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4-26

師走と言うだけあって忙しいですね。

数日は更新出来ないかもしれません。

こんにちは森山実留です。

皆さん水泳は好きですか?僕は泳ぐのは好きですよ。

水面に浮いていると気分が安らいで解放されるじゃないですか。

まぁそれでもヌルヌルで毒も酸も強い場所で泳ぎたいとは思いませんね。








オーガを圧倒的な力量差(水分量)で溺れさせ

落とし穴の上部に土魔法で蓋をした。

少しだけ空気穴を空けて火魔法をぶち込み空気を無くす。

最後に空気穴を塞げば完成だ。



毒と酸と水量に酸欠。

如何に強靭な体を持つオーガと言えども

ここまですれば生存は難しいだろう。


「ふぅ、後は時間が何とかしてくれるかな」


そう言ってアリスを見ると物凄く冷たい目をしている。


「どうしました?アリスさん」


「何と言うか・・・・

 実留さんがズルい事は知っていましたが

 溺死って・・・・どうなんですか?」


「相手は殺しに来てるんだよ?

 ハイコボルドがオーガに勝てるかっての」


「それでも実留さんなら倒せたんじゃないですか?」


「いや、まぁな・・・

 いやいや、無理無理

 1匹ならまだしも2匹は無理!」


「でもオス君さんは3匹を相手にしてましたよ」


「だから基本スペックが違うんだって!」


そんな会話をしつつ穴の中を感知する。

1匹は徐々に反応が弱くなっていく。

もう1匹は・・・・?


「アリス!無事な方のオーガが何かするぞ!」


穴の中から急激に反応が強くなる。

爆砕音と共に上部の蓋が弾け飛びオーガが這い上がってくる。

オーガは魔法の類が苦手なハズ。

無理矢理壁を手足で破壊しながら足場を作ったのか?


そんな事はどうでも良い。

問題はほぼ無傷のオーガが俺の前に居るって事だ。


「実留さん・・・1対1なら大丈夫なんですよね?」


「あ・・・・うん・・・いや・・・どうかな

 何かさっきと雰囲気違うんだけど」


グルルルと涎を垂らしながら威嚇してくるオーガ。

先程と違って何か雰囲気が違う。

怒り狂ってるかと言えば何かが違う。


「ガァッ!!」


踏み込んできたオーガの速度は尋常じゃなかった。

オス君のそれよりも速い踏込みで

地を蹴る音が爆発音のようだ。


「うおっ」


驚きはしたものの知覚と予想は出来ている。

ギリギリだが避ける。

顔の横をオーガの武器である拳が通り過ぎる。


ザワリ。


何かを感じる。

途方もない密度を持った何かのようだ。

先程の剣で感じたよりも更に強く。

ただこれだけは確信できる。

生半可な攻撃じゃこいつを倒せないと。


受けるには威力があり過ぎる攻撃を

何とか避け剣や小手を使い逸らすが

それだけで衝撃が体を走る。

少しづつだがダメージが蓄積され

容赦なくスタミナを奪っていく。


くそっ!このままじゃ不味いな。

何か手がないか?

剣であの程度なら魔法じゃ威力が足りない。

もう1匹が出て来ない事を考えると

傷からの毒や酸は効いたって事だな。


となると表層を突破すれば何とかなる・・・のか?



幾度かの攻撃を躱しながら観察していると

段々と速度が上がっているのがわかる。

そして体から何かが漂ってきている。

体中に湯気のようなモワァ~っとした何かが漂い巻きついている。

オーガの動きが増す度に湯気のような物も強くなってきた。


それに併せて口からは涎が

ダラダラと垂れ流しとなり目も血走っている。

口からは唸り声と獣のような叫び声だけとなり明らか変だ。

段々と動きが速くなるにつれて動きも単調になってきている。


動きが読めるので何とかなっているが

速度と威力の上昇が半端ない。

掠るだけで皮膚が切れるし拳が当たった木が折れる。


段々と早くなる攻撃を避けていると

何かが俺に飛んでくる。


血だ・・・・。

オーガの血が飛んでくる。


良く見ると体の至る所から細かく出血している。

その出血箇所もシュワシュワと高速治癒をしていき

また新たな場所が裂ける。


これは何かを犠牲にして能力を上げる的なやつか?

今の状態って体に物凄い負担なんじゃないのか?

例えそうだとしても今のうちに何とかしないと

不味い事になるのは間違いないだろう。

動きは読めるのに速すぎて今がギリギリだ。





「グガガガガガァァァァァ!!」


オーガが今迄でも最速の動きで襲い掛かってくる。

身体能力を極限まで高めつつタイミングを伺い・・・。


「おうらぁぁぁぁぁぁぁぁ」


限界まで向上させた身体能力で全力で踏込み

全体重を乗せ更に≪重撃≫と≪カウンター≫を発動し

すれ違い様に胴を横なぎをお見舞いする。


重量のある鉄に切りつけたかのような

感覚と鈍い音が響き渡るが手応えは間違いなく今日一だ。

オーガは吹き飛び地面を転がりながら木に衝突する。


通常のオーガなら致命傷を与えた自信がある。

だが・・・・・どうだ?


土煙が収まると立ち上がるオーガの姿があった。

全身から血が流れだし腹からは内臓らしき物がはみ出ている。

重傷を与えられはしたが

あれでも致命傷にならないのかよ。


オーガからは湯気のようなオーラのような物が

吹き出すように出ている。


俺は身体能力の向上に魔力を回し過ぎて

威力のある魔法は使えないし身体能力も先程じゃない。


つまりは打つ手がない・・・やべぇ・・・・どうすっぺ。

それでも怪我をしている今がチャンスか。

剣を・・・バングソードを握りしめ重心を少し落とす。

俺の仕草をオーガも気が付いたようだ。


「ガアアアアァァァァァッッッ!!」


体を震わす程の音量で叫ぶ。


「くそっ、やる気満々じゃねーか」


「ガアアガガガガガガ・・・ガッガッガッ・・・グボォ」


雄叫びをあげていたオーガが急に血を大量に吐き出す。

そのまま膝をつき前のめりに倒れ生命力が急速に衰えていく。


あれ?これって限界ってやつかな。

チャンスとばかりに一気に走り寄り首を狙う。

多少の抵抗はあったものの簡単に切り離す事に成功した。


「ふぅ、何とかなったな」


「相手の自滅っぽいですけどね」


「そうだな・・・・あれなんだったんだろうな」


「オス君さんが倒した3匹とは違ってましたね

 なんだか急に強くなりましたし」


「う~む、そうだな

 とりあえず検証は後にしてオス君に合流しよう」

 

「ですね」


倒したオーガを回収しておく。

毒粘液に溺れたオーガも回収する。

やはり怪我から毒が回ったようだ。

ふむ、表面だけの問題なのだろうか?

これも後で考えよう。


体力と魔力の補給を兼ねて先に倒したオーガを

1匹出してゴリゴリと食べる。

通常種のオーガと言えども

ハイコボルドより格上の種だ。

丸一匹を捕食した事により

体が急速に回復し各能力値の上限も伸びたようだ。

おうっふ、流石はオーガ。

もっと食べたいがオス君が倒した分だし取っておこう。








「ごはぁっ」


オス君とオーガリーダーとの戦いは一方的だった。

双方共に高い身体能力と強靭な体だ。

必然と戦いは苛烈になる。


その苛烈な戦いは一方的にオス君がやられていた。


オス君は剣を振り拳を叩きこみ牙を立て爪で引き裂く。

俺との訓練で戦闘の幅が広がり1発も的確に重くなっている。

それが殆ど通じないか僅かなダメージしか通らない。

対してオーガの攻撃はオス君にダメージを与えている。

オス君も驚異的な耐久性を誇るがオーガの攻撃はそれを超えるようだ。


オス君の攻撃はオーガリーダーにダメージを

与えられていないわけでも無い。

重い1撃の場合はオーガの防御力を突破出来るようだ。

それでも直ぐに回復しているようで埒があかない。


じっくりとオーガリーダーを観察すると

やはり湯気のようなオーラのような物が見えるが

出てる量が少ないようだ。

それに体全体に纏わり付いて居る。

身体能力は先程のオーガよりも更に上だ。


あれが強化のネタなのか?

当たりが付いた所で俺が出来る事はないだろう。

オス君とオーガリーダーの攻防が激しくて手出しが出来ないんだ。

魔法やスキルで援護しようにもオス君にも影響が出てしまう。



「実留さんどうしますか?

 オス君さんがスッゴイ押されてますけど」


「それは・・・理解出来てるんだが

 打つ手が何もないんだ」


「オス君さんが倒れたら実留さんですよ・・・

 大丈夫なんですか?」


「うん・・・・それなんだけどさ

 このままだと非常にヤバイんだ」


「と言いますと?」


「今のオス君ってさ掛け値なしの全力攻撃だよね?」



オス君が屈めた膝を一気に解放しバネを使い

剣を叩きこむ。


「がぁぁぁぁっ!!」


それをオーガリーダは左手を使って受けて

返す右手で凶悪な金属の塊である棍棒でオス君を襲う。


「ゴォォォォォ」


勢いを増す戦いが目の前で繰り広げられる。



「そうですね

 少なくとも手加減してる様には見えません」


「だよな・・・・・

 あのなオス君の全力攻撃ってさ・・・・」


「はい?」


「俺の全力よりも威力あるんだわ」


「なるほど

 結論から言いますと?」


「俺の攻撃力だとオーガリーダーの防御力を

 突破出来るとは思えない」


「・・・・・・ふむ

 手詰まりという事ですか?」


「正解です

 アリスさん」


「駄目じゃないですかぁぁぁぁ」


そうアリスが叫んだのが良いのか悪いかは置いておいて

丁度良いタイミングでオス君が俺の前に

転がり込んできた・・・いや吹き飛ばされてきた。


武器は手放し鎧も大きく陥没している。

右手は砕け左腕も変な方向に曲がっている。

口からは血を吐き苦しそうだ。


「ガハァッ・・・・あ・・・・兄上・・・

 お逃げく・・・ささい・・・

 あ・・・彼奴は・・・つよ・・・い・・・」


オス君はガックリと意識を手放し

オーガリーダーはニヤリと笑っている。


「ツギハ・・・オマエダナ・・・」


一歩づつ威嚇するように弱者を追い込むような

優越感をまき散らしながら近寄ってくる。


「実留さん!」


「はっ!安心しろアリス!

 俺にだって奥の手の1つ位はあるんだぞ」


「えぇ!本当ですか!」


俺はビシッとオーガリーダーを指差して言ってやる


「こんな奴はな俺が相手をするまでもないのさっ!」


「グゥ・・・・キサマ・・・シニタイヨウダナ」


オーガリーダーが唸り声を上げながら突撃してくる。


だが俺は恐れない!

今の俺なら出来るはずだ!


意識を集中し高らかに宣言する。







「カモォォォォォォォンッ!!ロズゥゥゥゥゥゥッ!!」


そう俺はガチムキの天使を召喚した。

実留君、諦めるのはえーよ!

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