第弐拾壱話-遺された勿-
さてさて、今回は前書きでご挨拶を。
2025年。壹月壹日、元日である。読者の皆々様、
明ケマシテ、オメデトウゴザイマス
はい。読者様にとって、今年が良い年でありますよう、心からお祈り申し上げます。私も昨年にも増して、物語を書き連ねていく所存でありますので、どうか長い目で見て頂ければ幸いです。…それでは本編へとどうぞ
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現在、ギヤの店
ギィーー…
木の軋む音とともに店の扉が開かれる
ラウ:「お!和葉か?よかった。おかえ…」
和葉:「ただいまー…」
ラウ:「えぇ?」
ロリス「ギーヤー!これ食べれるかの?」
…?えーっと…?一旦状況を整理しよう。黒焦げの和葉が、頭に触覚の生えた、恐らく2m越えのモグラみてぇなヤツを引き摺って来て?んで、遺勿っ娘がそれを食おうとしてる。…と。
ラウ:「うん。分からん」
和葉:「ギヤさん…申し訳ないんですけどシャワー借りても…?」
ギヤ:「あぁ構わんぞ。風呂がある。貯めてきてやろう」
和葉:「へぇ…お風呂付いてるんですね。珍しい」
ギヤ:「紅蓮のやつが設置しろと煩くてな…あと、それモグラだろ?それも魔物の。多分食えねぇよ」
ギヤさんが少し呆れ気味にロリスが狩ってきたモグラもどきを指しながら話す
ロリス:「ガーン!食えぬのか!?」
今こいつ効果音を口で言ったよな?
ギヤ:「食えぬ食えぬ。俺は風呂洗ってくるからな。今のうちにそいつの処理でもしときな。店の裏にでも運んでくれたらいい」
和葉:「わっかりました。…元気出せよ」
ロリス:「別に凹んでなどおらぬが?ここまで苦労して運んだのが無駄になっただけじゃし…」
いじけちゃった…重かったもんな…あれ
ノワール:「……?」
和葉:「あぁノワール。ただいま」
ノワール:「……!」
和葉:「ん?」
かずは ろりす おかえりなさい
と、拙い文字と、僕とロリスが書かれている紙を掲げていた
和葉:「お〜…ノワール。お前が書いたのか?上手だな」
よしよし、とノワールの髪を撫でる
ロリス:「どれ、儂にも見せてくれ。…ほぉ、儂と主か!よく出来ておるのぅ!」
ノワール:「……!」
ラウ:「あ、あぁそれか。お前らがあまりにも帰ってくるのが遅くてな。お絵描きしてたんだよ」
和葉:「そっか。世話になったなラウおじさん」
ラウ:「誰がラウおじさんだ」
ロリス:「ノワールが世話になったの。ラウおじちゃま」
ラウ:「ちゃま言うな。無駄口叩いてる暇があるんなら表にいるアレをどうにかしてこい」
和葉:「はいはーい。行こうぜロリス」
ロリス:「手伝ってくれてもいいんじゃぞ?」
ノワール:「………!!」
ノワールが目を輝かさせる。
ロリス:「あぁいやノワールじゃなくてのぅ…おじちゃまの方じゃ」
ラウ:「おじちゃま言うなって…仕方ねぇな…」
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ロリス:「そういえばのぅ」
と、モグラを三人で店の裏手の方に運んでいる際にロリスが話しかける。ちなみに運ぶ体制は前にラウ、右後ろに僕、左後ろにロリス、上にノワールの布陣だ。
ロリス:「あの…お主らを襲ったマルーンとかいう輩がな、遺勿を二つほど持っておったんじゃが、何故主たちは複数所持しておらぬのだ?」
和葉:「あ〜…なんだったかな…確か遺勿のレベルによって変わるとか…なんとかかんとか」
ラウ:「お前な…仮にも俺らは遺勿の収集専門だぜ?ティレマさんの授業聞いてなかったのか?」
あぁ、そういえばそんな話があったような…
和葉:「いやぁ〜…当時は遺勿持ってなかったからな…入手してからでいいや感がな…」
ラウ:「まぁいいけどさ。っと、ここら辺でいいか。これ置くぞ。ちょっとした授業をする」
和葉:「分かった。じゃ、行くぞ〜…せーっの」
ドサッ
ラウ:「んじゃ、さっきの質問だが、複数の遺勿を持つことは可能だ。ただ、2つ以上はリスクが高くなる」
ロリス:「なぜじゃ?」
ラウ:「遺勿には段階、俗に言う深度があるんだが、その合計値が五を超えると…ヴァルスタさん曰く…自我を飲まれるらしい。そして遺勿の段階は二段階目までは割と気軽に上がっちまうんだ。なにかのきっかけとかじゃなく、単なる慣れとかでな。」
和葉:「なるほど…だから2つ以上はリスクが高くなるのか。2と2と2で6になっちまうと」
ラウ:「そうだ。だからヴァルスタさんとかティレマさんはお気にの遺勿だけを持ち歩いてる訳だ。OK?」
ロリス:「ほぅほぅ…大体分かった。ラウよ、あともう一つ聞きたいことがある。マルーンの遺勿が突如として性能が上昇した事があったんじゃが…」
ここら辺は僕が預かり知らない辺りだな
ラウ:「性能が…。そいつ、その前になんか言ってなかったか?」
ロリス:「ご丁寧に遺勿の効果を話しおったな。俺の遺勿効果は〜…と。恐らくそれがトリガーではありそうじゃなと思うたが」
ラウ:「あぁ。大体間違ってない。所謂、遺勿の現実化とか言われる技術だな。「遺勿は元来、非現実的な勿であり、認識されぬのであれば効力は薄い。与えるもの、与えられるもの、そのどちらもが認識することにより真の力を発揮する。深くなれば深くなる程、与えられるものは増大する。摩訶不可思議な勿である」…だったかな。要は相手に効果を認識させたら効力が上がるみたいな話だ」
あー…そんな論文があったな…誰だったかな…クスノキ?だったっけ。
ロリス:「遺勿の現実化のぅ…後でやってみるか…」
和葉:「ロリスの場合、自己紹介したら強くなるのか…まぁまぁトラップだな」
ラウ:「他に聞きたいことは?」
ロリス:「無いのぅ。主は?」
和葉:「まぁ特には」
ラウ:「んじゃ戻るぞ。店主が待ってるだろうからな」
和葉:「うぃ〜。ノワールー、店に戻るぞー」
ノワール:「…?」
前回からさほど時間が無かったもので、約2000文字ほどになってしまいました〜。次回はまたしてもお風呂回なのでね。お楽しみに〜。あ、それと良いお年を!永遠の貴方へ、第弐拾壱話でしたー!




