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4-17

沖縄に・・・・沖縄に行きたいっ!

超進化した森山実留です。

レアです超レアキャラです。

これで向かう所、敵無しですっ!

え?魔王を殴ってこいって?

フハハハ余裕ですよ!


・・・・・ハッ!何処からか殺気が!!

気のせいだよね?!







妙にお腹が空いたので残っていたゴブリンをゴリゴリと食べだす。

前よりも食べやすいのは顎の力も強くなってるからだろう。

手足を見ると肘と膝まで黒い毛に覆われていた。

尻尾も黒い。

黒毛が広がってるようだな。


食後に体を動かしてみると

身体能力が数段上がっている事を実感する。

バングソードを片手でも振れる程だ。

扱いに馴れれば自由自在に振り回せるだろう。


スキルについても幾つか変化があった。


> スキル≪軌道予測(簡易)≫が≪軌道予測≫に変化しました。

> スキル≪暗光耐性≫を手に入れました。

> スキル≪視界情報補正≫を手に入れました。


=========================

≪軌道予測≫


説明:見える!見えるぞん!


効果:簡単な動きなら先読みし易くなる。

   経験値と熟練度によって精度が向上する。

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簡易との違いは精度が向上する事だろう。

軌道予測は複雑な動きには効果が薄い。

特に至近距離~近距離では扱いが難しい。

フェイントや技等は見ぬき難いからね。



=========================

≪暗光耐性≫


説明:俺の視界は妨げられない


効果:暗闇と光源から視力を守る

=========================


暗視が出来るって事なのか?

光源から守る?

確かに洞窟内が前よりもハッキリと見える。

それを考えると暗いとか明るいに耐性が

出来るって事なんだろうな。

そうだとすると便利だ。



=========================

≪視界情報補正≫


説明:情報を制する者は戦いを制する


効果:視界内の情報を補正

   各種情報の表示機能あり

=========================


これは最初にわからなかったが各種情報を視界内に

表示させる事が出来るようだ。

試しに名前を表示させるとアリスの頭にアイコンと共に

アリスと言う名前が表示される。

なんつうかゲーム感が増したな。

これは色々と使い方があるようだし試して行こう。



称号も追加されていた。

=========================

≪鬼狩り≫


説明:鬼族を狙う狩人

   鬼はいねぇがぁ~


効果:鬼族に対して各種プラス補正

=========================


鬼狩りはゴブリンを狩りまくった上に

毒霧で大量虐殺し更にはボスであるクリムゾンを

倒した事で得られた称号だろう。

鬼族と一括りにされた事で範囲が広いのも良いな。

そういや虫は大量に狩ってるのに駆出しのままは

ボスとか一回の多さとかが原因なのかな。


なんにせよ今回で相当に強くなった。

武器も手に入ったし防具も素材が大量にGETだ。




強くなったで思い出したのが通路を塞いでいる岩だ。

手を掛けるであろう窪みに手を当てて力を込めていく。

ゴリゴリと音と共に少しづつ岩が動く。

やっぱり扉の代わりだったんだろう。

ゴブリン達がこんな物を作れるわけないし。

これは魔法で作った岩だな。

ゴブリンの前に住んでる者が居たのだろう。

まぁどうでも良い話だけどね。

今は奥に何が居るのかだ。



奥は少しなだらかな上り坂になっていて

突きあたりが部屋のようになっていた。

クリムゾンの部屋だったのだろう。

獣臭が半端ないが天井に少し亀裂があり空気が出入りしている。

岩と通路と天井穴で毒が効かなかったのか。

クリムゾン自身も毒に耐久性があるようだけど。



そして奥に居たのは・・・・・ふむ、ゴブリンか?

何処となく違うな・・・・何だろうか。


=========================

性別:メス

種族:ハーフゴブリン・メイジ

=========================


ハーフゴブリンって何とのハーフなんだ?

メイジって事は此処を作った者とのハーフなんだろうか?

ベースは名前の通りゴブリンなんだろうが

顔や体の作りが微妙に違う。

全体的にはゴブリンなんだけど顔が人族に近い。

ちょっとスラっとした細身の作りだ。

ゴブリンは人族を攫って子作りをすると言うが

間違いなくゴブリンとして生まれてくるんじゃなかったか?

以前に聞いた話だから間違ってるかもしれないし

地域や種族によって違うのかもしれない。


問題はコイツをどうするかだ?

身長は普通のゴブリンよりも少し小さい。

身に纏っているのは布地の限界点まで

ボロボロになった物が1枚。


俺を見てビクビクと震えている。

周囲を見るにクリムゾンが残した食料と言う名の

残飯等を漁って生き延びていたようで

衰弱し体中が傷だらけだ。

このままってのも気まずいよなぁ。


「癒せ」


とりあえず殺すのはやめ傷を癒す。

体中の傷がスゥっと治る。

大きな怪我は無かったがそれでも治癒力が

高まってるのが分る。

魔力も上がっているようだな。


アイテムボックスから食べれそうな木の実を

幾つか取り出し手に取り差し出す。


「コレを食べろ」


不安げな顔で此方を見つめてくるが

プルプルと振るえている。

きっと怖いのだろう。


「良いからコレを食べろ

 言葉が分らないのか?」


余程怖いのか動こうともしないが

顔を左右に振り言葉が分る事を伝えてくる。


「毒なんか入っていない大丈夫だ

 ・・・・アリス頼む」


「はーい、実留さん

 私はアリスで妖精だよ

 こっちは実留さん

 犬は怖いけど大丈夫!安心して

 一緒に食べよう」


そう言って木の実を食べだし

ハーフゴブリンにも差し出す。

アリスの雰囲気に押し負けて手を伸ばす。

空腹に耐えられなくなったのか

一旦食べると止まらなかった。

そのまま俺が出す木の実を満足するまで食べつつけた。




「お前の名前はあるのか?

 いつまでもハーフゴブリンじゃ呼びにくい」


傷を治してもらった上に満足するまで食べたからか

まだ警戒心を解いてはいないが

危害を加えないとは認識したんだろう。


「・・・・・ラース」


「それが名前か?

 ラースはここで生まれたのか?」


コクコクと頷くラース。


「ふむ、それにしたって何でアース語がわかるんだ?」


「おかあさん・・・・おしえてもらった」


「母親が居るのか?

 ここにか?」


コクコクと頷くラースは部屋の更に奥を指さす。

そこには遺体があった。

正確に言えば元遺体だったものだ。

すでに白骨化していた。


たどたどしい話し方だがラースは

ポツポツと自分と母親について語りだす。



ラースの母親は魔法を使える冒険者だった。

腕は一流とまではいかないがソコソコで中堅だ。

ある時にゴブリンの集団に襲われたが

問題なく対応している時に現れたのが

紅いゴブリン(クリムゾン)だった。

その後はお得意の壊滅からの人攫い。

そしてゴブリンに飼われる日々となる。

通常であれば子作りの為に生かされるが

母親は魔法が使えた為、クリムゾンの

専属奴隷となる事になった。

それからはクリムゾンに魔法を使い体を使いと

尽くす事を強要された。


ラースが生まれてからは我が子を守りながらの

生活となり更に酷いモノとなった。

そして何時の日か体調を崩し亡くなった。


ラースの話は在り来たりと言えばそうだ。

ゴブリンに攫われた人族なんてそんなものなんだろう。

むしろボスに優遇されただけ通常より良い扱いだったかもしれない。


それでもゴブリンの集団で人外の子供を産み育てる。

どれだけの地獄だったか・・・・想像するだけで

吐き気を催してくる。



「ラース、俺と一緒に来るか?」


咄嗟に俺はそう言っていた。

何を言われたか理解出来なかったのだろう

キョトンとした顔で俺を見てくる。


「ここに居て死ぬか俺と一緒に来るかどちらかを選べ

 死にたいって言うなら・・・今終わらせてやる事も出来る」


何かを考えるように俯いていたが

スッとあげた顔には迷いは無かった。


「そとにいきたい・・・・

 おかあさんにきいた・・・せかいをみたい」


そう告げる目には意志が宿っていた。

正面から受け止め俺は答える。


「約束する

 何時になるかわからないが俺と一緒に世界を見に行こう」


ヨロヨロと立ち上がりラースは俺の手を握った。




クリムゾンの部屋に残されていた物を回収し部屋を出る。

ラースの母親の亡骸も丁寧に布に包み回収する。

何処か綺麗な場所に埋葬してあげようと思う。


洞窟を出ると夜中になっていた。

まだ2日目の夜だ焦る事はない。

それに暗い中を進むのはラースも居るから避けたいところだ。


アリスにラースを任せて獲物を狩りに行く。

この近くなら鎧リザードが居たはずだ。

あの中身なら滋養もあるからラースにも良いだろう。

周囲を感知しながら駆ける。

一気にスピードが乗るし速度も速い。

どんだけ身体能力が上がってんだよ。


しばらく行くと鎧リザードの姿が見える。

速度をそのままに剣を取り出し勢いをつけたまま振り下ろす。


バギャンッ!


そんな音を立てながら鎧リザードは真っ二つに割れた。


「おいおいマジかー

 どんだけだよ」


剣も上等だが身体能力のお陰だな。

他にも何匹か狩って戻る。



焚火を起こし焼いただけの肉をラースはガツガツと食べた。

食べた後は安心したのかスヤスヤと寝た。


「ラースは今後、辛い思いをするんだろうな

 ゴブリンの外見に中身は人族だしな」


「それが分っていても見捨てれないのが

 実留さんでしょうに」


「あぁ、あそこで終わらせたら地獄のような場所で

 生き抜いた母親に悪い気がしてな」


「そうですね」


パチパチと弾ける焚火を見ながら

ラースの今後について考える。

きっとコボルドの住処に戻っても迫害されるだろうな。

ラースを独りで生きて行ける程度に強くするのも必要だな。

実里を探しに行くのも忘れてないぞ!



「あ~あぁ、何でこうドンドン荷物が増えるかね」


「それが実留さんですよ」


アリスの言葉に言い返せない俺は

焚火に充てられたラースの寝顔をずっと見ていた。


またもや変な荷物を背負いこんだ実留君。

妹を探しに行ける日は来るのか?!

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