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4-30

更新が遅くなりました。

申し訳ないです。

久々の人間社会にドキドキの森山実留です。

しかも勇者の国ですよ!きゃードキドキする。

亜人にも優しいと聞きましたが

どんな国なんでしょうか?

まずはアレだ!美味しいモノが食べたいですよね。









森を出て最寄りの村までは2週間程掛った。

急いで行けば半分程度の距離だろう。

少ない人数での本格的な旅はラースが馴れていないからだ。

周囲を感知しながらなるべく戦闘を避けて

旅のノウハウを教えていく。

スペラルという種族は予想よりも体力が無いようだ。

体力が付くまで葉無理はしない方針だが

もちろんラースにも役割を与えて戦力としても使う。


森を通る街道を歩いていくと幾人かの冒険者や

行商人と出会う事もあったが亜人として

認知されているのか急に襲われる事はなかったが

距離を置かれるような感じの人も居た。

そんなのは人族だったけどね。

ラースの可愛らしさには皆が驚いていたけどな。


辿り着いた村では普通に宿も取れたし食事も頼めることが出来た。

ここは森の資源を有効活用する為の役割があるので

様々な種族が来るそうだ。

大半は人族のようだけど亜人種に対しても馴れているのを感じた。


村には2日程滞在し旅に必要な物を購入した。

お金は冒険者から頂戴した金を使った。

他にも幾つか換金できそうな物も持って来てはいるから

多少の事があっても何とかなるだろう。


件の懸賞金を掛けている奴が居るのは

ここらでは大きな都市となるバイツグルという場所だ。

村から更に2週間程度の場所となる。

よくまぁそんなに所から来るもんだよ。

しかも道中は森の端や他にも危険な場所が幾つかあるので

街道があると言っても全く安全と言う訳でもない。





そう今の俺達が襲われているようにだ。





村から2日程移動した場所で森の脇を通ってる時に

盗賊の一味と思われる奴らに襲われたんだ。

全員が汚らしく不潔で気持ちの悪い笑みを浮かべている。

人数は8人で亜人も数人いる。


俺は問題無いがラースを守りながらとなるのは少し面倒だな。

接近さえされなければ単独の戦闘力は

ラースでも対応できるレベルとは思うけど。


感知範囲には前方の8人以外にも

距離を置いて2人がこちらを狙っている。

多分、魔法か弓での遠距離攻撃だろう。

アリスに何時ものように上空から監視してもらい

魔法で牽制や注意を引いて貰う事にする。



後方に問題なければラースも戦力となりうる。

ラースが得意なのは風系と水系だ。

それらを射出してもらい俺が一気に距離を詰める。


それぞれが武器を持ち剣で槍で斧で攻撃してくるが

ラースと俺の魔法で先制し慌てていたので一気に対処した。


遠距離の2人からは矢が連続で飛んできたが

全て風撃で逸らし接近し無力化した。


盗賊の類は捕えて引き渡せば報奨金を貰える。

報奨金は生きてる方が有効利用できるので高めだが

死んでいても貰う事は出来る。

それでも賞金首等じゃなければ僅かな額なので

殺してしまう方が楽だというのが世間の常識だ。

俺は何となく殺して無かっただけどね。


「さて、ラース終わっ・・・危ないっ!」


ラースの真後ろの木から影が飛び出した。

認識した瞬間に反応をキャッチする。

なんだ?隠蔽系のスキルでもあるのか?

ラースの首に短剣を当ててこちらを睨みつける。


「ひゃひゃひゃ、驚いたな

 アンタ、コボルド種だろ?

 なんでそんなに強いんだよ・・・

 魔法まで使えるしさ」


「おい!ラースを離せ!

 仲間の敵でも討ちたいのか?」


「ひゃひゃひゃ、すっごい流暢に喋るなぁ

 敵討ちなんてとんでもねぇ

 俺は死にたくないだけさ」


「ならなんで出てきた?」


「ひゃひゃひゃ、仲間も沢山死んじまってね

 生きてく為には金が必要なんだわ

 それでこのラースちゃんを頂こうかなとな

 この外見で魔法も使えれば結構良い金になるだろ」


「くっ・・・・・・・」


手が無い・・・・。

ラースの耐久性を考えたら魔法で巻き込むのも無理だし。

俺のナイフじゃそこまで精密にコントロールできない。


『アリス、何とか出来るか?』


『すみません私も気が付きませんでした

 正直、私の攻撃力じゃ・・・』


むぅ、確かにアリスの"零結の檻"じゃ威力が足りないか。


「ひゃひゃひゃ、そんな訳でコボルドの旦那には

 申し訳ないっすが

 これで失礼させて貰いますぜ」


そんな俺らが悩んでいるのを良い事に

盗賊はジリジリと後退していく。

喉を押えられてラースの顔が苦しそうに歪む。


「ま、待て!」


一か八かアリスの攻撃で意識を逸らして

俺が攻撃をブチかますしかないか。

ラースは回復させれば何とかなる・・・・と思いたい。


アリスに合図しようとした瞬間。

盗賊の頭が空を舞った。


「はっ?」


呆気にとられながらクルクルと

空をゆく首を見つめ続けた。

首が地面に落ちると盗賊の体は地面に崩れ落ちた。


そうだ!ラース!

余りの事に意識を戻すとそこには

包み込むようにラースを守る1人の騎士が立っていた。


「やぁ、危ない所だったね

 僕の名はレイニー

 しがない冒険者だよ」


そこで初めて反応が有る事に気付く。

あれ?最初は無かったよな?

イザリーとか言う奴に守られてラースは返り血一つなく無事だ。

あぁ、こいつが盗賊からラースを助けてくれたのか。


ここはお礼の一つでも言わなくてはいけまい。






「うわぁ・・・・胡散臭い・・・・・」


「ですよねぇ・・・・」


俺とアリスから出たのは正直な感想だった。










盗賊達との一悶着が片付いたところで

昼時になったので休憩を兼ねて食事にする。


今日は大きめな葉っぱに具材を包んで

地面に埋めた蒸し焼きだ。

味付けは塩胡椒と謎調味料。

具材は村で仕入れた大き目の川魚と香草だ。

蒸し焼きの為の焚火で簡単なスープも作った。


俺が準備をしレイニーが盗賊たちを拘束して

全部が終わったら丁度出来たようだ。


「改めて紹介しよう

 僕の名前はレイニー

 冒険者をやっている者だ」


「俺はコボルドの実留でこっちはラース

 んでこっちの妖精がアリスだ」


「よろしくね

 ラースちゃんにアリスさん」


「さっきは助かったよ

 おまけに変な事を言っちゃってな

 お詫びと言っては何だが昼を食べてくれ」


そう言って包焼きとスープ、それにパンを渡す。


「いやぁ、何だか悪いね

 こんな所で豪勢な食事が出来るなんて嬉しいよ


 うん!美味い!何これ?

 すっごい美味しいんだけど!!」


レイニーはガツガツ食べだした。

俺も食べてみたが自分で言うのも何だけど美味い!

謎調味料が今回は良い方向に行ったようだ。


ちなみにポイント交換した調味料は

全てを使い切らないと補充されない。

そして謎調味料は様々な味を醸し出すが

稀に・・・極稀にとんでもなく不味くなる時がある。

それすらも乗り越えて使い切らないと

塩胡椒も補充されないんだ・・・・。

流石は神様謹製だよね。

更に言えば料理に使わないと消費されない謎仕様だ。

そこはかとなく悪意を感じるのは俺だけなのだろうか。


食事が余程気に入ったのかレイニーは

ガツガツと食べながら色々と話した。


外見は何処の王子だよと言う程に整っている。

爽やかな笑顔にサラサラの金髪。

年齢は20歳前後位だろうか若く見える。

身長も高く体も十分に鍛えられているのが良くわかる。

話した感じで性格も良さそうだ。


武器は細身の片手剣で防具は実用性を

重視した鎧、小手、ブーツ、盾だ.

シンプルな装備でいて安さは感じられない。

寧ろ高品質なのがハッキリとわかる。


まぁ、アレだ美男子だ。

ものすっごいイケメンだ。

ここまで絵に描いた様な男がいるものなんだな。



レイニーを確認する。

=========================

名前:レイニー・トラバンス

性別:男

種族:人族

職業:冒険者

   賞金稼ぎ

=========================


ほうほう、トラバンスが家の名前なのかな?

レイニーは冒険者と言うが

俺はこいつが貴族出だと考えている。

若いのに装備品が高品質過ぎる。

職業は冒険者と賞金稼ぎか。

この2つは何が違うんだろうか。




食事も終わり・・・と言うかレイニーとラースとアリスが

モリモリとたべて俺はあんまり食べれなかったが

とりあえず一息は付いたので切り出す。


「あのさ盗賊ってどうすればいいの?」


「引き渡せば報奨金が貰えるよ

 僕は1人分で君は10人分だね

 多分、賞金首は居ないから

 額は大したこと無いけど

 旅費の足しにはなると思うよ」


「そっかー、でも町まで連れて行かないとだろ?」


俺の目的地はバイツグルだがそこに行くまでに一つの町を経由する。

そこまでには数日掛るが盗賊を引き連れていくのも大変だ。


「確かにね

 だから盗賊は殺して首だけ持って行く方が楽なんだよね

 報奨金は少なくなるけど」


そう言ってチラッと盗賊たちを見ると

猿轡をされているのに必死に何かを訴えている。


「う~ん、でも折角生かしておいたんだからなぁ」


レイニーはニヤリと笑う。

そんな顔も絵になるんだよな・・・・イケメンめ。


「ミノル君はバイツグルまで行くんだよね?」


「あぁ・・・」


「じゃぁ、盗賊は僕が何とかするから

 一緒に行っていいかな?」


「何を考えてる?」


真顔で睨みつけると酷く慌てて弁解してくる。


「いやいやいや

 別に何も企んでないよ!

 僕もバイツグルに戻るんだよ

 だから一緒に行こうかなって」


「それで?」


「1人じゃ寂しいし

 危ないからさ」


「素直に言えよ」


「・・・・・ご飯が美味しかったんだ

 一緒ならまた食べれるかなって」


「そりゃ素直過ぎるだろ」


「だって・・・・旅の途中の食事なんて

 塩っ辛いしボソボソだし・・・」


申し訳なさそうに恥ずかしそうに

ボソボソと話すレイニーには好感が湧いた。


「はは!それ位で良いならな構わないよ」


「本当かいっ!」


キラキラした顔で見てくるレイニー。

こいつは憎めない奴だな。


「あぁ、いいさ

 その代わり色々と教えてくれよな」


「うん!それ位はお安い御用さ

 じゃぁ盗賊は任せてくれ!」


そう言うとレイニーは盗賊に軽い足取りで向かい

周囲に木の枝でぐるっと線を書いて囲う。

そして何か書類ような物を取り出しサインを

書いて盗賊達に張り付けた。


準備が終わると腕を向けて目を瞑り意識を集中する。


「・・・・座標固定・・・対象固定・・・・転送」


そう呟くと地面から光が立ち上がり盗賊達を包み込む。

光りが消えた後に盗賊の姿は無かった。


「え?なにそれ?」


驚く俺達が面白かったのか笑いながら

レイニーは自慢げに言った。


「今のは盗賊の転送だよ

 転送先はバイツグルだね」


ここで一呼吸置き

さも凄いだろうと言わんばかりにレイニーは話す。


「僕はこう見えてもギルド公認の賞金稼ぎなんだっ!」






「ふ~ん

 え?それ凄いの?」


全くわかってない俺を見て

悲しそうな顔のレイニーが居た。


ちっ、イケメンめ。

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