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1-7

各話の表記を少し調整しました。

内容は変わっていません。


そろそろ調理した食べ物の味を忘れつつある森山実留です。

野生動物を調理した物をフランスでは

ジビエ料理と呼びます。

結構な高級料理だそうです。

そう考えると僕は毎日が高級料理って事ですね。

皆さんもジビエ料理(生齧り)は如何ですか?








蛇との戦いから更に1ヶ月が経った。

俺は生後3ヶ月になり母犬と同じぐらいの大きさになった。

普通だと成犬になるのは8ヶ月程度。

成長が早い優秀な個体で6ヶ月程度。

それらを踏まえると俺は格段の成長率だ。



あの蛇の名前は≪カルポスネーク≫と言った。

軽めの毒を数でカバーして襲う習性らしかった。

耐性のある俺にとっては余裕で狩れる餌扱いだけどね。



≪カルボスネーク≫


2~3mの斑模様の蛇。

通常は土中にて生活し獲物が上を通ると襲いかかる。

力は強くないが牙に軽い毒がある。

単独での脅威度は高くないが群で行動するので

遭遇した場合の危険度は高い。



こいつは毒の部分がピリリとするけど

淡白な身が何とも言えずに美味い。

毒部分は大量に食べなければ体に害はないらしい。






ポロ草収穫作戦からは今迄の経験を生かし探索範囲を

住処の周辺から少しづつ広げていき。

蛇以外も色々と狩った。

その中でも多く狩った(美味しかった)のは

カエルと蜘蛛だ。



≪トードフロッグ≫


30cmから1m程度のカエル。

色は周囲に溶け込むために

保護色となっていて見つけ難い。

唾を凝固させて放ってくる。

直撃すると結構痛い。



カエルの肉は鶏肉に似ていると言うが

鳥よりも味が濃く美味い。

唾は当たると衝撃が結構あるが

それよりも体がネバネバするのが嫌だ。



≪ロックスパイダー≫


体が岩のように固い大型の蜘蛛。

糸を放出し身動きできないようにして

強力な顎で噛み砕く。

脅威度は高いが動きは素早くないので

対処を間違えないようにしたい。

糸は可燃性。



コイツは固かった。

最初は胴体を噛みきるには力が足りずに

手足が比較的柔らかったので

そこから攻撃し動けなくなった所を

ひっくり返して腹側から噛みついた。

見た目とは裏腹にジューシーで美味い。

蟹と鶏肉のような何とも言えない味だ。

足も胴体もゴリゴリした食感が良いね。


美味しかったのと胴体が噛めないのが

悔しくてひたすら狩り続けたらスキルが手に入った。


≪噛付き(LV1)≫


説明:狂犬まっしぐら!


効果:噛付き攻撃にプラス補正


いや、噛付きだけで狂犬扱いはねーよ。

でもこのスキルのおかげでロックスパイダーの

胴体にも直接攻撃出来るようになったのは

正直助かった。

背中側のゴリゴリが美味いのなんのって。





日中は狩りをし夕方に持ち帰り母親と兄弟に食べさせる。

野菜代わりにポロ草も大量に食べさているので

栄養面もばっちりさ。


食事が良かったのか兄弟2匹も

俺よりは成長率が低いものの

ドンドン成長していった。

母犬曰くそれでも早いそうだが。




2匹はオスとメスが1匹づつで

それぞれをオス君とメス子と呼ぶことにした。

ちょっと名前を付けなくてはいけない事になってね。


2匹が走れるようになると母親から

またもや指示が出たんだ。


「お前は賢い

 そして強くなった

 旅立ちの日も近いだろう

 それまでに母として伝えてくべき事がある

 残り少ない日々で学びなさい」


「はい、母上」


「では今日から2匹を引き連れて狩りに行きなさい

 お前が守り

 お前が教えるのです」


「はい・・・はいっ?」


そんな感じで今は母犬監視の元で狩りをしている。

もちろん最初は虫だね。



「メス子、回り込んで後ろから追い立てろ

 オス君、前方からタイミングよく噛付け

 二人で息を合わせるんだ

 動きは単調だから良く見てから動けよ」


「「ハイ」」


言葉を理解し始めた二人に

俺が指示を出し2匹が実戦していく。

母犬は基本的に黙っているが

たまに助言をくれる。


「実留さん、兄弟の名前がオス君とメス子ってどうなんですか?」


「いや、だってよ名前を付ける習慣なんて

 無いみたいだからさ

 指示するには必要だったしなぁ

 適当じゃだめだったのか?」


「適当にもほどがありますよ!」


「まぁまぁ良いじゃないか」



そんな会話をしているが

アリスはずっと仮想空間だ。

どうやらそれでストレスにもなっているようで

ちょっぴりイライラしてる。

夜中に外に出て散歩するときぐらいしか

解消手段がないのが辛い所だ。



訓練を続けていると

母犬の経験からくる助言もあり

オス君とメス子も順調に成長してきたし。

俺も自分の指示が的確に決まると

かなり嬉しく段々と楽しくなってきた。


目に見えて2匹の連携が上手くなってきたなと

思っていたら例の音がした。


ピローン


> スキル≪指導者≫を手に入れました。

> スキル≪ステータス確認≫を手に入れました。



≪指導者(LV1)≫


説明:皆!頑張るんだ!


効果:配下のステータスに対してプラス補正

   配下に対しての強制力にプラス補正



≪ステータス確認(LV1)≫


説明:どれどれ俺に見せてごらん


効果:他社のステータスを見る事が出来る

   但し自分より高ランクの場合、表示出来ない

   


おお、これは何とも便利なスキルだ。

早速、≪ステータス確認≫発動


名前:オス君

性別:オス

種族:ワイルドドック

年齢:生後3ヶ月

職業:なし

称号:なし


≪スキル≫

軌道予測(簡易)

噛付き


名前:メス子

性別:メス

種族:ワイルドドック

年齢:生後3ヶ月

職業:なし

称号:なし


≪スキル≫

軌道予測(簡易)

威嚇


おぉ、表示された便利だな。

名前まで出るのか。

ついでに母犬を見てみる。


名前:母犬

性別:メス

種族:ドーバードック



あれ?名前と性別それに種族しか表示されない。

しかも種族が違うぞ。


「これはアレです実留さんよりも

 母犬さんの方がランクが上なんですよ」


「なるほど、そういう事か

 それにしても種族が違うんだが・・・

 ちょいと図鑑で調べてみるか」



≪ドーバードック≫


犬族の中位種。

個体によっては魔物認定される程の力を持つ。

下位種に比べ知性が高く使役される場合もあり

片言ながら人語を理解する者もいる。



おぉ、母犬すげぇなぁ。

スキルとかは何を持ってるのかなぁ。





その日の夜、兄弟が寝た後に

母犬と話をした。


「母上、ドーバードックというのは

 ワイルドドックとは違うのですか?」


母犬は少し驚いた顔をすると

じっと俺を見つめた上で口を開いた。


「その前に一つ教えて欲しい

 お前はいつも誰と話している?

 誰と一緒にいるのだ?」



・・・・・!



「実留さん・・・母犬さん気付いているようですよ」


「どうする正直に言うか?」


少しの間、俺が悩んでいると。


「大丈夫だ、何があろうとお前は私の子供

 

 それにドーバードックの名はお前の前では出して無いはずだ

 私はワイルドドックとしか話していないからな」





「・・・・アリス、出ておいで」


目の前でアリスが実体化し

フワリとお辞儀をする。


「初めまして母犬様

 私、アリスと申します」


「ふむ、契約妖精か?

 その割には生まれた時から気配を感じていたが・・・」


「そうですね

 そう思って頂いて良いです」


「そうか、生れ落ちた時より契約している等は

 聞いたことは無いが実際に目の前にいるのであれば

 認めるしかないな」



その後は母犬とアリスと3人で色々と話した。

母犬の事、種族の事、この森の事、契約精霊の事。


契約精霊とは契約し自分の魔力を糧とし

使役する精霊の事を指すと言う。

人間だけでなく魔族や高位の魔物でも行う事があるそうだ。

まぁ、アリスは契約精霊と言うかナビアプリなんだけどね。


母犬からは色々な事を教わった。

日中は狩りを教わり夜は世界を教わった。


母犬の種族が違うのは種族進化したからだそうだ

経験や実績がたまり成長限界を迎えると

才能さえあれば進化できるそうだ。

俺たちは進化して間もない頃に生まれたので

ワイルドドックだが今であればドーバードックが

生まれる可能性が高いとの事。

残念そうにしてると下位種で成長限界を迎えてから

進化した方が能力値は高くなるとの事。


「心配するなお前なら必ず進化出来るであろう」


母犬が優しい目をしながらそう言った。

ちょとグッときて泣いた。





そんな日々が続き俺が生まれてから4ヶ月経った。

オス君とメス子は俺の指示が無くとも狩りを出来うようになり

周辺では敵う者はいなくなった。

2匹で連携したらかなり強いんじゃないかと思う。


俺も強くなった各種スキルも成長したしな。

アリスも体の性能が良くなってきているのを

実感できているそうだ。









そしてついにその時が訪れる。


「お前が旅に出る時がきたようだ」





今迄にないぐらいな真剣な顔に

俺は咄嗟に返事が出来なかった。



少しづつですが強くなってきましたね。


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