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27 部屋改造計画

 帰ってきました大樹海に。


 いや、大樹海に『帰ってきた』という感覚でいること自体ちょっとアレかな、と思ったりするのだが。


 久々に街へと繰り出したのが予想以上の大騒動となってしまったので、なおさら戻ってきて安心してしまったのかもしれない。


 冒険者ギルドへ素材の換金しに行っただけなのに、昇格試験を受けさせられ気づいたらA級になるのが確実と言われてしまったからな。


 そこからさらに囲まれて『A級相当の強さを得た秘訣』やら『未踏領域の様子』やら根掘り葉掘り聞かれて、なかなか放してもらえない。

 このままじゃ日が暮れると思って半ば強引に話を打ち切り、逃げ出すように街を出た。


 無論素材は換金してもらってな。


 取り置きしておいた服をしっかり買い込んで……、そしたらもう本命の家具を選んでいる時間がなくなった。

 もうテキトーに家具屋で買い込み片っ端から次元貯蔵庫に入れて、それで飛んで帰ったら何とか日暮れに間に合った。


「主様、お帰りなさいませ!」

「お帰りなさいにゃー!」


 丘の上に戻ると、獄狼族のウルシーヴァと王虎族のニャンフーが出迎えた。

 心から嬉しそうで、尻から生えたフサフサの尻尾をブンブン振ったり、ピンと伸ばしたりしている。


「我ら、主様の留守をしっかり守りました! 主様からの命令をしっかり遂行いたしましたぞ!」

「褒めてほしいにゃー! ご褒美にオヤツをくれたらもっと嬉しいにゃー!!」


 はいはい。

 とりあえず二匹……もとい二人の頭を撫でて賞賛の意を表する。


 コイツら、元は犬か猫系の獣であったのに何故か絆化契約して人型……しかも可愛い女の子の姿になりやがったので、時に扱いに戸惑うんだよな。


 獣のつもりで撫でたりモフッたりしてるが、それが妙齢の乙女対象だとアウトなスキンシップとなりそうで怖い。

 いつかやらかすんじゃないかと怖い。


 そんな俺の危惧など知らぬ存ぜぬ顧みぬとばかりに二匹じゃなく二人は寄ってくる。


「主様今度は背中を撫でてください!」

「尻尾の付け根を掻いてほしいにゃー。めっちゃ感じるにゃー」


 ええい、擦り寄ってくるのやめい!

 俺の理性にも限度があるんですよ!?


「控えなさい留守番役ども」


 そんなピンチを止めてくれたのは、俺と共に街から戻ってきたオートマタのコレーヌだった。


「マスターはお出かけで疲労されているのです。いたわり疲れを癒してあげることこそ従者の務めであるというのに、逆に疲れさせてどうするのです?」

「にゃッ!? どうしたにゃゴーレム女!?」

「何がですか?」


 ニャンフーたち留守番組が驚いたのは、コレーヌの服装に対してだった。


 街で買い入れたメイド服を、早速着ている彼女。

 それ以前の下着みたいな服装を見慣れた者たちの目には、相当奇異に映るのであろう。


「ウフフフフフフ……、気づきましたか? これこそ街でわたくしがいただいた、マスターからの気遣いそのものですよ」


 なんで勝ち誇ったような表情になるの?


「メイド服とは従者の装束。つまりこの服装でいることこそがマスターへの忠誠の表れなのです。どうです? 羨ましいですか?」

「んー別に?」


 答えはコレーヌの期待したものとは異なっていただろう。


「服ってゴワゴワそうで嫌いにゃー。裸がいいにゃん」

「文明を受け入れぬ者たちめ……!?」


 ちなみに各獣から姿を変えた彼女らは、その名残とでも言うかのように毛皮っぽいものを艶体にまとっている。

 だから隠せているといえばいえるんだが、下手に動くとはみ出そうで困る。


「隊長も留守番ごくろうさま」

『キュピピピピピピピピピピピピピッッ!!』


 一番頼りにされたであろうスラッピィにもねぎらいの言葉をかけて、帰ってきた実感が一気に湧いてきたな。


「それではマスター! いよいよ今日の成果をたしかめる時ですよ!」

「そだね」


 なんでコレーヌが気合充分か知らんが。


 果たして俺たちは本日、何しに街まで繰り出したのか?


 昇格試験を受けるため? 違う!

 コレーヌにドチャクソ似合う服を買ってやるため? 違う!


 それらは成り行きのうちに巻き起こったイベントで、一部はまあ楽しかったけれども、けしてそれがメインではない!


 第一の目的は家具を買うことだ!


 この大樹海の奥に建てたログハウス。ガワだけ作って中には何も入れてないからね。

 ベッドやらタンスやら色々入れて生活感を出したいんだ。


 あと毎晩、床の上で寝続けるのそろそろしんどい。


「ということで、わざわざ人間の街まで言って家具を買ってきたのです」

「駆け足で慌てて買ってきたけどね」


 だってギルドの昇格試験で時間を取られたので。

 突発的な余事で、本来の目的が圧迫されるってどうよ。


「それでも買うことは買ってきたのですから」

「かなり慌ただしくな」


 おかげで色とかサイズとか詳しく見る時間がなかったから、ちゃんとジャストなものを選べているか心配だ。


「では、お披露目と行きましょう! 今回の買い物の成果を!」

「「おお!?」」


 何故かコレーヌが率先して次元貯蔵庫を開け……。


「まずはこれ! テーブルクロス!」

「「おおーッ!?」」


 純白の生地に、同じく白糸で細やかな刺繍が施してあるテーブルクロスであった。

 上品で落ち着きのある。


「次に……クッション!」

「「おおおーッ!?」」


 店員から聞いたが、羽毛入りの高級なヤツらしい。

 コレーヌが抱きしめると様になっていた可愛かった。


「さらには……傘立て!」

「待って待って待って待って?」


 なんでさっきからそう、小物の家具ばかり出してくるの?


 もちろんそれらのものも必要でしょうけれども順番的に、もっと大物を出すべきではないでしょうか?


「でもこれら皆可愛いじゃないですか」

「はあ……」

「この傘立てなんか見てください、カエルをあしらってるんですよ! 雨具の入れ物にカエル! 何とも粋な意匠ではないですか!」

「ああ、はい……!?」


 コレーヌ、意外に可愛いもの好きだった。


 家具も可愛い好きの本能赴くままに買い漁っていたか? 俺がテーブル選ぶ際に姿が見えなかったが、その時に暴走を?


 我が邸宅が可愛いものに制圧されていく嫌な予感がしてきた。


「ま、まあ、どうなるかはちゃんと家具を配置してからだなあ……!」


 大丈夫。

 ベッドとかテーブルとかの大物は俺が自身の目で選んだんだから。


 基調さえしっかりしておけばいかに可愛いもので飾り立てても格式は残る。


 まずは出してみよう。

 テーブル。


「……随分大きなものを買ってきたんですね主様?」

「皆で囲むものだから大きい方がいいと思って……」


 これから絆召喚で契約する相手が増えることも見越して、余裕あるデカいのを買ったぞ!

 これなら十人ぐらいいても同じ卓で食事できるぞ!


「むしろデカすぎて……?」

「部屋を圧迫しますね……!?」


 ダイニングを想定して設えた一室が、テーブルで半分以上を占めていた。

 めっちゃ圧迫感ある。


「これ部屋の完全中央に置かないと、椅子を引くのにも苦労しそうなサイズ感じゃないですか……!?」

「一体どうしてこんなことに……!?」


 サイズを完全に間違えた……!?


 俺っていつもそうやって目測を誤るんだよ! 計算ではもっとスペースに余裕ができると思ったのに!

 何故!?


「気を取り直してベッド……そうベッドを置こう! 快適な眠りこそが生活の基礎だからな!」

「マスター、買ってきたベッドとマットのサイズが合っていません」

「あれぇえええええええッッ!?」


 そんなのってある!?

 くそう、やっぱりあの昇格試験で時間を取られたのがいけなかったんだ!

 それで落ち着いて選ぶ余裕がなくなった!?


「マスターって目測のできない人だったんですね」

「余計なものを買ってしまうタイプにゃー」


 テキトーな買い物をしてしまった!


 幸か不幸か、一応ギルドの昇格試験後に素材換金はしてもらえたので、これが相当な額になったんだよな。

 値段を見せられた時は目玉飛び出て一ケタ間違ってるんじゃないかと思った。


 懐が温かいから何買っても大丈夫なんて気分になってしまったんだよな。


 その上次元貯蔵庫に入れておけば持ち運びは超楽なので。

 金銭的制約と運送的制約から自由になれたらなんだって買えるじゃないですか!


 それでつい雑な買い物になってしまった!

 不覚!


 これ、ちゃんとしたのを買い直すためにもう一回行かなきゃならないパターンじゃないの!

 お金も時間も浪費する!?

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