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4-13

日曜は暑かったのに・・・・。

なんなんですかねこの温度差は。

今朝、猛烈に後頭部を地面にぶつけた森山実留です。

ロー○ョン・・・・ゲフンゲフン。

粘液が出せるようになったので

利用した戦闘方法を模索したら足が滑りました。

いやぁ、本当にこれ滑りますね・・・・ヌルヌルと・・・。






スライムとの激しい争いの後にも

色々と狩り心身共に成長した頃、ついに3ヶ月を迎えた。

やはり俺の身長は同期の中でも低いようだ。

体は細身で身長も低い。

そりゃ馬鹿にされようなもんだが中身は凄いんだぜ。

本気を出せばかなりの力を出せるようになったし魔力も結構増えた。

結局、ゴブリンから武器を手に入れる事は出来なかったので

素手のまんまだけどな。



明日の朝から成人の儀が始まる。

今日はその準備だ。

親子と衛子は武器と防具のチェックをしアイテムを補給している。

弟子夫は怪我の為に狩りには行かずアイテム作成で挑戦するらしく

素材と道具のチェックを念入りにしている。


俺は・・・・特段やる事はない。

着てるボロ布以外は何もないからな。

適当に何か大きめの獲物かスライム核でも幾つか

持って帰ってくれば良いさ。

そんな感じで部屋で構えていた。



「グハハハ、相変わらず冴えない顔しているな

 狩りも出来ない奴は気楽で良いな」


そんな空気を壊すように現れたのはAボスだ

後ろにはAサブも見える。

Aボスは体が大きく俺よりは頭2個はデカい。

武器は太い棍棒で体には皮を幾つも貼りあわせて

巻いた様な物を身に着けている。

山賊のようなイメージだな。

Aサブは木を削って作ったような槍だ。

防具は同じような皮巻だな。

体はヒョロっとしているが弱さは感じない。


武器を見るに自前で何とかしたんだろうな

こいつ等も考えてるじゃねーか。


「狩りにも行けずセコセコと大人達の

 お情けで生きてくなんて惨めだな」


「う・・・・ぐぅ・・・・」


弟子夫は言われるままにしてる。

やはり狩りを出来ないっていうのは

心に刺さってる棘なんだろう。


「おい、お前は何を言っているんだ?

 大人達のお情けとは何をさしているんだ?」


弟子夫が何も言わない事にイラっとしたのか

衛子がAボスに噛付く。


「グハハ、狩りも出来ずに

 生きている事がお情けでなくてなんだ」


「はっ、武具の手入れが誰にでも出来ると思うなよ

 弟子夫はミノル様に教えて貰ったんだぞ」


「グハハハハ、ミノル様だとさ、グハハハハ

 大きな獲物を狩ってこれもしない癖に

 偉そうにしてる奴が何を言う」


「貴様・・・・・ミノル様がどれ程の強さかも

 しれない癖に・・・・」


「ヒャハハハハ、強いと言っても鎧リザード位までしか

 狩れていないそうじゃないすか

 うちらは既に鎧リザードよりも強いカーヴェントをも狩ってるんすよ」


おいおい、Aサブってこんな喋り方だったか?

物凄い小物臭がすんぞ。

それにカーヴェントってあれだろ?

蜥蜴と蛇の間位の蛇に両手がついたような奴だろ?

俺、瞬殺出来るんだが・・・・。

まぁ持って帰ってきてないけど。


「グハハ、今回の儀式では更に上の魔物を寝狙うがな」


「ヒャハハ、一番強いのはうちらなんすよ」


ゲラゲラと笑う2人に俯いて何も言い返せない弟子夫。

その隣でプルプルと手を震わせ今にも襲いかかりそうな衛子。

ふむ、なんかこう子供の喧嘩をみてうようで

俺的には放っておいても良いんだけど落ち着かないな。

どれ、仲介に入るかと思った時だ。


「いやいや、仲間を見捨てて逃げるような者が

 強いとは思えませんけどね

 僕達はミノル様に拾って貰いましたが

 貴方達は弟子夫を使い捨てただけでしょ?

 それだけでも優劣が分りそうなものですが」


いきなり親子がぶっこみやがったっ!


「そうね、少なくとも私達が死なずに生きて行ける

 力は与えてくれたわ

 自分の事をやった上でね」


「そ・・・そうだ・・・俺が戦えなくなった体でも

 生きてく術を教えてくれた

 お前達は俺を見捨てただけだ」


おおう、お前達そんなに俺の事を・・・・。


「グハハハハハ、ならば勝負だ

 どっちがより強い獲物を狩ってくるかをな!」


「ヒャハハハハ、勝った方は相手を自由に出来るんすよ

 お前らは死ぬまで言う事を聞くんすよ」


「おい・・・おい・・・・ちょっとそれは」


変な方向に話が進みだしたので止めようとしたところ。


「望む所だ!」「良いでしょうっ!」「問題ないっ!」


衛子、親子、弟子夫が全員でハモりつつ了承しやがった。


「グハハハ、楽しみにしているぞ」


笑いながらノシノシとAボスとAサブは去って行く。


「あのさ、君達さ~

 どうするつもりなの?

 勝負って勝てる自信はあるの?」


「はっ、私はミノル様を信じています」


衛子よ・・・・俺任せか?


「僕はミノル様なら大丈夫と確認しています」


親子よ・・・・俺任せか?


「ミノル様なら大丈夫です」


弟子夫よ・・・俺任せか?


「って言うか俺が勝負すんの?」


「「「はいっ!」」」



えーーーーーーめんどくせぇぇぇぇぇぇぇーーーーーー。

何故か俺が成人の儀で勝負をする事になった。




翌朝、初狩りの日と同じように族長に集められる。

並んだ人数は8人。

Aボス、Aサブ、Bの2人、親子、衛子、弟子夫、俺だ。

1人も欠けることなく成人の儀を迎える事が出来て

わしゃ嬉しいわい的な事を族長が話す。


ルールは簡単だ。

今から3日後の夕暮れまでに獲物を提出しろ。

より強くより難しい物を持って来い。

内容も手段も問わない。

漠然過ぎるだろと思いつつもヤルしかないか。

あまり気が乗らないが・・・・。


横を見るとニヤニヤとこっちを見てるAボス達がイラっとする。

あれ?・・・・・ちょっと本気出しちゃおうかな・・・・。

一旦、考えてしまうと止まらない。

全力で勝負してやる!

そう辿り着く頃には族長の話も終わっていた。


開始時間になり各々が駆出していく。

今回は1人で狩る事が前提だが

監視員が居る訳でもない。

各チームで組むのも有りといえば有りだけどな。



族長は早々に戻ったので住処の前には俺と弟子夫だけだ。


「ミノル様は行かないのか?」


「あぁ、ちっと本気で行くからな

 誰も居ない方が都合が良いんだ

 弟子夫は大丈夫なのか?」


「自身はないが・・・・やるだけの事はやってみる

 昨日貰った素材もあるしな」


「そっか、頑張れよ

 駄目でも死ぬわけじゃないしな」


「ミノル様も」


「おう、任しとけ」


そう言って俺は魔力を体に行きわたらせ

身体能力を底上げする。


「じゃぁ、3日後な」


体のバネを利用し跳ねるように俺は走り出す。


「ミノル様、ちと速すぎねーか?」





俺の目的はゴブリンだ。

最近はあまり見かけなくなってきたのは

数を減らし過ぎたせいだろう。

その住処を強襲し根こそぎ狩ってやる。


見てろよAボスめ!

ゴブリンの頭をズラっと並べてやるわ!

ふはははははは。



・・・・・そう思ってた時期もありました。

えぇ、2時間位前の自分ですね。

随分と急いだので早目に到着したものの

なんですかあれは?


目の前には以前に見た崖がある。

そこの少し高い所に洞窟があった。

そこがゴブリンの住処だろう。

出入りには大きな丸太を梯子兼橋代わりにしてるようだ。

なかなか小癪な感じだ。

それは良い。

それは良いんだ。

ジャンプすれば飛び乗れるし子供でも登れそうな高さだしな。

それは良い。

それは良いんだよ。


『なんで住処の前にバリケード見たいの作ってんだよぉぉぉぉ』


『う~ん、これはあれですね

 完全に実留さんを警戒してますね』


『・・・・やっぱり?』


『実留さんは3日で30人も仲間が帰って

 来なかったら警戒しませんか?』


『・・・・する』


『そういう事です』


ぐぬぬ、愚痴を言ってもはじまらん。

初志貫徹だ!俺は彼奴らを狩る!


現在居る場所はゴブリン住処をギリギリで監視出来る距離だ。

まずは良く観察し情報を集める。


入口の前は幅が狭く前回のような大岩で塞いでの

蒸し焼き風は出来なそうだ。

魔力に余裕があれば土魔法で壁でも作るんだけど

何回も作れるほどの余裕がないしな。


なのでオークの時と同じ作戦は無理だ。

ならば夜に強襲するしかないな!

行くぜ!正面突破だ!


その為にはまずは準備が必要だな・・・・。

各種準備を終えて深夜になるのを待った。

住処の前のバリケードには見張りが2人居るので

サクッと爆音で退治し粗末な槍と防具を回収する。

住処の中を伺うと生物の気配が濃厚だ。

30匹以上を狩っているので減っているハズだが

奥深い所までは感知出来ないがまだまだ数を感じる。


さて、本番開始だ!

よーし、ぶっ潰してやるぜ。





俺は毒霧を生成し洞窟内に流し込んだ。

土魔法で壁を作り一か所だけ穴をあけてガンガン送り込む。

昼間の内に洞窟に他の出入り口が無い事も確認済だ。


え?正面突破?

するわけ無いじゃないですかー。

やだー。


感知範囲から少しづつ生命力の低下や消失を感じるから

順調に効果が出ているな。

中の状況を伺いつつ容赦なく毒霧を送り出す。

毒は生成出来るレベルでは一番致死性の高い物にした。

感知エリアから生命反応が無くなった事を確認後に

念の為、風魔法で送風し更に奥に送り込む。


「こんなもんかな」


穴を塞ぎ密閉する。

後はしばし待った方が良いだろう。

周囲を警戒しながら魔力回復に入る。


「これで全滅すれば良いんですけどね」


「だな、ゴブリンじゃレジスト出来るレベルの

 毒じゃないから大丈夫だとは思うんだけどな」


「だと良いんですか」


「まぁ作りも広さも分らないから何とも言えないけどな

 しばらく待ってみよう」


「そう言えば実留さん」


「ん?どうした?」


「毒の入ったゴブリンって食べれると思いますか?」


「そこかよ!

 う~ん・・・・・俺は食べれるとけど

 アリスはどうかなぁ」


「まぁゴブリンはオークほど美味しくないので

 別に良いんですが・・・・ちょっと悲しいです」


「そうだなぁ、オークに比べてゴブリンって美味しくないよな

 あぁ豚食べたい」


「食べたいですねぇ」


ゴブリンの住処を襲っているのにも関わらず

のんびりとした空気が流れる。

オークってこの森に居るんだろうか。

久々に・・・・ジュル。



ん?

なんだこの反応は?


感知エリア内に生命反応が現れた。

洞窟の奥から入口に移動してくる。

結構な移動速度だぞ。

いや、洞窟内を考えれば異常な速度だ。


「アリスっ!何か来るぞ!」


アリスが上空に退避した直後。


「グガァァァァァァァァ」


バゴーンと言う轟音と共に入口の壁が砕け散る。


「グルルルルル」


そこには1匹のゴブリンが立っていた。

明らかに大きさと色が違う・・・・。

通常のゴブリンと大きさが倍ほども違い。

肌の色も緑ではなく赤い。

深い・・・・深い赤さだ。



ステータスを見る。


=========================

性別:オス

種族:ホブゴブリン・バーサーカー(紅肌)

=========================


ホブゴブリンってゴブリンの上位種なのか。

しかもバーサーカーって何よ?

更に言えば因子持ち。

紅・・・・・クリムゾンねぇ。

そう連想すると名前にクリムゾンと表示される。

複数居る際の個体認識には便利だなコレ。

他にこんなのが複数居るとは思えないけど。



右手には鈍い輝きを放つ長剣を持っている。

刃渡りは1m程と長くは無いが少し幅広で頑強そうな作りだ。

片手でも両手でも持てるようにか柄が長い。

バスターソードとかブロードソードとか呼ばれるような物だろう。

防具は左手に小手を装備し鎧とブーツまである。

おいおい、こっちはボロ布一枚だぜ。

どんだけの装備差だよ。


クリムゾンが此処のゴブリン達のボスだな。

感じる威圧感は半端じゃない。

間違いなく素体だけでも今の俺よりも数段上の存在だ。

それに装備の差まであるってのはね・・・。







敵意丸出しの目は明らかに俺を捉えていて

口からは涎を出しながらこちらに寄ってくる。



「ググググルルゥゥゥゥゥ」



これって状況ヤバくね?

実留君、大ピンチです。


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