4-28
お歳暮にハムが欲しいです。
ハムが・・・・ハムが食べたいのです。
あぁ、どもども鬼狩りの森山実留です。
前回は申し訳なかった。
自分でも流石にアレで一流とは
ちょっと盛り過ぎたなと猛省しました。
だがですね!なんとオーガリーダーって言う
猛者も倒したんですよ。
そりゃもう一流と名乗って・・え?なに?
どうやって倒したかですか?
そりゃもう召喚した天使の一撃で・・あ、待って!
行かないで!行かないで~!
目が覚めると暗い部屋・・・・ではなく。
普通の部屋だった。
いや・・・・普通の部屋と言っても妙に女性的というか
どっちかと言うと少女趣味っぽい感じがする。
そしてこれが一番問題なのだが現代風だ。
むむ?ここは?
「やほー、随分とまぁ早く会えたね」
目の前には以前よりもカジュアルと言うか
ラフな格好をしたスイリーヤが居た。
「あぁ、うん
ここは何処?」
「此処?アタシの部屋だ」
「アタシの部屋?自室って事?
神なのに自室?」
「そうだな
つうか神だって自分の部屋位あるっての」
「なんで自室?しかも今回は因子GETしてないし
通常進化でしょ?
し! か! も!
強制的にYESを選択されたんだけどっ!」
「オスのクセに細かい事を気にすんなよ
ミノルちゃん進化する時にはアタシんトコに
来るように設定しといたんだよ」
「なんで?」
「んなもん暇潰しに決まってんじゃん
だから公式な部屋は使えないから
アタシの部屋に呼んだって訳さ」
「職権乱用の上に公私混同すんなやっ!」
「うっせー
進化の時位しか会えねーんだから
ちっとは話し相手位なれよ
そんだけ融通してやってんだろ」
「進化の時しか会えないの?
地上に降りてくれば良いじゃん
俺、下級神に会ったぞ」
「そりゃ下級神なら会える奴もいるだろうけどさ
普通はそんなにホイホイ降りれないわけ
元々が現世界での仕事を持ってれば別だけど
そうじゃない場合は降りるって手続きとかが
スゲェ面倒なんだよ」
「そりゃまぁ神様がホイホイと現れたら
大変な事になりそうだしな」
「それでも降りてる奴は結構いるけどな
アタシは面倒は御免だ
ミノルちゃんを進化時にチョイと弄る程度で十分だ」
「まぁ・・・そう言われると悪い気は
しないけどさ」
「おうおう、そう言う事だ
ここは自室だから利用時間は関係ないから
ゆっくりしてきなよ」
「じゃぁさ進化で聞きたい事が有るんだけど良いかな?」
「良いぜ、何が聞きたいのよ」
「じゃぁまずは・・・・」
俺は進化時に気になった幾つかの事を聞いた。
大筋は予想通りの内容だったが
裏付けする為の情報等や今後の指針になりそうな情報も
得られたのでありがたかった。
「でもそんなに情報を教えちゃて良いの?」
「あぁ、良いんじゃない
別に隠すなとも秘密にしとけとも言われて無いし」
「そりゃそうなんだろうけどさ・・・・」
「それに神と話せる機会なんて
普通はそうそう無いんだぜ」
「そんなもんなの?
あんまり実感湧かないなぁ」
「そりゃミノルちゃんが変わってんの
上の方の神なんかに生きてる内に
1回でも会えりゃ聖人様扱いだぜ」
「そんなレベル?」
「あぁ中級神とこんなに話せるなんて誇って良いんだぜ」
へぇ・・・・そんなもんなのかね。
ラフな部屋着で寛ぎながらポテチのような物を食べて
炭酸飲料らしき物を飲んでるのが中級神なんだよな。
そんなのに神との出会いの貴重性を語られてもなぁ。
「んだよ?何か文句あんの?」
「いやいや、なんでもないですはい」
「まぁ良いか
そういやミノルちゃんとこにハーフゴブリン居るじゃん」
「ラースの事?」
「名前までは覚えてないよ
まぁ、そのハーフゴブリンがさ進化中なんだよ
んで多分だけど特殊進化するよ」
「は?え?そうなの?」
「何かの力の残滓と言うか
何かが守ってると言うか・・・・
アタシでもハッキリとは見えないんだけど
それが影響してるみたいなんだよね」
「中級神でもわからない事があるの?」
「そりゃあるさ
所詮は中級神だしね
ただ、ハーフゴブリン自体が何かの力を持ってる訳じゃ
ないんだよなぁ・・・・
まぁ悪い事じゃないし気にしなさんな」
「お・・・おう」
その後も色々な事を話してスイリーヤが満足したのか
帰される運びになった。
「じゃぁ、ミノルちゃん
また来いよな」
「どうだかね
次にいつ進化出来るやら」
「色々な事を経験し悩み考え魂を磨き上げなさい
格上にも恐れずに挑みなさい
彼らの血肉と命を自らの糧としなさい
日々の成長を怠らなければ
おのずとまた出会える事でしょう」
「お、何か神っぽい
寝ころんでなければ」
「あっはっは、一応は神らしく祝詞って奴だ
それじゃまたな」
あー、残念な女神だなぁと思いつつ
俺は闇に溶けていった。
また進化時に会いたいもんだ。
目が覚めると俺の体は変化し体中に力が漲っていた。
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名前:森山実留
性別:オス
種族:ヴェルスコボルド(黒毛、紅眼)
年齢:11ヶ月
≪ヴェルスコボルド≫
コボルド種の中では上位に位置する種とされているが
確認数が極端に少ない為、詳しい情報は無い。
器用さと魔力の扱いに長けているとされている。
外見と生態系の特徴からコボルド種に類似点が
多く同系統と区分けされているに過ぎない。
コボルド種と別種の混血とされる意見もある。
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少し試してみたが身体能力や魔力も全体的に上がっている。
それよりも驚いたのが体の反応が良いところだ。
つまりレスポンスが良い。
後は説明にもあったが妙に器用になった。
それに魔力の扱いも楽だ。
黒毛は肘と膝のままだが意識すると
手足の爪が鋭く強固な物に変化した。
毛も明らかに硬度が増すから下手な防具よりも便利だ。
素手の時には非常に強力な武器になるな。
目も更に良くなり動体視力も向上した。
因子のパワーアップ率ってすげー。
他にも親子と衛子がハイコボルドになっていた。
ジョブは付かなかった。
何か俺と同じ系統を歩きそうな気がするが
どちらかと言うとオス君とメス子方面かな?。
そしてラースだ。
スペラルという種になった。
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≪スペラル≫
魔法に長けた種であり実力はエルフ種にも匹敵するが
肉体は強く無く総合ではエルフ種に劣るとされる。
亜人種とされているが固有種別は不明。
人族と魔族のハーフとされる説がある。
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身長は130cm程度で外見はゴブリンだった頃の
面影は全くなく人族で美少女と称されるレベルだろう。
色が白く透き通った印象だ。
良く言えば綺麗な整った顔。
逆を言えば人形のような血が通ってないかのようだ。
華奢な美少女で魔法が得意。
どんだけ勝ち組なんだ。
まぁ生まれがアレだから勝ち組かは不明だが。
リースと並んだら絵になりそうだ。
・・・・リース元気かなぁ。
進化によって親子と衛子の戦闘力が大幅に上昇した事で
襲撃者の対処に俺は参加しない事が増えた。
空いた時間はラースと弟子夫と過ごす事にした。
弟子夫は製作で培った器用さと腕力はあるが
速さと耐久性が足りない。
まだコボルドという事もあるしな。
そこで弓を覚えさせることにした。
3人で狩りをしつつ素材を集めて製作だ。
ラースにも製薬を仕込ませる。
俺も体の限界とスキル具合を確かめつつ
魔法の研究を行った。
そうそう新スキル≪闘気錬纏≫は結構ヤバい。
発動すると様々な効果があった。
身体能力の向上、物理防御力の向上、魔法防御力の向上
各種耐久性の向上、治癒力の向上、等だ。
肉体がかなり強化されるが原動力は生命力。
オーガ達の体から出ていた湯気のような
オーラのようなモノが闘気だそうだ。
使い過ぎると最初は妙に怠くなり眠くなる。
それでも使って行くと感覚が鈍くなる。
これはロズに聞いたのだが最後には唐突に命が切れるらしい。
更には闘気を使うと闘争心が猛烈に駆り立てられ
極度の興奮状態になる。
その為、未熟なままだと興奮したまま
全ての生命力を使ってしまい死ぬ事が多い。
使いこなすには心を静め必要な闘争心だけを掴み
闘気が外に出ない様にコントロールするのが肝心だそうな。
オーガのように外に漏れるのは無駄との事。
熟練者は体の表面を薄くコーティングし一切を無駄にしないそうだ。
ただこれは難しい。
俺も発動させると興奮状態になり闇雲に
獲物に襲い掛る事が多々あった。
ある程度のコントロールを得るまでは訓練しかないな。
更に1ヶ月が経過し俺は満1歳になった。
弟子夫も無事に進化する事が出来た。
手先と技術に優れた"レガーコボルド"と言われる派生種だ。
これで物作りが更に捗ると喜んでいた。
ラースも魔法戦闘に馴れてきて低レベルの獲物なら
単独で狩りを出来る程になった。
そもそもスペラルは防御力が低いだけで動きも素早い。
体力は低いがラースの頑張りで改善されるだろう。
経験と技術を身に付ければヒットアンドウエイで
相当な戦闘力になる。
俺のスキルも順調である程度の
コントロールは出来るようになった。
親子も衛子も強くなったし戦馬鹿との連携も良くなった。
オス君とメス子の技術力も向上した。
そろそろかな。
俺はある日の夜にアリスと一緒に母犬を訪ね
考えていた事を切り出す。
「いずれ冒険者の襲撃も手に負えないモノとなるでしょう
その前に件の富豪に掛け合い懸賞金を取り消して
もらうよう交渉してきます」
母犬はあの日のように静かに訪ねた俺を見つめている。
全てを見ているようなそんな目だ。
「そうか・・・・それはそうだな助かるが・・・・
まだ探し人とは逢えないのか?」
「・・・・・はい
必ず冒険者の問題を片づけてからにします
行かせてください」
「そうか・・・・覚悟があるなら良い」
「また殺せって言われるかと」
「ふふ、今は住処もあり仲間も居る
お前を慕っていて頼もしい兄妹も居る
戻る場所は何時までもある
だから気にせずに行きなさい」
「・・・・ありがとうございます」
今度は無茶な事を言われないで良かったなと一安心だ。
「小さき妖精よ
息子をを・・・・守ってくれ」
「はい、母犬さん
任せてくださいっ!
私の新魔法"漆黒の白炎"でバッチリです」
うんうん、アリス君。
自信満々な所に申し訳ないが
それは黒いのかな?白いのかな?
アリスの謎魔法自慢に母犬の顔も和らぐ。
「では出発前にオス君とメス子と戦って貰おう
彼奴らに最後の教えを授けてやってくれ」
「な、なんだってーーーーーーーっ!」
出発には戦いが絶対条件なのでしょうか?
実留君、ついに旅立ちが近づいてきました。




