4-37
申し訳ないです。
諸事情により今週は更新出来そうもないです。
こんにちは森山実留です。
今世では鬼に縁があるようです。
まだ当分先だとは思いますが次生では鬼になりそうな気もします。
それだけは避けたい所です。
全力で鬼退治すれば良いですかね?
駄目ですかね?
無駄にポイント使うのも嫌だしなぁ。
あれ?犬よりはマシ・・・・かな?
う~ん犬か鬼か・・・・それが問題だ。
何時もと同じ爽やかに微笑むレイニー。
何故ここに居るんだろうか?
俺はその笑顔に何か違和感を感じた。
オーガはレイニーの一閃で生命活動を停止し
体が膝から崩れ落ちて動かなくなった。
流石に首を飛ばせば回復もしないようだ。
余りにも突然の事に領主や俺も唖然とする。
アリスは魔法が効かなかったのか悔しそうだ。
通じると思っているのが凄いとは思う。
ギルド長はお休み中。
受付は・・・・・あれ?どうなった?
多分そこらの瓦礫の下に居ると思う・・・・居た・・・
部屋の端っこで扉の下敷きのままだ。
「貴様は何だ!急に入ってきおって!
ここを何処だと!私を誰だと思っている!」
「あぁ、失礼
機関より派遣されたレイニーと言います
バイツグル領主であるヴィルド・ザーレヌ様宛に
国王アミス・ロデア様より召喚状が出ております」
身分証にもなるレイニーの腕輪を見せると
腕輪が冒険者ギルドの物だと認識したのだろう
興奮していた領主がピタリと真顔になる。
「国王からの召喚状?
それは本当の事か?」
「はい、間違いなく」
「渡したまえ」
レイニーが懐から取り出し領主に渡す。
真剣な表情で読む領主。
だが待ってくれ!
ここは領主別邸の寝室で早朝だ。
しかも壁も扉も壊れている。
そしてオーガは首を落とされて死んでいるし
商人ギルド長は泡吹いてるし。
改めて入口の方を見たらソワソワと
使用人達が覗き込んでいるし
壊れた壁の下の方からはザワザワと声がする。
どう考えてもおかしいだろ?
なんで真面目に「国王が・・・・」とか言ってんの?
俺はこのチャンスだかピンチだかよくわからん事態を
とりあえず打破する為に油断なく状況に集中する。
召喚状とやらは本物らしい。
要するに国王からの呼び出しって事だろ?
聞いても内容は教えて貰えないだろうなぁ。
少しの間、神妙に話していたがどうやら終わったようだ。
そのタイミングでレイニーが突っ込みを入れる。
「それで、ザレーヌ様
このような時間に部屋の惨状
今の状況をご説明頂けますか?」
そこでハッと真面目な話をしてる場合じゃないと
気が付く領主。
本当に遅すぎますから!
つうかレイニーも何で此処に居るんだ?
しかも何も無くオーガを殺しちゃってるし。
領主は冷静を装っているがパニックなんだろう
そこに突っ込みもしない。
俺も教える気はないけど。
「う・・・・うむ・・・・・・
そのだな・・・・このコボルド種の彼が
襲ってきたのだ・・・・」
そう言って俺の方を見るが目が泳いでいる。
そりゃ突然部屋に来たとは言え
館自体への不法侵入では無いし
監禁と襲撃で殺されそうになったのは俺だ。
ついでに使い込んだ金も俺のだ。
そりゃ強気には出れないよな。
もちろん俺が目覚ましを使った事は黙っておく。
ギルド長も意識が無いし受付は・・・無事なんだろうか。
確認するタイミングがない。
受付を弄びやがって!この極悪領主めがっ!
「ふむ・・・ザレーヌ様の別邸に不法侵入し
更には襲いかかって来たと
なるほどそのような場面でしたか
それは本当の事ですか?」
「も、もちろんだとも」
「では正式に当機関に問題解決を依頼されますか?
召喚状の事もあるので揉め事は御困りでしょう」
「あぁ!頼む!
こちらも困っているんだよ!!」
「では正式に受領致しますので
こちらにサインをお願いします」
レイニーが用紙を取り出して領主に差し出す。
飛びついてサインする領主。
「ではこれで当機関に一任される事になります
最後にもう一度確認しますが宜しいですね?」
「無論だ!とっとと解決してくれ
私も暇では無いのだ!」
「わかりました
では正式に依頼として受領致します」
そう言って振返り俺の方を向き
依頼書を掲げて俺にも見せてくる。
少し距離はあるが問題なく読める。
「ちっ・・・正式に依頼を受けるって・・・
レイニー・・・俺の敵に・・・・なる・・・のか?
・・・・・あれ?」
俺は依頼書を読んでいくと不思議な点に気が付いた。
それに気が付いたんだろう
ニヤリとレイニーが笑った。
依頼書はには細かい事は色々と書いてあるものの
簡単に言えば現在の問題を一任しますとだけ
記載されている。
そして次が問題の箇所だ。
レイニーの名前が書いてあるのは担当と言う意味だろうが
所属機関が"冒険者ギルド"ではなく
"治安維持司法管理機関"となっている。
レイニーはクルリと振り返り領主に告げた。
「では当機関"治安維持司法管理機関"における
該当問題の対処について述べます
意見は全て終わってからにして頂きます」
そこからは出るわ出るわ領主に対しての
容疑がズラズラと。
主に商いと亜人種に対しての問題だ。
その中に俺の要望でもある
・金の使いこみ
・拉致監禁
・殺害未遂
・懸賞金の是非
も入っていたのは笑えた。
そこまで押えているんならもっと早く助けてくれよ。
途中で領主がワーワー騒いでいたが
一切無視して容疑を伝え終わった。
「と言う訳で認めて貰えますかね?」
「みと!みとめ!認めれる訳ないだろう!
なんだ貴様はさっきから!
貴様は冒険者ギルドの者だろうが!」
「私はギルドから来たとは一言も言っておりませんが?
そもそも冒険者ギルドが国王からの正式な書簡を
扱うと思っておりますか?」
「いや・・・だがしかし・・・腕輪が・・・」
「あぁ、これですか
私は冒険者ギルドにも加盟していましてね
誤解をさせてしまったようで申し訳ない」
明らかに誤解をさせるような誘導をしたのに良く言うなぁ。
尚も騒ぐ領主は無視する事にしたようだ。
「当機関としては亜人種達への対応が
大きく問題となっていましてね
それについてはどうでしょうか?」
「はっ!領主である私がこの国でそんな事を
するはずがないだろうが!」
「そうですか・・・・・
では、もう一つの別邸で囲っていらっしゃる
亜人種の方々はどのように説明なさるので?」
「それっ!それはっ!」
「それは?」
「・・・・・・・」
何も言えずに口を紡ぐしかない領主。
それでも追い打ちを掛けるレイニー。
「ここに倒れているオーガもどうなんですか?
首に付いているのは"隷属の首輪"ですよね?
この国での扱いは禁止されているはずですが?」
「オーガは亜人種として認められていない!
問題は無いはずだ!」
「確かにオーガ通常種はそうでしたね
もちろん別邸の方々には使用しておりませんよね?」
「・・・・・・クッ」
領主はズバズバと言い当てられたのか
歯ぎしりをしている。
「どうしますか?
今から別邸に行って確認しますか?
外に馬車も待たせてありますよ」
「わ・・・・私は・・・・今日は予定がある
行く時間は無い無理だ・・・」
「と言うと思ったので
自分の権限で強制的に連行して良いという令状も
発行して貰っています」
そう言って取り出し領主と俺に見せる。
じゃぁ行きますか!と言うレイニーの笑顔は少し怖かった。
事情を使用人達に説明し館の後処理は待機していた
レイニーの仲間に任せた。
ギルド長は身柄を拘束され連行された。
受付も酷い怪我だったが息はあったので治療され拘束。
領主と俺はレイニーが綱を取る馬車に乗り次の現場に向かった。
俺はレイニーと共に御者台に座った。
その時に所属してる機関の事を教えてくれた。
"治安維持司法管理機関"とは国直属の機関だそうだ。
主に治安維持や不正取締等を手掛けているらしい。
通称"司法ギルド"と呼ばれるようだ。
この国独自の機関だそうな。
警察みたいなものか?
国王やるなぁ。
もう一つの別荘は馬車で少し行った所にあり小さい。
それでも普通の屋敷にしては大きいと思うけどね。
外に私兵だろうと思われる警備兵が多数置かれていた。
入る前から明らかにオカシイです。
領主の顔パスで入ったが
中は使用人が少なく静かなモノだった。
館中を隈なく歩くも何も無かった。
「だから何も無いと言っただろう
余計な疑いを掛けおって!
正式に抗議するからな覚えてろよ!」
「これは申し訳ない
抗議は厳粛に受け止めたいと思います
では、次に地下室を見せて頂けますか?」
「こっここに地下室等無い!
全部一緒に見て回っただろうが」
「そうですか・・・・・・
では着いて着てください」
何も言わずにカツカツ歩いていく。
それに無言で着いていく領主と俺。
もっとも俺はずっと無言で出番すら無いけど。
来る意味あったのかな?
玄関ホールの階段裏にある細い通路に入り進んで行く。
貯蔵庫に直接アクセス出来る通路のようだ。
明かりは無く薄暗い場所だ。
その途中で立ち止まり振り返る。
「では地下室に案内して頂いても宜しいですか?」
「・・・・・・」
「案内して頂けませんか?」
何も言わず鬼のような形相で睨みつける領主。
レイニーは絶対に情報を抑えた上で行動してるよな?
少しづつ泥沼にハマって行くも足掻く領主が滑稽だ。
「ご協力頂けないようなので
心苦しいですが再度権利を施行させて頂きます」
そう言って壁に手の平を付けてスリスリと摩った。
何かを探してるようだ。
薄暗いながらもじっくりと観察すると
一か所だけほんの少し色が違う部分があった。
カチリと音がしたかと思うと壁の一部がスッと奥に開く。
なるほどね此処が隠し扉だったってわけだ。
領主を先頭に階段を下りていく。
並んで降りれる程の幅はない。
多分、別の入り口もあるんだろうな。
地下に降りると其処は異質の場所だった。
広い倉庫のような場所で何人もの亜人種が居た。
誰も束縛や繋がれていたりはしないが
全員に先程のオーガと同じような首輪が付けられている。
その中に何人かの使用人が居たが
館で見かけた者とは服装が違うので
ここを管理する者達なのだろう。
その者達も全員が亜人達とは違う首輪を付けていた。
入ってきた領主に1人が反応し素早く駆け寄ってくる。
「領主様・・・・今日はどのようなご用件でしょうか?」
「うむ・・・いや・・・今日はな・・・」
「後ろに居るのは亜人種ですね
今日は追加ですか?
そろそろ"隷属の首輪"が残り少ないからなぁ・・・」
そういってブツブツ言いだしたが
レイニーにも気が付いたんだろう。
「あぁ申し訳ありません
お客様もいらっしゃったんですね
直ぐにお茶と道具を用意してきます」
言い淀む領主を見て気を利かせようとしたんだろう
一気に話すと準備をしに走って行った。
思いっきり自爆しちゃってますよね。
汗をダラダラと流しプルプル小刻みに震えているのが
後ろから見てても分る。
レイニーがそっと領主にそっと耳打ちをした。
「最初から自供していれば良かったのに
ここまで来たら隠し事は無理ですよ
どうやら証人になりそうな方も幾人か居るようですし」
何処からどう見ても詰みだ。
どうあっても言い訳は出来ないだろう。
商人も状況証拠も沢山だ。
それ以前に今迄の行動を考えると
レイニーは全てを知った上で行動してるんだろうしな。
そろそろ領主の足掻きも終わるかなと
考えてると領主は意外な行動に出た。
それはとても単純で力強い行動だった。
「ここに居る俺以外を全員殺せっ!」
そう大声で叫んだだけだ。
それだけで状況は一変した。
亜人種が一気に襲いかかって来たからだ。
レイニーの追い詰め方が厭らしい感じだ。




