らかい魔物素材を使ったゴム弾のような物も作った。

それぞれを使い分ける事で様々な事態に対応する。


硬度を確保出来るので本体も薄くでき

内蔵出来る液体も多くした物や重量を稼いだ物も作った。


お尻の部分には魔物から手に入れた

魔核水晶を精製し純度を高めた物を小さくし埋め込んである。

これにより弾のリアルタイムコントロールが可能となった。

誘導や加減速のある程度の操作が出来るだけだけどね。


着弾時の魔法発現効率も大幅に上げる事が出来た上に

魔核水晶を起爆剤として爆発させる事で追加攻撃が可能で

内蔵されている物を効率良く運用する事も出来た。


新たな攻撃方法と言うよりは

従来の方法を強化&底上げした感じになったが威力は大幅に上がった。


後は弾をビシバシ作ってたらスキルを覚えた。


> スキル≪コピー作成≫を手に入れました。


=========================

≪再作成≫


説明:これでコピー品を大量作成しウハウハだぜ

   税関には注意するんだぞ!


効果:自分が作成した物に限りコピー作成可能

   但し材料は必要となる

=========================


うおぉぉぉぉ!これは凄い。

材料さえあればコピー品が作れる。

つまり弾を量産したい放題。


魔力消費は通常で作るよりも大幅に少なく手間いらず。

これは相当に便利だろう。

1発でも1個でも質の良い物が作れれば後は幾らでも作成が可能。


注意しなければ行けない点としては効率等は余り良くないらしく

原材料の消費量は多くなるようだ。

後は品質に多少のバラつきがあるのも注意かな。

それでも元々の品質が良ければ影響は出ない程度だろう。

コピー元よりも良くなる事は無いのも注意点かな。


これで商人始めたら相当に儲かるんじゃね?

武器を大量に作って売るとかも良いね。

つうかそれで金を儲ければ強くならなくても行動範囲広がらね?


色々と思う所はあるが今は強くなる事を考えよう。

でも素材を大量に集めれば何か作って・・・・。

幸いな事に商人ギルドのカードは何とかなるし・・・・。

・・・・イヒヒヒ。



数日の間はゼノと俺は技術向上に努めた。

俺の火力増加の目途も経ちゼノの防御技術も上がったようだ。

まだ攻撃と防御を同時に行えるほどではないが

防御に専念すればある程度の壁になれる自信は出来たらしい。


ゼノ曰く


「防御の事だけを考えたら重心がどっしりと安定して

 身体能力が向上したんだよね」


だそうだ。

うん、明らかに何かが介入してるよね。

こんなに露骨なんで良いのか?

神様達よ!

俺も高位神の加護が欲しいぜ。



俺達は準備を整え再度45階層に挑んだ。





叩きつけられる戦斧をゼノが受け止め

人型の魔物が動きを止めた瞬間を狙い

威力を上げた魔弾が襲う。

胸元に着弾し弾丸が完全に埋没した瞬間に

小爆発が起こり拳大の穴が空く。

同時に内部から炎が噴き出す。

中と外の両方から焼かれ苦しんでいる。


「更にドンっ!」


俺の発言をトリガーに魔法を追加する。

酸素を作りだし対象の周囲だけ濃度を上げる。

一気に火力を上げた炎に苦しむ。

そこにゼノが踏み込むタイミングを見計らい魔法を解除する。

入れ替わりにゼノが肩口から切り捨てる。


「ミノルの魔法の威力凄いな

 あれって何で爆発したんだ?

 それに炎も急に強くなったぞ

 だがもう少し俺との距離を考えて貰えると嬉しい

 それに此処をこうすれば・・・」


「ゼノも凄いね

 あんな戦斧をマトモに受け止めてたし

 後ろに攻撃を通させないもんね

 だけど盾で受け流す時に・・・」


お互いの努力を認めつつそれぞれ感じた事を

言い合って切磋琢磨していく。

新しい連携スタイルは少しづつだが軌道に乗って行った。



45階層での戦いは時間が掛るが

以前よりも安全マージンが多く安定した戦いとなった。

ゼノも攻撃と防御の移行に馴れてきたので

チャンスがあれば攻撃を繰り出せるようになってきた。

それでも自分からチャンスを作り出すレベルには遠いけど。


俺は量産した弾丸で連射のエグイさを実感した。

素材と魔力の兼ね合いで使い処は難しいが

危機的状況をひっくり返す手段にはなると思っている。

体の各所が爆散して各魔法で全身を攻撃されるなんて・・・・ねぇ。


そうして少しづつ確かめながら

45階層の探索を焦らずに続けた。





ポーラス迷宮の各階の広さは大きくは変化しない。

なので45階層も今迄の経験と仮想マップとの照らし合わせで

どの程度来たかがわかる。

現状で8割程度と言った所だろう。

今迄の階よりは進みは遅いが仕方が無い。

それでも残りは少し下への階段の位置も

ゼノの感覚と合わせてほぼ確定している。


そんな折に気になる反応を俺は感じ取る。


「ゼノ・・・・多分・・・・強い奴が居る」


「強いのか?」


「強い・・・と思う

 以前から遠くに反応を感じる事はあったんだけど

 近づいたら反応の強さがヤバい」


「そんなか・・・・

 回避は出来そうか?」


「移動してるから徘徊型だと思う

 動きを読めば大丈夫じゃないかな

 ただ階段の方に居るみたい」


「そっかぁ・・・・・ボスクラス?」


「多分ね

 反応が相当強い」


「とりあえず近づいてみるしかないか

 なるべく有利な条件で戦いたいしな

 駄目そうなら迂回するのも考えよう」


慎重に足を進め階段があると想定される方面に向かう。



階段を確認出来る場所まで来たが状況は余り良く無かった。

強い反応の奴は少し離れた場所にいるが

数体の魔物が階段前で屯していた。

少し待ってみたが動く気配がない。


他の魔物の動きも気になるので

ここに長居するのも微妙だ。

ゼノと話し合い強引に突破する事にした。

俺が先行で魔弾を連射しゼノがこじ開ける作戦。

多少の無理はあるが下の階に行ってしまえば良いだけだ。





殲滅ではなく一瞬の隙を作る為に雷を選択し射出する。

貫通力を増す為に液体は詰めずに重量を重くした弾だ。


「雷弾」


7体の魔物に3発づつ、計21発を射出する。

射出と同時にゼノが駆出し俺も続く。

21発のコントロールは精神と魔力をゴリゴリ削るが気にしない。


だが着弾の瞬間に目に映るのはあり得ない光景だった。

魔物の何体かが射線上に身を投げ出してきた。

明らかに動きがおかしい。

俺の魔力を察知して射撃前から動き出したのか?


魔弾は操作出来るが大きく軌道を変更する事は出来ない。

だが無駄にする必要も無い。

限界まで軌道を操作し加速させ着弾させる。


倒せたのは身を投げ出してきた3体とそれを貫通した2体のみ。

5体は小爆発により体を吹き飛ばされ雷に撃たれ絶命する。

それと引き換えに俺の魔力は限りなく少なくなった。


焦る意識の中でゼノが残った2体に大剣で切り掛る所だった。

残る魔物は色違いだろうか独得の雰囲気がある。

赤い毛に金の眼を持つ大猿のような外見。

もう1体は青い毛に銀の眼だ。

ゼノの大剣を赤猿が受け止める。

その隙に青猿がゼノを襲う。


クソっ!こんな所で。

少ない魔力を考え弓を取り出し援護射撃に入る。


「ミノル!駄目だ!来るぞ!」


「はっ?何が来るって・・・・え?」


魔弾のコントロールに意識を集中してた俺は

大事な事を見逃していた。

少し離れた所にいた強い反応をだ。

この戦闘に気が付き接近してきたたのだろう

反応は直ぐ近くにあった。


いや近くとは違うな言い直そう。

そいつは直近・・・・そう俺達の目の前まで迫っていた。


久しぶりに見る"ロッドロドリス"の姿は

恐怖以外の何物でもなかった。

まさかの商人路線への変更か?

少なくともこれで金に困る事は無いハズ。

・・・あれ?・・・今まで金に困った事って無いハズ。


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