第24章:新たなる扉
眠れる神アセルムとの対話を終え、世界は確かに変わり始めていた。
リオンたちはそれぞれの道を進みながらも、次なる試練が近づいていることを感じ取っていた。
特に北の果て、長い間封印されてきた「終極の門」が静かに異変を起こしていたのだ。
その門は、古代の神々が世界の果てに築いた境界線であり、通常の人間の知覚では捉えられないほどの圧倒的な力が宿っている場所だった。
だが、最近になって門の周囲に黒い霧が立ち込め、空気がざわめき始めたという報告が入ってきた。
「終極の門に何かが起きている」
リオンは黒き鍵を手にしながら、フィアとユノに話した。
「このまま放っておくわけにはいかない。俺たちは再び動かなければならない」
ユノはいつもの冷静さを失わず、だが険しい表情で頷く。
「この世界の均衡が乱れたままなら、再生の道も遠のく。僕たちが守るべきものは、まだ終わっていない」
フィアは静かに目を閉じ、囁くように言った。
「私たちの戦いは、まだ続くのね……。終わりのない旅のように」
彼らはそれぞれの思いを胸に、北の果てへと旅立った。
終極の門へと向かう途中、風は冷たく、時折見える空の星々は異様に瞬いていた。
まるで遠い時代の声が、今もこの世界に響いているかのようだった。
そして、ついに門の前に立ったとき、彼らはその異変の大きさを肌で感じ取った。
黒い霧が門を覆い、その中に不穏なうごめきが潜んでいる。
古代の石柱はかすかに震え、まるで何かを知らせるかのように微かな光を放っていた。
リオンは呟いた。
「ここが、終極の門か……」
ユノは周囲を調べながら言う。
「封印が崩れかけている。これを放置すれば、また新たな災厄が訪れるだろう」
フィアは手を組み、祈りの言葉を唱え始めた。
「守護の力よ、我らに道を示せ。闇の奥底に光をもたらせ」
そのとき、霧の中から巨大な扉がゆっくりと姿を現した。
扉には複雑な文様が刻まれ、古代語がうっすらと輝いていた。
扉の向こうに広がる世界はまだ見えない。だが、確かに新たな物語の幕が開いたのだ。
リオンは黒き鍵を強く握りしめ、前を見据えた。
「さあ、行こう。ここからが、本当の戦いだ」