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5-5

目が痛い・・・・というよりかは痒い・・・・。


フハハ、吾輩は大魔法使い森山実留。

魔法を極めし者なり。

魔の道を究めた者。

そうだな大魔道士とでも名乗ろうか。

フハハハハハハ。

さぁ我に恐れ慄くが良いわ。

フハハハハハハ。









アリスと魔法の研究にうっかり熱中してしまい数日が経過した。

獲物を取りに行くにも武器も無いので

ある程度の目途が立つまでは大人しくしていようとなった結果だ。


転送陣は相変わらず使えないが誰かが迎えに来てくれるかもしれない。

そんな思いも少なからずあったってのもある。


食料は・・・・諦めて収納鞄から肉類を頂いた。

素材になりそうなのは手付かずなのままなので

緊急時と言う事で許してもらおう。


肉は・・・・普通に食えた。

まぁ鎧もイケるんだから大丈夫だとは思ったけどさ。

牛的に大丈夫なんだろうか?!

ここら辺はジミーに似たのかな?

なんにせよ肉は美味しい!肉は正義!

神製の調味料も無事に持っていたのでバッチリだ。


料理が魔法熟練に一役買ってくれた。

最初は火加減が全然出来ずに黒焦げになったりもしたが

火加減の絶妙な調整に湿度を保ちながら一定に火を通す事に成功する。

イメージしたのはスチームオーブンだ。

食事に掛ける想いは技術を発達させるね。


ちなみに黒焦げになった肉が勿体なくて

魔法で元に戻せないかと思い試してみた。

結果は成功だが赤ちゃんの小指の爪程度の部分を

元に戻すのだけで魔力が枯渇した。

うん、時間を戻すのは無理だ。

細胞分裂で増やすのも駄目だな。

概念も良く解ってないし。

これで生物を丸ごと戻すとかだとどんだけだって話だ。


「ふぅ、やっぱり魔法だけで

 何とかするのは効率が悪いな

 魔力が足りな過ぎるぜ」


「そうですね

 それに色々と実施検証しないと

 無駄が多くなっちゃいそうですね」


「だよなぁ、肉もそろそろ尽きるし

 誰も助けにこないしどうするか?」


「下の階は鎧ばっかでしたしね」


「そうだなぁ

 浅い場所だけだけど鎧しか居なかったな

 奥まで行けば違うんだろうけど」


「となると上の階ですかね?」


「うーん、俺も出来れば鎧以外のが食いたいけど

 最悪の場合はそれでも良いけどな

 アリスも食べなくても平気なんだろ?」


「う~ん、私の体は魔力で構成されているはずなので

 大丈夫だとは思うんですけど・・・・

 何か最近は違和感を感じるんですよね」


「違和感?」


「食事は趣味と言うか個人的な嗜好なんですよ

 もちろん満腹感とか幸福感はあるんですけど

 摂取した物がエネルギーに変換されるのは

 魔力だけだったんです

 それがどうも変化してるようなんですよね」


「魔力以外に変換されてるって事?」


「そうなんですよ

 でもそれが何かは分からないんですけど」


「うーん、本来の仕様は変わってないはずだしなぁ

 バージョンアップ時に何かあったのかね

 神様に聞いてみるしかないか」


「今の所はそうですね

 なので出来れば食事は欲しいです

 何かあったら怖いので」


「そっかぁ・・・・となると上かなぁ

 ぶっちゃけ俺も鎧よりは肉が良いし」


「ロッドロドリスがどうなっているか?

 ですよね」


「だよなぁ」






とりあえず20階層の様子を見てからだなとなり

近寄りもしなかった階段を上る。


幾つかの反応は確認出来るが大きな反応は無し。

それでも今の俺よりは大きいと思うが・・・。

数体ならまだしも数が来るとなぁ。

体が成長してくれれば問題なく突破出来る

強さだとは思うんだけど。

まぁスキルがあるから何とも言えないが

戦って試してみるしかないか。


迷宮では俺の感知範囲は相当に狭くなる。

何かの干渉を受けているような感じだ。

範囲内であればある程度は見えるが

外で感じれる程ではない。

範囲外でも反応の濃さや方向位はわかるんだけども。


アリスには天井スレスレを飛んでもらい

俺は感覚を研ぎ澄まし周囲を警戒する。

そして反応が薄く少ない方に進む。



数分程進むと丁度良く単体で居る魔物を見つける。

二足歩行で全身毛むくじゃらの細身の熊のような奴だ。

まだ距離はあるので俺を発見出来てはいない。


とりあえず魔法での先制攻撃を仕掛ける。

相手は硬いのか?でも生身だしな。

水でも良いが炎を選択する。

効果は貫通か切断か・・・貫通だな。

太さは・・・・熱量は・・・・。

準備が整ったので発動する。


「熱線」


一条の赤い光となった高熱の炎が細身熊の頭部に突き刺さり

勢いを落とさずに貫通し背後の壁に着弾する。

魔物はそのまま崩れ落ちた。


今のでもまだ威力が高いな。

もう少し魔力を削れるかね。

相手に見合った内容を選んで調整すれば消費量は抑えられる。

こうやって色々と試して経験を積むしかないな。


内部を直に爆破したり全身の血を凍結させたり

体を雑巾のように絞り込んだりもしたいけど

魔力消費がデカすぎる。

ちなみに魔法発動時に発声するのはイメージ強化の為だ。

思考だけでも良いし何か条件付けでも発動は可能だ。

もちろん魔力消費に関わって来るけどね。


ここで解体するのは怖いのでそのまま回収し

そして次の獲物を探しながら前に進む。



まだ無駄が多く魔力消費が激しいので

長時間の戦闘は出来ない。

それでも単体であれば遠くからの先制攻撃で

倒す事が出来た。

数体を倒し戻って休憩するを繰り返した。


「熊肉美味いな!」


「この鳥っぽい何かも美味しいですよ」


「なんかこのドロドロしたのは・・・微妙だな」


「変な味ですよね・・・・

 不味いわけじゃないのに美味しくないと言うか」


「だよなぁ」


食べる物があるのは良い事だ。

食べれるって幸せだ。

イライラも減るし頭も動く。


「やっぱり転送陣は動かないんですかね」


「あぁ、カードが無いしな

 多分カードさえあれば動くと思うから

 何処かに落ちてるか・・・最悪死体でもあれば・・・・」


怖い事言わないでください!とか呟きながら

アリスが転生陣を確認しに行く。

何度確かめた所で駄目なのになぁ。


「ん?んんんんんん?

 実留さん!何か変わりましたよ!」


「まじか?!」


ダッシュで転送陣に入る。



ピローン


> 転送陣は緊急事態への対応の為、現在停止しています。

  復旧については未定です。

  ギルドカードをお持ちの方は転送陣内で待機してください。


へ?なにこれ?

・・・・・まさか・・・・。


頭の中に最悪の出来事がよぎる?


「実留さん・・・・これって・・・・」


「あぁ、転送陣が停止されてるみたいだな

 カードを持ってれば個別対応してくれるようだけど」


「カードないですよね」


「あぁ、それに助けが来るのも期待できないって感じ・・・かな」


「どうするんですか?」


「少なくとも迷宮内で何か問題が起きているのは

 間違いないと思うんだ

 多分、上の階にだろうけど」


「ロッドロドリスですか?」


「十中八九な

 俺の感知できる範囲には居なかったけど

 まだ何処かに居るんだろう」


「現状で戻るには上がって行くしかないですよね」


「そうなるな」


「ロッドロドリスを倒せますか?」


「無理だな

 多分、瞬殺」


「・・・・・・どうしましょう?」


「・・・・・・どうしよう?」






悩んだあげくに20階層の調査を進める事にした。

ロッドロドリスを回避さえ出来れば20階層を突破し

登って行く事が出来る。


確か徘徊系だから反応さえ掴めれば回避は可能だ。

問題としては地図が無いから道順がうろ覚えって事だ。

今度は地図も買ってこよう。



調査は慎重に少しづつ行われた。

戦闘は必要最低限にし回避しやり過ごす。

疲れたら休憩し肉を頬張る。

偶に植物系の魔物も居るので野菜・・・・野菜?

も取れるので大丈夫だ・・・・野菜なのかな?


幸いな事に20階層には有機物系の魔物しか居なかった。

無機物はアリスが食べれない上に倒すのが大変だから助かった。


地道な調査を続けて19階への階段と

転送陣がある場所が大体掴めた。

時間は掛ってしまったが仕方が無いだろう。

それよりも問題はそっちの方向に

やたらとデカい反応があるって事だ。


「これは居るよなぁ・・・・」


「間違いなさそうですね」


「何でこんななのかね?

 俺は何処かでフラグでも立てたのかね?」


「そう言ったら実留さんの存在自体が

 フラグじゃないですか

 神様に転生ですよ?」


「それを言ったら駄目だろ!

 まぁ薄々とは気付いていたけどさ

 ロッドロドリスには絶対に遭遇するって」


「まだ戦闘するかは決まってないですよ!

 上手く回避出来るかもしれませんし」


「望みは薄いと思うけどね」




ロッドロドリスを発見し予感の通りの遭遇ルートだ。

そしてそれは予想してたよりも最悪な場所だった。

奴が居るのは転送陣の部屋だ。



ポーラスの迷宮では転送陣の部屋は

通常、階の始まりの部屋かそれに近い部屋となっている。

もちろんギルドが追加した設備であり

迷宮に最初からあるわけでもない。

しかし何故かそれらの部屋は最初から

魔物が寄りつかなかったり構造上で入ってこれないような

安全地帯を確保するような作りだ。

そこに後付の結界や陣を設置し利用している。


それらを考えるとロッドロドリスが転送陣の部屋に

何故居るのか?と疑問に出るが

そもそも奴は更に深層階の出で20階層の魔物とは

比較にならない強さを持っている。

その為に魔物避けや後付の結界は意味を成さないのだろう。

徘徊型のボスが入れない大きさでも無い。

そうだとしても転送陣の部屋にだけ入り込んだのかは謎だ。



だがまぁ謎だけど実際に居る訳だ。

19階層への階段は転生陣のすぐ脇を通る事になるので

見つからないって事はないだろう。


俺は気配を消して物音を立てずに

ゆっくりと近づき部屋を伺う。

見覚えのあるロッドロドリスの姿が見える。

転送陣の中央に居座っているようだ。


「あれ・・・・・魔力喰ってねえか?」


ロッドロドリスは転送陣の魔力を吸収し鎮座していた。

肉は正義

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