1-10
更新が遅れてきました。
話は出来てきてるのに~。
銀色の毛並を手に入れた森山実留です。
母の愛とは偉大ですね。
隅々まで毛繕いされた僕はツヤツヤです。
もう全身の毛がツヤツヤです。
えっ!こんな所まで!!
アリスと旅に出て1日が経った。
旅に出てまず行先をどうするか二人で悩んだ。
案としては2点あった。
森の探索と人間社会への接触だ。
どちらもメリットとデメリットがあったが
母犬から教わった内容はそこまで多くなかったので
現状の二人では判断が出来なかった。
アリスの知識はシステム周りと僅かな一般知識だけだった。
それも完全に把握しているわけではなく
所々で抜けていたりするらしい。
ふと思い出すように知識が湧いてくるのは
神システムとリンクしているからだろうとの事。
悩んでいても答えが出なかったので
当初の目的通り実里を探すことにした。
その為には人間社会に出て情報を集める必要が
あるという結論になり向かっている。
最初に目指すのアリスに調べて貰った村にする。
何があるかわからないので弁当(虫と蛇)を
沢山取っていたのでまだ森の入り口に着いたぐらいだ。
森から出て走っていけば1日もあれば着くが
街道沿いを歩くことにする。
森から少し離れた所に整備されている道は
幅は5m程だろうか固く均して
石を退けたような簡易的な物だ。
交通量が少ないのか草が所々に生えている。
街道に出てからは村方面に向かう。
アリスは俺の頭の上に乗って鼻歌を口ずさんでる。
綺麗な歌声で聞いてて気持ちいいが
何故かどこかで聞いたような・・・気がする。
道は点在する林を迂回するように
大きくうねりながら続いているので
若干先が見通しが悪い。
「なぁ、こんな時ってはお約束のアレがあるよな?」
「そうですね~、旅に出て森の近くの道を歩く
しかも見通しが悪い
もうフラグ立ちまくりですね」
「だよなぁ、さっきからさ前方から
何かの液体の匂いがするんだよ
それにちょっと血の匂いも」
そう言って駆け出す。
頭に張り付いてるアリスが問い掛ける。
「実留さん
姫 か 商人ですよ!
どちらに掛けます?」
「こんな時はやっぱり姫だろ」
「いやいや、商人でしょう」
お約束の相手を予想しながら急いで向かう。
「あの木の影をまがった所だな」
『キャー・・・!!』
悲鳴が聞こえる。
間に合えよ!
角を曲がると盗賊っぽい恰好の男が3人。
どうやら馬車を襲っているようだ。
「グヘヘ、良いから金をよこせ!
お前の命なんでど」
最後まで言わせずに勢いのまま首に噛付く。
グバァ。
口から血を吐きつつ何が起きたかわからないまま
あの世に旅立つ。
「な・・・なんだっ!こいつは!」
「魔物だ、何でこんな場所に魔物が」
≪大声≫発動。
「「あぁっ!」」
咄嗟に耳を塞ぐ2人。
その隙をついて首に正面から噛付き
喉仏を噛みちぎる。
「なんだ!何なんだお前はっ!」
最後の1人はパニック状態のまま
剣を振り回し牽制するも
ガブ。
動きを見て最後の1人もあっけなく喉を噛みきられる。
周囲を警戒し他に居ない事を確認し緊張を解く。
「あっ・・・・あっ・・・・・あ・・・・」
場所の影に先程の声を出したで者が
俺を見ていた。
「あのっ!あのっ!」
盗賊に襲われている所に銀色の犬が現れて盗賊を倒した。
これは助けに来たと思うだろうか。
更に性質の悪い物に襲われていると思うだろうか。
俺なら後者だね。
恐怖で上手く話せないだろうに頑張って口を開く。
「こ・・・言葉が・・・つう・・・じるかは
・・・わか・・・りません・・・が
おね・・・が・・・い・・・です
た・・・・助けてくだ・・・さい」
そこには言葉を一生懸命話すブタ(多分、メス)がいた。
「実留さん!ブタです!豚がいます!
これは想定外でしたね」
「え?・・・よう・・・・せ・・・い?」
ついに限界が訪れたのかブタ(メスだと思う)は崩れ落ち
意識を失った。
現場から少し離れた所でキャンプをはった。
キャンプと言っても荷物を移動しただけだが。
流石にアイテムボックスを使って何回も往復して
運ぶのには疲れたけど仕方がない。
血の匂いが漂う場所に居続けるわけにもいかないしな。
ブタ(メスじゃね?)は咥えて引き摺って移動したが
目を覚まさなかったのは幸いだ。
それから数時間後。
どうやら目を覚ましたようだ。
「こ・・・ここは?」
「ワンワン(こんにちは御嬢さん)」
「ひっ!・・・・・貴方が助けてくれたのですか?」
「ワンワン(たまたま通り掛ったんでね)」
「お願いです、見逃してください」
「ワンワン(危害を加える事はしませんよ)」
「ん~?!
□◆◇■□◆◇■□◆◇■□◆◇■□◆◇■」
「ワンワン(今の何語だ?)」
「オーク語も通じませんか・・・・」
駄目だ全然通じねぇ。
喋ってる事はわかるんだが
俺の言葉が通じないみたいだ。
どうしたもんかね。
試しにアリスに話して貰ったが
同じように通じないようだ。
あくまでも俺の言語がベースになるらしい。
ん?話す言葉は理解できる・・・・
文字はどうなんだ?
爪で地面に文字を書いてみる。
は じ め ま し て
「えっ!文字書けるんですか?!」
か け ま す
「そうですか凄く頭が良いんですね」
そ れ ほ ど で も な い で す
「でも喋れないですよね」
ぼ く は は な し て い る
つ も り な の で す が
「ワンとして言ってないですよ」
い ぬ で す か ら ね
「犬?ですか?
その割には大きくて凛々しくて立派ですが」
あ り が と う ご ざ い ま す
ピローン
> スキル≪言語(アース語)≫を手に入れました。
≪言語(アース語)≫
説明:やり取りがめんどくさいよ!
YOU もう話しちゃいなYO
効果:アースランドで広く共用語として使用されている
アース語がわかるようになる。
もちろん補完機能付き。
・・・あのさ絶対にどこかで俺の事みてるよな?
効果にわかるようになるって書いてあるけど元々理解してるから!
犬の口じゃワンとしかいえねーんだよ。
「改めまして初めまして」
「え?急に喋った」
「ええ、急に話せるようになりました
深くは聞かないでください」
「えぇ・・・・え?・・・・え・・・あっ・・・はい」
「俺はミノルと言います
訳あって犬の姿をしていますが・・・犬です」
「あっはい、私は□◆◇■と言います
ちょっとアース語だと発音しにくいですが
□◆◇■です」
「■◆□◇?」
「いえ、□◆◇■です
呼びにくければ何とでもお呼びください」
「・・・・では・・・・ブタ子で」
急に脳内でアリスが叫びだす。
「実留さん!それは!それはあまりにも!」
「いや、だってブタじゃん?」
「いやでも女性にブタなんて・・・」
「まぁ、それは素敵な名前ですね
なんと言う意味なんですか?」
「美味し・・・いやいや
魅力的な女性って意味です」
「まぁそれは素敵ですね
ありがとうございます」
俺はニヤリと笑いアリスに伝える。
「な、そう言ってるぜ」
「む・・・・むぅ」
「でわ、改めましてミノルさん
私は□◆◇■と言います
ミノルさんはブタ子と呼んでくださいね」
「俺はミノル
こっちの妖精はアリスだ」
「アリスです」
「ミノルさん、アリスさん
この度は助けて頂きありがとうございます
お陰で命を拾う事ができました」
「いえいえ、運よく通りすがっただけですから
無事でなによりです
それでブタ子さんは何故あんなところに1人で?
他に人は盗賊位しかいませんでしたが」
「はい・・・あの・・・いえ・・・・
命の恩人に隠し事をするのはよくありませんね
よし
私はオークのランバルト一族の姫です
訳あって今は行商人をしております
目的はこの国の首都ノイードです」
「実留さん
商人でしたね
ブタですけど」
「そうだなアリス
姫だったな
ブタだけど」
姫で商人でブタのブタ子。
この子との出会いで実留の運命は動き出す。
はず。
ついに登場人物が増えました。
はじめて登場した人間は
サクッと退場しましたが・・・。




