04
4話目です。
バケビトを抱えた男性はどこに行くのでしょうか?
ではお楽しみください
「危なかった〜。天聖機動隊に会ったの初めてだったけど、すぐ殺ろうとするじゃん。警察とは違うんだなぁ...」
そんな独り言を呟きながらアキナたちから数百m離れた場所まで走ってきた男性。
彼の名前は”天神クレア”
一瞬ハーフかと思われる名前だが、ただのキラキラネームである。
ピ◯チュウとかキ◯ィなどではないだけマシなのだが、漢字にせずカタカナにしているところを見ても彼の親は相当拗らせていると思われる。
そんな社会的に不便な名前を持つ彼は腕に抱えている目をバケビトに向ける。
「びっくりしてちょっと強めに殴っちゃったけど大丈夫だよな...?」
あの現場を見ていたものならバケビトは確実にお亡くなりになっていると思うような一撃だったが、さすがはバケビトと言ったところか。
胸の辺りが上下しているところを見る限り生きてはいるようだ。
「食材も置いてきちゃったけど戻るとまためんどくさそうだし..。とりあえずあそこに行くか」
クレアは腕の中にいるバケビトを抱え直し、その場所へと向かった。
『異能都市 第8地区』
異能都市は8つの地区に別れており、上から見たときに第1地区から第4地区が一直線に並び、その下に第5地区から第8地区が一直線に並んでいる。全体的に見ると長方形のような形をした都市となっている。
それぞれの地区に特徴があり、例えば第1地区には天聖機動隊の本部があり、第2地区は住宅街とは言われているが、マンションやアパートなどが多く立ち並ぶ地区となっている。
第3地区は異能都市一の繁華街となっている。
第4地区は工業地帯であり、生産都市と言われている。
第5地区は大病院の『谷原病院』があり、バケビトとの戦いで傷を負った天聖機動隊のメンバーがよく利用していたりする。
第6地区は『天王小学校』と『天王中学校』、周りには住宅街があり、一軒家が多く見かけられる。
第7地区には『天王高等学校』と『天王大学』、周りには第6地区同様住宅街があるが、こちらはどちらかというと学生向けのアパートなどが多い。
ちなみにクレアはこの地区の一番安い賃貸マンションに住んでいる。
そして第8地区だが、他の地区と比べてあまり発展が届いておらず、未だに木造建築の建物が多く残っており、バケビトが潜んでいるのではないかと噂されるほどである。
そんな第8地区にクレアはやってきていた。
「これで3人目だな〜。おっちゃん引き取ってくれっかな?」
そう言いながら第8地区の中でも特に目立つ古い建物の前に来たクレア。
見た目は珍しいというか単純というかまぁ所謂豆腐ハウスと言われるものになっている。
玄関であろう扉の上には『骨董屋』と不細工な文字で書かれた大きい木の板がつけられており、所々朽ちている箇所などが見受けられる。
今すぐにでも閉店してしまいそうな建物だが、世界の中でもトップクラスで技術が発展している異能都市で生き残っているところを見る限り一応重宝はされているのであろう。
売り上げなどは抜きにして...
クレアは少しガタガタ動くハンドルを回し、扉を開ける。
ギィ〜...
夜中にはあまり聞きたくない木の扉特有の音を響かせて扉は開く。
チリンチリン
カフェに入ったのかと思うような鈴の音が鳴り、その音に気づいたのか奥に座っていた70代くらいの老人が
「いらっしゃい」
低くガラガラとした声、だが優しさの溢れた柔らかい口調で、店に訪れた客に挨拶をした。
ご覧いただきありがとうございました。
謎の男性『天神クレア』や異能都市の大まかな特徴の説明回でしたね。
今度は別の謎の男性が出てきたんですがまぁ次話で分かると思います。
それではまたお会いしましょう。