4-35
年末ジャンボ当たりました!
何と300円です!
今年は良い事あるかも!!
裕福な男、森山実留です。
相棒(妖精)もいるし子供(拾った子供)も居ます。
資産もそこそこありますし遊んで居ても入ってきます。
これはあれですよ!あれですな!
そう勝組ってやつですよ・・・・・・ワハハハハハハ。
後は足りないのは嫁だけっすよ。
犬種でも美人な嫁って見つかりますかね?
え?犬種なら直ぐに見つかるんじゃないか?
やだなぁ、犬と恋愛出来る訳ないじゃないですか。
意識が戻ると暗い闇の中に居た。
少し寒く湿った場所で鼻が曲がりそうなほどの臭いが充満し
床はヌルヌルしてる。
衛生的な事は期待出来そうもなさそうな感じだなこりゃ。
スキルを発動し周囲を見渡すと・・・・牢屋かな?
石造りで出来た部屋のような場所らしい。
入口は1つだけで錆びだらけの鉄の扉があるだけだ。
試しに動かしてみると動かない。
ちょいと蹴ってみたが微動だにしない。
これは本当に扉としての機能はあるのだろうか?
そう思う位には動かない。
「窓もないし空気は扉の上下が
2cm位づつ空いてるだけだから淀んでるし臭い
まんま地下牢って感じだな
・・・・牢屋ならまだ良いけどさ」
部屋の中には先住人のなれの果てだろう遺物もあった。
周囲を検索するも反応は無し。
他にも幾つか同じ部屋があるようだが使われていないようだ。
監視すら居やがらないとはどういうこった。
やっぱ牢屋じゃないのかもね。
どうにもこうにも臭いので魔法で換気を行おうとしたが
あれ?発動しない。
何度やっても発動しない。
そこでやっと気が付いたんだが首に何か巻かれているようだ。
鑑定してみると魔法の発動を封じる物らしい。
こんなのもあるんだね。
ふむ・・・・・何はともあれ換気から先だな。
俺は"神システム"から直接魔法を起動させ換気を行った。
魔王レベルで魂から抑え込まれたら厳しいが
魔道具で肉体の魔法発動を封じた位じゃ俺には通じないぜ。
次に水魔法で床や壁を掃除しついでに火魔法で乾燥させる。
汚水は部屋の外にガンガン流したが何も無かった。
一応は排水溝のような物もあるんだろう。
これだけでも結構快適になった。
その後に先住民の方を丁寧に弔った。
とは言っても身に着けている物は何も無く
骨すらもグズグズだったので火葬にしただけだ。
名も知らぬ方よ御冥福を祈ろう。
部屋が綺麗になった所でアリスを呼び出して腹ごなしだ。
アイテムボックスから簡単に食べれそうな物を出して食べる。
ちなみに裸にされていたので服も出して着ておく。
アリスは夜目が利かないのでランプを出した。
「それにしても行き成り行動にでるとはね」
「そうですね・・・・・あっ、ギルド長が
受付に耳打ちして外に行かせた時ですかね?」
「多分そうだろうな
部屋の外に反応はあったから注意してたんだけど
こんなに動きが早いとは思ってもみなかったからなぁ」
「何はともあれギルド長には裏があるのが
間違いないですね」
「あぁ、それは確実だな
相手から手を出してくれたのは良かったんだけどね
それにしても今からどうすっかなぁ」
「扉は開けれないんですか?」
「全力でやりゃいけんだろ
最悪の場合は溶かすし」
「出ちゃえば良いんじゃないですか?」
「ん~、この場所って何処だと思う?」
「牢屋じゃないんですか?」
「それはそれはそうなんだけどさ
場所だよ場所
この牢屋がある場所って何処だと思う?」
「何処って・・・・何処なんでしょう?」
アリスの自信満々な疑問返しに苦笑しながら続ける。
「領主の館か関係のある建物の何処かだとは思うんだ
場所は多分だけど郊外にあるか離れにある大きめの建物の地下だな」
「その心は?」
「この部屋と同じ大きさが幾つかある上に
結構な深さにあるんだよ
この規模の地下部屋があるなら大きいだろうし
監視が居ないだろ?
領主の館自体ならせめて監視は付けるハズだ
更に言えば監視が居ないって事は
見殺しにするつもりかもしれない・・・・わからないけどな
それにギルド長がこんな規模の地下がある場所を
所有してるとは思えないってのもある」
他に判断する材料としては
地下に排水溝があると言う事は高台にあるんじゃないか?
先住民がここで無くなっていた事を考えると
自分の住居の下で人が死んでるのも嫌だろうって事だ。
多分・・・・どこか高台か何かにある別荘とかだろう。
現場では推測でしかないけどさ。
出て行っても良いけどなぁ。
それはそれで警備か何かに見つかったら不味い気がする。
このまま先住民のように見殺しにはしないとは思うんだけど・・・・。
それから数日が経過し相変わらず誰も来ない。
扉は錆びついて動きは重かったけど開いた。
まぁ鍵と付け根を溶かして取外しちゃったんだけどね。
分厚いので何かに使えるかなと思って収納しておいた。
部屋は4部屋あったが他も似た様な感じだった。
暇だったんで魔法の訓練を兼ねて全部の部屋を手入れした。
神システム経由で魔法を使うと操作というか
念じると言うかでワンテンポ遅れるんだ。
食料はあったので問題なく生活は出来た。
排泄は一番奥の部屋をトイレ代わりにした。
排水溝も奥にあったので丁度良かった。
小さな空気穴のような物もあった。
部屋以外には鉄格子があったので鍵を溶かして開けた。
先には登り階段が続き登って行くと行き止まりだ。
天井には扉があったので上に持ち上げるタイプらしい。
これは動かなかった。
外には反応があるので少なからず人がいるようだが
扉付近には来ないので状況が今一掴めない。
ふむ何か出ていくのは嫌な予感がするな。
そう思い下に戻った。
更に数日が経した。
余りにも暇だったので部屋の中を改善した。
獲物の皮を集めて寝床を作った。
俺の部屋は階段から見て一番手前なので寝室に。
隣の部屋は料理室に。
その隣はシャワー室にした。
水も排水溝をガリガリ削って延長し水捌けも改善した。
奥はトイレのままだ。
ちなみにトイレは洋式を石で作った。
排水も管をそのまま排水溝の最後に繋げたので臭い対策もバッチリだ。
ちょっとヒンヤリするのが難点だな。
我ながら随分と快適になったもんだ。
微弱ながらもずっと魔法で換気をするのも
部屋を暖かくするのも慣れてきたので
魔法技術がグングン上がっているのがわかる。
やべっ、意外と楽しい。
階段に続く鉄格子は再度固着させておいた。
この頃になると普通に火を使って
料理していたが誰も来なかった。
結構、匂いとか出ると思うんだけどね。
流石に上までは届かないかな?
更に数日が経った。
「暇だ」
「暇ですね」
「もう外出ちゃう?」
「出ちゃいましょうか」
「出ちゃっても良いかな?」
「良いんじゃないですか?」
「本当に良いのかな?」
「大丈夫ですよ!」
そんな予定調和の会話をしながら
動きが無いなら出るかなぁと考えてたら
遠くから何かが開いた音がし足音と声が聞こえる。
どうやら誰かが入ってきたようだ。
何かスッゴイ大きい声で怒鳴ってるし反響してて
あまり聞き取れない。
そして・・・・・盛大に転んだ。
そのまま階段を落ちて鉄格子に激突し大きな音を立てて止まった。
そういや嫌がらせで階段に粘液撒いておいたんだった。
落ちてきたのは商人ギルド長であるエランス様でした。
本人が来ちゃう辺り馬鹿なのかね?
「おやおや、商人ギルド長様じゃないですか
どうしましたこんな辛気臭い場所まで足を運ばれるなんて」
俺の顔を見ると激しく驚き動揺したのだろう。
後ろからソロソロと降りてきた受付・・・のなんだっけ?
まぁ彼奴と俺を交互に見みて怒鳴りだした。
「おい!何でこんな犬がまだ生きている!
食料も何もやってないんだろ?
たとえ生きていても最悪な環境と言ったじゃないか
間違いなく病気になると!」
そう叫ぶギルド長は確かに口元を布で覆っていた。
まぁ転んだ拍子に捲れてたけど。
「いや・・・・でも・・・・」
とかオロオロと言い訳してる受付はもう無視しよう。
「あぁ、暇だったんで快適に作り直しましたよ
もう少し時間があれば外まで穴でも掘ろうかと
思っていましたけどね」
「は?穴?
そう言えば放り込む時にあった臭いがしないな・・・
いやいやそれ以前にお前はどうやって生きてたんだ?
食料も何も無いだろうに」
「何でお前にそんな事教えなきゃいけないんだよ
食料もあるし水も魔法で出せば問題ないだろ」
「は?魔法?何を言ってるんだ?
魔封じの魔道具で使えるわけないだろう・・・・」
「土壁!」
ズムーンと響く音と共にギルド長と受付の
真後ろ階段が壁で塞がれた。
つまりは向こうも閉じ込められた訳だ。
「まぁ普通に使えるけどな」
「な・・・・なぜ・・・・?」
「魔法が使えるとか使えないとはどうでもよくない?
それよりもどうするの?
俺は今の通り魔法が使えるから
壁に穴開けて出れるんだけど君達は使えるの?
理解出来てる?閉じ込められてるって?」
言われてから気がついたようで慌てっぷりは半端なかった。
受付が短剣で刺したり叩いたりしたものの
それ位で何とかなる硬度にしてない。
中はそこまでじゃないが表面だけは固くしてある。
ギルド長は鉄格子に鍵を差し込んでガチャガチャやるが無駄だ。
俺が固着させてあるしな。
2人に残されたスペースは狭く足を延ばして満足に座る事も出来ない。
足を窮屈に畳んでやっとだ。
俺は復讐を開始した。
何をしたかって?
今迄通りに生活しただけだ。
腹減ったら飯を食べて眠くなったら寝る。
出したくなったら出してシャワーも浴びてスッキリする。
2人を観察するとギルド長が火魔法で受付が水魔法を
使えるようだが威力も精度も高くなく魔力も少ないようだ。
精々たまーに喉を潤す程度しか出来てない。
親切な俺はちゃんと水も食料もあげてますよ。
水はぶっかけて食料はクソ不味い生肉ですけど。
もちろん此処は寒いので男同士でくっつかないと
寒さで震える事間違いなしだ。
排泄はそのままじゃないんですかね。
自分達で何とかしてなければ。
魔法訓練を兼ねて壁をひたすら掘ってみたりした。
3日位で外に出れちゃったんだよね。
そこはバイツグルを見下ろす感じの高い所にある屋敷のようだった。
崖の途中からひょっこり顔を出した俺は周囲を確認する。
降りれない高さでも登れない高さでもない。
とりあえずどうすっかなぁ。
戻ってぐったりしてる2人に話しかける。
最初は元気だったのに今は見る影もない。
「んでこれからどうする?
一応外に通じる穴が空いたから俺は帰れるんだけどさ
君達はどうしたいの?」
「出してくれ・・・・・頼む・・・・」
「じゃぁさ全部話してくれる?」
心が折れたのかボロボロと話し出す。
知りたかった領主との繋がりも全部だ。
何故、金の返金をあんなに渋ったのかもわかった。
ぬふふふふ。
こりゃ領主を追い詰める格好のネタだぜ。
「で、その領主って何処にいんの?
俺も用事あるんだけど」
「・・・・・」
「まだ頑張るんだね・・・・・まぁ良いや
じゃぁもう少しこの生活を楽しもうね」
更に数日で完全に心が折れたのか
俺からは一切話しかけなかったんだけど
向こうからゲロってきた。
「お願いします・・・お願いしますから聞いてください」
「何を聞いて欲しいの?」
「領主の居場所です」
「えぇ、別に良いよ
俺も聞きたくないし
それよりここの生活をもう少し楽しもうよ
ホラ見てよ!風呂も作ったんだぜ!
水を入れ替えるのが面倒だけどさ
・・・・まぁそこからじゃ見えないか」
「お願いします!もう勘弁してください
お願いしますお願いしますお願いします」
泣きながら2人で頼んで来るので
俺は仕方が無く話を聞いてあげた。
そうしたら出るわ出るわ。
数日前には出なかった内容も出る。
もう笑うしかなかったが2人にとっては
もう最後のチャンスだと思ったんだろう。
そして聞きたかった領主が此処に来る
タイミングもの場所もわかった。
定期的にここに訪れるそうだ。
俺から没収した荷物も上にあるらしい。
ちなみにここは領主の別宅の地下で
一部の使用人以外は知られていない場所らしい。
裏口からも直に来れる様になってきているので
今回は誰も此処に居る事をしらないそうだ。
これ商人ギルドの方で大問題になってるんじゃね?
俺は知ったこっちゃないがね。
俺は情報を取れるだけ取ったら解放してあげた。
数日振りに自由に動けるようになったものの
満足に立てもしない。
「それじゃぁ行こうか」
俺はそう言って2人をロープで縛り上げ拘束する。
首の魔道具はギルドに置いてある鍵が無いと外れないそうだ。
これは鍵と対になっているので後々で証拠になるだろう。
階段の壁を取り除き登って行った。
復讐方法がエゲツないですな。
心が折れる事間違いなしです。




