苦手なあいつら
2、3日に1回の更新を目指して、頑張ります
入学式も強引に終わり、僕たち1年生はそれぞれの教室に戻って行った。
ちなみに僕は運がないことに1年B組である。いや、別にクラスはどこでもいいんだけど・・・
「なぁ~佑樹~ちょっと聞いてくれよ」
教室に戻る途中、どっからともなく健太が現れ話しかけてきた。
健太とまた同じクラスになってんだよな~僕。
ちなみに『また』って言うのは、小学校の時からずっと同じクラスである。あとなぜか席もほとんど隣である。
こいつといると楽しいけど、いろんな意味で大変だからな。
「なんだよ、また面倒事か?」
「違うよ~、ただなさっき言ったことを実行しようとしたんだよ」
「さっき言ったこと?」
確か体育館を去る時、なんか叫んでいたなこいつ。
「でさ、急に背も伸びないし体も大きくならないからさ、出来ることからやろうと思って、童貞を捨てようと色んな女子にお願いしたんだが、ビンタするわ殴って来るわで、大変だったんだよ」
・・・こいつは初日からなにやってだろう、あ~頭がいたい。
「どうした?頭なんて抱えて。まぁなんにしても、俺も高校生なんだから積極的にいかないとな!よし!!放課後には先生たちにも声をかけぐえぇぇ!?」
バタン
何か言っている健太の首に手刀をくれてやった、こいつとの付き合いの中で身に付けた技だが、黙らせたいときにとても効果的だ。
これでこいつは当分起きないだろう。さぁHR が始まるから早く教室に行かないとな。
「変態といて楽しそうだね、ゆう。私も楽しすぎてうっかりこの変態を潰してしまいそうだよ」
後ろから、物騒な内容が聞こえ、一瞬で体が固まり背筋に寒気がした。
いやいやいやいや!あいつはここにはいないはずだ!あいつは県内でトップの進学校に行ったじゃないか!!落ち着け僕、たぶん聞き間違えだ、そうだそうに決まっている!!
僕は恐る恐る振り返った。
「どうしたんだいゆう。感動の再会なんだから、もっと笑顔にならないと。ま・さ・か、嬉しくないのかい・・・ゆう」
やっぱりあいつだった!なんでここにいるんだ!
ショートヘヤを揺らしながら、180の長身から特徴的なツリ目で僕を見下ろしてくる。
彼女の名前は獄寺愛、幼なじみにして、もっとも苦手な人物。
「あっやっうっ嬉しいよ!幼なじみの愛に会えてすっごく嬉しい!!」
「そぉ!私はゆうの幼なじみ!ゆうのたった一人の幼なじみ!他にはいない私だけ!二人は死ぬまでずっと一緒!」
愛はよくわからないことを言いながら、手を拡げて僕に向かって歩いてくる。
僕は反射的に1歩下がったが、両肩を掴まれてしまった。爪が食い込んでめっちゃ痛いんだけど。
「嬉しいよねゆう。私はあなたが愛しい、食べたいぐらいだよ。きっとあなたは甘くて美味しいと思うの・・・」
愛は顔を僕に近づけながら、物騒な事を言ってくる。
ヤバイ!話題を変えないと本当に食われてしまう!
「とっところで、愛はなんでここにいるんだ?確か違う学校だった気がするだけど・・・」
そう、これが聞きたかったんだよ、なんで愛はここにいるんだろう?
「なんだ、そんなことか」
そんなことではない、僕にとっては死活問題なんだよ。
「ゆうを驚かせようと思ってね、今日転校してきたんだよ。ゆうも私と会えなくて寂しかったよね?」
「うん、会えて嬉しいし!驚いたよびっくり!ハハッ・・・」
この時期に転校って、出来るのだろうか?
「あっその事なら問題ないよ。ここの先生をきょうはもとい、お願いしたら快く了承してくれたよ。ちなみにクラスも一緒だよ」
・・・残念な事に、ここの先生たちは愛の支配下になったみたいだ。・・・ん?
「校長先生には会ったのかい?」
「いや、校長先生はその時は婚活中でいなかったよ」
どうやら校長先生はまだ愛の支配下にはなってないようだ。
・・・ん?痛い、痛いいたいイタイ!?かっ肩が潰れてしまう!?
「私といるのに他の女の事を考えるなんて、悪い子だねゆうは。お仕置きが必要かな?そ・れ・と・も~私よりあの年増の方がいいのかい?」
ヤバイ!目がマジだ!愛はかなり嫉妬深いから、女はもちろん相手が男でも、見境がなくなくなって危険なんだよ。
「どうなんだい!ゆう!!」
どうしよ!どうすればいいんだ!?
キ~ンコ~ンカ~ンコ~ン
タイミング良くチャイムが鳴ってくれた。まさに天の鐘だ!
「ほら、愛!早く教室に行かないと遅れちゃうよ!」
愛は数秒僕の目を見つめ、しぶしぶながら肩から手を離し
「あとで説明してもらうからね、ゆう」
愛は僕に背を向け、教室に入って行った。
・・・はぁ~怖かった~。でも、あとどうしよう・・・
「おい、佑樹。早くしないと怒られるぞ」
いつの間にか健太が復活しており、愛に続いて教室に入って行った。おかしいな放課後まで、寝ているはずだったんだが・・・
健太と愛と一緒のクラスか・・・なんか、気分が悪くなってきた・・・
せめて、他のクラスメイトはまともであって欲しいな。
『愛に愛されてるお前は、世間一般ではリア充と言う」
うるさい、僕には荷が重いんだよ。
『チッ、もげてしまえ』
今舌打ちしたよね!絶対したよね!
天の声にツッコミを入れながら、僕も教室に入って行った。
僕も今から転校出来ないかな・・・