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63 神vs魔王

「おおおおーッ!? アレはまさか魔王ッ!?」

「魔術書に描かれた通りの姿だッ!?」

「神に続いて魔王まで現れて……!? 一体どうなってるんだ『イデオニール大樹海』ってのは!?」


 拠点に居合わせた冒険者さんたちが驚き戸惑っている。


 それもそうだろう、本来神話でしかありえない絶対的二者の対決が、ここに実現しているのだから。


 神と魔王。


 光と闇。聖と邪。この世にあまねく二元論の代表者が今、一つ場所に結集する!?


『魔王か……!? この神の威光を恐れぬ、邪悪なる不埒者よ!!』

「自分こそが頂点と思い上がった傲慢者。この世界はお前だけのものではない。世界の生きとし生けるすべてのものだと知るがいい」


 魔王さんの言ってることの方が数倍立派で困る。

 いや困らない。


 たしかにかつてここを訪れ、俺と絆契約を結んだ魔王さんだった。


 そのお陰で神が攻め込んできたことを察知して救援に来てくれたというのか?

 魔王さんならそれくらいマジでできそうで困る。

 いや困らない。


「申し訳ありませんイディール殿、私は薄々気づいていました」

「えッ?」

「アナタの術式に、神界の者どもが関わっていたことを。我ら最大の敵対者です。その気配なれば、たとえ残り香であろうと察知できなくては困りますゆえ」

「いえいえお気遣いなく!」


 報告漏れを気にしているなら全然問題ありませんとも!

 魔王さんですから深いお考えがありますもんねえ!


「神々も、この地に眠る古代文明を狙っていたのはわかっていた。まさか人間を利用して、このような手段に出ようとは。相変わらずも神とは迂遠で姑息なものどもよ」

『煩いわ下等な魔族風情が! その神の計画によって古代文明の力をかすめ取っておいて偉そうに囀るでないわ!』

「やはり、私がイディール殿と契約を結んだことに気づいていたか。それで慌てて降臨してきたと言ったところか?」


 神と魔王との応酬が続く。


 これが人では踏み込むことのできぬ超越者たちの対峙。

 しかし何故だろう、ただの口ゲンカとしか見えないのは?


「イディール殿、ここは私にお任せいただきけませんか。我ら魔族にとって、神々こそ不倶戴天の宿敵。その敵が契約主を襲って黙っているわけにはいきませぬ」

「ええ、ああ……はい……?」


 そんなこと言われても俺たちの独力で神なんぞをどうにかできるかと問われたらあんまり自信ないし。

 いや、いけるか?


 でも神と同格というべき魔王さんが何とかしてくれるんなら、思い切ってお任せしてみようかな?


『フン、人間ごときの使い魔気取りか? 魔の王も落ちぶれたものだな』

「義理を通し、誓いを果たすことが落ちぶれたというなら、その性根の腐りっぷりはまさしく神だな。人だろうと魔族だろうと神だろうと、破ってはいけない仁義があることを教えてやろう」

『ほざけッ!!』


 神の号令と共に、周囲にいる無数の天使たちが剣を抜いた。戦闘態勢だ。


 そうだ天使たちもいるんだった。

 その総数、多分千単位。あれらが一度に殺到したら俺たち一たまりもない。


『神の偉大さをここに知らしめてやろう。背徳よ根絶やしとなれ! 生贄の羊を捧げよ! 神は世界の支配者! 神の軍団は麦穂を狩るがごとく根絶やしにするであろう!!』


 神の従者、天使の大群が殺到する。


「うおおおおおッ!? これはさすがに大迫力!?」

「お下がりくださいマスター! わたくしがなんとしてもお守りいたします!!」

『キュピピピピンッ!!』


 コレーヌもスラッピィも高ぶるが、あの大軍勢を防ぎきれるとは思えない。


 どうするんですか魔王さん!?

 魔王さんも魔界の軍勢とかを召喚したりするんですか!?


「それには及びません。神の奴隷ごとき何千何万でかかって来ようと私一人で充分です」


 なんだかよくわからないが凄い自信だ!?


「何故なら私には、アナタに与えてもらった力があるのですから。お陰で私は神々などものともしません。それを今ご覧にいれましょう?」

「え? 俺から得た力って……?」


 もしかして絆召喚のこと?

 でも今俺が召喚できるものをどう使っても神の軍勢に対抗できる気がしないんだが?


「私も魔界で研究させていただきました。この魔王ブラックロアと、人間イディール殿との絆で生み出される古代文明の恩恵、その極みを見よ!!」


【複合絆召喚術Lv71>絆:ブラックロア(魔王)>召喚可能物:魔都紐育】



「何コレぇええええええええええッッ!?」


 俺たちの前に都市が形成されていた。

 しかも見たことのない類の街だ。


 見上げてもなお頂点が見えない高い塔が、幾重幾百と並び建っている!?

 あれは魔王さんとの絆で召喚できる摩天楼というヤツじゃないのか!?


 それが数多くニョキニョキ伸びて、一塊になったら街と化した。

 木がたくさんあって森となるように?


 しかし地面までもが石のようなもので覆われて、凄く別世界感がある。


 ここはどこだ?

 もしやこれが過去に栄えた古代文明の街なのか?


『これは空間術式か? 建築物だけでなく、空間そのものを召喚した? 古代文明の街そのものを模した異空間結界というわけか?』


 神も、墓標のごとき建物の並ぶ大都市の暗黒の空に浮かんでいる。


『しかしこんな街を一つ召喚して何の意味があるという? 炎があるわけでもなければ極寒でもない。この異空間結界に攻撃機能があるようにはとても見えん。攻撃力のない術に敵を打ち破るなど叶わぬことよ!!』

「慌て者の神よ。この絆召喚にどのような意味があるかはすぐにわかる」


 魔王さん、そう言って……。

 ……たしかに効果はすぐさま現れた。


「おい、天使が……?」

「天使が向かってくる!?」


 一緒に異空間に飲み込まれた冒険者たちが言う。


 しかし違う。

 天使たち地上へ向かっているのではない。落ちているのだった。

 ただ重力に引かれて落下しているから、地上にいる俺たちにとって向かってきているように見えただけだった。


 しかし外見が似ていても中身の意味はまったく違う。


 そう天使どもは力を失い、神聖力による飛行を維持できなくなっている。力がなくなれば重力に従うのは当然のこと。


 だから冬の羽虫のごとく落ちていっている天使。

 しかも次々と。


 では何故、天使たちは力を失っているのか?


「この空間のせいか……!?」


 正しくは古代文明の大都市の。


 魔王さんもまた古代都市の暗黒の空を、蝙蝠のごとく自在に飛び回っている。


「イディール殿との絆召喚を研究していくうちに、私はこの古代都市を召喚できるようになりました。そしてその効果がすぐにわかった」


 その効果はきっと。

 範囲内の神聖力を消滅させる。


「文明力の極まったこの都市には、聖なる神の存在力などきっと幻影にすぎぬものなのだろう。故に古代都市に踏み込んだ神やその下僕たちは、力を失い、そして消える」


 消える?

 まさかそこまで?……と思っていたら魔王さんの言うことがまさしく事実であると目の当たりにする。


 地上に落ちてきた天使たちが、見る見る体が透けていきスカスカになっていく。


 神の従者である天使らは、その存在自体が神聖力の塊なのだ。

 だから古代都市の文明力によって神の力が散らされれば、天使は存在自体を維持することができない。


 まるで朝日を浴びた吸血鬼のように、崩れ消えていくのみだ。


『あぎゃあああああああああああッ!!』

『ぎぃええええええええええええッッ!!』


 断末魔が案外エグい天使ども。


 そんな中でただ一つ神だけが、上空にあって眼下の惨状を見下ろしている。


『そんな……!? 無敵の神の軍勢が……!?』


 ヤツもまた神聖力の根源みたいな存在であるくせに地面に落ちないのは、それだけに天使より遥かに強力な神聖さでもってまだまだ耐えられているからだろう。


 しかしそれでも古代都市の影響からは逃れがたいらしく、その身体から放たれる白光は明らかに勢いを弱めている。


『おのれ魔王め……! 卑劣な罠を使いおって……! しかし騙し討ちでもって天使程度を仕留めても、この神は倒せまいぞ! この神の神聖力は無限なのだからな!』

「無論、一手のみですべてを制圧できるなどとは思っていない」


 魔王さんが神の面前へと舞い上がる。

 白光と暗黒の、対決の時。


「そして宿敵たる神との決着は我が手によってでなくばな。さあ、かかってこい神よ。お前の野望は、直接によって打ち砕いてくれよう」

『ぬかすな邪悪な魔王があああああああッ!!』


 そして始まる神魔の決戦。

 その勝敗は……!?

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