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もう少しでユニークが10万です。

ありがたやありがたや。

皆様、森山物留です。

お聞きしたい事があります。


冒険者とは何でしょうか?

冒険者にか襲われるのはどうしてでしょうか?

僕が魔物だからでしょうか?

僕が魔獣だからでしょうか?


誰か教えてください。

狩る者と狩られる者。

その差はなんなのでしょうか。








「だらぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」


大きな両手剣を振りかぶってくる冒険者の

動きを先読みし横に少しだけ躱す。

カウンターで腹部に打撃を打ち込むと吹き飛んで気絶した。


「こいつタフだったなぁ

 アリス、上空からはどうだ?」


「そうですね

 周囲には人影はないようです

 実留さんの感知内には居ますか?」


「感知内には人の気配は無いな」


「なら終わりですね」


「だな」


今回の冒険者は3人だ。

最後に倒したのが大剣を使う奴で

まぁタフだった。

他には軽装で細身の剣を使う奴と魔法使いだ。

3人の連携は素晴らしかったが

個人の戦闘力はそこまで高くなかったので

問題なく対応できた。


気絶した3人は身柄を拘束し武具を剥ぎ取り幽閉する。

大きな怪我等だけは最低限の治療をし

次に行商の者が来た時に引き渡すよう手続きする。


「ふぅ、これでしばらくは無さそうだな」


「ですね~

 ここ数日で3組も来ましたから

 しばらくは無さそうですね」


「良い訓練にはなるけどな

 こっちの都合を考えないのは面倒だ」


「まぁ性質の悪いのが少ないのは良いですけどね」


「それは言えるな

 まぁ変な国だよここはな」


領主の集落に移り住んで数ヶ月が経過した。

移り住んだのは全体の半分弱だった。

予想より少なかったがまぁ良いとしよう。

教官が移住しなかったのはちょっと残念だけど

行き来は出来るので問題ないかな。

族長とリーダーも残るようだ。

同期全員とラースは当然の様について来た。


俺に与えられた役割は時折訪れる

冒険者を撃退する事だ。


何故、冒険者が来るかと言うと

様々な理由が噛み合っている。

順を追って説明するとこうなる。


1.元々はここには別の種族の住処があり

 それは冒険者ギルドでの討伐対象となっていた


2.冒険者達が討伐を果し破棄された


3.そこに母犬達が住み始める


4.事後確認に来た冒険者ギルドからの調査隊が

 新たに住んでいるコボルド種を見つけ

 接触を図り友好的な集落と判断した


5.その報告により母犬の集落については

 危険度は低いと認知された


6.そこに一人の富豪が情報を手に入れた

 曰くその集落はとても珍しい種族が治めている


7.そしてその富豪はとても趣味が良くなかった

 どうしてもその珍しい種族を手に入れたくなった


8.冒険者ギルドに捕獲依頼を出すもギルド側では

 危険は少ないと判断した為、受理されなかった


9.富豪は自ら高額の懸賞金を掛けて

 捕獲を試みる事にした


10.冒険者が襲ってくる現在に至る


母犬と兄弟が珍しい種族デュークコボルドが原因のようだが

何処にも趣味が悪い奴が居るもんだ。

聞くところによると富豪は貴族でもあり

商売人でもあり金と権力を持っているのも拍車が掛る。


ギルドを通していないので高ランクの冒険者が

来ないのは幸いではあるが。

冒険者ギルドに睨まれる訳にはいかないので

襲ってきても成るべく命を奪わない様にしなければならない。

そこがまた面倒でもある。


襲撃してくるのは正確に言えば冒険者では無いが

総じてそう呼ぶことにしている。


身柄は行商に引き渡して近くの町まで届けてもらっている。

こちらとしては襲われてるんだから皆殺しでも構わないんだが

ギルドに目を付けられたら今以上に酷い事になるからな。


命は助ける代わりに身包みは剥ぎ行商への報酬を払った。

もちろん有用な武具やアイテムは没収だ。

そうは言っても高ランクじゃないから余り良い物は無いから

それ位は許されると思うけどな。


ちなみに大規模攻勢や大魔法による襲撃は今の所無い。

それが何故かと言えば言えば

集落への道のりが大人数で進むには手間が掛る事と

この国の理念の一つによる。


国の理念・・・・・まぁなんと言うか

愛と正義の国。

勇者の国。

そう表すのがピッタリの理念だ。


"野生と言えども害を成す物以外は殺すなかれ"


なんとまぁ理想的な考えだろう。

生活の為の狩猟等は認められているが

友好的な部族への侵攻は禁止されている。

ギルドはこの考えにより動きはしないが

懸賞金を掛けて個人的に動く分には良いのだろうか。

細かい情報は分らないが

いつか理由を聞いてみたいモノである。


変な理念だとは思うがそれで

助かっているのだから文句は言うまい。

今の懸賞金額で済んでる内は

一度の人数も多く無いだろうし

高ランクの者も出て来ないだろう。


そんな訳で俺は時折、襲撃をしてくる冒険者の対応をしている。


移住してからも日々の流れは余り変わっていない。

早朝から訓練を行い午後は狩りに行ったり用事を済ませたりだ。


午後に集落の外に行く場合は俺か親衛隊&戦馬鹿の

どちらかが残る事を決めた。

不在時に来たら困るしな。


襲撃方法もあの手この手で攻めてくる。

正面から堂々と名乗る者。

闇夜に紛れてこっそりと忍び込む者。

いきなり門に魔法をブチかます者。

様々だ。


冒険者は身体能力も然ることながら技術や

考え方も野生には無い物だ。

親衛隊と戦馬鹿の3人だと

何とか対応しているが良い経験になるだろう。


訓練にはオス君とメス子も日単位で交互に参加するようになった。

戦馬鹿が嬉々として挑戦し続けている。

今迄の訓練があるので技術的には戦馬鹿が有利だが

身体能力はずば抜けて高い2人だ。

技術を身に付ければ恐ろしい事になる事だろう。

兄妹の技術が向上するのが先か

戦馬鹿の成長が先かが楽しみだ。


親子と衛子も随分と成長してる。

能力値も上がってきたし

技術も戦馬鹿よりも上だ。

この集落でもコボルドながら良い所まで

食いこめる強さを持っている。

更なる成長に期待したい。


弟子夫は早朝訓練は行うが基本的には工房に

籠って作業をしている。

そうそう弟子夫は工房を任せられたんだ。

まだ規模は小さいが弟子夫に弟子が付いた。

頑張ってドンドン開発を進めて貰いたい。


ラースは俺の付人をしながら魔法の訓練だ。

まだまだ魔力量は多くはないが

技術はメキメキと上がっているし

訓練では良い動きをしているので

もう少し経てば一緒に戦闘に連れて行けるだろう。


他の同期は・・・・まぁどうでも良いか。

ちなみに全員が≪領主の祈り≫をGET出来たので

ひょっとしたら一気に成長するかもしれない。

俺も安心して居られないな。


なので1日置きに俺は自分の訓練と食料調達の為に

狩りに行く事にしている。




今の場所は以前の集落に比べて深い部分に位置し

少し離れた所に道がある。

道自体は大きくも無いしたいした整備も

されていないので余り使われていない。


そもそもが道も無く未開の場所に住処を作った上に

行商が来るなんて事は余り無い。

住む場所があると言うのは何かしらの理由があるものだ。


道がある事で以前に比べて移動しやすくなる。

結果として狩れる種類や範囲が飛躍的に増えた。

それに伴い相手の強さも一気に上がったのは言うまでもないだろう。




「どぉっせーいっ」


俺が振りかぶった剣は相手の皮膚を切り裂く。

振り抜いたままに勢いを利用し真後ろに剣を掲げる。


ギャリンと金属同士が擦れる音を聞きながら

魔法で圧縮空気を放ち剣を交えている相手を吹き飛ばす。

間髪入れずに追撃し頭を踏み抜くと同時に

腰からナイフを取り出し≪投擲≫する。


ズブっと何かに刺さる音がし木の上から何かが落下する。

周囲を注意しながら近寄ると

相手は腹にナイフを刺したまま睨みつけてくる。


「ギギギギギギッ」


「おう、悪いな

 今終わらせるよ」


そう言って無造作に剣を振るい首を落とす。

戦闘はこれで終了だ。


相手はバウンサーゴブリン。

集団での狩りに特化した種だ。

街道等を通る者を襲ったりしてる。

少し森の浅い所まで出てしまったようだ。


連携と奪った武具による強化は

驚異的ではあるが能力値自体は

ゴブリンの数割増しってレベルで

俺からすれば良いカモだな。

運が良ければ商人等を襲った時の獲物が

そのまま俺に転がり込んでくる。


今回はただの狩りの途中だったのだろう

目ぼしい物は無かったが武具と

狩ったであろう獲物をGETした。

本体はボリボリと食べた。


今の装備はバングソードを主軸にし

予備として腰に短剣を装備している。

あとは幾つかのナイフも身に着けている。

体にはクラッシュベアという魔獣の皮をベースに

部分的に強化した軽鎧。

左手に鉄製の小手に足元は頑強なブーツだ。


装備も整い狩場も豊富になったので

狩る量も格段に増えた。

ここは良い所だな・・・・・変な襲撃が無ければ。



住処に帰ると今日も襲撃があったようで

戦馬鹿が怪我をしていた。


「兄貴、今日もやってやりましたぜ」


「・・・・お前ってそんな話し方だっけ?」


「グハハ、兄貴は何を言ってるんでさぁ

 俺は元々こんなですぜ」


「あれぇ?そうだっけ?

 う~ん、まぁ良いか」


あれ?そうか?こんなだった?

うむ、まぁこいつの事は気にしてもしょうがない。


「それでどんな具合だった?」


回復魔法を掛けながら戦果を聞いてみる。


「今日は中々にすばしっこい奴がいましてね

 捕まえるのに苦労しましたが

 親子と衛子が追い込んでくれたので

 ズガっと1発で決めてやりましたぜ、グハハハハ」


「うーん、あの2人は攻撃力が足りないし

 お前は素早さが足りないよなぁ」


「俺は足が遅いですからなぁ」


親子と衛子にも聞くとやはりパワー不足は感じているらしい。


「うーん、今後の訓練はそこらへんを考慮していくか」




冒険者が時折、襲撃してくるものの

ここは平和で親も兄弟も仲間もいる。

食べる物は潤沢にあり訓練も十分に出来る。


うん、ここは俺が求めてた場所だな。



どうーーーん。



何処かで大きな爆発音が響く。




「すいませーん

 冒険者がまた来ましたっ!」



「あぁぁぁぁああぁぁぁ、面倒くせぇえぇぇぇぇっぇ」

ここで言う冒険者は本当の冒険者から賞金稼ぎまで色々です。

整備されていないと言えども道があるので

懸賞金の額も中途半端なので中級者位までの者が訪れるようですね。



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