4-25
初レビュー頂きました。
レビューして頂けるほど読んで頂きありがとうございます。
更新頑張ります。
冒険者を相手に戦闘訓練をしている
森山実留です。
流石に冒険を生業としている方々の
技術には驚かされます。
まさかあの魔獣の肉をあぁすると食えるとはっ!
ちきしょう・・・・奥深いぜ・・・・料理って。
あれから更に数ヶ月、移住してから半年以上が経った。
相川らず冒険者の襲撃は続いている。
他にも魔物や魔獣の襲撃もある。
こんな森の中にあるんだしな。
だからこんな状況もありうるってわけだ。
オーガの集団と冒険者の集団が同時に襲ってくるとかな。
「馬鹿じゃねーのあいつらっ!
なんで同時なんだよっ」
そんな愚痴を言っていても仕方が無いとは
分っている・・・・わかっているんだけど・・・・。
現在、集落は両サイドから攻められている。
まだ辿り着かれてはいないが
突破されたらヤバいのはどちらも一緒だ。
この集落では監視に力を入れているので
数人や数匹規模以上になれば見落としは
殆ど無いと言えるだろう。
その結果として迎え撃つのではなく
此方から打って出れるんだけどね。
オーガは6匹で冒険者は8人だ。
相性の問題から俺はオーガを担当しサブにオス君。
冒険者側は親衛隊と戦馬鹿でサブにメス子。
他の動機と弟子夫は母犬の側に居て貰う事にする。
そしてどちらもお互いには気が付いてないだろう。
オーガはどうだか知らないが冒険者側には
メリットは少しはあるかもしれないが
それ以上にオーガと言うのは脅威だ。
つまりは偶然に来ただけって事かね。
この半年でオス君とメス子の能力は嫌と言う程に理解出来た。
集落のハイコボルド達と比べても俺は能力値が異様に高いが
そんな俺から見ても馬鹿げてるような能力値だ。
力も敏捷も魔力も高い上に頭だって悪くない。
寧ろ良い方だろう。
だが圧倒的に経験と知識が足りない。
体をどう動かせば良いのか?
魔力はどう扱えば良いのか?
そこら辺が足りて無いのだ。
現状の能力任せでも相当強いのだが
それだけじゃ勿体ない。
ここ半年で技術を磨く訓練をしてきたが
高い能力値の故に細かい制御が出来ず
まだまだと言った感じだ。
そんな訳で兄妹にはサブとして
それぞれの指揮下に入って貰う事にした。
技術だけなら他の者の方が上だしな。
報告があった地点にオス君と2人で到着すると
見張りのコボルド達が倒れていた。
防御と逃げに徹したようで怪我はしてるものの
息はまだあるようだ。
オーガは急に現れた俺達に視線を移す。
見える範囲では3匹だ。
残り3匹はもう少し奥に反応がある。
「オス君、全力で魔法射出」
「はっ、兄上」
走り寄りながらオス君が魔法準備に入る。
俺は先行で魔法を放つ。
「爆音っ!!」
3匹ならギリギリ入る。
音が荒れ狂うもののオーガは3匹共に耐えたようだ。
多少はフラフラしているが遠目では無事に見える。
そこにオス君が魔法を射出する。
以前よりも小さくなってはいるが
圧縮率も高まっているので威力は抜群だ。
同時に俺が倒れているコボルド達を守るように
土壁を生成する。
真面に食らったオーガ達が吹き飛ぶ。
「オス君、追撃よろしく
アリス、回復薬を」
オス君に追撃とアリスには回復を頼む。
「了解です、実留さん」
回復薬を幾つか取り出して倒れている
コボルドの近くに置きオス君の後を追う。
多分、20秒も経ってないだろう。
それなのに既にオーガの2匹はオス君が片づけていた。
オス君なんつう強さだよ。
残り1匹は姿勢を立て直し正面から戦っているが
魔法攻撃でボロボロだしオス君に分があるだろう。
オーガの攻撃は苛烈で
攻めて攻めて攻めまくる。
そんな言葉がピッタリだ。
至る所が傷だらけなのに威力も速度も衰えて無く
恐るべしはオーガと言った所か。
そしてそれを良く見て対処するオス君。
以前ならパワー勝負に持ちかけてるだろうが
今は相手を観察し攻撃を裁く。
そして的確に攻撃を入れていく。
まだまだ甘く拙い技術だが以前よりは向上している。
危なげなく残りのオーガも倒す事が出来た。
怪我をしてたとは言え真っ向勝負で
オーガ3匹を倒せるコボルド種って・・・・嫌だなぁ。
「アリス、警備さん達の具合はどう?」
「全員生きては居ますが1人だけ
深い怪我をしてます
回復をお願いできますか?」
「わかった」
重傷者に回復魔法を掛けつつ
動けるようになった者から状況を聞きだす。
やはりオーガは残り3匹で
そいつらは今の3匹よりも強いとの事。
基本的に素手での攻撃を得意とするオーガだが
リーダー各の1匹は金属製の棍棒のような武器を持っていると。
「わかった
君達は戻って報告してくれ
ここへの援軍は気にしなくて良いから
監視と防衛を頼む」
「しかし!それでは!」
「な~に、兄上と自分が居れば
オーガなんぞ敵ではない」
「う・・・うん・・・まぁそういう事だ
俺達は何とかするから守りを固めてくれ」
やたらと自信満々なオス君の後押しを受けて
渋る警備さんを何とか送り帰した。
倒したオーガはもちろんGETし収納しておいた。
「さて、俺の感知には確かに3匹程引っかかっているが
3匹とも先程の奴らよりも明らかに強い
特にリーダーと思われる個体は図抜けて反応が強い」
「アリス殿には周囲を見張って貰えれば
兄上と自分で問題ないでしょう」
「となるとリーダー1匹とその他2匹で別れるしかないか」
「ならば自分がリーダーを担当しましょう」
「大丈夫か?」
「最近は兄上に鍛えられて強くなりましたからな
自分の腕を試してみたくもあるのです」
「そうか・・・・うん、じゃぁ頼むとするか
後はどうやって別けるかだな」
「それは自分に考えがあります
お任せ願いましょう」
先程から溢れてくる自信は何なんだろうか。
オーガの近くまで来ると
気配が濃厚になる。
明らかに強者の気配だ。
本来であればオーガはコボルドが
敵うような相手じゃない。
強靭な体は生半端な攻撃なんか通じないし
こちらの防御なんてお構いなしだ。
体の大きさに似合わずに動きも早く体力もある。
ハイコボルドの俺なんかよりもオーガの方が格上だ。
更には反応をみると能力値も高そうだ。
そんな通常のオーガよりも強いのが3匹。
中でも1匹は他の2匹に比べて明らかに強い。
オス君よ・・・・本当に大丈夫か?
ここからどう動くのか?と思っていると
ガサガサと普通に木と草を掻き分けて
堂々とオーガの前に登場するオス君。
「お・・・おい!何を」
「我こそはコボルドの戦士オス君
そこのオーガの武人よ尋常に勝負だっ!」
うっわーこいつ馬鹿だぁー。
考えってそれかよ。
「グゥ、コボルドノ・・・・モノカ・・・・
ワレトショウブトナ・・・・?」
おっ、コイツは話せるのか
念の為、≪言語(鬼)≫をアクティブにしといて良かったぜ。
これは以前にゴブリンを喰いまくった時にGETしてたんだけど
良く狩るから切っておいたんだよね。
命乞いとか断末魔とか嫌だしね。
「あぁ、頭の悪いオーガでも話は通じるか
そうだ自分と勝負しろ」
「コボルドノブンザイデナマイキナ
ワレニカテルトオモッテイルノカ」
「思わないで勝負なんて言うと思うのか?
コボルド種だと侮っていると後悔するぞ
それとも俺と1対1じゃ負けるのが怖いと?」
「グググググ
イワシテオケバ・・・・・イイダロウ
オレガコロシテヤロウ」
「フフフ、所詮は低能な鬼種ですな
兄上、それでは残りは頼みましたぞ」
「オマエタチ
ノコリノコボルドヲコロセ」
むむ?あれ?
なんか戦う流れこれ?
明らかにこんな話に乗らないで3匹で
殺しにかかれば良いじゃん?
あれ?俺が変なの?
「それではっ!」
「アァ、コロシテヤロウ」
勝手に話を進めたかと思うと
問答無用で戦闘に入るオス君とオーガリーダー。
そしてジワジワと距離を詰めてくるオーガ2匹。
「オス君よ・・・・ハイコボルドに
オーガ2匹って無理があんだろうに・・・・・
"こんちきしょぉぉぉぉぉ"」
≪大声≫で威嚇するもたいした効果はない。
ほんの一瞬だけ隙を作っただけだが
≪挑発≫も重ねておいたので
意識を完全に俺に向かわる事には成功した。
作り出した僅かな隙に場を離脱する。
ついでに逃亡時に炎球をお見舞いする。
後ろで爆発音と声が聞こえたから
少しはダメージを与えられただろう。
猛烈な怒りと殺意を背後に感じながら俺は移動する。
これはオス君の戦いに巻き込まれないようにする事と
俺が全力で戦う為だ。
ある程度の距離を作らないと2人とも全力を出せないしな。
特に俺なんてスキル使うから影響が大きいし。
実は既に逃げながら毒霧を生成している。
最初は弱かったが少しづつ強めているので
気が付いた時には手遅れになっているだろうさ・・・クククク。
前方に少し広めの場所があったので
そこで迎え撃つとしよう。
今の俺ならオーガとも戦えるはず。
まぁ、格上のオーガなんぞと
真面に戦うつもりなんてないけどな!
始めっから小細工全開だ。
時間も無いので準備を急ぐ。
「やってやるぜ!こいやぁ!!」
姿を見えたオーガに対し
もう一発、≪挑発≫し更に煽る。
「「ガァァァァァァァァァ」」
勢いを増しこちらに突撃してくるオーガ。
だがしかし其処は既に俺の罠がある。
十八番の粘液地獄がな!
ものの見事に土魔法で作った穴に落ちるオーガ。
もちろん中には毒と酸性を高めた凶悪な粘液が入っている。
時間が無かったので深さも粘液の量も足りないが
有効なのは間違いないだろう。
そこに連続で"爆音"を叩きこむ。
更には上から追加で酸粘液をバシバシ掛ける。
「実留さん、エグイですね」
「なーに、勝てば良いのさ」
「でも余り効いてなさそうですよ」
「むむ・・・・・むぅ
毒霧も効いたように見えないし
音も毒も酸も微妙なのか?」
そう話す俺達の前に1匹のオーガを踏み台にオーガが登ってこようとしてる。
流石にヌルヌル地獄を這い出すには1匹が支えないと駄目か。
何とか戦力は分散出来たけど残りが登ってくるのは時間の問題か・・・・。
「魔法もあまり効かなそうですよ」
「そんな時にはな物理で殴るのが一番なんだよっ」
俺は疾走し今、昇ってこようとしていたオーガに
全力でバングソードを叩きこむ。
ギャリンと金属を切る様な音が響き
密度が高く硬い物を切るような手応えが残る。
登りかけたオーガが転げ落ち下から怒声が聞こえてくる。
肩に切り傷はあり片腕は使い物にならない程度の
傷を負わせたが致命傷には遠い。
全力でそれしかダメージを与えられないのかよ。
「実留さん!どうするんですか?」
「そうだな・・・
魔法も効果は薄そうだし
後はもう≪重撃≫や≪カウンター≫で1発に掛けるか・・・
他には・・・・」
「それで・・・大丈夫ですか?
もし効かなかった場合は?」
「なーに、アリスよ!
俺に任せておけ
何とかなるさ」
ドボドボドボ。
「グババ!グボ!」
ドバドバドバ。
「グベベベ!ゴボボ!」
俺は粘液まみれで上手く動けないオーガを見ながら
更に深く穴を掘り下げた。
ついでにドバドバと強毒粘液を放出。
毒はまぁ気休めだ。
量を稼ぐために魔法で水も放出。
ついでに水分補給もし更に粘液を放出。
「実留さん・・・・何を?
あれ?≪重撃≫は?」
「ん?あぁ
なんつうか溺れさせちゃおうかなと
普通に戦うのは面倒臭しさ
幾らオーガでも生物なんだから溺れんだろ?」
「・・・・・エグイですね」
「あっはっはっ
そんなに褒めんなよ」
オーガは粘液の中で暴れもがいて・・・・溺れていた。
実留君に真っ向勝負なんてサラサラ無かったようですね。




