悪役令嬢再び 悪役令嬢見習い
次の話の冒頭に使おうと思っていましたが、よく考えたら、この話のオチだよね、コレ。と思い投稿します。短くてすいません。
あと、感想でリンクのつけかた教わりました。出来てると思います。ありがとうございました。
「何がどうなったのでしょう?」
「はい、わたくしエカテリーナ御姉様のシスターに立候補しましたの。よろしく御指導くださいませ」
目の前には昨日の幼女。
ミルティシア・サリュガーニャ公爵令嬢。
「わたくしは来期で卒業なのですよ? たった一年のシスターで宜しいの?」
「はいっ、一年でも半年でも、エカテリーナ御姉様の御側で学びたくぞんじますっ」
ふんすと胸を張る幼女。
エカテリーナはやや首を傾げ、困ったように初等科の教師を見つめた。
ブラザーシスターという制度は、上級生が下級生を学園内の兄弟姉妹として御互いを尊重し学ぶシステムだ。
上級生は目下の者を導き慈しむ心を。下級生は目上を敬い労う心を育てるためのモノだが、実際は上級生が下級生をこきつかうに成り下がり瓦解している。
上級貴族にはちゃんとしてる兄弟姉妹もあるが、半数以上はなぁなぁな成り行き任せ。
だいたい、このシステムでは初等科の生徒が中等科の生徒に申し込み、姉が卒業したら妹だった者が新たな姉になる。
三つ違いのシスターを選ぶものだ。既に最終学年なエカテリーナでは、サイクルが回らない。
止めろよ、おい。
眼は口ほどにモノを言う。
エカテリーナの無言な微笑みの裏を察し、初等科の教師は軽く咳払いをした。
「サリュガーニャ公爵令嬢に釣り合うシスターがおりません。何より本人たっての希望なので.....」
「あら? おかしいですわね。中等科にはマクレスター侯爵令嬢もオマシィア伯爵令嬢もおられたような気がするのですが?」
ふざけんなや、こら。
全く笑っていないのに深まるエカテリーナの笑み。教師は滝のような冷や汗を流しつつ、眼がバタフライしている。
御互いの裏を読み取る神経衰弱みたいな攻防を見つめ、ミルティシアはキラキラ輝く瞳でエカテリーナに微笑んだ。
「それですわっ、教師を教師とも思わない唾棄するような眼差しっ、それでいて優美で、しっとりとした佇まい。わたくしは、それを学びたく存じますっ!!」
.....悪役令嬢志願ですか? 酔狂すぎません? まだ幼いのに、末恐ろしい子だこと。
無邪気な羨望の面差しで凝視され、エカテリーナはいたたまれなくなり、そっと視線をそらした。
こうして悪役令嬢は、大変不本意だが、悪役令嬢見習いを手に入れたのである。
秋も終わりに近い今日この頃。後宮に新たなメンバーが加わった。
はい、盛大なブーメラン来ましたねww エカテリーナの周りは、いつも賑やかですww