第壱話-共に-
さて、遡って話を僕らが出会った場所まで戻そうか。
第1章第1話
あれはそう。今日の昼頃から始まったのだが。
紅蓮:「なぁ和葉君。君にいい提案があるんだけれど良いかな?」
時刻は昼。コーヒーの香るキッチンで僕は紅蓮さんに、話を持ち掛けられていた。
煌びやかな銀髪にハイライトのない銀目。整った顔立ちに、どこか胡散臭い雰囲気を醸し出している。
彼女の名前は霧断紅蓮
彼女は世界中を放浪して遺勿…所謂魔法の道具の様なものを集めている変人だ。
現在は僕らのチームに入って、共に異勿を集めている。胡散臭いけど何だかんだ頼りになる人…だと思う。多分
和葉:「えぇ…また死にかけるのはいやですよ。てゆーか忘れてないですからね?貴方が僕を置いていこうとした事。」
一応目上の人には敬語を使う僕である。敬語の割には尊敬は無いのだけど。
紅蓮:「え?アハハ…そんなことあったっけね?」
紅蓮:「まぁ、ともあれこの話は君にとって悪い話ではないと思うよ?」
和葉:「…まぁ話だけは聞きますよ」
紅蓮:「そう来なくっちゃ!実はねぇ…」
紅蓮さんによると如何神教と言う異教徒団体が、とある遺勿を手に入れたらしい。で、それを奪いに行ってみたら?という話らしい。
和葉:「やっぱり危険じゃないですか!ていうか僕1人で行くんですか?流石に誰か着いてきてくれますよね?ほら、エマとかラウとか?」
紅蓮:「うん。それに関してはラウが今暇してるらしいから彼を連れていくといい。話は通してあるからさ」
とりあえずは安心する。流石の紅蓮さんも1人で行かせるようなことはさせないらしい。
和葉:「まぁ分かりましたけど、それで、その遺勿はどんな奴なんです?」
紅蓮:「えぇとな、実の所あまりよく分かっておらんのだよ。なんでも刀の様相をしていてただならぬ魔力を放っているとの事らしいが」
危ない気もするけれど、ラウも来るなら大丈夫か。
和葉:「まぁ…分かりました。作戦開始は何時からですか?」
紅蓮:「19時からだ。場所は後でメールしておくよ。頑張ってね」
と、まぁこんな感じに話が進んでいったわけだ。
それで今は作戦開始時刻丁度。ラウと共に如何神教前に張り込んでいるところだ。
あぁそうだラウについて軽く紹介しておこう
ラウ・ホワイト。身長はだいたい180cmくらいボサっとした青髪青眼の青年って感じだな。こいつとは昔からの腐れ縁で、今は共に遺勿集めを行っている。説明はこんなもんかな。じゃあ本文に戻ろうか
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さて、如何神教に来たわけだが…思った以上に見張りが多いな。この時間帯は警備が少ないって聞いたのに…はてさてどうしたものか
ラウ:「ちと数が多いが、まぁ問題はねぇか。いよっし和葉!俺の新しい遺勿の性能を見せてやるよ。」
和葉:「あぁ、そいやこないだの潜入で新しいのを仕入れたんだっけ?面白そうだな、見せてみろよ」
ラウ:「おう!見てろ〜…」
ラウがそう言い放つと右腕に付けていた腕輪が光り出しラウの右手がズルズルと変化していく。みるみるうちにラウの右腕は黒色のライフルへと変化した。排気音と歯車の軋むような音から一般的なものでは無いとわかる。
和葉:「…か」
和葉:「かっけぇ!厳ついなぁ〜!どんな性能してるんだ?やっぱりライフルか?」
ラウ:「ふふーんコンクリートをも軽く貫く弾丸を打ち出すのだよ和葉くん」
あれ?そういやこいつどうやってこのライフルで隠密する気だ?この見た目じゃサプレッサーは無さそうだし…え?まさか?
和葉:「なぁラウ?もしかしてそのライフルぶっぱなして突撃する気じゃないよな?な?」
ラウ:「任せろ」
和葉:「おい!なんの「任せろ」なんだ!おい!お」
ラウ:「安全装置解除…パワー25%…発射ァ!」ドガァァン…
やりやがったこいつ!隠密はどこに行ったの!?
ラウ:「ほら、道が空いた。行こうぜ。」
和葉:「…そうだな。行こう隠密なんてなかったんだそういう事にしよう」
建物の中は意外に広く、先程の衝撃で周りはボロボロに崩れている。そして何故かは分からないが警報が鳴り響いている。ほんとになんでなんだろうなぁ…
和葉:「えぇと確か例の遺勿は3階にあるんだったかな?いくぞラウ。」
ラウ:「あいあいキャプテン。でもあんま俺から離れるなよ?」カチャ…ダンダンダン!
和葉:「はいよ。頼りにしてるぜ。」
ラウのおかげで案外すんなりと3階まで辿り着いた。多くの部屋があるが、その中に一際大きくて豪華な部屋があった。
ラウ:「多分ここだよな?」
和葉:「あぁ。紅蓮さんによるとな…っと鍵がかかってる」
ラウ:「まぁ普通にぶち抜くか」カチャ
和葉:「中の物を傷つけないようにな」
ドンドンドン!
ラウの放った銃弾は鍵穴に3発全て命中し、扉は役目を失った。中にはガラスの中に厳重に保管された刀のようなものがある。黒を基調としていて、所々に金の意匠がある。2mはありそうな大物だ。
ラウ:「へぇ〜あれが例の遺勿か。んじゃとっとと回収して帰りますか。」
ガンッパリーン
和葉:「よいしょっと。うおっ重いなこれ、んじゃ後はこれを持ち帰るだけか。ん?」
ふとスマホを見てみると紅蓮さんから連絡が来ていた。
「やばい!「色付き」がそっちに行ったらしい!明らかに私たち侵入者に殺意を持っていて例の刀を狙っているとの事だ!逃げろ!」
和葉:「え?」
ラウ:「何だ何だ?俺にも見せ…は?」
不味い不味い不味い!色付きは駄目だ…億が1、いや兆が1にも勝てるわけが無い!最も階級の低いレッドでさえ街ひとつ片手間に滅ぼせるんだぞ!勝てるわけも逃げれるわけもない!どうすれば…どうすれば…!
ラウ:「おい!和葉!何ぼさっとしてんだアホ!とりあえずずらかるぞ!」
和葉:「あ、あぁそうだな。こんなとこから速くおさらばしなくちゃな…」
刀は置いていこう…命には変えられない。ん?え?は、離れない!手から離れん!いやもうやってる場合じゃない!逃げなくては!
和葉:「ラウ!二手に別れよう!どちらも捕まるのは1番最悪だ!」
ラウ:「把握した!死ぬなよ!」
和葉:「おうともよ!」
そしてラウは窓から飛び出して行った。多分あいつは「アレ」があるから大丈夫だとは思うが…心配だ
な
そう思考しながら階段を降りようとした瞬間声が聞こえた。
??:「やい主よ聞こえるか?そちらに行くと捕まるぞ?」
和葉:「ー!誰だ!?」
少女の声が脳に響く。周りを見渡すが誰も居ない。居るのはラウに撃たれ倒れている教団員だけだ。
??:「その本棚の裏に輸送用の隠し階段がある。それを使うのじゃ。」
この声を信じていいのか…?いや、でもそれ以外に道は無さそうか…
和葉:「よく分からんが、信じるぞ!」
本棚をずらすと本当に扉があり、その先には階段が続いていた。
??:「ほれ、頑張れ頑張れ捕まりたくはないじゃろう」
和葉:「努力してるよ!てかあんたは誰なんだ!?」
??「儂か?儂の名はロリス。お主が持っている刀じゃよ」
和葉:「刀ァ!?」
え?知らないんだけど遺勿って喋るの?何それ怖
ロリス:「お主も聞きたいことは山ほどあるだろうが、とりあえず今は逃げるべきでは無いのか?」
和葉:「それもそうだな、話してる場合じゃない。っと出口が見えたぞ!」
外はある程度はラウが荒らしてくれたらしく教団員は少ないが見つかれば殺されてしまうだろう。慎重に行かなくちゃ…
!!!
あれは…細い体型に赤いマント、そして特徴的な真紅のスナイパーライフル!信じたくは無いけれど、間違いない。色付き…「レッド」だ。
不味いことになった。もう正面入口からは逃げられない。後ろは崖っぷち。ついに僕の悪運もここで終わりか…あぁ…短い人生だったなぁ…せめて彼女は欲しかった…
ロリス:「やい!諦めるでない!とりあえず走れ!奴から距離をとるんじゃ!走るんじゃ〜!」
和葉:「はっ!そ、そうだな。走らなきゃ。この場から離れなくちゃ」
無我夢中で「レッド」から距離をとる。まぁ、その抵抗虚しく行き先を崖に阻まれるのだが。
ロリス:「逃げ道はないか…ええい飛べ!なんとかなるじゃろ!」
和葉:「いや無理だよ!?30mはあるぞこの崖!」
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とまぁこんな具合に2話に繋がるわけだ。
いやぁあの時は我ながら無茶したなぁ…死ぬかと思った。ロリスも無茶を言うよ。
っと、まぁ読者の皆様も気になっていることだろうからとっとと第3話に行こうかな?それじゃあまたね。
さてさて第1話如何だったでしょうか?遺勿…色付き…仲間…色々重要そうなワードが出てきましたねぇ…まぁここら辺は次回には解説されるんじゃないかなぁ
それではまた次回。弾幕でした〜
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HO1 弌式和葉
あなたの目的は仲間と共に遺勿を回収して、世界を蝕んでいる魔物を滅ぼし、平穏を手に入れることだ。奴らは半ば暴走状態にあり、見境なく襲ってくる。それに対抗する為に遺勿を集めるのだ。
だが君たちはあくまで非公式の団体。協力を求めるのは難しいだろう。