4-21
年内は更新がまばらになりそうです。
なるべく頑張ります。
集落のTOPに成り上がった森山実留です。
これで自分の手駒が手に入った。
フハハハハこれで世界征服もわが手に!
いやまぁ現実的な事を言えば無理ですけどね。
オーガ辺りが来たら殆どの者は瞬殺されるレベルです。
新しい体制での行動にも馴れてきた。
朝の戦闘訓練は激しさを増しているが
誰も文句を言わずに取り組んでいる。
いや・・・寧ろ熱狂的な奴も多い。
確かに野生で生き延びるには強さが欲しい。
強ければ殺される事も無く
強ければ獲物が取れ自分の取り分が増えるから
腹も満たされると良い事尽くめだ。
お互いが上を目指して切磋琢磨する姿は良いもんだな。
訓練が終われば狩りに行く組と製作組に分かれる。
狩りは親子と衛子が狙う獲物や方向を指示したり
相談したりするようにした。
狩りは最低でも2人1組で行うようにし
組合せも2人に任せた。
製作組は武具の修復と作成をする武具組と
住処の整備を行う住居組に大きくグループ分けした。
これの指揮は弟子夫だ。
基本的には自分で考えて動くようにした。
俺が居なくても動ける組織を作らないとな。
これで親子、衛子、弟子夫も更に伸びるだろう。
大人達の経験も大事だから吸収して貰いたいしな
俺は全体の意見を聞きながらアドバイスしたり
ラースに魔法を教えたりアリスと獲物を食べたりした。
うひょー、何て楽ちんなんだ。
そんなこんなで族長から言われてから
1週間が経ち向かう日が来た。
此処から領主の住処までは
途中に危険なエリアがあるので迂回して向かうので
徒歩で2日程度掛るらしい。
場所の案内は教官がしてくれる事になった。
俺はアリスだけを連れて行く。
ラースは魔法の訓練を続けるように良い。
親子と衛子には何があっても守れと託した。
ちなみに何時の間にか戦馬鹿もラースを気に入り
こっそりと間接的にサポートしてるのを知っている。
アイツ・・・・性格変わり過ぎだろう。
俺の事を兄貴!兄貴!と呼んでは
何かと付きまとってくる。
最近は何かが吹っ切れた様な笑顔してる時があるもんな。
心を折り過ぎたか?!
うんまぁ悪い事じゃないか。
ラースに害を成す所か守ってくれそうだしな。
身支度をし住処を出る。
教官の装備は軽装ながらも中々に具合が良さそうだ。
武器は弓と短剣で動きやすさを重視している。
これは弟子夫の手が入った装備だ。
俺の感知範囲も広がっているので
周囲を警戒しながら戦闘を回避しながら進む。
道筋は教官が知っているので移動速度が速い。
「戦闘が避けれるのは良いな
このままなら明日の昼には到着できそうだ」
「途中で獲物を狩る以外は
避けれるだけ避けていきましょう」
「ミノルは我が集落では一番強い
もっと堂々とした態度で良いのだぞ」
「そんなに直には態度なんて変えれないですよ
それに教官だっていつも通りじゃないですか」
「私は良いんだ
だがミノルはもっと偉そうにしないと
集落全体が甘く見られる事もある
それだけ一番の強者と言うのは注目されるんだ
今だって領主様に挨拶をしに行く事だしな」
う~ん、そんなもんなのかね。
確かに強さ至上主義な種族だとは思うけどさ。
そもそもの疑問なんだがそこまで強さに拘るなら
もっと強くても良くね?
コボルドってかなり雑魚っぽい扱いっすよ。
それが種族としての限界なんだろうか?
「そうですか・・・いや、そうか・・・
うん、頑張ってみる・・・いや、頑張ってみよう」
「その調子だ
頼りにしてるぞ」
そんな会話をしながらも周囲を感知する。
偶に大きな反応があるので十分に距離をとり回避する。
「領主様ってどんな方なんで・・・なの?」
「領主様はなここら一帯のコボルド種を束ねる
方でとても聡明だ」
「束ねるとは具体的は何をしているんで?」
「基本的には各集落の情報連携や
揉め事の仲裁等が多いが
人族や他種族との戦争等の大きな戦の時は
各集落を纏めたりするな」
そこらは種族としての統制があるもんなんだな。
集落単位ではそんなに統一が取れていないのに
種族単位では統一が取れているって感じなのか?
途中で獲物を取り食事をし交代で仮眠する。
それ以外は行動だ。
その後も襲いも襲われもせずに領主の居る集落に到着できた。
洞窟等ではなくちゃんとした村っぽい作りだ。
周囲が柵で囲われているが幾つかの建物の頭が見える。
出入り口には警備が居て文化的に見える。
領主レベルまで来るとコボルドと言えども人間的な生活になるのかね。
相当に知性が高いのだろうか。
警備の者に話を通してもらう。
流石に素通りは出来ないようだ。
ゴブリンの村に来る者なんて居ないだろうしな。
いやでも行商とかは来るのか?
流石にコボルド達が何も無い状態から此処まで作るのは無理があるだろう。
ふむ・・・・ファンタジー世界は謎だらけだ。
少し待たされただけで中に入る事が出来た。
中はそこそこ大きな規模の村だ。
そして見渡すばかりのコボルド達。
上位種や派生種もチラホラと見かける。
総じて野蛮そうな感じは無いのが不思議だ。
通常種だって知的な空気がある。
不思議そうな顔をしていたんだろう
教官が説明してくれた。
「領主様が直接管理するこの場所に生まれ育った者達は
何故か知性や能力が高い者が多くなる」
ほ~、何か加護でも持ってんのかね?
案内してくれている警備コボルドの1人をチェックする。
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名前:警備さん1号
性別:オス
種族:オドコボルド・ファイター
スキル:領主の祈り
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オドコボルドは身体能力に優れた派生種だ。
力はそこまで強くないが素早い動きが得意らしい。
スキルに≪領主の祈り≫とやらが表示されている。
他のスキルは見れないのに・・・・。
なんだこれ?
=========================
≪領主の祈り≫
説明:我が配下の者よ!健やかであれ!
効果:加護主が存命の場合、成長力にプラス補正
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ほほう、これは良いな!
つまり領主の加護により皆の成長が早まるのか。
多分、成長に伴う能力の伸びにもプラス効果がありそうだ。
その結果が今の村なのか。
これは俺も欲しい!
どうすればGET出来るんだろうか。
・・・・目の前のコイツを喰えば・・・・ゴクリ。
いやいや、やらないよ・・・本当だよ!
警備さん1号に付いていくと村の中心に少しだけ大きい建物が見えた。
「あれが領主様の建物です」
「ほほう!凄いですね
建物等も皆さんで作っているんですが?」
「ここは元々は他種族の村があった場所に
今の領主様が移り住んできたのです
他種族の行商等が居るので
我々でも少しづつ村を発展させる事が出来ます」
「行商が来るんだ・・・」
「こういった亜人の村や辺境の村を専門に周る
商人が居るんですよ
もちろん危険なので亜人種が殆どですが
稀に魔族の行商なんかも訪れます」
「へぇ、コボルド種の村に来るのも居るんだ」
「ある程度の集落になって居を構えれば
商人の類は誰かしら来ますよ
流石にゴブリンやオーガの集団には近寄らないと思いますが
あくまでも理性的に話が出来る場所に限ります」
ふむふむ、それもそうか。
商魂逞しいな。
それにしても何て知的なコボルドさんなんだ。
こんなにスラスラと会話が出来るなんて・・・。
俺の集落にも≪領主の祈り≫が欲しいっ!
あっ、でもここに皆で移住しちゃえばいいんじゃね?
「ここって移住できます?」
「はい、出来ますよ
ただ村も出来たばかりなので
受け入れる数にも寄りますね
後は領主様の許可が出ればですが」
これは期待大だな。
俺が領主に会って気にいられれば
全員でここに移住しスキルGET。
俺も成長、皆で成長。
うぉ!これだ!これしかない!
領主の館まで来ると警備さん1号が中に入って行った。
今更ながらに緊張してきたな。
「領主様ってどんな方?」
今更ながら警備2号さんに聞いてみる。
この人は戦馬鹿と同じコボルドアッシュだ。
適性は何も付いてない。
あまり知性は高く無いはずだが・・・・。
「領主様・・・とても美しく・・・強い・・・」
「ほうほう、性格とかは?」
「物静かで・・・思慮深い・・・」
普通に会話は出来るようだ。
スゲーな!
戦馬鹿もここで生まれればまた違ったろうに!
あいつも普通に話せるんだけど妙に
短絡的と言うか何と言うか。
まぁ戦い好きな単純馬鹿なんだよなぁ。
「他には?」
「領主様を守る・・・・方々も居る」
「ほうほう?それはどんな方です?」
「2人の守護者だ・・・・領主様を守っている」
「強いの?」
「強い・・・・俺の憧れだ・・・」
ふむ、そんなに強いかガードが居るのか。
無礼を働かない様に注意しなくてはな。
待ち時間に情報収集をしていると
1号さんからお呼びがかかる。
「準備が出来たようだ
入ってくれ」
そう言って少し広めと思われる部屋に通される。
中には3人のコボルドが居た。
あれ?
なんだこれ?
明らかに俺よりも上位種と思われる3人。
中央に領主が座り守るように左右に2人が立つ。
ん?
なんだこれ?
領主は気品のある装いで武具類は身に着けて居ないが
滲み出る強さは相当な物を感じる。
むむ?
なんだこれ?
両サイドの守護者と呼ばれる2人は
軽装ではあるものの武器を携えてこちらを警戒している。
腰には短剣で手には槍だ。
この2人も明らかに俺より強い。
きっとクリムゾンなんかよりも全然強いぞ。
それにしても・・・・。
あれ?
『先程からどうしました?』
『いや、何か凄い違和感と言うか
何か物凄い引っかかるものを感じるんだ?
アリスは何も感じない?』
『私も何かが引っかかるんですよね
でもそれが何かがわからないんです』
『こりゃ、ちっと警戒した方が良いな』
『ですね、明らかに実留さんよりも
強そうですし』
『そりゃまぁ・・・そうだけどさ
俺の必殺攻撃でイチコロよ』
『また声と音とロー○ョンですか?』
『いや!ローシ○ン違うからね!』
何時もの馬鹿な会話をしつつも俺は
警戒レベルを最大限に上げスキルを多重に発動させ
3人の情報を見る。
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名前:母犬
性別:メス
種族:デュークコボルド・クイーン
職業:領主
スキル:転生者の聖母
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名前:オス君
性別:オス
種族:デュークコボルド・ロード
職業:領主の守護者
スキル:知恵を授かりし者
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名前:メス子
性別:メス
種族:デュークコボルド・ナイト
職業:領主の守護者
スキル:知恵を授かりし者
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「まじかーーーーーーーーーッ」
俺は思わず叫んでしまった。
目の前に居たのは俺の母親(母犬)と兄弟(犬)だった。
実留君、そこで叫んじゃ駄目だーーーー。
叫びたくなるのも分るけど。




