第十章:光の審問
書架の深部にて、白き少女――セレナ=リュミエールはリオンたちを静かに見つめていた。
「あなたたちが“選ばれし記録の鍵”を持つ者ですね」
彼女の声は透明で、音ではなく光で伝わってくるようだった。
ノエルが一歩前に出る。「君が、この図書館の管理者か」
「私はただの代行者です。
設計者たちは、ずっと前に“消された”ので」
そう言ってセレナは手をかざし、宙に浮かぶ本の一冊を開く。
そのページに映っていたのは――リオンの過去だった。
◉審問:過去の偽り
映し出された映像には、まだ故郷で穏やかに暮らしていた幼き日のリオンがいた。
だが、その時間は突然歪む。
家が燃えている。母がいない。
彼は叫んでいる。「なんで、こんなことに……!」
ユノが呟く。「これ……リオンの“記憶”じゃない……“改変前の現実”だ」
セレナの声が響く。
「あなたの記憶には“削除された真実”があります。
それが、正しく継承者たる資格を持つかどうかを判定するのです」
リオンは拳を握った。「俺は記憶を信じていた……でも、それが間違いだったのか?」
ノエルが彼の肩に手を置く。「大事なのは、“今どう生きるか”だよ。
過去がどうであれ、選び取った道が真実を作る」
セレナが本を閉じると、光が弾けるように舞い上がり、試練の空間が静かに消えていった。
◉認証:鍵の持ち主
セレナは一歩近づき、リオンの黒鍵に手を触れた。
「記憶に虚偽はありましたが、それでもあなたは自身の意志でそれを越えようとしました。
この鍵は、今のあなたにふさわしいと判断されます」
鍵が微かに震え、黒から青黒い光を帯びた形に変化した。
「これは――《記述階層適応》」とノエルが呟く。「上位構造へのアクセス権だ」
セレナが最後に言った。
「これより先、設計者の“意思”が眠る間へと進んでください。
そこで、世界の根幹と“真の継承”を知るでしょう」




