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班を作って

ソラはまだ薄暗い早朝、目覚ましが鳴るよりも早く目を覚ました。


昨夜の魔力操作訓練の疲労は体の奥に残っていたが、不思議と気分は悪くない。


むしろ胸の奥がじんわりと熱い。


魔力視に成功し、魔力を右手に集めてパンチを放ったという事実は、ソラの中に静かな高揚を残していた。


「……今日もやらなきゃな」


布団から抜け出し、軽く顔を洗って鏡を見る。


少しだけクマがある。けど、それ以上に表情は引き締まっていた。


しかし今日は訓練の日ではない。

学校がある。


ソラは支度を整え、まだ眠っているクロにそっと声をかける。


「クロ、学校行ってくる」


バックの中から低い声が返る。


『……授業中に寝るなよ。昨日の疲れを引きずると集中が切れるぞ』


「わかってるよ」


少し笑いながら家を出る。


学校までは歩いて十五分。通学路を歩きながら、ソラは自然と丹田にある“魔力の器”を意識していた。


昨夜、クロに褒められたこと。

そしてすぐに厳しい指摘を受けたこと――。


ソラはそれらを思い返し、心の奥が引き締まるような感覚を覚える。


「もっと早く……集められるようになりたい」


歩きながら右手を軽く握っては開き、握っては開く。


魔力を集めるイメージを思い描くが、今は操作しない。


学校に着く前から集中して疲れるわけにはいかなかった。


教室に着いて席につくと、授業が始まった。


内容は一般科目で特に難しくもない――

はずだが、ソラには別の目的があった。


丹田にある魔力を感じる。


昨夜、拳に魔力を集めていたとき感じたあの

“水が揺れるような感覚”をもう一度確かめたい。


深呼吸し、意識を静かに自分の中心へ落としていく。


すると、微かに――波紋のようなゆらぎが意識に触れる。


(……やっぱり、俺の魔力って水みたいだ)


透明な器に注がれた水が、ゆっくり揺れる。

そのイメージが自然と浮かび上がる。


“掴めないようで、掴める。けれど一瞬で形が変わる”


その“水”を右手へ流そうと意識すると……やはり遅い。


ゆっくり少しずつ、じわりじわりと手のほうへ動く。


(昨日より……ほんの少しだけ早いか?)


そう思った瞬間――。


「――そこの生徒。聞いているか?」


「っ!?」


教師の指摘で驚き、あわてて魔力を散らしてしまう。


生徒たちはクスクス笑い、ソラは小さく肩をすぼめた。


(……集中しすぎた)


午前の授業は、それ以降まじめに受けることにした。


昼休みに入り、廊下を食堂へ向かいながらソラは再び考え込んでいた。


(どうすればもっと早く集められるんだ?

 水を一気に流すように……いや、押し出すように?

 それとも吸い上げるみたいに?

 うーん……)


バックの中から、ため息のような声が聞こえた。


『ソラ。お前、食事前までずっと考え込む気か?』


「え? いや、その……」


『魔力操作は集中が要ると言っただろう。空腹で集中してどうする。

 せめて飯を食う時は“食うこと”だけに集中しろ』


「……すみません」


怒られたというより、“気遣われた”ような感覚にソラは苦笑した。


そして、ちゃんと昼ごはんを食べる。


午後の授業は魔法薬学


シーカーに必須で、薬草知識や調合は絶対覚えておかなければならない。


今日は実習で、班を組んでポーションを作ることになった。


「さあ、好きな者同士で班を作れ」


教師の声が響くと、教室中の生徒たちが一斉に動き出す。


……ソラは固まった。


(あ、そういえば……俺、友達……いない……)


初日はカバンに話しかける変人

二日目はチャイムダッシュの不良

三日目以降は周囲と距離を取ったまま。話しかけられることもなかった


結果、ソラの周りには誰も来ない。


視線が合ったクラスメイトは、気まずそうにすぐ顔を背ける。


(……やっぱり、か)


最終的に、余ったメンバーだけで1つの班ができあがる。


オドオドして目が隠れている女子

筋肉質の仏頂面の男

カタコトの外国人少女

顔の濃いキザっぽい男子

そして、カバンに話しかけボッチの自分


……妙に濃いメンツの班がひとつ完成した。


ソラは微妙な気持ちになりつつも、班の机に自分の席を確保する。


(なんか……すごい個性派集団になったな……)


クロはバッグの中でククッと笑った。


『フッ……初対面が苦手な者たちの集まりは、案外うまくいくかもしれんぞ?』


「ほんとかな……」


不安を残しつつ、ソラたちの魔法薬実習が始まる――。

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