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09 丘の上のゴーレム

 ゴブリンの口車に乗せられて、俺たちは丘の上へとやってきた。


 ここをナワバリにするという超強いモンスターがいるとか何とか。


 ソイツを上手いこと絆召喚獣とできればなんか凄いものが召喚できるかもしれないじゃん?

 そんな甘い期待を込めて丘を登ったところ、早速その主に遭遇した。


「ゴーレムだぁああああああーーーーーッッ!?」


 丘の上をナワバリにしているモンスターはゴーレムだった。


 結論から言ってこれは死ぬ。


 俺はかつてワイバーンを討伐して話題をさらったことがあったが、そのワイバーンなど問題にならないほどヤバい相手がゴーレムだ。

 少なくともこの世界では。


 鉱物のように硬い身体というか鉱物そのもの。

 それでいて人型を模した肉体は巨大でかつ俊敏。拳を振り下ろしてくるのは巨岩が降ってくるかのようだ。


 普通に戦っても強豪であるのに、その鋼鉄巨人はヘタな獣よりずっと賢く、的確な判断能力を有している。


 だからワイバーン相手のように罠を張っても簡単に引っかかってはくれない。

 厄介なんだゴーレムは!?


「ゴブリン、テメエぇえええーーッ! よくもこんな死地に放り込んでくれたなぁああああーーッ!!」

「だってぇー! ダンナなら倒せると思ったんだもんー!」


 逃げ惑いながら罵り合いの責任のなすり付け合い。

 その間もゴーレムはズシンズシンと地面を踏み鳴らして俺たちを追ってくる。


 動きそのものは緩慢だが、巨体なので一歩の歩幅が段違い。俺たちも全力で走らなければ追いつかれてしまう。


「とにかくあんなの倒して仲間にするなんて絶対無理! まず倒すことから不可能! 撤退して方針を練り直します! 退却ううううッ!!」

「了解っすぅううううーーッ!」

『キュピピピピッ!』


 ゴブリンとスライムもすぐさま合意。


 だって相手はゴーレムだもん!

『イデオニール大樹海』にてゴーレムが徘徊しているという報告はたしかに聞いたことがあるが、まさか自分が遭遇することになろうとは!


 ゴーレムは個体によって様々な機能を有しているというし、事前情報だけで対処できないというのが、さらに厄介だ。


 逃げる俺たちに、ゴーレムは追ってくる素振りを見せない。そのまま棒立ちだった。

 これは去るならば深追いしないってことか?

 それならそれで命拾いしたからホッと胸を撫で下ろすところだが、しかしすぐに違うとわかった。

 なんかゴーレム、脇に生えている大木を両手で掴むと、引っこ抜き、抱え上げて……!?


 まさか……!?


「よ、よけろおおおおおおッッ!?」


 俺が叫びつつ身をひるがえした一瞬あとに、巨大物質が落下してきた!

 引っこ抜いた倒木を投げ飛ばしてきたのだ!?


「なんと言う怪力!? なんというパワーッ!?」


 充分に成長した巨木一本、そんなのを猛スピードで投げつけられて命中したら、こっちの体がひしゃげてしまう!?

 ここは丘の上とはいえ大樹海のエリア内であるのはたしかなので、他にも無数に巨木は生い茂っている。

 残弾数無限ということかッ!?


「皆は……!?」


 ゴブリンは……いた。

 さっきの俺の呼びかけに応じて上手く回避できたようだな。


 そしてスライムは……。


「あああああーーーーッ!?」

『キュピキュピキュピ……!?』


 身をひるがえした時に頭から転げ落ちてしまったか!?

 あんな後方へ転がっていって……!?


 あのままじゃゴーレムに踏み潰される!?


「待ってろ今行くぞおおおおーーッ!?」

「待てダンナ! ダンナまでゴーレムに踏み潰されっぞーーッ!?」


 しかしスライムを見捨てて逃げる選択肢はない。


 Uターンしたらゴーレムと自然距離が狭まる。それはそのまま死の接近を意味するが、仲間を見捨てて生きた先に何があるよ!


『キュピピィ!』

「よし、回収完了!」


 しかしその時にはゴーレムは目前に迫っていた。

 今から逃げても、とても振り切れない。


 こうなったら……!


「『絆を結ぶ』!」


 俺は絆召喚術の契約呪文を、ゴーレムに向けて放った。

 契約できた。


「やった!」


 俺は、絆召喚獣と契約を結ぶためにはまず相手と戦って勝たないといけないと思っていたが……。

 勝たなくても契約できる!


 そうなんじゃないかなと薄々思っていた。

 実際、戦って勝っても契約できなかったケースがあるし、その逆もあり得るんじゃないかなと。


 契約を結んだゴーレムは、その場にうずくまって動きを止めていた。

 目に当たる部分から光が失われ、まるで生きるのをやめてしまったみたいだ。

 内部から唸るように響いていた『ヴゥウウウ……』という音もなくなっている。


「ダンナ! すげえ、すげえぜ! ゴーレムを倒しちまった!」

『キュピピピピピピピピピッッ!!』


 仲間たちも大喜びだが、厳密にこれは勝ったと言い難いなあ……。


「でも、契約さえしちまったらこの鉄クズ野郎もダンナの言いなりなんでしょ? 勝ったも同然じゃん!」


 いや……。

 そもそも俺がなんでコイツに契約呪文をかけたかと言うと……。


 何か聞こえたような気がしたからだ。

『従いたい』『役に立ちたい』と……。


 それがこのゴーレムの意思であるかのように思えた。

 だから思わず契約してしまったのだが。


「で、ここからどうなるのかな?」


 契約したのはいいが、それ以降ゴーレムに動きがない。

 まさか契約して死んだわけではあるまいし。


 気になってのぞき込んでみたら、いきなり反応が!

 全身から白い煙を出して『ブシュウウウウウウッッ!!』って、勢いのいい音が!?


「やっぱり死んでなかった!? 逃げろぉおおおーーーッッ!?」

『キュピピィィイイーーーーッ!?』


 仲間たちも驚き逃げ惑う。


 そんな中、ゴーレムから改めて起こった変化。

 その鎧みたいな総金属の身体……その胸部が中心から割れ、扉のようにパカッと開いた。


「開胸ッ!?」


 ゴーレムの身体が開いた!?

 そして、開いたゴーレムの内部から、何か出てきた……!?


 出てきたのは……、女の子!?


 ゴーレムの中から女の子が出てきた!?


「このたびはマスター登録いただきありがとうございます。わたくしは全状況対応型オートマタ。型名VOL-4071CX2です」

「は、はいッ!?」

「主人に仕えることこそオートマタの喜び。我が全機能を駆使してマスターの援けとなる所存です。どうかよろしくお願いいたします」

「こちらこそ!」


 なんか想定外の事態が起こりすぎて、理解が追い付かない!?


 勝ちもしないままゴーレムとの絆召喚契約を果たしたら、そのゴーレムの中から女の子が出てきた!?

 しかもその女の子が、俺に忠誠を誓っている!?


 つまりこれは……。


「あの……もしやキミがあのゴーレムの本体ということでよろしくて?」

「はあ、……こちらはわたくしに付属するモジュール、戦闘用強化外装モデルタイプ:ギガントです」


 といって彼女が脱ぎ捨てた(?)ゴーレムの抜け殻を指し示す。


「ギガントタイプの特徴は、何と言っても頑強さです。あらゆる種類の攻撃に耐えるよう設計されていて耐久性、活動持続性も全タイプ中ダントツ。外部からマナを取り込む機能も有しているため、エネルギー補給も必要なく、事実上半永久的に稼働できます」

「はあはあ……!?」


 ヤベえ。

 説明されていることの半分もわからん。


 助けを求めるように振り返るがゴブリンとスライムからブンブンとかぶりを振られた。

 そうだよね、キミらもわからんよね。


 さて、この女の子をこれからどう扱っていくべきか。


「しかしながら、このモジュールも既に連続稼働一八,四二〇,五一六時間を超え、経年劣化も避けがたい状態になってきました」

「え? いっせんはっぴゃくまん……? え!?」

「パフォーマンスもカタログスペックの半分を下回り、これらを駆使してもマスターのお役に立てるか難しく……!」


 女の子はよくわからない感じでしょんぼりしている。


 どうやら彼女がまとっていたゴーレムのガワが、かなり古くなってガタが来ているということらしい。


 俺たち、そのオンボロにまったく歯が立たずに殺されかけたんだけれども?


「……あ」


 俺はあることに気づいて、絆召喚術を発動してみる。

 結んだばかりの女の子との絆を利用して……。


【絆召喚術Lv11>絆:オートマタ>召喚可能物:強化外装タイプ:ギガント 強化外装タイプ:イーグル 強化外装タイプ:オルカ】


 既に何項目かある!?

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― 新着の感想 ―
[一言] 胸が開いて中から人が・・・ゴ~~~グ! ロボの中から美少女が・・・ガリバーの宇宙旅行? うーむ、先人の残した作品は我ら昭和世代の血肉となっているなあ。
[一言] スペックの50%でワイバーン以上ってやばすぎる...
[一言] バベルの塔に住んでいる人が従えている3つのしもべかな?
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