第弐拾肆話-冒涜的なハジメテ-
Qニャルラトホテプ?
Aクトゥルー神話の邪神(本物であるかは不明)。身長157cm、緑髪、青目、足元まで伸びる二対のアホ毛。本人曰く人間には友好的だそう
??:「這いよる混沌ニャルラトホテプ!…です♡」
和葉:「ニャルラトホテプ…?」
聞いた事がある。ナイアーラソテップ、ナイアルラトホテップ。
千の貌を持つとされる外なる神の一柱。確かクトゥルー神話だったか?
和葉:「でもあれは作り話じゃあないのか…?」
ニャル:「あぁ。■■■■■神話のお話?…どうでしょうねぇ?彼が何かの信仰者であったのか、たまたま彼が作った話が外宇宙の神々を言い当てたのか。もしかしたらその男が邪神ご本人であるのかも…?私は知っていますよ?しかし…どうでしょう?」
和葉:「とてつもなく心を読んでくるな…」
というか…今なんて言ったんだ?クトゥル?カトゥルフ?ダメだな、聞き取れない。まるで発音していないような…波打つような音の波…形容するのが難しい
ラウ:「で?何しに来た?色付きの差し金か?」
ニャル:「いえいえ。そんなものでは無いのですが…ズバリ、私の目的は君です」
ニャルラトホテプを名乗る少女は僕を指差しながら言った
和葉:「…僕?」
ニャル:「えぇ、えぇ。本日の朝方。ここでとてつもない神力の反応があってですね」
今日の朝方。神力の反応。心当たりしかないな…十中八九神力の人が僕の体を使って顕現した影響だろう
和葉:「心当たりはある」
ニャル:「でしょうにゃ。なにせあなたからはとてつもない神力の残穢を感じますので」
ラウ:「え、神力?」
ニャルラトホテプ?はアホ毛を小指でくるり、くるりとさせながら、ニヤニヤとこちらを見つめている。
この嫌な視線がコイツが自身を詐称しているように思えなくする。あぁ、SAN値が減りそうだ
和葉:「その為にわざわざ宇宙の外からやって来たのか?」
ニャル:「いえ?そういう訳ではなくですね。まぁ地球観光のついで、と考えてもらえば」
和葉:「ついで…。となると…目的はその残穢か?…神力の渡し方なんて知らないんだけど…攫ってく気じゃあないだろうな?」
宇宙旅行には興味無いんだけど…
ニャル:「攫いはしませんよ!そっちの方が早いのは事実ですが…そのままだとあなたの命にも関わると思いますし。要は助けに来たのです!ラヴ&クラフト!」
それを言うならラヴ&ピースだと思うんだけど…
ラウ:「神力が体に影響を及ぼすのは…まぁ分かる。こいつ(和葉)みたいに教会通いでもない浄化されてない人間が、少量ならまだしも、体内に残留する程多大な神力に触れたら…結構死ぬ。大体死ぬ」
和葉:「で、それを取り除いてくれるのか…?」
グッド!と言った感じに親指を立てる少女…いや、邪神?
ニャル:「はい!私は神力を確認できて、あなたは体内の神力を取り除ける!ウィンウィンというヤツなのです」
なんだろ…とてつもなく胡散臭いな…
ニャル:「にゃにおう!?怪しくなどないですよ!神様に対して失礼だとは思わないんですか!?」
和葉:「神は神でも邪神なんだろ?」
ニャル:「それはそうですねぇ…」
ラウ:「…で、どうすんだ?やってもらうのか?」
和葉:「うーん…僕の体の事を言い当てたのは事実だし…神力があんまりいい影響がないのもまた事実だ。これで通りがかりのシスターとかなら信用出来たんだけどな…」
ニャル:「邪神はダメですか」
和葉:「ちょっと遠慮する方針かもしれない」
分かりました…。と、ニャルラトホテプは言い放ち、
そして…既に僕の目と鼻の前まで邪神は迫っていた。
和葉:「ー!?」
ニャル:「もとよりあなたに選択権はありませんので。抵抗しても無駄ですよ?STR10程度の人間が、邪神に敵うとお思いで?」
そして…僕が何をされたかと言えば…
ニャル:「ん〜…ぶちゅ♡」
和葉:「!?!?!?」
ラウ:「えっ?」
キスされた。しかもマウストゥマウスで。
…いや何されてんだ!?一周回って冷静になっちまったぞ。とりあえず引き剥がさなきゃ…!
少女の肩を掴み、引き剥がそうとする。
…が、口内に違和感が走る。ヌメりとした感触、何本もの舌が口の中に侵入してくる。…いや違う。ゼリーのような…軟らかい感触。まるで…触手?
和葉:「もごご!!」(やめろ!!)
ニャル:「おひふきなひゃい!」(落ち着きなさい!)
和葉:「おひふへるは!」(落ち着けるか!)
ダッダッダッ!
僕から見て左、つまり拠点の方角から。何故かは分からないが、とてつもない殺気と、大地の悲鳴を感じる。…敵襲だろうか?
ロリス:「何しとんじゃテメェコラァ!」
跳ね飛んできたロリスの小さな足が緑髪の少女を吹き飛ばし、少女は跳ねて転んで頭から地へ着する
ニャル:「にゃ〜!?いでっ、ふぐっ、ぐはぁ…痛ーい…もぅ!何しちゃってくれるんですか!?」
ロリス:「主!大丈夫か!?」
明らかに体躯にあっていない刀を抱えて、ロリスがこちらに走ってくる。ノワールの姿が見えない辺り、相当急いできたのだろう。それとも紅蓮さんに預けてきたのか
和葉:「無事だ…無事。かなりびっくりしたけどな…」
ニャル:「あのー!無視しないでくれます〜!?」
ロリス:「しとらんしとらん。安心せい。今からたっぷりつっぷり虐めてやるからの」
ニャル:「にゃる!?怖〜い!なんとか言ってくださいよ〜弌式くぅーん」
和葉:「いや…そう言われても…この状態のロリスを止められる気がしないんだけど」
とてつもない殺意だ。ロリスの背後に修羅が見える見える…
ニャル:「もう少しテイスティングしたかったのですが…まぁいっか。不完全燃焼ですが神力は抜き取りましたしねぇ〜…かーえろ」
ラウ:「ステイ。邪神とやら」
ニャル:「にゃんですか〜?せっかく円満に終わろうとしてたのにぃ」
ラウ:「今確かに弌式っつったよなぁ?お前」
ニャル:「……にゃべ」
ラウ:「俺達は一言もコイツの苗字について触れてねぇぜ?」
ボロが出た…みたいだけど、でもなんでこいつはわざわざ苗字で僕を呼称した?呼び方はもっと有った筈だろう
和葉:「ま、待て!僕の苗字について何か知ってるのか!」
ニャル:「さてどーでしょーねー?私にはわっかりませーん!それではおさらば!にゃるにゃるにゃー!!」
ロリス:「待てぃ!逃がすかぁ!十発は殴らせろ!」
ロリスが刀を飛ばし、ニャルラトホテプを名乗る少女を食い止めようとする…が、間に合わない。少女の体のあらゆる所から伸びた玉虫色の触手のようなものがそれを阻んでしまったのだ。
和葉:「やっぱさっきの触手かよ…」
ニャルラトホテプといえばだけど…ううっ…気持ちわり…ファーストキスがアレかよ…別にこだわりがあった訳でもないけど、それでもキツイものがあるな。まだヌルヌルするし…
ニャル:「ニャルニャルー!」
数多の触手を木々や街頭に絡める様に移動して、ニャルラトホテプはその場から逃げ去ってしまった。まるで元より何も無かったかのように。…いや。まだ間に合うハズだ
和葉:「ロリス、アイツの体内にはお前の神力の残穢があるハズだ。追えるか?」
ニャルラトホテプが逃げた方角は何とか分かる。そしてヤツはあの神様の神力をまだ持ってるはずだ
ロリス:「ん、既にやっておる…が、どんどん感覚が薄くなってきておる。このままでは撒かれるぞ」
和葉:「よし!魔力強化の準備と、あの邪神の追跡を頼む。ラウ、紅蓮さんに状況を伝えといてくれ。僕らはアイツを追う」
魔力強化の速度なら何とか間に合うはず…!
ロリス:「主よ、合図を。今すぐ行けるぞ」
ロリスが刀の中に戻り、僕の手の中に収まる
ラウ:「まてまて!危険すぎんだろ!?せめて紅蓮さんも一緒にだな…!?」
和葉:「あの速度じゃあ間に合わない。今すぐ追わなきゃ見失っちまうだろ」
ラウ:「だとしてもだな…」
何かを知っているはずだ。僕にまつわる何かを。それにロリスの神力に反応した辺り、重要な参考人になるだろう。ロリスの力を探す上で、重要な
和葉:「ラウ。ノワールを頼んだ。なに、移転先が分かったらすぐに迎えに行くからさ。」
ロリス:「儂からも頼む」
ラウ:「…はぁ。死ぬなよ、怪我もすんなよ」
和葉:「なぁに、僕にはこいつがついてるんでな。もう半人前じゃあないのさ。さ、行くぞ!3、2、1、GO!」
ダン!という力強い踏切音を伴い、一人と一振りは夜の闇の中へ消えていった。空を飛んで、いや、跳んで。
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ラウ:「ったく…アイツ、昔はあんなタイプじゃ無かったんだがな…ヴァルスタさんに似たんじゃねぇだろうな…」
しかし…無力だな、俺。なっさけねぇや。まぁ、役目を果たしますかね…
ラウ:「おーい!ノワール!居るかー?」
外には…居ないのか?まぁ、多分紅蓮さんと一緒だろ。拠点に戻るとしますかね
あの邪神?に遭遇した場所は拠点からはさほど離れてはいない。ノワールを捜索しながらとはいえ紅蓮さんに会うまで5分もかからなかったと思う。
紅蓮:「え?ノワールちゃん?それならロリスちゃんと一緒に飛び出してったけど」
どうやら俺は早速約束を違えちまったらしい
とゆー事で第弐拾肆話でしたァん
久しぶりにQAを書いた気がします。いやぁ最近少しづつ暖かくなってきましたねぇ…春の訪れを感じます。時間が経つのは早いですにゃあ…ではでは…永遠の、貴方へ。第弐拾肆話でした〜!




