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4-20

牡蠣が美味しい時期になりましたね。

寒いと食べ物が美味いっ!

同期と戦っている森山実留です。

戦うと言っても喧嘩ですけどね。

拳で殴りあって分りあう!

素晴らしい事ですね。

そこには拳と体以外は何もいりません。

無言でただ語らうのみ。


あぁ、ちょっと粘液が出てしまいました。

テヘ。







蹴りで吹き飛んだ場所まで悠々と歩いた俺は

蹲るAボスの顔を覗きこむ。

まだ心が折れてないのか俺を睨んでくる。


何だか可哀想になってきたな。

やっぱり素手スタートだけど銛は武器って言えば武器だよな。

うん、これは卑怯だ。

もうこの戦いで使うのはやめよう。


「うん、ごめんな

 流石に銛は道具っていうよりは武器寄りだよな

 これは卑怯だよな

 俺も悪いと思うよ」


そう謝罪し銛をズボズボと引き抜いていく。


「この怪我の治療はしないとな」


反則ギリギリなのは申し訳ない。

ちゃんと治療するとしよう。

俺は回復薬を傷口に垂らし内部を治療し

傷口を火で焼いてあげる。


「化膿しちゃまずいもんな

 良いって良いって感謝なんかすんなよ」


おれは微笑みながらジックリとひとつづつ焼いていく。


「ンンンーーーーっ!」


のたうち回りながら感謝を体全体で表すAボス。

そんなに喜んで貰えると嬉しいね。

もうサービスしちゃうぞ。


両手両足も治療してあげる。

もちろん骨や血管は治すが血止めは焼く事にする。

もう涙を流しながら感謝するAボスを見ると

申し訳ない気持ちになってくるな。


「よし!傷も治った(止血できた)し

 正々堂々戦おう」


俺はそう高らかに宣言すると

ヨロヨロと立ち上がるAボスに肉薄し

全力で下から突き上げるボディブローをぶち込む。

ゴキバキって音と共に拳がめり込む。


「ゲボォ」


Aボスの口から大量の吐瀉物が吐き出される。

やべ、粘液取れちゃった。

膝から崩れ落ちヒューヒューと弱々しい呼吸をしているので

優しく話しかけてあげる。


「どう?もう降参しちゃう?

 自分が圧倒的な弱者だって理解できたかな?

 それすらも理解できないかな?」


「ぎ・・・ぎざま・・・なんがに・・・・

 おれば・・・・まげ・・・」


ゴキンと音と共にAボスの頭が地面に叩きつけられる。

まだ心が折れてないのかすげーな。

よーし、俺頑張っちゃうぞ!


地面にある顎をそのまま蹴り上げる。

顎が更に砕け歯も飛び散った。

食事が出来なくなるのは可哀想だから

後で治してあげよう、うんうん。


上体が起きたのでそのまま腹に蹴りを入れる。

口を塞いでないので吐瀉物が出まくりだ。


「うーん、このままじゃあんまし楽しくないね」



俺はAボスに近寄り回復薬をジャバジャバと振り掛ける。

回復魔法も使い全身の傷を治してあげる事にする。

これで魔力量は残り3割位だが大丈夫だろう。

先程までの回復とは違いちゃんと治療したので

見た目はボロボロだが足取りはしっかりしたようだ。

両足で立ってこちらを睨みつけてくる。


「何のつもりかわからんが

 小細工はもういいのか?」


「小細工と言うか一方的にやられてたのに

 その態度は正直凄いと思うよ

 後は君のその耐久性も驚異的だね

 ビックリしたよ」


「グハハ、回復させてしまった事を

 後悔するがいいっ!」


そう言い切るとこちらにダッシュしてくる。

こいつ本当に馬鹿なんだな。

それとも自分の実力を信じ込んでるのか。

あんなにボコボコにされたのに。


拳を蹴りを手刀を貫き手を噛付きを爪を。

各種攻撃を縦横無尽に繰り広げてくるが

その全てを避けるか逸らすかで回避する。


動きが単調だし速度も遅い。

それ以上に俺の眼と高速された思考、更にスキル効果で

攻撃が丸わかりだ。

なんだか楽しくなってきたので

ギリギリで避けていく事にする。


Aボスにはそれがチャンスだと思ったのか勢いを更に強める。

しばらく回避を楽しみながらも自分の限界を探るが

コイツじゃ役不足のようだ。

こちらに余裕があり過ぎる。


よし、次のステップだ。


回避からの攻撃をしてみる。

攻撃方法は2種類。

爪で突くか拳を当てるだけだ。

威力は殆ど無く相手の体に触るだけ。

つまりはカウンターの練習だ。


「グハハ、どうした?

 俺様の攻撃を避けるので精一杯か?

 そんな軽い攻撃なんて俺には効かんぞ」


ぶんぶん振り回してくる攻撃の合間に

ツンツンしたりトントンしたりしているのを

軽いと申されました。

まぁ軽いだろうさ触ってるだけだしな。


「じゃぁ、少しづつやってみようか」


俺の言葉が理解できないのか

それとも唯の軽口と思ったのか

フンッと鼻で笑い攻撃を続けてくる。


その攻撃に合わせてカウンターをぶち込む。

ポクっと音がする。

グハハと笑いながらの攻撃の勢いは止まらない。

少しづつカウンターの威力を上げていく。

ポクからボコになり。

ボコからボグゥとなる。


段々と威力が上がって行く攻撃に

Aボスも戸惑いを感じたようだ。

一段と力を込めた攻撃を繰り出してきたので

腹にカウンターをぶち込む。


またもや何かが砕ける音がすると

何回目かの膝落ちと吐瀉物。




ピローン


> スキル≪カウンター≫を手に入れました。


=========================

≪カウンター≫


説明:自分自身の力で滅びるが良い


効果:相手の行動を利用した攻撃に対してプラス補正

   相手の勢いがあればある程に補正率は高くなる

=========================


おおう、練習してたらスキルを手に入れたぜ。



そこからはまぁ酷いモノだ。

スキル効果で威力が上がったカウンター攻撃を

見事に食らいまくって全身ボロボロのAボス。


打撃しか使ってないのでまだ動けるようだが

もう勢いで体を振り回してるに過ぎない。

そして勢いさえあればカウンターは高威力となる。


所々の骨は折れヨロヨロと立ち上がるのも

限界と言った感じになった。


流石に前半と今の状態でどうあっても勝てないと

判断したのだろう。

Aボスは負けを宣言する。


「俺の・・・・・負」



ベチャン。


高粘度の何かがAボスの口に張り付く。


もちろん俺の粘液だ。




「何言ってるんだ?

 戦いはこれからだろ?

 今は中盤戦だ。

 さ、後半戦やろうぜ」


俺はそう言ってニヤっと笑ってやり

驚愕した顔に拳をお見舞いした。





最終的にAボスとの戦いは2時間にも及んだ。

それ以上は俺の魔力が持たなかったんだ。

途中で休憩したり食事をしたりしたものの

Aボスの回復に魔力の大半を使った為

回復量が追い付いてこなかった。


ぶっちゃけ飽きたから終わらせた。

最初から最後まで一方的にボコっただけだし。


様々な手段で攻撃しボコボコにして

回復した後にボコボコにする。

そんな俺を見ていた周囲は・・・ドン引きだった。


親子、衛子、弟子夫、ラースは

キラキラした目で俺を見ていたけどね。

アリスは・・・・諦めた目をしていた。


この事があり俺の集落の立場は一転して

最強の雄という認識になった。

リーダーを倒したAボスを一方的に倒したからね。

それに魔法やアイテムボックスなんかも

影響を及ぼしているようだ。


Aボスは大人しくなった。

大人しいと言うよりは

俺の強さに憧れてしまったのか

強さに貪欲となった。

馬鹿で単純だが強さへの渇望は本当だったようだな。

朝の訓練に参加し真面目に取り組んでいる。

周囲に当たり散らす事も無くなった。


Aサブは戦いの後に物凄いヘコヘコしてきた。

相変わらずの小物臭がプンプンだ。


Bチームは何と!

・・・・・何も無かった。

こいつ等は自分達だけでも何とかなればイイよね。

そんなダルダルな考えをもつ奴らだった。

野望もなければ何もない。

そして強い者には巻かれろってな事で

俺に寄り添ってきた。


そんな訳で何故か同期全員が俺の配下になったので

呼び方を変える事にした。


Aボス(オス) → 戦馬鹿(単純に戦いが好きなだけ)

Aサブ(オス) → 小物プンプンするね

Bオス → モブ男(活躍する場があれば良いね)

Bメス → モブ女(同上)


なんとも分かり易くて良いね!

アリスはもう何も言ってこなかった。



族長からは遠征団のリーダーになって欲しいと

言われたが丁寧に断った。

俺じゃ経験が浅すぎて集団戦闘は無理だからだ。

ハイコボルドの元リーダーに引き続きお願いする事にした。

その代わりに集落全体の戦力の底上げと

武具の品質向上を約束し

その為の権限も手に入れた。


まず戦闘訓練は体が動く者は全て強制参加とした。

俺が全体を見て親子と衛子が指揮をする。

基本動作から組手まで同じようにやらせる。


戦闘に耐えれない者は物作り部隊だ。

こちらは弟子夫が面倒を見る。

ゴブリンから手に入れた大量の武具があるので

暫くは大忙しだろう。


ちなみに弟子夫の体は全て治した。

俺の魔力が上がったし

理由が不明だが最近回復魔法の熟練度が

急上昇したので治療出来た。

うんうん、何故だろうなぁ。

理由が分らないなぁ・・・・ニヤニヤ。


そんな訳で弟子夫も戦闘訓練をしている。

体を自由に動かせるのは気持ちが良いようだ。


アリスとラースは魔法の訓練だ。

魔力を操る事を教え込む。



戦闘指揮は取れるし動かせる配下も出来た。

族長は居るモノの実質的に集落を動かしてるのは俺。

何とも良いポジションに収まったもんだ。

我ながら良く出来たと思う。



そんな新体制で動き出した時に

族長からサラッと切り出された事があった。


「そんじゃぁ新しくこごのぉ頭となった

 がらにわぁゴボルドのぉ

 領主さまにぃ挨拶ばぁいっだほうがよかべぇ」


「え?なんですと?」


族長の聞き取り辛い話を根気よく聞くと

どうやらこの辺りを纏めているコボルドが居るらしい

それが領主と言われる存在だ。

幾つかの群れで暮らしては居るが

種族としての纏まりは無くはない。


そんなもんなのかね?


領主とはこの辺り一帯のコボルドを纏める者らしい。

各群れの族長や頭と呼ばれる存在が代替わりしたら

挨拶に行くのが通例となっているそうだ。




「ならば少し落ち着いたら挨拶に伺います」



ふむ、そんな強いコボルドがいるなら

会ってみようじゃないか。


族長は長寿で知識が有る者でご意見番。

頭は一番強い者で率いる者。

こんな区分けです。

あくまでも族長がTOPですが強い者がなる訳でもないので

実際は頭領が動かしています。

呼び方は各群れで適当に使っているだけなので

実留君はボス、リーダー、兄貴、頭領、ヘッド等と

様々な呼び方をされているようです。

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